いいね~おいしいね~

食べたり買って良かったもの等を実体験に基づき厳選紹介!ぜひご利用頂きより良い人生や日本経済等活性化につながれば幸いです♪

「人体600万年史-科学が明かす進化・健康・疾病<下>(ダニエル・E・リーバーマン)」という本は、とてもオススメ!

2016年09月30日 01時00分00秒 | 

「人体600万年史-科学が明かす進化・健康・疾病<下>」の購入はコチラ

 「人体600万年史-科学が明かす進化・健康・疾病<下>」は、上巻に引き続き、特に人類がたった約600世代前の約1万年前に農業を始めたことによる糖質摂取増加等や、最近の産業革命による運動不足等により引き起こされる本来の数百万年間の狩猟採集の遺伝子からのミスマッチ病の内容や、それらを防ぐ具体的方策について詳しく書かれています。
 
 特に具体的な現代のミスマッチ病としては、2型糖尿病やガン、骨粗鬆症、親知らず、扁平足等について書かれていて興味深かったですね。
 
 ミスマッチ病にならないようにするには、以下の点について注意した方が良いようです。
 
・虫歯や糖尿病等を防ぐためにもデンプンや炭水化物、砂糖の摂取を控えめにする
・野菜や果実を豊富に摂る食事にする
・炭酸飲料やジュースなど食物繊維が含まれていない甘い飲食物は特に危険
・魚油や亜麻仁や木の実に含まれるオメガ3脂肪酸でできた不飽和脂肪は良い
・塩分控えめにする
・骨粗相症を防ぐためにも運動を十分にする
・夜の睡眠や昼寝などを十分にとる
・善玉腸内細菌を保護(殺菌消毒をし過ぎず、味噌やキムチ、ヨーグルトなどを摂れば良い?)
・喘息やアレルギー等を防ぐためには、体内の有益な微生物を殺してしまう殺菌消毒をし過ぎないことが大切
・母乳で育ち免疫系を強化することが大切
・子供の頃は近視を防ぐためには屋外で遊び、骨を鍛えるためによく運動し、暑さに耐えられるよう汗腺を増やすために暑さを経験することが必要、親知らずが痛まないようにしっかり噛むことが大切(無糖ガムでも可)
・扁平足にならないよう子供の頃は特に裸足で歩いたり走ることも大切
・仕事も含めてイスに座ることをなるべくやめて立つようにする
・喫煙や過度な飲酒は控える
 
 実はこれらの特に食生活の多くは以前読んだ「「いつものパン」があなたを殺す」と同じ内容ということに驚き、それらは進化論的にも裏付けされているんだと感じましたね。
 
 それから、最近は女性は少子化で昔に比べるとあまり妊娠しなくなりましたが、そのため高濃度の生殖ホルモンであるエストロゲンにさらされることにより、乳がんや子宮がんなど生殖器がんが増えているとは驚きました。
これも現代のミスマッチ病のようです。
 
 「人体600万年史-科学が明かす進化・健康・疾病<下>」という本は、健康のためにもとてもオススメな本です!
 
