故寛仁親王殿下の長女、彬子女王の5年間のオックスフォード大学留学記。
女性皇族として初の博士号を取得した著者の、赤と青のガウンを着用しての博士号授与式までの奮闘ぶりが、実に率直な物言いで書かれています。
イギリスでの苦労話や博士論文を書くことの大変さ、人間関係のエピソードなど。
例えば有名な、洗剤で洗ったお皿をすすがない件について。
”友人の部屋や家に遊びにいって紅茶などを出されると、うっすら表面に洗剤らしきものの膜が張っていることがある。それを発見すると、「ああ〜」と少し涙したくなる気持ちになる。でも「きっとおなかに入ってもそんなに害のない洗剤を使っているに違いない」と自分に言い聞かせ、笑顔で紅茶を頂くのである。よくよく考えてみると、私も英国に行って随分強くなったものだ”という具合。
ついでに、同じくオックスフォード大学に留学された徳仁親王の「テムズとともに」を思い出しました。
やはり英語に苦労されたこと、研究生活、音楽やスポーツ活動、友人との交流が、こちらは実に丁寧に、気遣いに満ちた文章で書かれていました。
もう2年以上前に読んだので記憶もおぼろですが、今も覚えているのは、ジーンズで街を歩いていたらすれ違った日本女性から「ウッソー」と言われたが、当時はその意味が分からなかったということ。
そしてイギリスの国技であるクリケットについての説明。
要するに、ルールは複雑怪奇であんまり面白いとは思えないスポーツだということが、こんな身も蓋もない言い方ではなく、誰をも傷つけないような言い方で書かれていたのでした。具体的に御紹介できないのが残念!