バスは5分ほど遅れていた。あるバス停で3名の乗客が待っていた。私はバスを止めて「お待たせしてすいません」と言いながら扉を開けた。3名の乗車が完了し、ミラーを見ながら扉を閉めた。左サイドミラーでバス停の最終確認をしながら発車… と、その時! 街路樹の陰から現れた一人の女性が、サイドミラーに映ったのである。私は慌てて扉の開閉レバーを操作したのだが間に合わず… 扉が開くよりも早く、乗車扉に「ドンッ!」とその女の“蹴り”が入ったのだ。ツヤのないパサパサロングヘアー… 推定アラフォー世代… 当然のことながら無言… 大きな荷物を両手で抱えているわけでもなく… あそこで足が出るか… 私の運動機能は十数秒間停止してしまった。と、突然、そこへもう一人の女性がバスに飛び乗って来たのである。あらまぁ… ラッキーな人…