なお、本書の日本語訳は素晴らしく、違和感なく読めたのは良かったですね。
 
以下はこの本のポイント等です。
 
・農業は古くさい生活様式だと思われがちだが、進化論的な観点からいえば、これは比較的最近の、独特で、どちらかというと奇妙な生活様式である。しかも農業は、氷河期が終わってからわずか数千年のうちに、アジアからアンデス山脈までの複数のところで、それぞれ独自に興っている。農業が人間の身体にどんな影響を与えたかを考える前に、まず確認しておかなければならない問題は、なぜ農業がそんなにさまざまなところで、何百万年にも及ぶ狩猟採集生活のあと、そんなに短期間で発達したのかということだ。この疑問には一言では答えられないが、全世界的な気候の変化が一つの要因だったとは言えるかもしれない。1万1700年前に氷河期が終わって完新世の到来が告げられると気候は氷河期より温暖になったばかりか、安定度も増し、気温と降雨の極端な変動が少なくなった。氷河期の間にも、狩猟採集民はときおり植物を栽培してみようと試行錯誤を繰り返したが、この実験が根付くことはなかった。理由はおそらく、極端で急激な気候変化のせいで努力が立ち消えになってしまったからだろう。栽培実験の成功の見込みが大いに高まったのは完新世になってからで、このころになると地域ごとの降雨と気温のパターンが毎年ほとんど変わらなくなり、10年単位でもほぼ一定のまま持続した。予測のできる安定した気候は狩猟採集民にとってもありがたいかもしれないが、農耕牧畜民にとってはまさに不可欠なものである。だが、世界の異なる地域での農業の創始に拍車をかけたもっと大きな要因は、人口圧力だった。考古学調査によれば、約1万8000年前、最後の大きな氷河作用が止まりはじめたのと時を同じくして、野営地-人々の住んでいた場所-の数は圧倒的に増え、広さも増していったことがわかっている。極地の氷冠が縮小し、地球全体が温暖になるにつれ、狩猟採集民の人口は急激に増えていった。より多くの子供が持てるようになったのだから、けっこうなことではないかと思えるかもしれないが、人口密度が高くては生き残っていかれない狩猟採集民の共同体にとって、それは非常に大きなストレス源でもあった。気候条件が彼らに比較的優しいときであっても、増えた分の人間を食わせていかなければならないのは相当のプレッシャーであり、彼らはやむなく通常の採集に加え、補助手段として食用植物の栽培を始めることになった。しかしながら始まってみると、その栽培は悪循環を生んだ。食わせなければならない家族が増えるたびに、栽培へのインセンティブが高まるからである。そうして何十年、何百年という間に農業が発展していった様子は想像に難くない。それはきっと趣味が職業に発展していくときと同じような経緯だったのだろう。そもそも栽培を始めたのは食物を増やすためで、それは大家族に食料を供給するための補助的な行為だった。しかし食わせなければならない子供がますます増えるうえに、環境条件が優しくなったこともあいまって、次第に植物を育てることの費用に対する便益の割合が高まっていく。そして世代を経るうちに、栽培植物が栽培作物に発展し、補助用の菜園が農場に発展した。食料はますます予測の立つものとなった。
・1万2800年前に、突然の危機が襲う。世界の気候が急激に悪化したのだ。おそらく北米の多数の氷河期の水が大西洋に注ぎ込んで、メキシコ湾流をお一時的に分断させ、全世界の気候パターンを大混乱させたためだろう。「ヤンガードリアス」と呼ばれるこの出来事で、世界はいきなり氷河期のような状態に逆戻りし、寒さが何百年も続いた。ナトゥーフ期の人々にとって、この変化はどれほど深刻だったことだろう。彼らは永続的な村落に高い人口密度で暮らしてはいたが、生計は相変わらず狩猟採集に依存していたのだ。10年もしないうちに、その地域全体がとてつもなく寒く乾燥していって、食物の供給が徐々に減っていった。いくつかの集団はこの危機に対応して、もっと単純な移動式の生活様式に回帰した。だが、ほかのナトゥーフ期の人々はあきらめず、定住生活を守るための努力をさらに徹底したようだ。この場合、まさしく必要は発明の母だったらしく、一部の人々がどうにか食物栽培に成功し、現在のトルコ、シリア、イスラエル、ヨルダンを含む地域のどこかにおいて史上初の農業経済を生み出した。それから1000年以内に、人々はイチジク、オオムギ、コムギ、ヒヨコマメ、レンズマメを栽培品種化し、彼らの文化は新しい名前をつけられるに値するだけの変革を遂げた。それが先土器新石器文化A(PPNA)で。この農業先駆者たちは、ときに3万平方メートル(ニューヨーク市のよそ1.5ブロック分)にも及ぶ大集落に暮らし、土煉瓦の家を建て、内側の壁と床に漆喰を塗った。壁で有名な古代の町ジェリコ(エリコ)の最も古い層には約50の家があったとされ、そこに500人ほどが暮らしていたとみられている。さらにPPNA期の農民は、食料をすりつぶしたり叩いたりするためのよくできた石器を案出し、精巧な装飾用の小立像を作り、死者の頭部を漆喰で固めた。
・その後も変革は続く。まず、PPNA期の農民は食料調達の補助としてガゼルなどの動物の狩りもしていたが、1000年以内に、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシの家畜化を成し遂げた。それからほどなくして、土器も発明された。こうした革新がどんどん積み重なって、新たな新石器文化の生活様式が繁栄し、中東からヨーロッパ、アジア、アフリカへと急速に広まっていった。今日あなたが食べているものが、この時代の人々が初めて栽培品種化し、家畜化したものであることは、ほぼ確実だ。そしてあなたの祖先がヨーロッパや地中海の出身なら、おそらくあなたにも彼らの遺伝子のいくつかが受け継がれているだろう。
・世界のほかの地域でも、氷河期が終わったあとに農業が進化したが、状況は場所によって異なる。東アジアでは、約9千年前に揚子江と黄河の流域で、コメとアワが最初に栽培化された。ただしアジアでは、農業が始まる1万年以上も前から狩猟採集民が土器を作りはじめており、食料を茹でたり貯蔵したりするのに使っていた。メソアメリカでは、約1万年前にカボチャが最初に栽培化され、続いて6500年前ごろにトウモロコシが栽培化された。メキシコでは徐々に農業が確立されるにつれ、マメやトマトなど、ほかの植物も栽培化されていった。トウモロコシ栽培はゆっくりと、しかし着実に新世界全体に広まっていくようになる。そのほか新世界では、アンデス山脈と合衆国南東部も農業発明の中心地だった。アンデスでは7000年以上前にジャガイモが栽培化され合衆国南東部では5000年前までに種子植物が栽培化されていた。アフリカでは、サハラ砂漠の南で6500年前ごろからトウジンビエやアフリカ原産のコメ、モロコシなどの穀類が栽培化されはじめた。そしてニューギニア高地では、およそ1万年前から6500年前の間にヤムイモとタロイモ(デンプン質の根菜)が最初に栽培化されたと見られている。
・栽培化された作物が普及していって植物を採集する必要がなくなったように、動物も家畜化が広まるとともに狩る必要がなくなっていった。家畜化がさかんだった地域の一つは南西アジアである。中東では1万500年前ごろにウシが家畜化され、ヨーロッパとアジアでは1万年前から9000年前までの間に、それぞれ独立にブタがイノシシから家畜化された。その後、ほかにも多くの動物が世界中で家畜化され、アンデスでは約5千年前にラマが、南アジアでは約8千年前にニワトリが家畜化された。人間の最高の友であるイヌも、実は最初に家畜化された種の一つである。人間は1万2千年以上前ににオオカミからイヌをつくったが、この家畜化がなされた時期、場所、経緯については(及びどの程度までイヌが人間を実質的に家畜化したかについても)いまもかなりの議論がある。
・すべての人間はかつて狩猟採集民だったが、わずか数千年で、狩猟採集民は孤立した一握りの集団しか残らなくなっている。この変化の大半は、農業が始まった直後に起こった。なぜならどこでどう始まろうと、農業はつねにとこでも流行り病のように広まったからだ。この急速な広まりのおもな理由は、人口成長にあった。一般に現生人類の狩猟採集民の母親は、子供を3歳で乳離れさせ、3年か4年ごとに子供を産むが、生まれた子供の乳幼児期の死亡率は40%から50%にものぼる。したがって健康な平均的狩猟採集民の母親が生涯に産める子供の数は6人か7人、そのうち成人になるまで生き残れそうなのは3人である。ほかに事故や病気などが原因で死亡することもあるから、概して狩猟採集民の人口は、とくに妨げがなくともきわめて遅いペースでしか成長しない(年間およそ0.015%)。この割合では、人口が2倍いなるのに約5千年を要し、4倍になるには1万年かかる。対照的に、自給自足農民の母親は子供を1歳から2歳-狩猟採集民の子供の場合の半分-で乳離れさせられる。それは母親にたいてい十分な食料があって、穀物や家畜の乳汁や消化のしやすい各種の食物により、一度に多くの子供を養っていけるからだ。したがって農民の乳幼児死亡率が狩猟採集民のそれと同じぐらいだとすれば、初期の農民の人口成長率は狩猟採集民の2倍にはなる。そのぐらいの増加率でも、人口は約2千年ごとに2倍になるから、1万年後には32倍にもなる。実際のところ、農業が始まってからの人口成長率には変動があり、ときにはもっと高い割合になることもあったが、いずれにしてもこれが人類史上初の大きな人口爆発だったことは疑いない。
・初期の農民人口が増え、拡大するにつれて、必然的に農民は狩猟採集民と接触することになった。その間で戦いが生じることもあったが、たいていの場合、両者は協力し、交易を行い、交配して、遺伝子と文化の両方を交換した。今日、世界にさまざまな言語と文化が混在しているのは、おもに農民集団が広まって狩猟採集民を交流したことの名残である。いくつかの見積もりによれば、新石器時代の終わりまでには世界には1000種類以上の言語ができていたとされる。
・もし農業が「人類史上最大の過ち」で、進化的ミスマッチ病の多くの原因がそこにあったのだとすれば、なぜ農業が「人類史上最大の過ち」で、進化的ミスマッチ病の多くの原因がそこにあったのだとすれば、なぜ農業はこんなにも急速に、こんなにも徹底的に広まったのだろう。最大の理由は、農民が狩猟採集民よりも速いペースで次々と子供を産めたことである。今日の経済学では、繁殖率の高さはしばしば出費という不穏な意味をともなう。養う口が増えるほど、払わなくてはならない大学授業料がかさむということだ。子だくさんは貧困の原因となりうるのである。しかし農民にとっては、子が多いほど富が増えることになる。子供は有益な素晴らしい労働力だからだ。何年か育てれば、農民の子供は畑仕事も家事もできるようになり、作物の世話、家畜の番、弟や妹の子守り、食物の加工などを手伝わせられる。実際、農業の成功はかなりの部分、農民が狩猟採集民よりも有効に労働力を育てられることにあり、その分のエネルギーがシステムに送り返されて、出産率を上げることにつながる。こうして農業は指数関数的な人口成長を生み、それがまた農業を広めるのである。農業の広まりを促進するもう一つの要因は、農業が付近の生態を変えてしまうことだ。その変化によって、もう狩猟採集ができなくなるとまではいかなくとも、やりにくくはなるのである。
・あなたの祖先が狩猟採集を放棄したのは、そう馬鹿げたことではなかったということだ。同じ状況に置かれれば、たぶん私もあなたも同じ選択をするだろう。ただし何世代ものちになると、農業は一連のミスマッチ病などの問題を生み始める。それは何百万年もかけてなされてきた旧石器時代への適応が、人間の身体を農民となるのに完全に備えさせてはくれなかったからだ。それらの問題の多くに、私たちは今も直面している。
・農産物による食生活はミスマッチ病の引き金ともなりうる。最大の問題の一つは、栄養の多様性と質が損なわれることだ。狩猟採集民は、食用になるものなら何でも食べることによって生存を維持する。従って狩猟採集民の食生活は、必然的にきわめて多様なものとなり、植物だけでも何十種類もの種を季節にあわせて摂取する。対照的に、農民は食物の質と多様性を犠牲にして量を優先し、わずか数種類の主食作物を大量に生産することに労力を傾ける。主食作物の大きな欠点の一つは、狩猟採集民やほかの霊長類が摂取する野生の植物の大半に比べ、たいていビタミンとミネラルが圧倒的に少ないことだ。主食作物ばかりに依存している農民は、肉や果実やほかの野菜(特にマメ)を補助的に追加しない限り、栄養不足に陥る危険がある。そのため農民は、狩猟採集民と違ってある種の病気にかかりやすい。たとえば壊血病(ビタミンCの不足による)、ペラグラ(ビタミンB3の不足による)、脚気(ビタミンB1の不足による)、甲状腺腫(ヨウ素の不足による)、貧血(鉄分の不足による)といった病気である。
・農民の食生活を原因とするもう一つのきわめて重大な健康問題は、デンプンの摂り過ぎによって起こる。狩猟採集民も炭水化物をたくさん摂取するが、農民が育てて加工する穀物や塊茎やその他の植物に豊富に含まれているのはデンプンである。デンプンはたいへん美味なのだが、摂りすぎるとさまざまなミスマッチ病を引き起こす。なかでも最も一般的なのが、虫歯だ。食事をするたび、歯にくっついたデンプンや糖は口内の細菌を引き寄せ、その菌が増殖して口内のタンパク質と結びつき、白っぽい膜となって歯の表面に張りつく。つまり、歯垢が形成される。そこに細菌が糖を消化するときに排出した酸が取り込まれると歯冠のエナメル質が溶けて虫歯が発生する。狩猟採集民が虫歯になることはまれだが、初期の農民の間で虫歯はきわめて一般的だった。近東では、農業が始まる前は虫歯を持った個人の割合が約2%だったのに、初期新石器時代には約13%へと跳ね上がり、時代がくだるとさらに高くなった。ここで強調しておかなくてはならないが、抗生物質と近代歯科医療が発明される前の虫歯は、決して些細な問題ではなかった。歯冠の奥の象牙質まで達した虫歯は、身もだえすような痛みをもたらすだけでなく、場合によっては命にもかかわるような深刻な感染症を引き起こし、あごから頭部全体に転移することもあるのだ。
・糖質の豊富な食事は、新陳代謝にも影響を及ぼす。デンプン質の食物、とくに食物繊維を除去した加工食物は、すぐに糖に変わるので、血糖値をたちまち急上昇させる。そもそも人間の消化器系h、大量の糖に急速に対処できるような機能を備えていないので、デンプンの割合が高い食事をずっと続けていると、いずれ2型糖尿病などのさまざまな問題を引き起こしかねない。
・近代的な人口調査が行われる以前の世界人口については正確なデータが存在しないが、十分な研究からの推定によれば、生きている人間の数は1万2千年前の500万~600万人からイエスの誕生時までの間に6億人へと、少なくとも100倍に増えている。そして19世紀の初頭までに、世界人口は約10億人に達しているのだ。
・人口密度の高い大きな共同体で暮らすことは社会的にも刺激があるし、経済的にも利益があるが、その一方、そうした社会は命に関わる健康問題を引き起こす危険がある。なかでも最大の脅威は病原菌だ。感染症には多くの種類があるが、どれをとっても原因は、宿主に寄生する微生物である。宿主の体内に侵入してその身体をむしばみ、繁殖したのち、また別の新たな宿主に移って、同じサイクルを繰り返す。こうして農業は、伝染病の時代の先駆けとなった。結核もハンセン病も、梅毒も、ペストも、天然痘も、インフルエンザもみな農業の創始とともに流行りだしたものである。もちろん狩猟採集民も病気にかからなかったわけではないが、農業創始以前の人間を襲っていたのは、おもにシラミなどの寄生虫や、汚染された食物から取り込まれる蟯虫やほかのほ乳類との接触から得られる単純ヘルペスウィルスなどのウイルスや細菌だった。マラリアやフランベジアなどの病気も狩猟採集民の間で発生していただろうが、農民社会に比べれば発生率はずっと低かったはずだ。
・農業の進化と、それに伴う村や都市の発展は、致死的な病気を伝染させる多くの虫に、願ってもない生態学的条件を贈呈することにもなった。なかでも最悪なのは、農民があたりの草木を切り払い、作物を育てるための用水路を引くことで、蚊にとって申し分のない生息環境が生まれてしまうことだ。蚊はよどんだ水たまりに卵を産みつけられるし、涼しい家屋や近くの茂みに身を隠せば、苦手な熱や日光からも逃れられる。しかも理想的なことに、すぐそばに人間がいるわけだから、いつだってその血が吸える。マラリアは大昔からある病気だが、理想的な繁殖場所と、寄生する大量の人間が得られたことで、新石器時代の間に劇的に蔓延した。そのほか黄熱病、デング熱、フィラリア症、脳炎なども、やはり蚊によって媒介される病気であり、農業の創始以降に広まってきたものだ。加えて、潅漑用水路をゆっくり流れる水により、住血吸虫症などの寄生虫病の広まりも助長された。住血吸虫の原因となる寄生虫の生活環は、淡水産の巻貝のなかで始まり、その後、水中を歩いてくる人間の脚に虫が入り込んで、そこを棲みかとしながら続いていくのだ。また、いくつかの病気にとっては人間の衣服がありがたいものとなる。そこはダニやノミやシラミにとって、実に快適な環境だ。
・人間は、動物と密接に生活することによって取り込まれる忌まわしい病気を、恐ろしいほど続々と-50種類以上も-我が身に降りかからせてきた。これらの病気は、人間に深刻な危険をもたらす最もおぞましい、最もたちの悪い病原菌のいくつかから引き起こされる。結核、はしか、ジフテリア(ウシから)、ハンセン病(スイギュウから)、インフルエンザ(ブタやカモから)、ペスト、チフス、そしておそらく天然痘もそうだ(ネズミから)。たとえばインフルエンザは、絶えず突然変異を繰り返していくタイプのウイルスで、水鳥から納屋の庭にいるブタやウシなどの動物に飛び移り、そこでさらに進化して、新種の再集合体ウイルスに変化する。そのうちのいくつかが、人間に対してとくに強い感染力を持つ。人間がこれをうつされると、鼻や喉や肺の細胞に炎症反応が生じて咳やくしゃみが起こるので、そのたびに、何百万ものコピーされたウイルスがまわりの人間にばらまかれる。
・この数百世代の間に生じた突然変異のほとんどは、さほど自然選択にさらされておらず、とくに正の選択を受けてきたわけでもなくて、むしろ新しく生じた突然変異の86%以上は負の効果を持っていると見られる。とはいえ、これだけ多くの新しい突然変異があるからには、最近の自然選択によって選ばれてきた遺伝子があったとしても不思議ではなく、実際にさまざまな研究の結果、そうした遺伝子が100個以上も特定されており、その選択の多くには農業が関わっていた。それらの遺伝子を詳細に調べるには、さらに何年かの研究を要するだろうが、おそらくお察しのとおり、それらの大部分は、免疫系に関わる遺伝子で、農業が創始されてから人間を苦しめるようになってきたとりわけ致命的な病原菌のいくつか-腺ペスト、ハンセン病、腸チフス、ラッサ熱、マラリア、はしか、結核など-に人間の体が対抗できるようにさせている。もっとも研究の進んだ事例を一つ挙げると、マラリアへの免疫をつけるのを助ける遺伝子というものがある。
・また、別の適応として、炭水化物を大量に摂取することで引き起こされる血糖値の急上昇に農民が対処できるようにするための適応も進化した。たとえばTCF7LCという遺伝子は、食後のインスリン分泌を促進させる機能を持つが、この遺伝子のいくつかの変異は、ちょうど新石器時代のころにヨーロッパと東アジアと西アフリカのそれぞれで進化した。これらの遺伝子変異は今日においても、当時の農民の子孫たちを2型糖尿病から守る役割を果たしている。
・いい例がペラグラで、これはビタミンB3(ナイアシン)の不足から生じる恐ろしい病気だ。これを放置しておくと、下痢、認知症、皮膚発疹などの症状が出て、しまいには死にいたる。ペラグラは、トウモロコシを主食とする農民の間で一般的な病気だ。トウモロコシに含まれるビタミンB3は別のタンパク質と結合して、人間の消化器系には受け付けられないものになってしまうからである。ネイティブアメリカンの農民は、ペラグラに対する耐性を与える遺伝子をまったく進化させてこなかったが、彼らはずっと昔に「マサ」という特殊なトウモロコシの粉をつくることを学習した。これはトウモロコシをあらかじめアルカリ溶液に漬けてから挽いて粉にする。この処理(ニシュタマリゼーション)はビタミンB3を消化のために遊離させるだけでなく、トウモロコシに含まれるカルシウム成分を増やすことにもなる。マサの製粉のほかにも、農業によってもたらされた変化に対する文化的進化の反応は何千とある。
