<金曜は本の紹介>
「なにを食べたらいいの?(安部 司)」の購入はコチラ
この本は、添加物アドバイザーとして、添加物と食料の専門商社で10年間100種類ぐらいの加工食品の開発に携わっていた方が添加物の実態について書いた本です。
私も読んだことがありますが約60万部売れた「食品の裏側」という本を書いた方でもあります。
添加物を使えば、安い(単価が下がる)、簡単(調理のめんどうくささを解決する)、便利(保存性と、いますぐ欲しいという要求を同時に満たす)、美しい(見た目を美しくする)、オイシイ(濃厚な味を作る)という特徴があります。
しかしながら、2004年3月19日付の西日本新聞「食卓の向こう側」によれば、賞味期限内の、あるいは切れた直後の調理済みの弁当やおにぎりを、妊娠したお母さん豚にえさとして与えたところ、妊娠期間の114日後に、死産が相次ぎ、生まれた子豚も障害を持っていたり虚弱体質だったりしたというのです。添加物の仕業なのか、因果関係ははっきりとしませんが、事実として非常に恐ろしいことですね。
この本は、生産者の立場、消費者の立場からも添加物について書かれていて、理解しやすい内容となっています。
食について、とても考えさせてくれる良書だと思います。とてもオススメです。
以下は、この本のポイントなどです。
・精製したサラダ油が入ったドレッシングは、野菜に絡みつくように「増粘多糖類」「キサンタンガム」という添加物でぬるぬるどろどろにします。絡むから使用量も増えて、減りが早くなります。セパレートタイプや乳化剤を入れた乳化タイプなど、いろいろなタイプが開発され、消費量は増えています。
・よく見かける大手のハンバーガー1個に、およそ60種類ぐらいの添加物が入っているでしょう。ただ、表示は法律的に要りません。最近はバーコードで表示する例もあるようですが、その場で調理して売る場合は商品そのものに記述する必要がない。持ち帰り弁当やお惣菜のバラ売りも同じです。ハンバーグに使う牛肉は、オーストラリア産の、乳が出なくなった乳牛のもので十分です。その赤身はバサバサで風味がないため、安いのですが、それに油の多いバラ肉を2割程度まぜたものがハンバーグに使われています。もちろん、油と乳化剤、結着剤等を加え、柔らかくジューシーに仕上げます。あれだけハンバーガーが安く売れるのは、90%以上の食材を輸入に頼るムダのないシステム、冷凍パテを短時間で同時に焼き上げる特殊な調理器、そしてそれらを陰で支える添加物があるからなのです。
・大量の食塩に、グルタミン酸ナトリウムに代表される化学調味料を複数加えます。調味料(アミノ酸等)と表示されます。たんぱく加水分解物でコクをつけ、豚やチキンのエキス類を加えてとんこつ味やチキン味にしつつ、さらに香辛料で刺激的な味にする。こうして私たちの味覚は麻痺していきます。
・私たちは、甘さといえば砂糖を思い浮かべますが、砂糖は使いません。コストが高くつくからです。甘さは、とうもろこしから作ることができます。アメリカの大規模農家で、遺伝子組み換えのものが大量に生産されています。とうもろこしでんぷんのコーンスターチを原料にします。片栗粉もそうですが、でんぷんの糊にはわずかに甘みがあります。このでんぷん液を酵素でブドウ糖液に分解します。ブドウ糖はさわやかな甘みがしますが、砂糖の7割ぐらいの甘味しかありません。それで、そのブドウ糖から、砂糖より甘い糖を作ります。果糖です。砂糖の1.4倍くらいの甘みになります。ブドウ糖液を別の酵素で果糖液に変化させます。そして、このブドウ糖と果糖をうまく配合させて、甘さの強いシロップを作ります。ですから、原材料表示では「ブドウ糖果糖液糖」となります。さらに砂糖を加え、甘味を強くする場合があります。焼肉のタレや、ドレッシング、コーラなどです。
