【非水平農場の進め】
地球環境を修復しながら、おいしくて健康にいい食物を得るには。世界人口が増加しつづけても人類が
飢えずに共存するには。こうした人類の難題を解決するたった1つの方法が「垂直農場」だという。都
市生活をおくりながら、高層ビルで1年中安定して農作物を得ることができる。そのうえ、環境や生態
系の破壊をも止められると。しかし、この構想は「植物工場」で既に織り込み済み。なんだったらこの
ブログテーマの1つである「新弥生時代」「農工サ融合」を観てもらえばわかる。「知識集約型農法」
と言い換えても同じことだ。といっても、ディクソン・デポミエ著『垂直農場』を斜め読みしておく必
要はあるということで、早速ペラペラと本をめくる。そうなんだ、デジタルだ、高度情報化社会だと、
なんだかんだといっても、手めくりが一番(身体論に回帰せよ)。
結論からいうと、この農場方式は(1)年間を通して収穫できる(2)気候に関連した不作がない(3)
農業排水が出ない(4)生態系システムの回復をうながす(5)殺虫剤、除草剤、肥料を使わない(6)
水の使用が70~95%減る(7)フードマイル(輸送距離)が大幅に減る(8)食と生産の安全が管理し
やすい(9)新しい雇用機会が生まれる(10)処理水を飲み水に浄化する(11)収穫後の植物を動物の
飼料にするとこれまた良いとづくめで、農産物のPTT対策いらず?と結構なプランなのだ、いや本当。
農業が始まったときから、作物の生産は季節と結びついていたのだが、世界のどの地方でも、年間の時
期、気候のパターン、土壌の種類によって、特定の作物の収穫量が決まる。収穫量が最大にならないの
は、昔から、作物が成長しきったころに悪天候にみまわれるか、降水量が増えすぎる、または減りすぎ
ることによる。昔とちがって、いまはフ年間もつほどの水が地面にしみこまず、洪水がしょっちゅう起
きる。その結果、表土がおそるべき速さで失われ、収穫が近い時期の水不足によって作物が枯れてしま
うことが多いのだ。不安定な雨期の望ましくない結果として、膨大な数の農家が都会に移り住み、おも
な都心のすべてで急速にスラム化か進んでいる。自治体サービスにはますます負荷がかかり、すでに限
界を越えてしまったところも多い。水に関連することをほとんど雨期に頼っている。外の状況に影響さ
れないことのメリットは、誰の目にも明らか。農民はどんな作物も好きなときに、好きな場所で育てる
ことができ、長い期間、安定して作物を生産するすぐれた戦略であるとともに、市場の季節変動を見な
がら通常よりはるかに高く売れる時期に出荷することができる。つまり、一年間通じ間断なく生産でき
るのだと。
【有機電子素子が主役に】
ここでは、太陽光発電、発光ダイオード、有機エレクトロルミネサンス、有機ダイオードなどの最先端
デジタル技術と遺伝子工学、バイオテクノロジーのフル支援応用(適用)が前提となることは間違いな
い。つまり、このブログすべてのテーマがここに収斂し、有機電子素子(=有機エレクトロニクス)が
主役に踊り出るだろう。そこで『冷静なオーレッドの進め』で指摘したような対応はとれているのだろ
うかとネットで下調べしてみることに。
そこで、上の図1のような劣化原因の対策として、具体的な動向をみるため山形大学、有機エレクトロ
ニクス研修室などの技術開発状況を俯瞰してみたて驚いたことがあった。それは「有機太陽電池ワーク
ショップ」(案内)を見たときだが、お世話になった城戸淳二教授はともかく、色素増感太陽電池開発
でお世話になっ吉田司教授(元岐阜大学准教授)が移籍し実行委員を担当していることだった。動きと
して選択と集中という意味で理にかなっている。さて『特集|有機電子素子の進化Ⅰ』で具体例として
取り上げたものは、(1)材料の高品位化:低電圧駆動・高効率なビカルバゾリル誘導体のホスト材料で構
成した有機EL素子、(2)有機ELと液晶の合わせ表示素子:節電と高視認性、(3)輝度と寿命をトレードオフさ
せない素子構造の開発、(3)中間に絶縁層を入れた低電圧と大電流変調可能な有機トランジスタ、(4)励起子
失活防止層を設けた有機薄膜太陽電池、(5)バッテリ以外の活用が期待される有機ラジカル化合物、(6)エネ
ルギーギャップの広いイリジウム錯体青色系燐光用ホスト材料などの開発過程を俯瞰した。
下調べとはいえ疲れはピークに達したものの、なるほど日々開発されているのかと納得できもした。と
ころで、いきなり高層ビル化ということもなかなか難しいだろうが、イメージが明確に設定できただけ
でも進歩だ。ぼちぼちいこうということで、わたし(たち)はこれを<非水平農場>と今日から呼ぶこと
にしよう。さて、まとめよう。垂直農場が曲がりなりに定着、普及したとして最後の課題はなんだろう。
それは、動物としての人類と植物の和解?じゃないかと思っている。こころを込めて生育する、その情
報の品位が成果物にもろに反映することを知るんじゃないかなぁと。