・産業革命以前に比べ、現在の人間の身体活動は実際にどのぐらい少なくなっているのだろうか。全体的なエネルギー支出を測る単純な指標は、身体活動レベル(PAL)である。これは一日あたりに消費するエネルギーと、一日中ベッドに横たわって何もしないでいる場合の消費エネルギーとの比率だ。成人男性の平均値で見ると、一日中座っていることの多い事務職や管理職に就いている人のPALh、先進国で1.56、発展途上国で1.86となる。ちなみに狩猟採集民のPALは平均1.85で、農業など、活発に動くことが必要とされる仕事に就いている人の数値とほぼ同じである。従って、典型的なオフィスワーカーが典型的な一日の活動において消費するエネルギーの総量は、この一世代か二世代で15%ほど減少したことになる。これは些細な減少ではない。仮に、一日あたり約3千キロカロリーを消費する平均的な体格の農民や大工が、引退して座っているばかりの生活様式にいきなり切り替わったら、この人のエネルギー支出は一日あたり約450キロカロリー低下する。食べる量を減らすか、もっと激しく運動するかによって相殺しないかぎり、この人はしだいに肥満していくだろう。
・食物をすりつぶして小さな粒子にし、繊維を取り除いて、デンプン質と糖分の含有量を増やすような食品加工は、人間の消化器系の機能を変質させる。人はものを食べるとき、それを消化して分子に分解し、栄養分を胃腸から体内のほかの部分に運搬するために、ある程度のエネルギーを使わなくてはならない。ところが食べるものの加工度が高ければ高いほど、そしてそのサイズが小さければ小さいほど、このコストは大幅に-10%以上も-削減される。ステーキ肉を挽いてハンバーガーにしたり、一山のピーナツを砕いてピーナツバターに変えたりすれば、あなたの身体は食品1gあたりから、より多くのカロリーを、より少ないコストで取り入れられる。なぜかというと、胃腸が食物を消化するのに使われる酵素というタンパク質は、食物の粒子の表面に結合して、その粒子を分解する。小さい粒子は単位質量あたりの表面積が大きいから、粒子は小さいほど効率よく消化されるというわけだ。加えて、精白小麦粉や白米のように食物繊維を少なくした加工食品であれば、消化に必要な段階が少なくてすみ、かかる時間も短いから、血糖値が早く上がりやすい。そうした食品(高GI食品と呼ばれる)はすばやく簡単に分解されるが、いかんせん人間の消化器系は、迅速な消化によって生じる血糖値の急速な上昇に十分に適応していない。膵臓が急いで十分なインスリンを産生しようとすると、その働きがしばしば行きすぎて、インスリンのレベルを上昇させてしまうため、今度は血糖値ががくんと正常以下のレベルに下がって、結局また空腹を感じるようになる。このような食品は、いわば肥満と2型糖尿病のもとなのである。
・典型的な狩猟採集民の食事にまあまあ近いものと、典型的な現代アメリカ人が食べていると思われるもの、そしてアメリカ政府による一日あたりの推奨栄養所要量(RDA)とを比較することはできるだろう。それをまとめたのが以下の表である。狩猟採集民に比べ、工業製品化した食物を食べている人々は、炭水化物-とりわけ糖と製粉デンプン-を比較的高い割合で摂取している。また、工業製品化した食物はタンパク質が比較的少なく、飽和脂肪が多く、繊維質が格段に少ない。そして最後に、食品製造者は製品にカロリーを満載させられるにもかかわらず、できあがった食品におけるビタミンとミネラルの含有量は非常に低く、塩分だけが明らかな例外となっている。
1日のエネルギーの割合 狩猟採集民、平均的アメリカ人、RDA
炭水化物  35~40%、52%、45~65%
糖類    2%、15~30%、<10%
脂肪    20%~35%、33%、20~35%
飽和脂肪  8~12%、12~16%、<10%
不飽和脂肪 13~23%、16~22%、10~15%
タンパク質 15~30%、10~20%、10~35%
1日の量 狩猟採集民、平均的アメリカ人、RDA
食物繊維    100g、10~20g、25~38g
コレステロール >500mg、225~307g、<300mg
ビタミンC   500mg、30~100g、75~95g
ビタミンD   4,000IU、200IU、1,000IU
カルシウム   1,000~1,500mg、500~1,000mg、1,000mg
ナトリウム   <1,000mg、3,375mg、1,500mg
カリウム    7,000mg、1,328mg、580mg
・狩猟採集民、牧畜民、自給自足農民の睡眠習慣についての資料集によると、人類は最近まで、自分一人で孤立した状態で寝ることはめったになく、たいてい親子兄弟でベッドをともにしており、昼寝も毎日していたし、全体の睡眠時間も長かった。今日でも、狩猟採集民のハッザ族は一般に、毎日、夜明けとともに起きて、正午に1時間から2時間の昼寝をし、午後9時には執心する。また、かつては夜から朝までぶっ通しで眠るのも一般的ではなく、いったん夜中に目を覚まして、それから「二度寝」するのが普通とされていた。伝統文化では、ベッドはたいてい固く、ノミやトコジラミなどの寄生虫にたかられないように、寝具hごくわずかしか使わない。そして睡眠環境は、いまよりずっと感覚刺激に満ちていた。たいがい近くで火がおこされていて、外の音が聞こえ、そばで寝ている人のたてる音や、動きや、場合によっては性行為をも許容しなくてはならなかった。睡眠習慣がどうしてこうも変わったかについては、多くの要因が考えられる。まず一つは、産業革命によって時間の概念が変わり、明るい照明、ラジオやテレビなどのさまざまな娯楽が、それまでの通常の就寝時間のずっと後まで私たちを刺激するようになったことだ。人類の数百万年の歴史において初めて、世界の大部分が夜更かしできるようになり、ますます睡眠を奪われてしまっているのである。それに加えて、今日の多くの人は、過度な飲酒、貧しい食生活、運動不足、不安、憂うつ、その他もろもろの心配ごとなど、身体的要因と心理的要因が微妙に絡み合ったストレスのために、不眠症に陥っている。そして歴史的に普通ではないが、今日では当たり前となっている感覚刺激の遮断された睡眠環境が、不眠症をさらに促進しているとも考えられる。眠りに落ちるというのは段階的なプロセスで、身体が浅い眠りの段階をいくつか経るうちに、脳がしだいに外界の刺激に気づかなくなっていき、やがて深い眠りの段階に入ったところで、完全に外界のことがわからなくなる。人類の進化の大部分において、このゆっくりとしたプロセスは、近くをライオンが徘徊しているような危険な環境の中で深い眠りに落ちないようにするための適応だったのかもしれない。一晩の間に睡眠を二度に分けることも、やはり適応的だったのだろう。ひょっとしたら不眠症の原因は、いまの私たちが外界と絶縁した寝室にいて、炉のはぜる音や、隣の人のいびき、遠くでハイエナが吠える声など、進化の過程において聞こえるのが当然だった音が聞こえないようになっているために、万事正常だとの安心感を脳の意識下の部分に与えてやれないからかもしれない。
・私たちの睡眠はどんどん短くなっていて、先進国では少なくとも人工の10%が定期的に深刻な不眠症にかかる。睡眠不足で死ぬことはまずないが、慢性的に睡眠を奪われていると脳が適切に機能しなくなり、健康がむしばまれる。睡眠不足が長期にわたって続いた場合、体内のホルモン系の反応が追いつかなくなるのだ。それらの反応は、もともと短期間のストレスに対してだけ適応的だったものだからである。通常、人間の身体は睡眠中に成長ホルモンを分泌し、このホルモンが成長全般と細胞修復、免疫機能を促進するが、睡眠が不足していると成長ホルモンが十分に放出されず、代わりにコルチゾールというホルモンが多く産生されるようになる。コルチゾールの値が高くなると、身体の代謝機能は成長と投資の状態から、恐怖と逃避の状態に転じて、警戒の強まりにより血流中を糖が行ったり来たりする。この切り替わりは、朝ベッドから起き上がるときや、あるいはライオンから逃げるときには有益だが、慢性的にコルチゾールの値が高いままでいると、免疫が弱まり、成長が阻害され、2型糖尿病にかかるリスクが増大する。さらに、慢性的な睡眠不足は肥満も促進する。通常ならば睡眠中の身体は休止していて、その間はレプチンというホルモンの値が上がり、グレリンという別のホルモンの値が下がる。レプチンは食欲を抑制し、グレリンは食欲を増進させるので、このサイクルが働いていれば睡眠中に空腹にならなくてすむ。ところが、睡眠が足りていない状態がずっと続くとレプチンの値が下がり、グレリンの値が上がってしまって、栄養が足りていようといまいとかかわりなく、脳に飢餓状態の信号が送られることになる。したがって睡眠不足の人は食欲が旺盛になり、特に炭水化物の豊富な食物を欲するようになる。産業化時代の睡眠のなんとも痛ましい皮肉は、十分な睡眠が金持ちの特権になっていることだ。高収入の人ほどたっぷり眠れるのは、その眠りが効率的だからである。おそらくその理由は、裕福な人ほどストレスが少なく、したがって難なく眠れるからだろうと考えられる。収支合わせに必死になっている人の場合、毎日のストレスと睡眠不足が悪循環につながってしまう。ストレスが眠りを妨げ、その不十分な眠りがまたいっそうストレスを高めるのである。
・幼児期を無事に生き延びられた狩猟採集民は、概して長生きする。もっとも一般的な死亡年齢は68歳から72歳の間で、ほとんどの人は孫を持ち、中には曾孫まで持つ人もある。大半の人の死亡原因は、胃腸か呼吸器への感染症、マラリアや結核などの病気、さもなければ暴力や事故である。また、いくつかの健康調査から、先進国の高齢者の死亡や障害の原因となっている非感染症の病気のほとんどは、狩猟採集民の中高齢者にはまったく見られないか、見られたとしてもかなり珍しいことがわかってい。もちろん調査の数が限られているとはいえ、とりあえず報告されているかぎり、狩猟採集民の中で2型糖尿病や、冠情動脈性心疾患、高血圧、骨粗鬆症、乳がん、喘息、肝疾患を患っている人は皆無に近い。さらにいえば、痛風、近視、虫歯、難聴、扁平足といった、ありふれた軽い疾患に悩まされている人もほとんどいないように思われる。
・私たちの消化器系は、そんなにたくさんの糖をそんなにすぐに燃やすようには進化していない。だから、身体にできる唯一の方法で対処する。過剰な糖をひたすら内蔵脂肪に送り込むのだ。内蔵脂肪は少しの量なら問題ないが、残念ながら、あまりにも多くなりすぎると一連の症状を引き起こす。これがいわゆるメタボリックシンドロームだ。たとえば高血圧、高脂血症と高血糖症、高比重リポタンパク質(HDL、いわゆる善玉コレステロール)の不足、低比重リポタンパク質(LDL、いわゆる悪玉コレステロール)の過剰といった症状である。これらの症状が3つ以上出ていると、さまざまな病気のリスクが大幅に高まる。なかでも重大なのが、心臓血管疾患、2型糖尿病、生殖器組織がん、消化器組織がん、腎臓疾患、胆嚢疾患、肝臓疾患である。
・霊長類の視点から見れば、人間はみな痩せている人でさえ、比較的太っている。総じてほかの霊長類は、成体になってからの体脂肪が平均6%前後で、その子供は約3%の体脂肪を持って生まれてくるが、人間の狩猟採集民の体脂肪の典型的な割合は、新生児で15%もあり、幼少期にはさらに増えて25%、大人になると少し下がって、男性では約10%、女性では約20%に落ち着く。進化論的な観点からすると、脂肪をたくさん蓄えるのは筋が通っている。簡単にいえば、人間はとても大きな脳を持っていて、その脳が、安静時代謝量の約20%もの大量のエネルギーの供給を絶えず必要としている。したがって人間の赤ん坊は、脂肪をたっぷり蓄えて生まれてくるおかげで、その大きな脳につねにエネルギーを補給することができるのだ。この前提に加え、人間の母親は子供を比較的早い年齢で乳離れさせるので、大きな脳を持った自分の身体だけでなく、大きな脳を持った乳児にも、その兄や姉、つまり、さらに大きな脳を持った年上の子供たちにも栄養を与えなければならない。乳を出すだけでも母親には1日20%から25%よけいなカロリーが必要だが、十分な食料が得られないときでも母親は乳を出し続けなければならない。従って母親の予備の体脂肪は、子供を無事に生き延びさせるためのきわめて重要な保険なのだ。
・女性は妊娠中、自分と胎児に栄養を与えられるだけの十分なカロリーを必要とするが、出産後もたくさんの乳汁を出すために、やはりエネルギー的に多くの出費を迫られる。生きていくのがやっとの生活では、食料が限られているうえに、身体もめいっぱい動かさなくてはならないので、体重が減っているときの女性は妊娠しにくいようになっている。通常体重の女性が1ヶ月の間に0.5kgでも体重が減れば、彼女の妊娠する能力は、その翌月には大幅に落ちるのだ。多くのエネルギーを脂肪として蓄えている女性ほど、より多くの子を生存させられる見込みが高いのだから、当然ながら自然選択の結果として、女性は男性よりも5%から10%多くの体脂肪を備えることになった。
・私たちはたくさんの炭水化物を摂取して、効率よく貯蔵するように進化してきたが、それを炭酸飲料やジュースのような甘味飲料(そう、フルーツジュースはしょせんジャンクフードだ)、あるいはケーキ、フルーツロール、キャンディバー、その他無数の工業生産食品に含まれているような直接的なかたちで大量に摂取するようには適応していない。産業化された食事によってもたらされた問題点は、世界中のさまざまな農業社会で独自に発展した伝統的な食事の多くが、いずれも体重増加を防ぐ有効な働きをしているように見える理由を説明する。たとえばアジアと地中海地方の古典的な食事に共通点はほとんどなさそうで、どちらにもデンプンがたっぷり含まれているが(一方はコメ、一方はパンとパスタ)、どちらの料理も、食物繊維を含んだ生野菜をたくさん取り合わせに使っていて、魚やオリーブオイルなどからタンパク質と健全な脂肪も豊富に摂れるようになっている。これらの食事は大体において、健康を促進するほかの栄養素も豊富に含んでいる。要するに、加工していない果物や野菜をふんだんに使った昔ながらの常識的な食事から炭水化物を得るようにしていれば、なかなか過体重にはならないし、容易に体重を増やさずにいられるのである。
・私たちの環境は多くの面で、食事以上に変わってきている。大きく変わった面の一つは、私たちがより多くのストレスにさらされるようになったこと、そして睡眠時間が少なくなったことである。この二つの関連する要因は、体重増加に関して有害な影響を及ぼしている。
・あなたが今すぐ立ち上がって5kmほど走ってくれb、あなたは約300kカロリーを燃焼するだろう。このよけいに消費したカロリーが体重を減らすのに役立つと期待するかもしれないが、無数の研究で明らかになっているところでは、そこそこ激しい運動を定期的に行っても、体重はそこそこしか減らない(大体は1、2kg程度)。その理由の一つは、一週間に何度か300kカロリーをよけいに燃焼させても、その合計数はあなたの身体の全体的な代謝量に比べて比較的小さく、ましてやあなたが過体重ならなおさらだからだ。しかも運動は、食欲を一時的に抑えるホルモンを刺激する一方で、空腹感をもよおさせる別のホルモンも刺激する。従って、もしあなたが1週間に16km走ったとしても、エネルギー収支を保つために1000kカロリー分(大体マフィン2個か3個)よけいに食べたり飲んだりしたくなる自然な衝動に打ち勝てなければ、体重は減らない。加えて、ある種の運動は脂肪を筋肉に置き換えるから、体重の正味はまったく減らない。
・最後の環境的要因は、まだあまり解明されていないが、私たちの食べた食物を糧にしている生物が私たち以外にもいるということである。あなたの腸内には何十億という細菌がいて(つまり微生物叢ができていて)、タンパク質と脂肪と炭水化物を消化し、身体がカロリーと特定の栄養素を吸収するための酵素を提供し、さらにビタミンまで合成する。これらの細菌はあなたの環境の自然で不可欠な一部であり、その意味で、あなたが毎日見ている植物や動物となんら変わらない。そうした人体の微生物叢を不自然に変えてしまう広域抗生物質の使用も、食生活の変化と並んで、肥満の一因であるかもしれないという強力な証拠も出されている。実際、産業飼育される動物が抗生物質を投与される理由の一つは、それが体重増加を促進するからなのだ。
・1975年から2005年までの間に全世界で2型糖尿病の発生率は7倍以上に増え、先進国だけでなく発展途上国においても発生率は急激に上がり続けている。2型糖尿病は確かに糖の摂りすぎによって生じるが、そのほか多すぎる内蔵脂肪と少なすぎる身体活動も発症の原因となる。根本的には、脂肪と筋肉と肝臓の細胞がインスリンの効果に反応しにくくなったときに2型糖尿病が発生する。この感受性の弱まりをインスリン抵抗性といい、こえを契機として危険なフィードバックグループが発動する。通常なら、ものを食べたあとに血中グルコース濃度が上がり、それを受けて膵臓がインスリンを産生し、そのインスリンが肝臓と脂肪と筋肉の細胞に働きかけて血中のグルコースを取り込ませる。ところが、それらの細胞がインスリンに十分に反応しない場合、血中グルコース濃度がいつまでも高いままとなって(そしてまた食べればさらに上がって)、埋め合わせにもっとインスリンを作るようにと膵臓を刺激する。したがって2型糖尿病の患者は血糖値が高くなり、その影響で頻繁に尿意をもよおし、過剰に喉が渇き、目がかすみ、動悸が起こり、その他もろもろの症状に悩まされる。糖尿病の初期段階では、食事と運動によって病気の進行をくい止めたり回復に向かわせたりすることも可能だが、負のフィードバックグループが長いこと続くと、やがて身体中でインスリン抵抗性が強まり、インスリンを合成する膵臓細胞が働きすぎによって疲弊してしまう。そして最後にはインスリンを作らなくなるので、2型糖尿病の患者は血糖値を抑えるために定期的にインスリンを注射しなければならなくなる。さもないと心臓疾患や腎不全、失明、手足の感覚喪失、認知症など、深刻な合併症を起こす危険があるからだ。いまや糖尿病は多くの国で、死や障害の主要な原因として医療費をかさませている。
・体型がリンゴ型の人、つまり腹まわりに集中して脂肪が蓄えられている人のほうが、洋ナシ体型の人、つまり臀部や太股に脂肪が蓄えられている人よりも、概して糖尿病になる危険性が高いのである。
・炭酸飲料やジュースなど、フルクトースをたっぷり含んでいながら食物繊維をまったく含んでいない甘い飲食物は、とくに危険な存在である。そのフルクトースはほとんどが肝臓ですぐさまトリグリセリドに変換されて、肝臓内に蓄積したり、まっすぐ血流に放出されたりするからだ。さらに、運動不足と不飽和脂肪の少ない食事も内蔵脂肪を生む要因だから、やはりインスリン抵抗性の原因となる。
・実際、体重を減らして精力的に運動すれば、少なくとも初期段階においてなら2型糖尿病を治癒に転じられることが、いくつかの研究から明らかになっている。ある極端な研究では、11名の糖尿病患者を対象に、1日たったの600kカロリーという非情なまでの超低カロリー食を8週間続けさせた。600kカロリーの食生活は、たいていの人が音を上げるであろう極端なものである(1日およそツナサンド2個といったところ)。しかし2ヶ月後、食を徹底的に制限された糖尿病患者たちは平均13kg体重が減っており、そのほとんどが内蔵脂肪の減少分で、膵臓のインスリン産生量は2倍に増え、インスリン感受性もほぼ標準レベルまで回復していた。
・エネルギー収支のもう一つの主要な決定因である食生活も、アテローム性動脈硬化と心臓疾患に対処するうえで効力を持つ。一般には、食物に含まれる脂肪の過剰摂取がLDL(いわゆる「悪玉」コレステロール)の増加とHDL(いわゆる「善玉」コレステロール)の減少、およびトリグリセリドの増加につながると考えられており、この3つの症状を総称して、脂質異常症という。この考えが広まっているため、ほとんどの人が、脂肪の多い食事は不健康なのだと思い込んでいる。しかし実際のところ、脂肪はそう単純にアテローム性動脈硬化の一因となるわけではなく、もっとはるかに複雑な事情が絡んでいる。なかでも少なからず重要なのが、脂肪はすべて同じではないということである。脂肪には、炭素原子と水素原子が長い鎖状になった脂肪酸という分子が含まれている。この鎖の構造における違いによって、決定的に異なる特性を持った別種類の脂肪酸ができあがる。水素原子が少ないほうの脂肪酸が、室温で液体となっている不飽和脂肪油であり、水素原子がひととおり組み込まれているほうの脂肪酸が、室温で固体となっている飽和脂肪である。この一見するとなんでもない違いが、消化後に重要な影響を及ぼす。飽和脂肪酸が肝臓を刺激して、不健康だと思われているLDLをより多く産生させるのに対し、不飽和脂肪酸は健康的なHDLをより多く産生させるからだ。この違いが、飽和脂肪の多い食事をしているとアテローム性動脈硬化のリスクが高まり、ひいては心臓疾患のリスクも高まるという一般的な合意のもとになっている。また、不飽和脂肪が摂取することの明らかな利点も、この違いで説明される。その意味で、特に身体によいとされるのが、魚油や亜麻仁や木の実に含まれるオメガ3脂肪酸でできた不飽和脂肪だ。不飽和脂肪酸を豊富に含むそれらの食物を中心にした食生活は、確かにHDLの値を高め、LDLとトリグリセリドの値を低めて、心臓血管疾患に関わる危険因子を減らすことが確認されている。存在しうるすべての脂肪のなかで最悪なのは、高温高圧のもとで工業的に飽和脂肪に変換された不飽和脂肪だ。この人工トランス脂肪は、腐敗しないが、肝臓の働きをめちゃくちゃにする。LDLを増やし、HDLを減らし、体内でのオメガ3脂肪の利用に干渉する。トランス脂肪は本質的に、一種の緩慢な毒だと言っていい。