・甘酸っぱい色つきサイダーに、香りをつけると、いろんなタイプの飲料になります。紫色に着色してグレープ香料、茶色に着色してコーラ香料、桃色に着色して桃香料と、色と香りをそろえれば、どんなタイプも簡単にできます。香料には合成香料原料として約90種、天然から抽出された香料612種があり、これらを自由に組み合わせることにより、バナナ、グレープ、りんごなどが作れます。青リンゴタイプにするのか、熟れたリンゴの香りにするのかは、香料原料の添加物の組み合わせ次第です。できない香りはありません。香料の成分、組み合わせ、配合比は、香料会社が公開していないので、大手メーカーでも知ることはできません。公表しなくていい法律になっています。だから数年前、使用してはいけない化学物質を混ぜた香料事件がおこりました。
・添加物がもたらす「塩分」「油分」「糖分」の過剰摂取について、私はとても危惧しています。「とりすぎ3兄弟」、それは塩と油と糖と覚えてください。
・最近の加工食品やインスタント食品の味は3つの要素で成り立っています。「塩」と「化学調味料」そして「たんぱく加水分解物」です。作られた味を生み出すこの3つを、私は加工食品の「黄金トリオ」と呼んでいます。構造はすべて同じです。
・商品にグルタミン酸ナトリウムをひとつだけ使うと表示は「調味料(グルタミン酸ナトリウム)」となる。ところが、もう一つ化学調味料を加える場合、添加物の表記は2つ以上同じグループのものを使うとグループ名に変わりますから、「調味料(アミノ酸等)」というふうになります。化学調味料はアミノ酸化合物だけとは限らないのですが、ほとんどがこう表示されることになります。これを「一括表示」といいます。アミノ酸は体によいと勘違いをする人も多いようですが、早とちりしてはいけません。「アミノ酸化合物」です。
・専門医の松田三千雄先生とお会いしました。この方は、アトピー性皮膚炎に食物アレルギーが関与することを1989年に皮膚科医として初めて発表した方です。患者さんの食事記録を丹念に調べたところ、インスタントのだしがアレルギー体質を作ることがわかったというのです。すべての化学調味料がそうだというわけではありませんし、だしの何が原因かも断定できませんが、天然の食材でだしをとるようにしたところ、アレルギーが改善する傾向がみられたそうです。現在、問題になっているのは、劇薬である塩酸で強引に分解してできるDCPやMCPと呼ばれる塩素化合物です。発がん性もあるため、業界は残存量を一定値以下に規制しています。規制するということは、すなわち人体に害があるということではないのでしょうか。
・ミックスサンドイッチにいはのべ80から100種類ほどの添加物が入っています。パンには、ふっくらしっとりとさせるためのイーストフードや乳化剤など10から20種類。ハムには、増量剤、結着剤、着色料など20から30種類。卵には、着色料、調味料、日持ちさせるためのpH調整剤など20から30種類。ツナサラダには、調味料、乳化剤、pH調整剤など10から20種類が含まれます。重複もありますが、それぞれの具材を合わせると80から100種類になります。
・調理済み弁当は添加物の宝庫といっても言い過ぎではありません。おにぎりだけでも具に20種類以上入っているのですから。当然炊き込みご飯や白いご飯にも入っています。おかずのひとつとして腐ってはいけないし、そもそも見栄えをよくしないといけないからです。炊飯専門の業者さんも数多く存在します。古米の味を変えたり、粘りやつやを出したりと、ここでも添加物が活躍してくれます。幕の内弁当を考えてみましょう。ひとつの例ですが、ホウレンソウのおひたしに20種類入っていて、卵に25種類入っているとします。全部でおかずが10品として、ひとつのおかずに添加物が20種類入っていたとすると、のべ200種類になります。
・添加物が活躍しているのはコンビニだけではありません。家族を居酒屋チェーンやファミリーレストランに連れて行くことは、この忙しいご時勢ではしょうがないことでしょう。ファミレスで人気の高いハンバーグ定食で考えてみましょう。まずご飯。これにだって入っています。調理済みおにぎりと同じです。肝心なハンバーグそのものはどうでしょう?アルバイトの高校生にやってもらうためには、「レンジで3分チン」といった簡単な作業ででき上がるものをよういしておく必要があります。ファーストフード店のハンバーガーの延長上にあるものです。
