中国が今のような経済大国となり
世界中に華々しく進出しているというニュースを目にする度に
不思議に思うことがあります。
例えばハーバード大学に留学したエリート中国人は自国に戻って
言論統制やネット規制について息苦しく思わないのだろうか?
一度自由な空気を味わってしまった後に
中国当局の抑圧に耐えられるものなのだろうか?と。

この映画は、見事にその疑問に答えてくれました。
中国山東省の小さな村の貧農の息子リー。
粗末な綿の人民服を着て走り回り、中国は世界一豊かな国、
帝国主義(資本主義)の国は貧しく、人民は惨めに暮らしていると教えられていいる。
夢は毛主席のために紅衛兵になること。
1973年、そんな彼が11歳の時、毛沢東の文化政策によって選ばれ、
北京の舞踏学校へ入学させられる。
毛主席のため、親兄弟の為、何年もの厳しい英才教育に耐え、
アメリカへのバレエ研修生に抜擢される。

80年代のヒューストンに着いたばかりのリー青年には、何もかもが珍しい。
ホームスティ先のバレエ団の理事、ベンの立派な家に驚いたり、
大声で大統領の悪口を言うアメリカ人の行く末を心配したり、
アメリカに住む中国系女性の派手な化粧や衣服が信じられなかったり。
それでも若者らしく、ディスコに行き、アメリカ人のガールフレンドを作り、
段々とアメリカの生活をエンジョイするようになる。
研修先のバレエ団の公演の主役のピンチヒッターを引き受け、
拍手喝采を受けて自信を持つようになる。
滞在延長願いを出すが認められず、帰国命令を受けた彼は
なんとガールフレンドと結婚し、アメリカに留まろうとするのです。
アメリカ人の弁護士、アメリカ人の妻を連れて中国領事館に交渉に行くが
いきなり力づくで拉致され、帰国させられそうになる。
アメリカ人弁護士は副大統領に訴え、大きなニュースとなって…

2009年、オーストラリア映画。DVDで観賞。
オーストラリアでベストセラーとなった、リー・ツンシンの自伝を映画化した作品。
監督は「ドライビング・ミス・デイジー」のブルース・ベレスフォード監督。
主演は英国ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、ツァオ・チー。
なんといっても実話というところが素晴らしい。
そりゃ一度自由の味を覚えてしまったら
元には戻れないよねえ…
その頃の中国では、バレエといっても
江青女史の指図の元、銃を担いだ「革命的バレエ」しか踊れなかったのですから。
(それに対して「こんなのはバレエではない」と言ったチェン先生は”追放”される)
でも結果的にリーの行動は、自分の国を、
そして親兄弟を捨てることになる。
亡命に成功した後も、親兄弟とは一切連絡が取れなくなったリー。
「反革命分子」のプラカードを首にかけられ、公開処刑される親の夢を何度も見て苦しむ。
実話といっても、そして40年前のことであるとはいっても、
中国に関してよくここまで描けたなあと思ったら
ベレスフォード監督はやはり、中国政府から撮影を反対されたといいます。
「中国政府から、この脚本で中国での撮影はできないから変えてくれ、
毛沢東への言及も禁止だと言われたんだ。さらには、エンディングを変えて、
現在の中国が発展しているところを見せてほしいとまで言ってきたんだ」と。
http://www.cinematoday.jp/page/N0026588
結果的に出来上がった映画も、中国では公開されていないらしい。
ユン・チアンが書いた「ワイルド・スワン」が世界100カ国以上で出版されているのに
中国では出版されていないように。
祖国や親兄弟とアメリカとの間に挟まれたリーの苦しみが悩ましいだけでなく、
両国の裏の政治的な取引も見逃せません。
そして、ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、チャオ・チーの踊りが素晴らしい。
人間社会の醜い諍いと華麗なバレエと。
それだけに、最後のサプライズには静かな涙が出ます。
原題は「Mao's Last Dancer」というのです。
小さな村の小さなダンサー http://chiisanadancer.com/
世界中に華々しく進出しているというニュースを目にする度に
不思議に思うことがあります。
例えばハーバード大学に留学したエリート中国人は自国に戻って
言論統制やネット規制について息苦しく思わないのだろうか?
一度自由な空気を味わってしまった後に
中国当局の抑圧に耐えられるものなのだろうか?と。