・あなたはこう思っているかもしれないーふーん、じゃあ、アフリカやほかのところの狩猟採集民は、どうやってオリーブオイルだのイワシだの亜麻仁だの、心臓によい脂肪を含んだ食物を手に入れていたの?彼らはたくさんの赤身肉を食べていたんじゃなかったの?この問いには、2つの答えがある。第一に、狩猟採集民の食事の研究によると、彼らの食生活は実際には不飽和脂肪が中心で、オメガ3脂肪酸もしっかり摂取されていることが明らかになっている。これらの脂肪酸は種子や木の実に豊富に含まれているし、狩猟採集民の食する肉からも摂取される。トウモロコシではなく草や葉を食べる野生動物は、その筋肉に不飽和脂肪酸を蓄えているからだ。草を食べている動物の肉は、トウモロコシを餌とする動物の肉よりも脂肪が少なくて、飽和脂肪は5分の1から10分の1にもなる。加えて、たとえイヌイットのような北極地方の狩猟採集民が大量の動物性脂肪を食べているとしても、彼らは健康的な魚の油もたくさん食べているので、コレステロールの比率を健全な範囲に保てるのである。
・あなたの食事に含まれている炭水化物もすべて同じではなく、多くの炭水化物は変換されて脂肪になり、その脂肪がアテローム性動脈硬化のリスクを高めるかもしれないということだ。大量のグルコースを血流に、フルクトースを肝臓に急速に送るような食物は、肝臓の機能を弱め、血中トリグリセリドの濃度を高めるという点で、とくに致命的な危険性を持つ。こうしたジャンクフードは過剰な内蔵脂肪を蓄積させる最大の要因だが、実は、この過剰な内蔵脂肪こそが真の大敵で、最終的に動脈壁に炎症を起こさせてアテローム性動脈硬化を誘発するトリグリセリドは、おもに内蔵脂肪から血中に放出されるのである。したがって、新鮮な野菜と果物を豊富に取り入れた食事は、炭水化物を含んではいても、食物繊維やほかの栄養素もたっぷり含まれ、なおかつ糖質がわずかしか含まれていないので、疑いなく健康的なものだと言える。こうした食物は内蔵脂肪の蓄積を予防するだけでなく、炎症の軽減につながる抗酸化剤を提供してもいるのである。
・私たちが食べる唯一の岩石-すなわち塩の摂りすぎであう。大半の狩猟採集民は、1日1gから2g程度の十分な塩分を肉から得ており、海のそばでも住んでいない限り、ほかの天然資源からはこのミネラルをほとんど得られない。今日、私たちの身近にはありあまるほおの塩がある。食物の保存にも使えるし、あまりにもおいしいので、多くの人が2日3gから5gも摂取する。しかしながら、過剰な塩分は最終的に血液に入って、身体中から水分を吸収する。風船にさらに空気を入れると圧力が高まるように、循環器系にさらに水分が入ってくれば、動脈内の血圧が上昇する。その慢性的な高血圧が、心臓と動脈壁にストレスをかけ、やがて損傷を受けた動脈壁が炎症を起こして、プラーク形成にいたる。感情面での慢性的なストレスも、血圧を高めることによって同様の効果をもたらす。さらにもう一つの問題は、過度に加工された食品の食物繊維の少なさだ。食物繊維がたっぷり摂取されていれば、消化されたあとの食物繊維の働きで、食物が下部消化管を迅速に通過し、飽和脂肪が吸収されるので、LDLの値が低く保たれるのだ。そして忘れてはならないのが、アルコールとその他の薬物である。アルコールの適度な摂取は血圧を下げ、コレステロールの比率を改善するが、過剰な摂取は肝臓を弱らせ、脂肪とグルコースの値を適切に調整する肝臓の機能を停止させてしまう。喫煙も同じように肝臓を弱らせてLDLの値を高めるとともに、吸い込まれた煙の毒素が動脈壁に炎症を起こさせて、プラークの形成を促すことになる。
・昔の医師たちは、修道院の尼僧が乳がんにかかる確率が既婚女性に比べてはるかに高いことに気づき、どうしてなのか不思議に思った(何年もの間、乳がんは「尼僧病」と呼ばれていた)。後年、この観察は大規模調査によって裏付けを得た。女性が乳がん、卵巣がん、子宮がんを発症する確率は、その女性が経験した月経の回数に比例して高まり、出産した子供の数に比例して低まるという有意の相関関係が見られたのである。現在では、何十年もの研究の結果から、高濃度の生殖ホルモン、とくにエストロゲンにさらされ続けることが、この相関関係の主要な原因であろうと推察されている。エストロゲンは身体中の様々なところで働くが、特に女性の乳房、卵巣、子宮で、細胞分裂の強力な刺激剤として作用する。月経が巡ってくるたびに、エストロゲンの濃度は上昇し、子宮壁の内側に並ぶ細胞を増殖、拡大させて、受精した胚の着床に備えさせる。このエストロゲンの高まりは乳房にも押し寄せて、乳房細胞の分裂を促す。従って、女性は月経周期が続いている間、繰り返し高濃度のエストロゲンを浴びて生殖細胞を増殖させるから、そのたびに発がん性の突然変異の起こる確率が上昇するとともに、あらゆる突然変異細胞のコピーの数が増えていく。しかし女性が母親になった場合には、妊娠と授乳によって、生殖ホルモンにさらされることが少なくなるから、乳房やその他の生殖組織のがんが生じるリスクも低まっていく。また、母乳を出すことも、乳管の内側の細胞を流し出すことによって潜在的な突然変異細胞をなくす作用を果たしている。
・エネルギー余剰と生殖器がんとの関係は、女性ほど顕著ではないとはいえ、男性にも当てはまるものかもしれない。男性の主要生殖ホルモンであるテストステロンには多くの機能があるが、その一つは、前立腺を刺激して、精子を保護する乳白色の液体を作らせることだ。前立腺はつねにこの液体を産生している。いくつかの研究から、生涯にわたって高濃度のテストステロンにさらされていると前立腺がんのリスクが高まることがわかっており、とりわけ先進国に住み、エネルギー収支がプラスになっていることの多い男性は、その傾向が顕著となっている。
・第一にがんは意外と予防可能な病気である。生殖器がんの場合なら、身体活動を多くして食事を変えることで発生率をかなり下げられるし、発がん性物質を吸入したり摂取したりすることによって生じる種類のがんならば、私たちが本気で汚染を規制するなり、喫煙をやめるなりすれば、劇的に発生率を下げられるのだ。そして第二に、がんというのは基本的に、突然変異細胞が体内で際限なく繁殖するという意味で、暴走した進化のようなものである。細菌に抗生物質をぶつけると、抵抗力のある変種の菌の進化を促してしまう場合があるように、がんを有毒性の化学薬剤で治療しようとすると、その薬剤に耐性のある新しいがん細胞が生き残ってしまうことがある。その意味で、がんを進化論的観点から考えることは、この病気を克服するためのもっと効果的な戦略を考案する一助となるかもしれない。一つの手は、良性の細胞が有害ながん細胞との競争に打ち勝てるように誘導することだ。あるいは、ある化学薬品に対して感受性の高いがん細胞を増やさせておいてから、それが無防備な状態になったところで攻撃するという手もあるだろう。がんは体内で起こる一種の進化なのだから、進化のロジックは、きっとこの恐ろしい病気を撲滅する方法を見つけるための役に立つはずだ。
・2型糖尿病、心臓疾患、生殖組織がん以外にも、裕福病はいろいろある。たとえば痛風や、肝脂肪症候群だ。過体重が原因で起こる悩ましい症状もたくさんあって、睡眠中に呼吸障害が起こったり(無呼吸)、腎臓や胆嚢の病気にかかったり、背中や腰や膝や足を痛めやすくなったりする。世界中の人々がますます運動しなくなり、ますます多くのカロリーを、特に甘いものと単炭水化物から摂取するようになってきて、これらの裕福病-人間の進化の大部分においてはめったに見られなかったミスマッチ病-は今後もさらに、これまでと同じペースで増え続けていくだろう。
・健康にとって最も重要な問題は、脂肪そのものではない。健康と長命のもっと重要な予測因子は、脂肪をどこに蓄えているか、どんなものを食べているか、そしてどれだけ身体活動をしているかだ。ある画期的な研究で、あらゆる体重、体格、年齢の2万2千人近くの男性を8年にわたって追跡調査したところ、運動をしていない痩せた男性は、定期的に身体活動をしている肥満の男性より、脂肪リスクが2倍も高いことが判明した(喫煙、飲酒、年齢などほかの要因を調整したうえで)。つまり元気でいるということは、太っていることの負の効果を軽減できるのだ。したがって元気ではあるが過体重で、やや肥満でさえあるという人のかなりの割合は、そうでない人より早死にするリスクが大きいわけではないのである。
・身体の多くの器官は、自らにかかる負荷に反応しながら成長することを通じて、自らの能力を要求に適応させていく。たとえばあなたが子供のころに、たくさん外を走りまわっていたなら、あなたの脚の骨にはそれだけ負荷がかかるので、しっかりした太い骨に成長するだろう。もう一つの、あまり知られていない例は汗をかく能力だ。人間は生まれつき何百万もの汗腺を持っているが、暑いときに何割の汗腺が実際に汗を分泌するかは、あなたが生後数年の間にどれだけ暑さに負荷をかけられたかによって左右されるのである。一方、大人になったあとでも調節が可能な、生涯を通じて環境負荷に動的に反してなされる順応もある。たとえばあなたがこれから数週間、定期的に重いものを持ち上げていれば、あなたの腕の筋肉は疲労しながらも、次第に太く、強くなっていくだろう。反対に、何ヶ月も何年も寝たきりでいれば、筋肉も骨も次第に痩せ衰えていく。
・私たちはまさしく「使うか、さもなくば、なくすか」の方向に進化した。身体は設計から作られるのではなく、成長、進化するものなので、のちのちふさわしい発達を遂げるために、成長期に身体にある種の負荷がかかるのは当然であり、また、必要はことでもある。こうした相互作用の一例として、広く知られているのが脳内の働きだ。もし子供から言語や社会的交流を奪ったら、その子の脳は適切な発達を遂げられない。だから外国語やバイオリンを習得したいなら、若いうちから学ぶのが一番なのだ。同じように、相互作用を重要な特徴としているのが、たとえば免疫系や、食べたものの消化を助ける器官、体温を一定に保たせている器官など、外の世界と密接に相互作用する系である。こうした見方をすると、多くのミスマッチ病は、自然選択の流れからして当然かけられるべき負荷が、成長期の身体に十分にかけられなかった場合に生じるのだと予測される。
・骨格がいかによく力学的環境に適応するといっても、そこには一つだけ残念な制約がある。いったん骨格の成長が止まったあとでは、もう骨はそれより太くは成長できないのである。大人になってからどれだけテニスボールをひっぱたき始めても、おそらくあなたの腕の骨は、十代のテニスプレーヤーのように大幅に太くなることはないだろう。実際、骨格の大きさがピークを迎えるのは大人になった直後のころで、女性なら18歳から20歳、男性なら20歳から25歳といったところである。それをすぎると、どうがんばっても骨は大きくならないし、むしろまもなく、人生の終わりに向けて骨は一直線に衰え始める。
・骨粗相症は加齢による病気なのだから、人間の寿命が延びれば有病率も上昇するのは当然ではないかと思える。しかしながら、骨粗相症による骨折と見られる事例は考古学上の記録にほとんどなく、農業が始まってからでさえ見つからない。むしろ証拠から察するに限り、骨粗相症はおおむね現代のミスマッチ病であると言ってよく、私たちの受け継いだ遺伝子といくつかの危険因子との相互作用から生じている。その危険因子とは、すなわち身体活動、年齢、性別、ホルモン、食事である。これらをあわせた最悪のパターンは、若いときにあまり運動をしてこなかった、座ってばかりの生活をしている閉経後の女性が、十分なカルシウムを摂取せず、体内にビタミンDが足りていない場合である。さらに、喫煙もこの病気の悪化を早める。
・骨粗相症というミスマッチ病は、人が若くして思春期を迎え、なおかつ長生きするようになったうえの副産物だという面もあるが、十分なカルシウムを摂取していて、なおかつ若いときに活発に身体を動かしていた人ほど、骨格を頑健に育てられ、したがって骨粗相症になりにくいという面もある。しかも、年をとっても活発な身体活動を続けていれば(もちろん十分なカルシウムも摂りながら)骨量低下のペースを大幅に抑えられる。閉経後の女性は誰しもリスクが高くはなるが、進化的に標準とされる負荷を若いときからずっとかけ続けていれば、骨格が十分な安全率をもてるようになる。
・細菌の現代的な頭骨をいろいろ見ていると、親知らずは進化的ミスマッチのまた一つの例なのだということがすぐにわかるだろう。私の仕事場の博物館には、世界中から集められた古代の頭骨が何千と所蔵されている。ここ数百年の頭骨の大半は、歯科医にとってはまさに悪夢だ。多数の虫歯と感染症にむしばまれ、ぎゅうぎゅう詰めになった歯があごに食い込み、約4分の1の頭骨が親知らずを持っている。産業革命以前の農耕牧畜民の頭骨もたくさんの虫歯といかにも痛そうな膿瘍にむしばまれているが、親知らずが見られる頭骨は5%未満だ。そしてこれらと対照的に、狩猟採集民の頭骨のほとんどは、歯の健康の面では完璧に近い。これなら石器時代には歯列矯正医も歯科医も要らなかったことだろう。つまり何百万年ものあいだ、人類はなんら問題なく親知らずを生やしてきたわけだ。ところが食物加工技術が革新的に発達したことで、咀嚼による力学的負荷と遺伝子との相互作用で歯と顎をともに適正に発達させてきた昔ながらのシステムがめちゃくちゃになってしまったのである。実際、親知らずの有病率の上昇には骨粗相症と多くの類似性がある。歩いたり走ったりといった身体活動で骨に十分な負荷をかけておかないと手足や背骨が丈夫に成長しないように、食物をしっかりかむことによって顔に十分な負荷をかけておかないと、顎が大きく成長せず、歯が適正に生えそろうだけのスペースがなくなって、歪んだ生え方をするようになってしまうのである。
・歯の形状はおおむね遺伝子によって決まるが、歯が顎のなかの適正な位置に生えているかどうかは、かむ力によって大きく影響を受ける。ものをかむたびに、歯と歯肉とあごにかかる力が歯槽の細胞を活性化させ、それによって歯が適正な位置に動かされるからだ。逆にいえば、かむ力が十分に働かされていないと歯並びは悪くなりやすい。豚やサルを使った実験でも、すりつぶした柔らかい餌で育てられた動物は、餌をしっかりかむ必要がないために、顎が正常な形状に発達せず、噛み合わせの悪い乱れた歯並びになることがわかっている。
・歯科医の間では前々から、無糖ガムで虫歯の発生率を減らせることが知られている。加えて、いくつかの実験から、固い樹脂のガムをかんでいる子供は相対的にあごが大きく発達し、歯がまっすぐになることがあきらかになっている。今後さらなる研究は必要だが、私の予測では、ガムをかむことがもっと普及するにつれ、次の世代は美味しいものを親知らずで食べられるという一挙両得を実現できるのではないだろうか。
・進化論的観点から見ると、身体と身体の触れるすべてのものを殺菌消毒しようとする昨今の傾向は異常であって、場合によっては有害な影響すらもたらすこともある。理由の一つは、あなたの身体が「あなた」だけのものではないからだ。あなたは微生物の宿主なのである。あなtの消化管や呼吸器官や皮膚やその他の器官には、ほかの何兆もの生物が自然に生息している。いくつかの見積もりよれば、あなたの体内にはあなたの細胞の10倍もの数の微生物がいて、それらすべてを足し合わせれば1キロ前後の重さになる。私たちはそれらの微生物とも、ほかの多くの種のぜん虫とも共進化しながら数百万年も経てきたのであり、したがってあなたの体内の微生物のほとんどは、無害であるか、さもなくばあなたの消化を助けたり、皮膚や頭皮を掃除したりといった重要な機能を果たしている。それらの微生物があなたに依存しているのと同じぐらい、あなたもそやつらに依存していて、それをあなたが撲滅してしまったら、当然あなたは具合が悪くなるのだ。幸い、抗生物質も駆虫薬(虫下し)も、あなたの体内の微生物を全滅させることはない。しかし強力な薬を使いすぎれば、一部の有益な微生物やぜん虫が根絶されてしまい、それらがいないことによって新たな病気を引き起こされたりもする。
・視界に入るすべてのものを消毒したり、抗生物質などの薬剤を使いすぎたりするべきでない理由としてもう一つ挙げられるのは、ある種の微生物やぜん虫が免疫系に適度な負荷をかける非常に重要な役割を果たしていると思われることである。あなたの骨が成長するのに負荷を必要とするように、あなたの免疫系も適正に栄塾するのに病原菌を必要とする。体内のあらゆる系と同様に、免疫系も要求に適切に見合った能力が備わるように、環境とつねに相互作用しながら発達していかなくてはならない。有害な侵入者に対する免疫系の反応が十分でなければ死にもつながるが、過剰な反応もまた危険であって、その弊害はアレルギー反応か自己免疫疾患のかたちであらわれる。いずれも免疫系が誤って自分の身体の細胞を攻撃してしまう症状だ。さらにいえば、やはりほかの系と同様に、免疫系にとっても生後数年間はとくに重要な訓練期間となる。比較的安全に守られていた母親の子宮内環境を出て、外の非情な世界に遭遇したったん、あなたはたくさんの新奇な病原体に襲われる。ほかのあらゆる赤ん坊と同様に、おそらくあなたも絶えずちょっとした風邪や胃腸の不具合にさらされてきたことだろう。こうした風邪は苦しいものだが、適応力のある免疫系の発達を助けるものであり、その過程であなたの白血球は有害な細菌やウイルスなど、様々な異物を認識して殺すことを学んでいく。もしあなたが母乳で育てられていたなら、あなたの健康はその母乳によっても守られていたはずだ。母乳には抗体などのさまざまな防御因子が詰まっていて、あなたの身体を免疫によって保護してくれる。典型的な狩猟採集民の子供は、生後3年ほど母乳を飲んで育つので、その間に未熟な免疫系が母乳からの保護を受けながら、病原菌やぜん虫のいる世界に適応できるように成長していく。農耕牧畜民は子供をもっと早くから乳離れさせるようになったため、より有害な病原体のいる環境をつくっておきながら、さらに子供の免疫防御力まで弱めさせてしまったわけである。
・新たに出てきた考えが、「旧友」仮説である。多くのアレルギー症状をはじめとした不適切な免疫反応が増えているのは、私たちの微生物叢に深刻な異常があるためだという考えだ。何百万年ものあいだ、私たちは無数の細菌やぜん虫など、体内環境のいたるところに存在する微少な生物と共生してきた。これらの微少生物は必ずしも全面的に無害ではないが、おそらく過去においてはそれらを許容することが適応的だったから、本格的な免疫反応でそれらを撃退するのではなく、牽制するだけにしていたのだろう。もし自分がつねに病気の状態で、自分の微生物叢のなかのあらゆる生き物と大戦争をしていたなら、と想像してみてほしい。そんな人生はきっと悲惨で、しかも短命に終わるに違いない!そう考えると、私たちの免疫系と、私たちと共進化してきた病原体とが、一種の冷戦状態のような均衡を保って互いを牽制しあっているのは理にかなったことなのだ。この観点から見れば、アレルギーをはじめとする多くの不適切な免疫反応が先進国で増えている理由は、私たちの免疫系と多くの「旧友」たちを共進化させてきた長きにわたる均衡関係を、私たちが揺るがしてしまったためなのかもしれない。抗生物質や漂白剤やマウスウォッシュや水処理工場など、さまざまなかたちでの衛生向上のおかげで、私たちはもはや多様なぜん虫や細菌に遭遇しないようになっている。ぜん虫や病原菌への対応から解放されたため、私たちの免疫系は過度に活動的になり、ともすると面倒な問題を引き起こす-ため込まれたエネルギーの建設的なはけ口を持たない不安定な若者のようにだ。この「旧友」仮説なら、動物や土や水などを介してさまざまな病原体にさらされていることがアレルギー発生率の低さと関連している理由も説明される。加えて、ある種の寄生虫にさらされていることが、多発性硬化症や炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の治療に役立つという証拠が集められているところだが、これもやはり旧友仮説で説明できそうだ。
・ふだんから裸足でいる人と靴を履いている人とを比較した研究によると、裸足でいる人はめったに扁平足にはならず、高すぎもせず低すぎもしない非常に安定した形状の土踏まずができているという。私もこれまでに多数の足を調べてきたが、習慣的に裸足でいる人の間で扁平足はほとんど見たことがなく、やはり扁平足は進化的ミスマッチの一つであるという確信を新たにしたものである。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長崎中華街の江山楼のちゃんぽんはオススメ!