・消費者にとって知ることのできない、表示義務不要の添加物についてお話します。加工助剤と同じように「表示免除」されるものには、次のような例があります。自分で覚えるために、語呂合わせをしました。さ=サプリメント(栄養)目的、か=加工助剤、き=キャリーオーバー、ばら=バラ売り、しょう=包装が小さいもの、こ=小分け、です。私はまとめて、「さかきばらしょうこ」と呼んでいます。
・わかりやすい例として「しょうゆ」を比べてみましょう。片方は1リットル1000円で、もうい一方は198円です。裏側を見ると、1000円の方は「大豆、小麦、食塩」で終わりです。198円の方は、「脱脂加工大豆、アミノ酸液、ブドウ糖果糖液糖、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、駆るボキシメチルセルロースナトリウム、パラオキシ安息香酸イソプロピル、甘草、ステビア」です。そうてす、添加物を多く使っているから198円だとわかるんです。
・国の添加物に関するデータは信用できるでしょうか。そもそも動物実験による結果をベースにした「安全性」がはたして人間にも適用できるのか。また、複数の添加物を同時に摂取した場合の「複合摂取」の問題はきちんと研究されていません。
・またして、それは言葉遊びです。合成着色料は使用していません。でも天然着色料できれいな色に染めているということです。「天然の方が安全なんだろう」と思われるかもしれませんが、だれもそんなことは言っていません。数年前に禁止になった天然着色料の例があります。「アカネ色素」という天然着色料が、発がん性が指摘されている合成着色料のタール系色素よりも、先に禁止になりました。
・高級だとアピールする「本わさび入り」の表示があるということは、「練りわさび」は本物ではないということです。秋に店頭に並ぶおにぎりに「新米シール」が貼ってあったら、そのシールのないおにぎりは古米ということになります。驚く方が多いのですが、素朴に考えればわかることが多いのです。
・食品の選び方7つのルール
1 イメージで選んでもいい
2 食品の裏ラベルを見ましょう
3 台所にないものは添加物
4 顔を知らない他人が作ったものを疑う
5 自分が作った場合と商品を比べてみる
6 言葉遊びに気をつける
7 素朴な疑問を抱く
<目次>
序章 なにかがおかしい日本の食
「直品の裏側」のあと/なにを食べたらいいの?/子どもに胸を張れるように/添加物はよくわかっていない
第1章 子どもの大好物の「裏側」
ソーメンはどうして3分じゃ戻らないの?/カップラーメン大好き/油といううまみ/ハンバーガーのおいしさとは?/塩で食べる/コップ2杯の海水が飲める?/無果汁ってなに?/コップ半分の砂糖を飲む/レモン100個分のビタミンC入り/甘くて飲めない/できない香りはない/ジャンクフード
第2章 子どもが壊れていく
味覚を壊す黄金トリオ/たんぱく加水分解物の魔法/大スターを見ない日はなし/虫でも石油でもいい/お母さんの弁当はいらない
第3章 見えなくなっている添加物
ミックスサンドイッチのふしぎ/おにぎりは「国民食」/お弁当は添加物の宝庫/ファミレスで食事をするということ/お惣菜会社の社長/厨房なんてありません/3日間腐っちゃだめ/何にでも使えます/さかきばらしょうこ
第4章 添加物まみれにした犯人はだれ?
安全なのですか?/「おかげ」と「せい」 添加物のはたらき はたらきその1 安くする/はたらきその2 簡単に作れる/はたらきその3 便利になる/はたらきその4 美しくなる/はたらきその5 「オイシク」する/ 活躍する添加物/消費者のわがまま?/あきらめていませんか/選ぶときに考えよう/意識は高く、行動は低い/安心、安全は報われないのか/添加物は縁の下の力もち/報われない有機農業
第5章 じゃあ、なにを食べればいいの?
