ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

ダニがチーズをおいしくする

2022-04-30 10:11:28 | 読書

『幻のシロン・チーズを探せ』

チーズが食べたくなる本。
チーズ好き、ワイン好きはこれを読まないではおれないでしょう。

実は島野さんとは以前ダニラー(ダニ仲間)として親しくさせてもらっていました。
島野さんから「分散飼育で、絶滅を防ぐため協力してほしい」と言われ、ミモレットやミルベンケーゼ、アーティズー、ライオル、カンタルのダニを飼育していました。島野さんが遺伝子解析をおこなったというダニです。サレールは記憶にない。

ミモレットがダニと関係しているという話は、ダニ研究に携わっている人なら知らない話ではなかったけれど、島野さんから飼育を託されたとき、「日本のどこかでダニチーズがつくれるといいね」と(自分の育てたダニのチーズで大儲けするなんてことをチラッと夢想したりして)、いっきに身近になりました。

詳しい話を聴いていなかったので、ミルベンケーゼ、アーティズー、ライオル、カンタルという名前はおそらくチーズの名前でダニの種名ではないと思っていたけれど、やはりそうだったのですね。
カンタル以外は、同じ種ということだけれど、同じ飼育条件下で成長度合いが異なっていたのは興味深いです。もともと一緒に住んでいたカビや細菌などの環境が異なったのかもしれません。

けれど大学の職を退くと、大学のように装置がないのでダニの培地となる穀類の粉(餌となるのはチーズのようだけれど)を滅菌する手間や飼育場所の問題(家では冷蔵庫に入れておいたのだけれど)などの問題、何より私のメンタル(退職してエネルギーがガタ落ちになった)の問題もあり、とうとうカビだらけにして飼育を断念してしまいました。(本書で、カビで死んだのではなく、バクテリアのせいで絶滅した結果カビが増殖すると知りました。)

島野さんに「エーッ」と言われたけれど。

大学に勤めた当初、使える実験室がなく、何より他にやることが多すぎて、そこでまずダニ研究に対する情熱が減退してしまったのですが、今となっては1ミリもなくなってしまいました。
それでもダニに対する愛着は今でも感じるのです。

というわけで、私は使命を果たせなかったけれど、島野さんのチーズダニ研究がこんな面白い本になって、よかった!

イラストや写真がふんだんにあるのも楽しい。
イラストは佐々木宏さん。
実は島野さんのもっているダニブローチがうらやましく、私も佐々木さんにブローチをつくってもらいました。メールや郵便のやり取りでお目にかかったことはないのですが。宝にしています。
コメント
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