2016年09月28日 01時00分00秒 | 外食
 長崎中華街に行きましたので、その名物である長崎ちゃんぽんを食べに江山楼へ行って来ました!


↑江山楼の店構え

長崎中華街にある江山楼は70年以上の老舗で人気店ですね。
平日に11時過ぎに訪れて座れたのですが、11時30分過ぎには満員で待ち行列ができていましたね^_^;)


↑江山楼の案内

さっそくメニューを見て、ちょっとその金額の高さにはビビりますが^_^;)、せっかくなので特上ちゃんぽん1620円(税込)を注文します♪
ちゃんぽんの種類が「並」「中」「特上」の3種類あるとは凄いですね。


↑メニュー

しばらくして、その特上ちゃんぽんが運ばれますが、器が美しいのには驚き♪
器も差別化を図っているんですね^_^;)


↑特上ちゃんぽん

そしてその特上ちゃんぽんは、頂上に置かれたフカヒレや、エビ、貝柱、アサリ、イカなど具がタップリでさすが素晴らしい!

そして、スープは、想像以上にとてもまろやかな味で美味しい♪
このまろやかな味と具が多いのには感動しましたね。

江山楼の特上ちゃんぽんはとてもオススメです!

 ちなみに、長崎といえばちゃんぽんですが、その由来は、明治時代中期、長崎市に現存する中華料理店「四海楼」の初代店主である陳平順氏が、当時日本に訪れていた大勢の中国人留学生に、安くて栄養価の高い食事を食べさせるために考案したと言われているようです。

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長崎原爆資料館へ行って来ました!

2016年09月26日 01時00分00秒 | イベント・外出
長崎原爆資料館へ行って来ました!

 長崎原爆資料館は、長崎市の原爆被爆50周年記念事業の一つとして、被爆の実相と長崎市民の平和への願いを広く発信するため、1996年(平成8年)4月、それまで1955年(昭和30年)から被爆資料を展示していた長崎国際文化会館を建て替えて開館したとのことです。

 ここでは、被爆の惨状を示す多くの資料を大切に保存・展示するとともに、原爆が投下されるに至った経過や核兵器開発の歴史など、ストーリー性のある展示を行っており、館外に向けても、県外での原爆展の開催や資料の貸し出しなどを行っているようです。
また、またこの長崎原爆資料館を拠点として、平和推進の取り組みや平和学習の支援も行っているとのことです。

この資料館の展示は順に以下の構成となっています。
(1)被爆前の長崎
(2)永遠の11時2分
(3)原子野と化した長崎の街
(4)浦上天主堂の惨状
(5)長崎原爆投下までの経過
(6)被爆した長崎の街
(7)熱線による被害
(8)爆風による被害
(9)放射線による被害
(10)救援・救護活動
(11)永井隆博士
(12)被爆者の訴え
(13)日中戦争と太平洋戦争
(14)原爆投下への道
(15)核兵器の時代
(16)現代の核兵器
(17)核兵器開発・実験の被害者達
(18)長崎から世界へ
(19)ビデオルーム1
(20)ビデオルーム2
(21)Q&Aコーナー

館内はかなり綺麗で、大きならせん状通路をまずゆっくり歩きながら降りていきます。

そして被爆前の大浦天主堂や街並みの写真がありました。
当時は当然ですが瓦屋根の家がたくさんあり長崎の街は繁栄していたたんですね。
被爆後の荒涼とした写真ばかり見ていたので、その変わり様には改めて驚きます。


↑被爆前の街並みの写真

そして、原爆を投下した米軍のB29からの原爆爆発の映像が流れていました。
爆発当初はオレンジ色の火球が見え、これにより強烈な熱線が放射されていることが分かります。
キノコ雲がどんどん大きくなっていきます。


↑原爆投下後のB29からの映像

それから、大きな室内には、原爆の熱線や爆風によりぐにゃりと曲がった大きな当時の鉄塔が展示されていました。
爆発の凄まじさを感じます。


↑原爆の影響により曲がった鉄塔

そして、大きな画面等では、原爆の被害の状況の写真が流されていました。
改めて、原爆の凄まじさを実感します。


↑原爆の被害の映像

また、三次元のジオラマ映像で、原爆の被害の状況も分かるようになっていて、この説明は素晴らしいと思いましたね。


↑三次元ジオラマでの説明

そして、驚いたのは実物大の原爆(ファットマン)の模型が置かれていたことです。
しかも本物は当時は黄色の塗装がされていたんですね。
たったこの3mほどの一発が凄まじい被害を出すとは恐ろしいことです。


↑原爆(ファットマン)の模型

それからその近くに原爆爆発の仕組みなど分かりやすく説明がありました。


↑長崎型原爆の威力や仕組みの説明


↑長崎原爆の爆発の仕組みの説明等

そして、原爆の原料となるプルトニウムはたったの約10kgでそのうち、核分裂を起こして多大なエネルギーを放出したプルトニウムはその1/10の約1kgだったようです。

原爆の模型の裏側にはその構成が分かるようになっていました。


↑原爆の中身の構成

なお、広島型原爆は原料がウランで、爆発の仕組みも長崎型原爆と違うようです。
また長崎型原爆は広島型原爆の約1.5倍の破壊力があったようです。
ちなみに現在世界にある原爆のほとんどは、長崎型のプルトニウムを原料にしたもののようです。

それから長崎で原爆が爆発すると、火球が生成され、爆発から3秒ほどの短い時間に以上の高熱で地上を包んだようです。
爆心地で地表面の温度は3000度から4000度、1km離れたところで約1800度、1.5km付近で600度以上に達したようで、これが大規模な火災を引き起こしたようです。
これでは生きていけませんね。


↑熱線の検証

その熱線の直射を受けた瓦の表面はすべて沸騰して泡立ち、被爆瓦特有の発泡状の痕跡を残したようです。
実験では4秒間、1800度の高熱にさらすと同じ現象が現れるようです。
なお友人の実家が爆心地近くにあるようで、この原爆瓦は確かにあったとのことでした。


↑被爆瓦の説明

そして、その熱線の影響の硬貨なども展示されていました。


↑熱線の影響の硬貨

それから、原爆は熱線だけでなく爆風も凄かったようです。
爆風の風速は爆心地から1km離れても秒速170mもあり、爆心地近くのあらゆる建物を破壊したようです。
爆発後約10秒後には爆心地から約3.7km、30秒後には約11kmに爆風は達したようです。


↑爆風の検証

 それから、原爆は放射線により人体へ被害をもたらしたようです。
爆心地から1km以内で被爆して運よく無傷で生き残ったとしても、その大多数の人が放射線により亡くなったようです。
爆心地から1km以内はほぼ100%の致死率だったようです。


↑放射線による人体の被害

 放射線障害により、嘔吐・下痢・発熱・皮下出血・口内炎などの症状が重なり、日増しに全身が衰弱し、1週間経った頃から志望者が増加したようです。
被爆から1週目ぐらいになると脱毛症状が現れ、3週目ぐらいにピークに達したようです。
ただ8~10週目ぐらいで髪の毛は再生し始めたようです。


↑放射線による急性期の障害


↑放射線による障害

原爆は、熱線や爆風だけでなく放射線による被害もあり、酷い兵器だと思います。

そのほかたくさんの展示や映像もありました。

長崎原爆資料館は、長崎での原爆等について理解を深め、平和を求めるためには素晴らしい施設だと思います。


お勧めなお話(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病(上)(ダニエル・E・リーバーマン)」という本はとてもオススメ!