添加物を覚えなくてもいい
食卓になにを並べるか
①イメージで選んでもいい/②食品の裏ラベルを見ましょう/③台所にないものは添加物/④顔を知らない他人が作ったものを疑う/⑤自分が作った場合と商品を比べてみる/⑥言葉遊びに木をつける/⑦素朴な疑問を抱く
添加物を減らすコツ
①無駄遣いを減らそう/②添加物を摂っていることを認識する/③1週間のスパンで考える/④自分でできるものは作ろう/⑤優先順位を決める/⑥料理を薄味にする/⑦「おいしくない」で判断してもいい/⑧みんなで家事を手伝おう/⑨便利な調味料を作っておこう/⑩あわてずにゆっくりと進める
男性も意識を変えるべき
ひふみの原則 非伝統的なもの/不自然なもの/未経験なもの
「しょうわそうす」の覚え方
終章 添加物から見えてくること
経済合理性を支える添加物/見た目重視の日本人/過剰な美意識/世界一食材を捨てる国/食のグローバル化は危険のグローバル化/添加物で考えよう/頑張れ、お母さん
参考資料
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
街路樹がある道路を歩いていると、なんとセミの幼虫がトコトコ歩いています^_^;)危険なので、木の幹に運んであげました。きっと立派にセミに変身して元気に飛び回ってくれることでしょう^_^)
「なにを食べたらいいの?(安部 司)」の購入はコチラ
この本は、添加物アドバイザーとして、添加物と食料の専門商社で10年間100種類ぐらいの加工食品の開発に携わっていた方が添加物の実態について書いた本です。
私も読んだことがありますが約60万部売れた「食品の裏側」という本を書いた方でもあります。
添加物を使えば、安い(単価が下がる)、簡単(調理のめんどうくささを解決する)、便利(保存性と、いますぐ欲しいという要求を同時に満たす)、美しい(見た目を美しくする)、オイシイ(濃厚な味を作る)という特徴があります。
しかしながら、2004年3月19日付の西日本新聞「食卓の向こう側」によれば、賞味期限内の、あるいは切れた直後の調理済みの弁当やおにぎりを、妊娠したお母さん豚にえさとして与えたところ、妊娠期間の114日後に、死産が相次ぎ、生まれた子豚も障害を持っていたり虚弱体質だったりしたというのです。添加物の仕業なのか、因果関係ははっきりとしませんが、事実として非常に恐ろしいことですね。
この本は、生産者の立場、消費者の立場からも添加物について書かれていて、理解しやすい内容となっています。
食について、とても考えさせてくれる良書だと思います。とてもオススメです。
以下は、この本のポイントなどです。
・精製したサラダ油が入ったドレッシングは、野菜に絡みつくように「増粘多糖類」「キサンタンガム」という添加物でぬるぬるどろどろにします。絡むから使用量も増えて、減りが早くなります。セパレートタイプや乳化剤を入れた乳化タイプなど、いろいろなタイプが開発され、消費量は増えています。
・よく見かける大手のハンバーガー1個に、およそ60種類ぐらいの添加物が入っているでしょう。ただ、表示は法律的に要りません。最近はバーコードで表示する例もあるようですが、その場で調理して売る場合は商品そのものに記述する必要がない。持ち帰り弁当やお惣菜のバラ売りも同じです。ハンバーグに使う牛肉は、オーストラリア産の、乳が出なくなった乳牛のもので十分です。その赤身はバサバサで風味がないため、安いのですが、それに油の多いバラ肉を2割程度まぜたものがハンバーグに使われています。もちろん、油と乳化剤、結着剤等を加え、柔らかくジューシーに仕上げます。あれだけハンバーガーが安く売れるのは、90%以上の食材を輸入に頼るムダのないシステム、冷凍パテを短時間で同時に焼き上げる特殊な調理器、そしてそれらを陰で支える添加物があるからなのです。
・大量の食塩に、グルタミン酸ナトリウムに代表される化学調味料を複数加えます。調味料(アミノ酸等)と表示されます。たんぱく加水分解物でコクをつけ、豚やチキンのエキス類を加えてとんこつ味やチキン味にしつつ、さらに香辛料で刺激的な味にする。こうして私たちの味覚は麻痺していきます。
・私たちは、甘さといえば砂糖を思い浮かべますが、砂糖は使いません。コストが高くつくからです。甘さは、とうもろこしから作ることができます。アメリカの大規模農家で、遺伝子組み換えのものが大量に生産されています。とうもろこしでんぷんのコーンスターチを原料にします。片栗粉もそうですが、でんぷんの糊にはわずかに甘みがあります。このでんぷん液を酵素でブドウ糖液に分解します。ブドウ糖はさわやかな甘みがしますが、砂糖の7割ぐらいの甘味しかありません。それで、そのブドウ糖から、砂糖より甘い糖を作ります。果糖です。砂糖の1.4倍くらいの甘みになります。ブドウ糖液を別の酵素で果糖液に変化させます。そして、このブドウ糖と果糖をうまく配合させて、甘さの強いシロップを作ります。ですから、原材料表示では「ブドウ糖果糖液糖」となります。さらに砂糖を加え、甘味を強くする場合があります。焼肉のタレや、ドレッシング、コーラなどです。
