午後5時半過ぎ、あるバス停から仕事を終えたオジサンたちが乗ってきた。これは、いつものことである。そして、その中の一人が運転席のすぐ横に立って、たった今まで吸っていたタバコの臭いをプンプンさせている… タバコ嫌いな私にとっては“一種の拷問”であるが、これもいつものことである。だが、今日は違った。漂ってくる臭いがタバコではなく、鉛筆の臭いだったのだ。あの黒鉛と木の臭いが入り混じったような… そういう現場で作業をしていたのか、そういう原料に触れていたのか… とにかく、久しく鉛筆というものを使っていない私にとっては、とても懐かしい臭いだった。が、それが5分、10分と続いていると… 元々爽やかな香りというわけではないので、気分が悪くなってきてしまった。しかし、オジサンに悪気はないので我慢するしかなかった…