2016年09月23日 01時00分00秒 | 
「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病(上)」の購入はコチラ

 「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病(上)」という本は、約600万年の直立歩行からの人類の進化について科学的にまとめたもので、その進化のミスマッチによる現在の慢性病などの疾病や、その進化を踏まえて健康になるためのヒントについて書かれていて、非常に興味深い内容となっています♪

 人間の身体の物語は以下の5つの主要な変化にまとめられるようです。

第一の変化:最初の人間の祖先が類人猿から分岐して、直立した二足動物に進化した。

第二の変化:この最初の祖先の子孫であるアウストラロピテクスが、主食の果実以外のさまざまな食物を採集して食べるための適応を進化させた。

第三の変化:約200万年前、最古のヒト属のメンバーが、現生人類に近い(完全にではないが)身体と、それまでよりわずかに大きい脳を進化させ、その利点により最初の狩猟採集民となった。

第四の変化:旧人類の狩猟採集民が繁栄し、旧世界のほとんどの地域に拡散するに連れ、さに大きな脳と、従来より大きくて成長に時間のかかる身体を進化させた。

第五の変化;現生人類が、言語、文化、協力という特殊な能力を進化させ、その利点によって急速に地球全体に拡散し、地球上で唯一生き残ったヒトの種となった。

 また、最近の数百世代を振り返ってみれば、以下の二つの文化的変化が人間の身体に決定的に重要な影響を及ぼしているとのことです。

第六の変化:農業革命。狩猟と採集に代わって農業が人々の食料調達手段となった。

第七の変化:産業革命。人間の手仕事に代わって機械が使われるようになった。

 特にナルホドと思ったのは、人間は他の動物と違って体毛がほとんどありませんが、それは暑い日でも長距離を走れるように汗を出して体を冷やすことができるためのようです。

 毛があると保温してしまいますからね。
なので暑い日でも約42kmのマラソンを走れ、そして太古の昔は狩りでは長距離を走り、毛に覆われた草食動物が長距離を走って体温上昇で疲れて動けなくなった時に、仕留めていたのかもしれません。
逆に言うと、健康のためには暑い日でも長距離を歩いたり走ったりして汗をかくことが大切なのかもしれません。

本書は、上下巻に分かれる大書ですが、健康のためにも興味深い内容がたくさんあることから、それぞれこのブログで紹介したいと思います。

以下は本書の上巻のポイント等です。
「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病」という本は、とてもオススメです♪

・人類の進化の歴史には本当の意味でのミッシング・リンク、すなわち進化史のとくに土台となる種でありながら、記録の中で完全に失われている未発見の種が一つある。それが、人類と類人猿の最終共通祖先(last common ancestor:LCA)だ。じつにもどかしいことに、この重要な種については、いまのところ何も分かっていない。チンパンジーやゴリラと同様に、LCAも十中八九、ダーウィンの推測どおりにアフリカの熱帯雨林に生息していたと思われる。ところがそこは、骨の保存、ひいては化石記録の生成にはまったく不向きな環境なのだ。林床に落ちた骨は、たちまち腐敗して風化する。そのため、チンパンジーやゴリラの系統に関して情報を提供してくれる化石遺物はほとんどなく、LCAの化石遺物が発見される可能性もきわめて低い。

・LCAがいつ、どこに生息していたのか、そしてどのようなものであったかは、人類の系統樹について現在わかっていることと考えあわせながら人類と類人猿の類似点と相違点を注意深く比較することによって、ある程度の妥当な推測はできる。アフリカ類人猿には、3つの生存種が存在し、その中で人類はゴリラよりも、チンパンジー属の二つの種(チンパンジーとボノボ)に近いことがわかる。膨大な遺伝子データに基づいて、人類とチンパンジーの系統がおよそ800万年前から500万年前に分岐したことも示している。(正確な時期についてはいまも議論が続いている)厳密にいうと、人類というのは分類学的には「ヒト亜属」といって、類人猿の系統のなかの部分集合であり、チンパンジーなどの類人猿よりも現在生きている人間に近いすべての種と定義される。私たちが進化上でチンパンジーと特に近い類縁関係にあるという事実は、この系統樹の解明に必要な分子レベルの証拠が入手できるようになった1980年代に、科学者に驚きをもって迎えられた。

・気候変動は大昔から、それこそ私たちが類人猿から分岐した時期を含めて、ずっと人類の進化に影響を与えてきた要因の一つだった。1000万年前から500万年前までの期間に注目してみると、地球全体の気候はかなり寒冷化している。この寒冷化は何百万年前もかけて起こったもので、比較的温暖な寒冷な時期との揺れが絶えず続いてはいたが、その全体的な影響として、アフリカでは熱帯雨林が収縮し、疎開林帯が拡大した。さて、もしあなたがLCA-身体の大きな果実食の類人猿-で、この時代に生きているとしたら、と想像してみよう。熱帯雨林の真ん中で暮らしていたのなら、おそらくこうした異変にはほとんど気づかなかっただたろう。しかし、運の悪いことに森のはずれで暮らしていたなら、この変化をとてもストレスに感じたに違いない。周囲の森が縮小し、木がまばらな疎開林になっていく。大好物の熟した果実が以前ほど豊富でなくなり、あちこちに分散して、しかも一定の季節にしか得られなくなる。こうした変化のために、あなたはときどき、これまでと同じ量の食物を手に入れるために遠くへ出かけなくてはならなくなる。いざというときにしか食べないような、代替食に頼る回数も増えるだろう。そうした食物ならふんだんにあるが、熟した果実のような望ましい食物に比べて、質は劣る。チンパンジーの典型的な代替食は、繊維の多い植物の茎や葉に、さまざまな草などである。そして気候変動の証拠から察するに、最初の人類はチンパンジーよりも、こうした食物を探して食べなければならない必要性に、何度も、強く、迫られていたようだ。ひょっとすると、最初の人類の生活は、チンパンジーよりもオランウータンに近かったのかもしれない。オランウータンの生息環境は、チンパンジーの生息環境よりも食料が潤沢にあるとは限らず、したがって果実が手に入らないときは、非常に固い茎や、樹皮さえ食べなくてはならない。

・まず、二足歩行の明らかに有利な点は、二足で立ち上がると、ある種の果実をかき集めるのが容易になるということだ。たとえばオランウータンは、樹上で食事をするときに、ほぼ直立することがある。第二の利点は、もっと意外なものだが、おそらくもっと重要なものである。日本の脚で立って歩くことにより、初期の人類は、移動時のエネルギーを節約できていたかもしれないのだ。LCAは丸めた指の真ん中の関節で前肢を支えるナックル歩行をしていたと思われる。ナックル歩行というのはなんとも奇妙な四足歩行で、エネルギー的にもコストが高い。実験室で、チンパンジーに酸素マスクを装着させてルームランナーを歩かせてみたところ(二足と四足のいずれかで)、その消費エネルギーは、人間が同じ距離を歩いた場合の4倍(!)にも達していた。こうした尋常ではない差が生じるのは、チンパンジーの脚が短いこと、身体が左右に揺れること、腰と膝をつねに曲げて歩くことが原因だ。結果として、チンパンジーはつんのめったり転んだりしないように、背中、腰、大腿の筋肉を収縮させるから、多大なエネルギーを絶えず消耗することになる。チンパンジーが1日にわずか2キロから3キロほどと、比較的短い距離しか移動できないのも不思議ではない。人間なら、同じ量のエネルギーで8キロから12キロは移動できる。したがって、もし初期の人類が腰や膝を伸ばしたままで、さほどぐらつきもせずに二足歩行できていたのなら、ナックル歩行をしているいとこたちよりも、エネルギー面で相当に有利だったに違いない。同じエネルギーで、より遠くまで移動できるということは、熱帯雨林が収縮して細切れになり、土地が開け、望ましい食物がますます分散して手に入りにくくなった時期に、じつに有益な適応だったはずだ。

・アウストラロピテクスは、およそ400万年前から100万年前にアフリカに住んでいた。化石記録が大量に残っているおかげで、彼らのことはかなり詳しくわかっている。もっとも有名な化石はもちろん、かの魅力的な女の子、ルーシーだ。小柄な少女で、320万年前のエチオピアに暮らしていた。本人にとっては不幸なことに(しかし私たちにとっては幸いなことに)、ルーシーは沼地で死亡し、すぐに遺体全体が埋もれ、その結果、骨格の3分の1あまりが残ることとなった。ルーシーは、数多く残っているアウストラロピテクス・アファレンシスという種の化石の一つだ。アウストラロピテクス・アファレンシスは、400万年前から300万年前にアフリカ東部に暮らしていた。アウストラロピテクス・アファレンシスも、10種ほどあるアウストラロピテクスの一つの種にすぎない。人類がホモ・サピエンス一種しか存在しない現代と違って、昔はいつの時期でも複数の種が共存しており、アウストラロピテクスはとりわけ多様性に富んでいた。アウストラロピテクスは大きく二つのグループに分ける方法がとられている。歯が小さい華奢型と、歯が大きい頑丈型だ。

・典型的なアウストラロピテクスの母親が、仮に体重30kgとして、チンパンジーの母親より二倍も多い、一日6キロの距離を移動しなければならなかったとしよう。アウストラロピテクスの母親が人間の女性くらい効率よく歩けたら、一日およそ140キロカロリーが節約できることになる。チンパンジーに比べて50%ほど効率がいいだけでも、節約できるカロリーは1日70キロカロリーになる。食物が乏しいときには、この差が自然選択に大きくものをいったはずだ。

・直立歩行がもたらす最大の不利益は、ギャロップでの全力疾走ができないことだ。アウストラロピテクスも間違いなくのろまだっただろう。大胆にも木から降りていけば、そのたびに、開けた土地で獲物をを狩るライオンやサーベルタイガーやチーターやハイエナといった肉食動物にすぐに目をつけられたに違いない。しかしアウストラロピテクスは汗をかけたから、ひょっとするとそれらの捕食者がうまく体温を下げられなくなる真昼ごろまで待機して、それから動き回ったのかもしれない。一方、利点として挙げられるのは、直立して歩き回るため食料を持ち運ぶのが容易になること、そして直立姿勢のために直射日光にさらさっる表面積が少ないことだ。つまり二足動物は四足動物よりも太陽放射による体温上昇が抑えられるのである。二足動物であることの最後の大きな利点は、ダーウィンが強調しているように、両手が解放されて、穴堀りなどの別の作業に使えるようになったことだ。地下貯蔵器官は地面の奥深くにあることも珍しくなく、棒を使って掘り出すのに2、30分かかる重労働である。しかしアウストラロピテクスにとって、穴掘りはなんら問題ない作業だったのではないだろうか。彼らの手の形状は類人猿と人間の中間のようなもので、類人猿より親指が長く、ほかの指が短い。だから棒もうまく握れたはずだ。棒を使っての穴掘りが普通にできるように自然選択の力が働いたことが、のちの石器の製作と使用の選択につながる土台を作ったのかもしれない。

・260万年以上前の遺跡から、切り傷がついた動物の骨が出土している。その傷は、肉を切り離すのに単純な石器を使ったときについたものだ。内部の髄を取り出すために砕いたのだろうと明らかにわかる傷がついた骨もあった。つまりこれは、人類が少なくとも260万年前には肉を食べ始めていたというれっきとした証拠だ。どのくらいの量の肉を食べていたかは推測するしいかないが、今日、熱帯地方の狩猟採集民の食生活において肉は約3分の1を占めている(温帯地域では肉と魚の消費量がさらに多い)。加えて、今日でもチンパンジーや人間は肉が大好きなのだから、当時の狩猟採集民も同じように肉を食べたがっていたはずだ。そして、それにはもっともな理由がある。レイヨウのステーキを食べれば、同じ量の人参を食べたときの5倍ものエネルギーが得られ、必須タンパク質と脂肪分も摂れるのだ。さらに、肝臓、心臓、髄、脳といった動物のほかの器官にも、脂肪をはじめとして、塩分、亜鉛、鉄分などの不可欠な栄養素が詰まっている。肉は栄養の宝庫なのだ。

・オスのチンパンジーはまったくといっていいほど食べ物を分けないし、自分の子にも絶対に分けない。ところが狩猟採集民は結婚し、夫が妻と子に食料を供給するというかたちで多大な投資をする。現代の狩猟採集民の男性は、狩猟によって1日3000キロカロリーから6000キロカロリーを手中にできる。自分と家族の分を除いてもなお余るほどだ。大きな獲物をしとめたときは、その肉を仲間全員に分け与えるが、それでも最大の取り分は家族に与える。さらに男性は、授乳や細やかな世話が必要な幼児を抱えた妻がいる場合、通常以上に頻繁に狩りをする。その代わり、妻の植物採集への依存度も高い。とくに長時間の狩りが不首尾に終わって、腹をすかせて手ぶらで帰ってきたときなどは、妻が集めてきた食料だけが頼りになる。したがって初期の狩猟採集民も、食料分配には大いに助けられていたに違いない。もし男女が互いに食料を供給し、さまざまな面で協力しあうことがなかったら、彼らはとうてい生き延びられていなかったのではないだろうか。食料分配はもちろん配偶者間や親子間だけでなく、集団の仲間うちでも行われる。仲間どうしの密接な社会的協力が、狩猟採集民の間ではかくも重要だということだ。そうした協力関係の一つの基本的な形態が、拡大家族である。狩猟採集民の研究によれば、母親の採集した食料だけでは足りない分は、祖母、姉妹、いとこ、おばが手当てする。なかでもとくに重要な役割を果たしているのが祖母であり、この経験豊富な先輩採集者は、通常、世話の必要な幼児を抱えていないことも手伝って、きわめて有能な助っ人となる。実際、人間の女性が出産可能な年齢を過ぎたあとまで長生きできるように自然選択の力が働いたのは、祖母として娘や孫への食料供給を手伝えるからだった、という説もあるほどだ。祖父、おじなどの男性陣も、ときには同じように手を貸してくれる。食料分配をはじめとするさまざまな協力形態は、家族の枠の外にも大きく広がる。狩猟採集民の母親は互いに助け合って子供に目を配るし、男性は家族にだけでなく、ほかの男性にも広く肉を分け与える。誰か一人が狩りで100キロ以上もあるようなレイヨウなどの巨大な獲物をしとめると、その肉は仲間全員に分配される。この類の分けあいは、ただ単に親切にしようとか、肉無駄にしないようにという意図でなされるのではない。これは空腹のリスクを低減させるための必須戦略なのだ。いつ狩りに行っても大きな動物をしとめられるなんて可能性は、確率にすればきわめて小さい。しかし、自分が狩りに成功したときに肉を分けておけば、空振りだったときに仲間から肉をもらえる確率が高くなるのである。また、狩りは単独でなく集団で行われることもある。そのほうが狩りの成功率が高まるからでもあり、獲物を持ち帰るのに助けあえるからでもある。

・ホモ・エレクトスの成人は、現代の大半の狩猟採集民とほぼ同じ体格で、必要とするカロリーも同程度、住んでいる環境も似たようなものだから、彼らもまた十分な食料を見つけるために、暑い野外で日々同じくらいの距離を歩いていたに違いない。そして案の定、この長距離徒歩移動の遺産は人間の身体のあちこちに、一連の適応として刻みつけられている。これらの適応は初期ホモ属において発生し、彼らをアウストラロピテクスよりさらに優秀な長距離歩行者にするのに役立った。なかでももっとも顕著な適応は、長い脚である。典型的なホモ・エレクトスの脚は、体格の違いを調整すると、アウストラロピテクスの脚よりも10%から20%長い。脚の長さが極端に違う二人の人間が並んで歩けば、脚の長い人のほうが一歩進むごとにどんどん先へ行く。ある一定距離において身体を動かすコストは歩幅によって決まるから、脚が長いほど歩行コストは小さくある。いくつかの試算では、脚の長いホモ・エレクトスの移動コストはアウストラロピテクスに半分ほどになるという。とはいえ、長い脚にも短所はある。それは木登りが不得意になることだ。