・甘酸っぱい色つきサイダーに、香りをつけると、いろんなタイプの飲料になります。紫色に着色してグレープ香料、茶色に着色してコーラ香料、桃色に着色して桃香料と、色と香りをそろえれば、どんなタイプも簡単にできます。香料には合成香料原料として約90種、天然から抽出された香料612種があり、これらを自由に組み合わせることにより、バナナ、グレープ、りんごなどが作れます。青リンゴタイプにするのか、熟れたリンゴの香りにするのかは、香料原料の添加物の組み合わせ次第です。できない香りはありません。香料の成分、組み合わせ、配合比は、香料会社が公開していないので、大手メーカーでも知ることはできません。公表しなくていい法律になっています。だから数年前、使用してはいけない化学物質を混ぜた香料事件がおこりました。
・添加物がもたらす「塩分」「油分」「糖分」の過剰摂取について、私はとても危惧しています。「とりすぎ3兄弟」、それは塩と油と糖と覚えてください。
・最近の加工食品やインスタント食品の味は3つの要素で成り立っています。「塩」と「化学調味料」そして「たんぱく加水分解物」です。作られた味を生み出すこの3つを、私は加工食品の「黄金トリオ」と呼んでいます。構造はすべて同じです。
・商品にグルタミン酸ナトリウムをひとつだけ使うと表示は「調味料(グルタミン酸ナトリウム)」となる。ところが、もう一つ化学調味料を加える場合、添加物の表記は2つ以上同じグループのものを使うとグループ名に変わりますから、「調味料(アミノ酸等)」というふうになります。化学調味料はアミノ酸化合物だけとは限らないのですが、ほとんどがこう表示されることになります。これを「一括表示」といいます。アミノ酸は体によいと勘違いをする人も多いようですが、早とちりしてはいけません。「アミノ酸化合物」です。
・専門医の松田三千雄先生とお会いしました。この方は、アトピー性皮膚炎に食物アレルギーが関与することを1989年に皮膚科医として初めて発表した方です。患者さんの食事記録を丹念に調べたところ、インスタントのだしがアレルギー体質を作ることがわかったというのです。すべての化学調味料がそうだというわけではありませんし、だしの何が原因かも断定できませんが、天然の食材でだしをとるようにしたところ、アレルギーが改善する傾向がみられたそうです。現在、問題になっているのは、劇薬である塩酸で強引に分解してできるDCPやMCPと呼ばれる塩素化合物です。発がん性もあるため、業界は残存量を一定値以下に規制しています。規制するということは、すなわち人体に害があるということではないのでしょうか。
・ミックスサンドイッチにいはのべ80から100種類ほどの添加物が入っています。パンには、ふっくらしっとりとさせるためのイーストフードや乳化剤など10から20種類。ハムには、増量剤、結着剤、着色料など20から30種類。卵には、着色料、調味料、日持ちさせるためのpH調整剤など20から30種類。ツナサラダには、調味料、乳化剤、pH調整剤など10から20種類が含まれます。重複もありますが、それぞれの具材を合わせると80から100種類になります。
・調理済み弁当は添加物の宝庫といっても言い過ぎではありません。おにぎりだけでも具に20種類以上入っているのですから。当然炊き込みご飯や白いご飯にも入っています。おかずのひとつとして腐ってはいけないし、そもそも見栄えをよくしないといけないからです。炊飯専門の業者さんも数多く存在します。古米の味を変えたり、粘りやつやを出したりと、ここでも添加物が活躍してくれます。幕の内弁当を考えてみましょう。ひとつの例ですが、ホウレンソウのおひたしに20種類入っていて、卵に25種類入っているとします。全部でおかずが10品として、ひとつのおかずに添加物が20種類入っていたとすると、のべ200種類になります。
・添加物が活躍しているのはコンビニだけではありません。家族を居酒屋チェーンやファミリーレストランに連れて行くことは、この忙しいご時勢ではしょうがないことでしょう。ファミレスで人気の高いハンバーグ定食で考えてみましょう。まずご飯。これにだって入っています。調理済みおにぎりと同じです。肝心なハンバーグそのものはどうでしょう?アルバイトの高校生にやってもらうためには、「レンジで3分チン」といった簡単な作業ででき上がるものをよういしておく必要があります。ファーストフード店のハンバーガーの延長上にあるものです。
・消費者にとって知ることのできない、表示義務不要の添加物についてお話します。加工助剤と同じように「表示免除」されるものには、次のような例があります。自分で覚えるために、語呂合わせをしました。さ=サプリメント(栄養)目的、か=加工助剤、き=キャリーオーバー、ばら=バラ売り、しょう=包装が小さいもの、こ=小分け、です。私はまとめて、「さかきばらしょうこ」と呼んでいます。