この映画は、見事にその疑問に答えてくれました。
中国山東省の小さな村の貧農の息子リー。
粗末な綿の人民服を着て走り回り、中国は世界一豊かな国、
帝国主義(資本主義)の国は貧しく、人民は惨めに暮らしていると教えられていいる。
夢は毛主席のために紅衛兵になること。
1973年、そんな彼が11歳の時、毛沢東の文化政策によって選ばれ、
北京の舞踏学校へ入学させられる。
毛主席のため、親兄弟の為、何年もの厳しい英才教育に耐え、
アメリカへのバレエ研修生に抜擢される。

80年代のヒューストンに着いたばかりのリー青年には、何もかもが珍しい。
ホームスティ先のバレエ団の理事、ベンの立派な家に驚いたり、
大声で大統領の悪口を言うアメリカ人の行く末を心配したり、
アメリカに住む中国系女性の派手な化粧や衣服が信じられなかったり。
それでも若者らしく、ディスコに行き、アメリカ人のガールフレンドを作り、
段々とアメリカの生活をエンジョイするようになる。
研修先のバレエ団の公演の主役のピンチヒッターを引き受け、
拍手喝采を受けて自信を持つようになる。
滞在延長願いを出すが認められず、帰国命令を受けた彼は
なんとガールフレンドと結婚し、アメリカに留まろうとするのです。
アメリカ人の弁護士、アメリカ人の妻を連れて中国領事館に交渉に行くが
いきなり力づくで拉致され、帰国させられそうになる。
アメリカ人弁護士は副大統領に訴え、大きなニュースとなって…

2009年、オーストラリア映画。DVDで観賞。
オーストラリアでベストセラーとなった、リー・ツンシンの自伝を映画化した作品。
監督は「ドライビング・ミス・デイジー」のブルース・ベレスフォード監督。
主演は英国ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、ツァオ・チー。
なんといっても実話というところが素晴らしい。
そりゃ一度自由の味を覚えてしまったら
元には戻れないよねえ…
その頃の中国では、バレエといっても
江青女史の指図の元、銃を担いだ「革命的バレエ」しか踊れなかったのですから。
(それに対して「こんなのはバレエではない」と言ったチェン先生は”追放”される)
でも結果的にリーの行動は、自分の国を、
そして親兄弟を捨てることになる。
亡命に成功した後も、親兄弟とは一切連絡が取れなくなったリー。
「反革命分子」のプラカードを首にかけられ、公開処刑される親の夢を何度も見て苦しむ。
実話といっても、そして40年前のことであるとはいっても、
中国に関してよくここまで描けたなあと思ったら
ベレスフォード監督はやはり、中国政府から撮影を反対されたといいます。
「中国政府から、この脚本で中国での撮影はできないから変えてくれ、
毛沢東への言及も禁止だと言われたんだ。さらには、エンディングを変えて、
現在の中国が発展しているところを見せてほしいとまで言ってきたんだ」と。
http://www.cinematoday.jp/page/N0026588
結果的に出来上がった映画も、中国では公開されていないらしい。
ユン・チアンが書いた「ワイルド・スワン」が世界100カ国以上で出版されているのに
中国では出版されていないように。
祖国や親兄弟とアメリカとの間に挟まれたリーの苦しみが悩ましいだけでなく、
両国の裏の政治的な取引も見逃せません。
そして、ロイヤル・バレエ団のプリンシプル、チャオ・チーの踊りが素晴らしい。
人間社会の醜い諍いと華麗なバレエと。
それだけに、最後のサプライズには静かな涙が出ます。
原題は「Mao's Last Dancer」というのです。
小さな村の小さなダンサー http://chiisanadancer.com/