・私たちが初期のホモ属から受け継い長距離歩行中も身体を涼しく保つための適応のうち、とりわけ感心するのが高い鼻だ。アウストラロピテクスの顔を調べてみるとそこには明らかに、類人猿やほかのほ乳類と非常によく似た平たい鼻がついていたことが伺える。しかし、ホモ・ハビリスやホモ・エレクトスには外側に向けて曲がった鼻腔の縁が残っている。これは人間と同様の顔から突き出た外鼻があった証拠だ。この人間独特の高い鼻は、魅力的に映るというほかに、鼻腔内に吸い込んだ空気に乱流を発生させることで体温調節に重要な役割を果たしてもいる。類人猿や犬が鼻から空気を吸い込むと、気流は鼻孔から鼻腔まで一直線だ。しかし人間の鼻呼吸では、空気は鼻孔から入って上にあがり、直角に曲がったあと、また別の一対の弁を経由して鼻腔に達する。これらの独特な流れによって、空気に無秩序な渦巻きが発生する。この乱流のおかげで、肺は少々がんばって働かなくてはならないが、鼻腔に入ってきた空気は鼻腔内の表面を覆う粘液の膜とたくさん接触できることになる。粘液には水分がたっぷり含まれているが、粘度はあまり強くない。したがって外鼻から乾燥した熱い空気を吸い込んでも、そのあと生じる乱流の働きによって空気は鼻腔内の粘液としっかり接触し、十分に湿気を帯びることができる。この鼻腔内での加湿には重要な意味がある。吸い込まれた空気が水分で飽和されていないと、その空気の送られる肺がからからに乾燥してしまうからだ。そしてもう一つ重要なことに、鼻から息を吐き出すときにも、やはり鼻腔内の乱流のおかげで、鼻はその湿気をふたたび取り込めるようになっている。初期ホモ属における大きな外鼻の進化は、暑くて乾燥した環境のもとでも脱水症状を起こすことなく長い距離を歩けるようにするために、自然選択の力が働いた強力な証拠なのである。

・狩猟採集民は何百万年と腐肉漁りをしてきたが、考古学上の証拠から、少なくとも190万年前には、初期ホモ属がヌーやクーズーといった大型動物の狩猟も始めていたことがわかっている。しかしながら、初期ホモ属の狩猟民が獲物に接近できるぐらい早く駆け寄れたとはまず考えられないし、すぐそばまで忍び寄ることができたとしても、狙った獲物に足で蹴られたり、角や牙で突き刺されたりするリスクがあった。この問題を解決する手段として提唱してきたのが、「持久狩猟」と呼ばれる持久走にもとづいた古代の狩猟方法だ。この持久狩猟は、人間の走行の二つの基本的な特徴を利用している。まず人間は、四足動物なら速歩(トロット)から襲歩(ギャロップ)へと切り替えなくてはならないぐらいのスピードで長距離を走れる。次に、走っている人間は発汗作用によって体温を下げられる。一方、四足動物は浅速呼吸(あえぐように息をすること)によって体温を下げるのだが、ギャロップで駆けている間はそれができない。従って、全速力で走っている人間よりシマウマやヌーのほうがずっと速く走れるとしても、人間は自分たちより足の速いそれらの動物を猛暑の中での長時間のギャロップに追い込んで、体温を限界以上に上昇させ、倒れたところでとどめを刺すことができる。これがまさしく持久狩猟のやり方だ。狩猟者に必要なのは、走ったり歩いたりしながら長距離(ときに30km程度)を踏破できる能力と、開けた環境を通りながらずっと跡をたどっていける賢さと、狩猟の前後に飲み水を確保できるようにすることだけだ。弓矢が発明され、さらに網などの技術や狩猟犬、銃なども登場して、持久狩猟hめったに見られなくなったが、それでもアフリカ南部のサン族、南北アメリカのネイティブアメリカン、オーストラリアのアボリジニなど、世界各地の部族の間では、最近でも持久狩猟が行われていた記録がある。

・人間の走りを助ける極めて重要な適応の一つは、浅速呼吸ではなく発汗によって体温を下げられるという独特の能力である。これは人間に柔毛がなく、代わりに無数の汗腺があるおかげだ。たいていのほ乳類は掌(足裏)にしか汗腺がないが、類人猿と旧世界ザルはほかの部位にも多少の汗腺があり、さらに私たちは人類の進化のどこかの段階で、汗腺の数を500万個から1000万個と飛躍的に増やした(訳注:通例200万~500万個とされる)。人間は体温が上昇すると、汗腺から汗が体表面に分泌される。この汗のほとんどは水分で、それが蒸発するときに皮膚を冷却し、その下を流れる血液の温度も下げるので、結果的に全身の温度が下がる。人間は1時間に1リットル以上の汗をかくこともあり、それだけ発汗できれば、高温の条件下で必死に走っているアスリートの身体も十分に冷やされる。2004年のアテネ・オリンピックの女子マラソンでは気温が摂氏35度にも達したが、大量に汗をかける能力のおかげで勝者は平均時速17.3キロというペースで高体温症になることもなく2時間以上を走り続けられた!こんんことができるほ乳類はほかにない。ほかのほ乳類には汗腺がほとんどないうえに、たいていのほ乳類は全身を柔毛で覆われているからだ。柔毛は、防止のように日光を反射させる役割と、皮膚を保護する役割と、配偶相手を引きつける役割がある点では有益だが、反面、柔毛があるせいで空気が皮膚のそばで循環せず、汗が蒸発しない。人間の体毛密度は実のところチンパンジーと同じなのだが、人間の体毛の大半は、桃の産毛のように非常に細いのだ。人間が進化のどの時点で大量の汗腺を備え、柔毛を失ったのかは定かでないが、私の推測では、これらの適応は最初にホモ属で進化したか、もしくはアウストラロピテクスで進化して、のちにホモ属で精巧になったのではないかと思われる。

・走行では脚をばねのように使うので、人間の身体における走行のための最も重要な適応のいくつかは、文字どおりのばねである。主要なばねの第一は、足裏の土踏まずだ。子供が歩いたり走ったりしはじめると、靱帯と筋肉が足の骨を接合して、足裏のアーチを形成する。アウストラロピテクスの足にも部分的な土踏まずがあって、歩くときに足裏をこわばらせられるようにっていた。しかし、おそらく彼らの土踏まずは私たちの土踏まずほど大きく弧を描いてもいなければ、安定してもいなかっただろう。つまり、ばねと呼べるほど効果的には機能できなかったということだ。初期ホモ属の完全な足の化石は見つかっていないが、足跡と部分的な足の化石から察するに、ホモ・エレクトスには人間とまったく同じような土踏まずがあったものと思われる。完全な弧を描いているばねのような土ふまずがなくとも歩くぶんには支障がないが、土踏まずがばねのように働いてくれたなら、走るときのコストはおよそ17%も下げられる。

・人間の脚に新たにできたもう一つの重要なばねは、アキレス腱だ。チンパンジーやゴリラのアキレス腱は長さ1cmにも満たないが、人間のアキレス腱は通常10cm以上の長さがあって、非常に太く、歩行中ではなく走行中に身体が生み出す力学的エネルギーのほぼ35%を蓄積したり放出したりする。残念ながら、腱は化石にならないが、アウストラロピテクスの踵骨に見られるアキレス腱の接着部分が小さいことから、アウストラロピテクスにおいてもアキレス腱の大きさは、アフリカ類人猿と同程度のちっぽけなものであったことが伺える。従ってアキレス腱も、やはりホモ属において初めて大きくなったのだろう。

・効率のよい走りを支えるための、ホモ属で最初に進化したと思われる特徴が人間の身体にはいろいろある。比較的短い足指(足が安定する)、くびれたウエストに幅広いなで肩(走行中に腰や頭とは無関係に胴体をひねれる)、さらには足の遅筋線維の多さ(スピードは出にくいが長距離を走れる)などもそうである。こうした形質の多くは走行にとっても歩行にとっても長所だが、大きな大臀筋、項靱帯、大きな三半規管、短い足指といったいくつかの形質は、効率よく歩けるかどうかはさほど影響を及ばさず、もっぱら走るときに役に立つ。つまり、これらは走るための適応なのだ。これらの形質は、ホモ属が歩行だけでなく走行にも優れるように、強く選択が働いたことを示している。それはおそらく腐肉漁りと狩猟のためだろう。一方で、長い脚や短い足指のようないくつかの適応は、私たちの木登り能力を犠牲にするものでもある。走るための選択がなされたことで、人間は史上初の木登り下手な霊長類になったのかもしれない。要するに、腐肉漁りや狩猟をして肉を手に入れることに利点があったから、人間の身体には多くの変化が生じ、それが最初に明白にあらわれているのが初期ホモ属で、それらの変化により初期の狩猟採集民は、長い距離を歩くだけでなく、走ることもできるようになったのだ。ホモ・エレクトスが現生人類より速く走れたかどうかは知るよしもないが、これらの祖先は疑いなく、私たちの身体のさまざまな部分に適応の遺産を残してくれた。だからこそ、人間は長い距離をらくらくと走れる数好くにほ乳類の一つなのであり、暑いなかでもマラソンを走れる唯一のほ乳類なのである。

・脳も腸も、成長と維持に膨大なエネルギーを要する組織なのである。実際、脳と腸がそれぞれ消費する単位質量あたりのエネルギーはほぼ同量で、ともに身体の基礎代謝コストの約15%を使い、酸素や燃料の運搬と老廃物の除去のために同量の血液供給を必要とする。しかも、腸には約1億もの神経がある。脊髄や末梢神経全体にある神経の数より多いのだ。このいわば第二の脳は、食物を分解する、栄養素を吸収する、口から肛門にいたるまでの食物と老廃物の通過を促すといった、腸の複雑な活動を監視して制御するために何億年も前に進化した。人間の奇妙な特徴の一つは、脳と消化管(空のとき)がどちらも重量1kgあまりで、同じような大きさをしているということだ。人間と同じくらいの体重のほにゅうるいの大半は、脳の大きさが人間の約5分の1で、腸の長さが人間の2倍ある。言い換えれば、人間は相対的に小さな腸と、大きな脳を持っていることになる。これに関する画期的な研究を行ったレズリー・アイエロとピーター・ホイーラーは、この人間独特の脳と腸の大きさの比率が、最初の狩猟採集民の登場とともに始まった一大エネルギー転換の結果だと提唱した。つまり初期ホモ属は本質的に、食事を良質なものに切り替えることによって大きな腸を大きな脳と交換したというわけだ。この論理によると、食事に肉を取り入れ、食料加工への依存度を高めることで、初期ホモ属は食べたものの消化に費やすエネルギーを大幅に節約できたので、余ったエネルギーを大きな脳の成長と維持にまわることができた。実際の数字を見ると、アウストラロピテクスの脳は約400gから550g、ホモ・ハビリスの脳はもう少し大きくて約500gから700g、初期のホモ・エレクトスの脳は600gから1000gだ。これらの種は順々に体格も大きくなっているから、それを考慮にいれて調整すると、典型的なホモ・エレクトスの脳はアウストラロピテクスの脳より33%大きかった。腸は化石記録に保存されないが、いくつかの仮説によれば、ホモ・エレクトスの腸はアウストラロピテクスの腸より小さかったとされている。もしそうなら、狩猟採集のエネルギー面での利点のおかげで最初の人間は小さな腸でも用が足せるようになり、それが大きな脳の進化を可能にした一因だったということになる。

・大きな脳には相当なコストがかかる。脳は、重さで見ると体重の2%程度なのに、安静時の身体のエネルギー収支の約20%から25%を消費する。寝ていようが、テレビを見ていようが、この文章に頭をひねっていようが、それだけのエネルギーが奪われるのである。絶対的な数字でいえば、あなたの脳は1日280kカロリーから420kカロリーを消費する。それに対して、チンパンジーの脳の一日あたりのカロリー消費量は約100kカロリーから120kカロリーだ。エネルギー豊富な現在の食料事情では、1日にドーナツ1個で補給できる量だが、ドーナツなどない狩猟採集民は、このカロリーを得るために、ニンジンを6本から10本余計に採集しなければならない。食べさせなければならない子供がいると、この負担はさらに増える。

・ホモ・エレクトスが最初に進化してからずっと脳が大きくなり続けてきたということは、それに必要なエネルギーを旧人類が十分に得られていたというだけでなく、賢くなることによる便益が費用を上回っていたということだ。残念ながら、火を使えるようになったことと、槍の穂先などの複雑な道具を作れるようになったこと以外に、旧人類が達成した知的な偉業の直接的な痕跡はほとんど残っていない。脳が大きくなったことによる最大の利益は、おそらく考古学記録には見つからない種類の行動だろう。このとき旧人類が新たに獲得した一連の技能は、協力する能力をいちだんと強化するものだったに違いない。人間は、ともに力を合わせることが得意中の得意だ。食物をはじめ、生きるのに欠かせない資源をみんなで分けあう。他人の子育てを互いに手伝い、有益な情報があれば互いに伝えあい、ときには友人のみならず見知らぬ他人であっても、切迫している人があれば自分の命を危険にさらしてまで助けようとする。

・人類学者のロビン・ダンバーが行った有名な分析によれば、霊長類のそれぞれの種の大脳新皮質の大きさは、集団規模とある程度の相関関係にあるという。この相関関係が人間にも当てはまるなら、私たちの脳は、大体100人から230人の社会ネットワークに対処できるように進化したことになる。旧石器時代の典型的な狩猟採集民が一生涯に何人と出会っていたかと考えると、この数字はあながち外れてもいまい。

・大型動物は総じて成熟するのに時間がかかるものだが、ホモ属の発達期間が長くなったのは、身体が大きくなったからでは説明がつかない。オスのゴリラは人間の二倍もの体重がありながら、成長が止まるまでに13年しかかからないのだ(体重5トンのゾウも同じぐらいの成長で成熟できる)。それよりずっと信憑性の高い説明は、人間の場合、脳が成長するのに時間がかかるからというものだろう。人間の脳はそれほど大きく、複雑な配線を必要とするのである。なにしろ第一に、脳そのもののサイズが大きい。霊長類においては、脳が大きいほど完全な大きさに達するまでに時間がかかる。マカクザルの小さな脳なら、一年半で成長する。チンパンジーの脳はその5倍の大きさなので、成長するのに3年かかる。そして人間の脳はチンパンジーの脳より4倍大きいから、完全な大きさに達するまでに最低でも6年はかかる。絶滅した人類に関しても、成人の脳の大きさになるまでにどれだけの時間がかかっていたかをかなり正確に推定できる(なんと歯を使って算出する)。ルーシーのようなアウストラロピテクスは、脳の成長の速さがチンパンジーと同じくらいだった。どちらも脳の大きさが同じぐらいなので、当然といえば当然だ。初期ホモ・エレクトスの場合は、脳の大きさが800立方センチメートルから900立方センチメートルに成長するのに4年ほどかかった。その後、もっと脳の大きい旧ホモ属の種が進化したころには、すでに生活史の初期段階のパターンが、今日の人間と同じようなものになっていたようだ。たとえばネアンデルタール人は脳の大きさが現生人類とほぼ同じ、場合によってはそれより少し大きいぐらいで、成人の脳の大きさに達するまでに、5年か6年がかかっていた。