・わかりやすい例として「しょうゆ」を比べてみましょう。片方は1リットル1000円で、もうい一方は198円です。裏側を見ると、1000円の方は「大豆、小麦、食塩」で終わりです。198円の方は、「脱脂加工大豆、アミノ酸液、ブドウ糖果糖液糖、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、駆るボキシメチルセルロースナトリウム、パラオキシ安息香酸イソプロピル、甘草、ステビア」です。そうてす、添加物を多く使っているから198円だとわかるんです。
・国の添加物に関するデータは信用できるでしょうか。そもそも動物実験による結果をベースにした「安全性」がはたして人間にも適用できるのか。また、複数の添加物を同時に摂取した場合の「複合摂取」の問題はきちんと研究されていません。
・またして、それは言葉遊びです。合成着色料は使用していません。でも天然着色料できれいな色に染めているということです。「天然の方が安全なんだろう」と思われるかもしれませんが、だれもそんなことは言っていません。数年前に禁止になった天然着色料の例があります。「アカネ色素」という天然着色料が、発がん性が指摘されている合成着色料のタール系色素よりも、先に禁止になりました。
・高級だとアピールする「本わさび入り」の表示があるということは、「練りわさび」は本物ではないということです。秋に店頭に並ぶおにぎりに「新米シール」が貼ってあったら、そのシールのないおにぎりは古米ということになります。驚く方が多いのですが、素朴に考えればわかることが多いのです。
・食品の選び方7つのルール
1 イメージで選んでもいい
2 食品の裏ラベルを見ましょう
3 台所にないものは添加物
4 顔を知らない他人が作ったものを疑う
5 自分が作った場合と商品を比べてみる
6 言葉遊びに気をつける
7 素朴な疑問を抱く
<目次>
序章 なにかがおかしい日本の食
「直品の裏側」のあと/なにを食べたらいいの?/子どもに胸を張れるように/添加物はよくわかっていない
第1章 子どもの大好物の「裏側」
ソーメンはどうして3分じゃ戻らないの?/カップラーメン大好き/油といううまみ/ハンバーガーのおいしさとは?/塩で食べる/コップ2杯の海水が飲める?/無果汁ってなに?/コップ半分の砂糖を飲む/レモン100個分のビタミンC入り/甘くて飲めない/できない香りはない/ジャンクフード
第2章 子どもが壊れていく
味覚を壊す黄金トリオ/たんぱく加水分解物の魔法/大スターを見ない日はなし/虫でも石油でもいい/お母さんの弁当はいらない
第3章 見えなくなっている添加物
ミックスサンドイッチのふしぎ/おにぎりは「国民食」/お弁当は添加物の宝庫/ファミレスで食事をするということ/お惣菜会社の社長/厨房なんてありません/3日間腐っちゃだめ/何にでも使えます/さかきばらしょうこ
第4章 添加物まみれにした犯人はだれ?
安全なのですか?/「おかげ」と「せい」 添加物のはたらき はたらきその1 安くする/はたらきその2 簡単に作れる/はたらきその3 便利になる/はたらきその4 美しくなる/はたらきその5 「オイシク」する/ 活躍する添加物/消費者のわがまま?/あきらめていませんか/選ぶときに考えよう/意識は高く、行動は低い/安心、安全は報われないのか/添加物は縁の下の力もち/報われない有機農業
第5章 じゃあ、なにを食べればいいの?
添加物を覚えなくてもいい
食卓になにを並べるか
①イメージで選んでもいい/②食品の裏ラベルを見ましょう/③台所にないものは添加物/④顔を知らない他人が作ったものを疑う/⑤自分が作った場合と商品を比べてみる/⑥言葉遊びに木をつける/⑦素朴な疑問を抱く
添加物を減らすコツ
①無駄遣いを減らそう/②添加物を摂っていることを認識する/③1週間のスパンで考える/④自分でできるものは作ろう/⑤優先順位を決める/⑥料理を薄味にする/⑦「おいしくない」で判断してもいい/⑧みんなで家事を手伝おう/⑨便利な調味料を作っておこう/⑩あわてずにゆっくりと進める
男性も意識を変えるべき
ひふみの原則 非伝統的なもの/不自然なもの/未経験なもの
「しょうわそうす」の覚え方
終章 添加物から見えてくること
経済合理性を支える添加物/見た目重視の日本人/過剰な美意識/世界一食材を捨てる国/食のグローバル化は危険のグローバル化/添加物で考えよう/頑張れ、お母さん
参考資料
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
街路樹がある道路を歩いていると、なんとセミの幼虫がトコトコ歩いています^_^;)危険なので、木の幹に運んであげました。きっと立派にセミに変身して元気に飛び回ってくれることでしょう^_^)