・脂肪と体重の問題は、何百万年ものあいだ人々の頭を深く悩ませつづけてきたと思われるが、つい最近までは、食事で十分な脂肪が摂取できず、体重も足りないのが私たちの祖先の心配の種だったのだ。脂肪はエネルギーを貯めるのに最も効率的な手段である。どこかの時点で、私たちの祖先はいくつかの重要な適応を進化させ、それによってほかの霊長類よりも大量の脂肪を身体に蓄えられるようにした。この祖先たちのおかげで、いまやどんなに痩せている人間であってもほかの野生の霊長類と比べれば脂肪が多いし、とくに人間の赤ん坊は、他の霊長類の赤ん坊と比べるとすいぶん太っている。この脂肪を蓄える能力と傾向がなかったら、旧人類は決して大きな脳と成長の遅い身体を進化させられていなかったという仮説が立つのももっともだ。さしあたってこの大事な物質について知っておくべきことは二つある。まず、脂肪の各分子の構成要素は、脂肪分の豊富な食物を消化することによって得られるが、私たちの身体は炭水化物からもそれらを簡単に合成できる(だから脂肪分ゼロの食物を食べても太るのだ)。次に脂肪分子はじつに便利で、エネルギーを凝縮して蓄える。脂肪1gのエネルギー量は9kカロリーで、炭水化物やタンパク質1gあたりのエネルギー量の倍以上だ。食後、体内ではホルモンの働きによって糖分、脂肪酸、グリセリンが脂肪に変換され、脂肪細胞という特別な細胞内に貯蔵される。この脂肪細胞が体内には約300億個ある。そして身体がエネルギーを欲すると、また別のホルモンが脂肪を構成要素に分解するので、身体はそれを燃焼させるわけである。どの動物にも脂肪は必要だが、特に人間は生まれた直後から大量の脂肪を必要とする。それは主として、エネルギーをつねに欲する脳のためだ。乳児の脳は成人の脳の4分の1の大きさだが、それでも1日に約100kカロリーを消費する。その小さな身体の安静時エネルギー収支の約60%にも相当する量だ。(ちなみに成人の脳は1日に280kカロリーから420kカロリー、すなわち身体のエネルギー収支の20%から30%を消費する)脳はひっきりなしに糖分を要求するので、脂肪をたっぷり蓄えているというのは、尽きることのない信頼できるエネルギー供給源を確保しているということだ。サルの赤ん坊は体脂肪率が約3%だが、健康な人間の赤ん坊は約15%もの体脂肪率をもって生まれてくる。実際、妊娠期間の最後の3ヶ月はおもに胎児に脂肪をつけさせるために費やされる。この3ヶ月の間に胎児の脳の質量は3倍になるあ、脂肪貯蔵量はなんと100倍にもなるのだ!さらに、こども期の間に健康な人間の体脂肪率は25%にまで上昇し、そのあとふたたび下がって、成人の狩猟採集民では男性が10%、女性が15%というあたりで落ち着く。脂肪は、脳と妊娠・授乳のためのエネルギー貯蔵庫というだけではない。狩猟採集民はどうしても持久力を要する運動をしなければならないが、その燃料としてお脂肪は不可欠だ。あなたが歩いたり走ったりするときでも、使われる燃焼エネルギーの大半は脂肪由来なのである。(ただしスピードが上がると、炭水化物を燃焼させる割合も増えてくる)

・人間の進化に極めて重要な役割を果たした脂肪だが、その逆説的な遺産として、いまや私たちの多くは脂肪を欲し、蓄えることに適応しすぎてしまった。映画監督のモーガン・スパーロックはドキュメンタリー作品「スーパーサイズ・ミー」で自らを実験台にして、マクドナルドのメニューだけを食べ続けたところ(1日平均5000キロカロリー!)、わずか28日で約11kgも体重が増えた。このようなとんでもない芸当ができるのも、脂肪が得られるめったにない機会にできるだけたくさん脂肪を蓄えることに適応するよう、大昔から何千世代にもわたって人間に自然選択がかけられてきた所産である。火曜日にある程度の脂肪をため込んでおけば、それで水曜日の持久狩猟をまかなえるかもしれないのだ。食料が豊富なときにそれなりの脂肪を蓄えておくのは、いずれ必ずやってくる不毛の時期のためにも必須だったに違いない。

・ホモ・エレクトスと旧ホモ属の個体が異様に大きい脳を維持できたのは、腸が比較的小さいことが一因だったというのは妥当な推測だ。そして腸が小さくなれたのは(歯が小さくなれたのもそうだが)、これらの種が、肉や加工した食物を豊富に取り入れた良質な食事を摂れていたからにほかならない。

・旧人類にそこそこの余剰エネルギーを得させていた大きな要因として、あと2つ考えられるのが、協力と技術だ。狩猟採集民はなんらかの分業や、血縁関係を超えた間柄での多大な分かちあい、その他さまざまなかたちでの協力をしないと生きていかれない。自然選択は速やかに彼らをその方向に促したことだろう。もう一つの要因である技術については、もっと発端がたどりやすい。初期ホモ属が初めて石器を使いだし、それによって食物を切ったり叩いたりできるようになったのは確実である。その後、今度は旧ホモ属が先端に石をくくりつけた投擲物を発明し、そのおかげで従来よりはるかに簡単に、かつ安全に獲物を殺せるようになったのだ。調理もまた、同じぐらい大きな技術の進歩だった。私たちはものを食べるたび、それを噛んで消化するのにエネルギーを使わなければならない(だから食事のあとは脈拍と体温が上昇する)。しかし植物性食料でも動物性食料でも、それをあらかじめ切り刻んだり、すりつぶしたり、叩いたりして物理的に加工しておくと、消化にかかる負担が大幅に低減される。加熱調理の効果はさらに絶大だ。たとえばジャガイモなどは、生で食べるよりも加熱して食べたほうがカロリーもほかの栄養素も倍近く得られる。さらに加熱調理には病原菌を殺せるという利点もあって、おかげで免疫系の負担がずいぶんと減ることになる。

・私たちの種の起源が正確に時間と場所まで特定できているのは、おもに人間の遺伝子が研究されてきた成果による。世界中お人々の間の遺伝的変異を比較することにより、遺伝学者は誰が誰とつながっているのかを全員に関してまとめた系統図を計算することができ、その系統図を正確に調整することによって、最後に全員が共通の祖先を持っていたのがいつだったかを見積もることができる。そして何千もの人々のデータを使ってなされた何百もの研究が、一致して認めていることーそれが、現存するすべての人間は、もとをたどれば30万年前から20万年前ぐらいのアフリカに棲んでいた共通の祖先尾集団に行き着き、その集団の一部が10万年前から8万年前ぐらいにアフリカを出て各地に分散した。というものなのだ。言い換えれば、ごく最近まで、人間はみなアフリカ人だったのである。これらの研究は、いま生きているすべての人間が、びっくりするほど少数の祖先からくだってきていることを明らかにしてもいる。ある計算によれば、今日の人間全員の祖先は、サハラ以南のアフリカ出身の1万4000人足らずの繁殖個体の集団で、非アフリカ人のすべてを生んだ最初の集団は、おそらく3000人以下だったとされている。

・現生人類とネアンデルタール人それぞれの系統が最後に同じ祖先の集団に属していたのは、およそ50万年前から40万年前だったとわかった。驚くことではないが、現生人類とネアンデルタール人のDNAは非常によく似ている。あなたの塩基対600個に対して1個だけネアンデルタール人と違っているという割合なのである。現在でも、どの遺伝子がその違いにあたり、その違いがどういう意味を持つのかを突き止めるために多大な努力がなされている。

・旧人類と現生人類のDNAには、いくつかの意外な系統図上の事実も潜んでいる。ネアンデルタール人と現生人類のゲノムの違いを丹念に解析してみると、すべての非アフリカ人には2%から5%という極めて小さい割合ながら、ネアンデルタール人由来の遺伝子が含まれていることがわかるのである。これはおそらく5万年以上前、現生人類がアフリカを出て中東を通過する際に、ネアンデルタール人と現生人類の間でわずかに異種交配があったためだと思われる。その後、この集団の子孫がヨーロッパとアジアに分散したのだと考えれば、なぜアフリカ人にはネアンデルタール人の遺伝子がないのかが説明できる。そして現生人類はアジアに広がった際に、デニソワ人とも異種交配したとみられる。オセアニアとメラネシアに住む人々の間では、遺伝子の3%から5%程度がデニソワ人由来のものとなっているのだ。

・現生人類がいつどこで最初に進化したかを示唆してくれる、また別の、より具体的な手がかりは化石から得られる。遺伝子データが予測しているのとまったく同様に、わかっている限りもっとも古い現生人類の化石はやはり出自がアフリカで、時代はおよそ19万5千年前とされている。そして15万年前より古いと見なされるほかの多数の初期現生人類の化石も、やはりすべてがアフリカから出ている。その後に起こった全世界へのホモ・サピエンスの最初の離散も、古代の骨を追っていくことで見えてくる。まず現生人類は、約15万年前から8万年前の間に(これらの年代は不確定である)中東に現れ、そのあと3万年ほどの間、姿が見えなくなっている。ちょうどその時期、ヨーロッパで大きな氷河浸食が最盛期にあって、ネアンデルタール人が中東に移住してきており、しばらく彼らに取って代わられていたのかもしれない。現生人類が新しい技術を備えて再び中東に出現したのが、約5万年前のことであり、以後、彼らは急速に、北へ、東へ、西へと広がっていった。現在得られている最良のデータに従えば、現生人類が初めてヨーロッパに現れたのが4万年前以前である。考古学遺跡から推察されるところでは、現生人類はどうにかしてベーリング海峡まで渡って新世界に到達し、3万年前から1万5千年前までの間にそこに住み着いた。人類の分散の正確な年代記は新たな発見が増えるたびに変わるだろうが、重要なのは現生人類が初めてアフリカで進化してからたった17万5千年の間に、南極大陸を除く全大陸をその住みかにしてしまったということである。しかも、現生人類の狩猟採集民が広がった先では、いつでもどこでも、旧人類がほどなくして絶滅してしまっている。たとえば、今のところヨーロッパで最後とされるネアンデルタール人がスペインの南端の洞穴の中にいたのは3万年前よりちょっと後で、現生人類が最初にヨーロッパに出現してから1万年から1万5千年ほど後のことである。そして証拠から察するに、現生人類が急速にヨーロッパ中に広まるにつれ、ネアンデルタール人の集団はどんどん小さくなって、最後には孤立したレフュジア(待避地)に閉じ込められたあと、永久に消滅してしまった。これはなぜなのだろうか。ホモ・サピエンスの何が私たちを地球上で唯一残存するヒトの種にしたのだろう。私たちの成功のどれだけの部分が身体のおかげで、どれだけの部分が頭脳のおかげなのだろうか。

・何千もの考古学遺跡から、後期旧石器時代には狩猟と採集の性質にも革命があったことが示唆されている。中期旧石器時代の人々は熟練した狩人で、しとめるのは大半が大型動物だったが、後期旧石器時代の人々はそれらの他に、魚、甲殻類、鳥、小型ほ乳類、亀などさまざまな獲物をメニューに加えた。これらの動物は豊富にいるだけでなく、女性や子供でも、少ない危険、高い成功率で捕獲することができる。旧石器時代に摂取された植物の遺物はほとんど発見されていないが、後期旧石器時代の人々は確実にさまざまな植物を採集していたはずで、それらをただ焼くだけではなく、ゆでたり、すりつぶしたりして、効率的に加工していたに違いない。こうした食事情の変化は、人口の急増を後押しした。後期旧石器時代に入ってからほどなくして、シベリアなどの遠く離れた過酷な場所でも、集落の数と密度が上がりはじめている。

・多くの面で、後期旧石器時代の革命にはっきりとあらわれている最も深遠な変貌は、文化的な変貌である。どういうわけか、人々がそれまでとは違う考え方、違う行動の仕方をするようになったのだ。この変化の最も具体的なあらわれが芸術である。中期旧石器時代の遺跡でも単純な芸術作品はいくらか見つかっているが、その数も質も、後期旧石器時代の芸術とは比べものにならない。後期旧石器時代には、洞穴や岩窟にみごとな壁画が描かれ、装飾用の小さな彫像や、華やかな装飾品や、細工の美しい埋葬品を納めた手の込んだ墓所が作られている。むろん、後期旧石器時代のすべての遺跡や跡地に芸術品が保存されているわけではないが、人々が初めて信念や感情を象徴的なかたちで定期的に永続的な媒体に表現するようになったのが、この後期旧石器時代だったのである。そして後期旧石器時代の革命のもう一つの要素が文化の変容だ。中期旧石器時代には、変化はほぼ皆無だった。フランス、イスラエル、エチオピアに残る各遺跡は、その年代が20万年前であろうと10万年前であろうと6万年前であろうと、基本的にすべて同じだ。しかし5万年ほど前に後期旧石器時代が始まってからというものは、年代的にも空間敵にも大きく分散している多様な文化を、人工遺跡から特定できるようになる。後期旧石器時代の到来とともに、世界のあらゆるところで果てしなく続く文化の変貌が始まった。そしてそれに火をつけたのが、果てしない想像力と創造力を持った頭脳だった。これらの変化は今日もなお、いっそう速いペースで進んでいる。要するに、現生人類に旧型のいとこと大きく違うところがあるとすれば、それは文化を通じて革新をはかろうとする驚くべき傾向と能力なのだ。

・人間は長い進化の道のりを経る間に、直立し、多様なものを常食とし、狩猟をし、広範囲で採集をし、辛抱強く動きまわり、食物を調理加工して分けあい、その他さまざまなことをするように適応していったのだ。しかし、私たちの進化上の(これまでのところの)成功を説明するような現生人類ならではの適応があるとすれば、それは私たちの適応能力にほかならず、その能力を支えているのが、私たちの並外れたコミュニケーション能力、協力する能力、思考する能力、発明する能力ということになるだろう。これらの能力の生物学的基盤は、私たちの身体、とりわけ脳に根ざしているが、その効果はおもに私たちの文化の活かし方、つまり文化を利用してものごとを刷新したり、新しい多様な環境に順応したりといったことに具現化されている。最初の現生人類がアフリカで進化して以来、彼らは徐々に、以前より進んだ武器や新種の道具を発明し、象徴的な芸術を創造し、交易の距離を長くし、それまでとは明らかに異なったまったく現代的なかたちの行動をするようになっていった。後期旧石器時代の生活様式があらわれるまでには10万年以上がかかったが、その画期的な出来事は、いまもさらに速いペースで進行中の無数の文化的飛躍の一つにすぎない。この数百世代の間に、現生人類はいくつのものを発明してきたことだろう。農業、文字、都市、エンジン、抗生物質、コンピューターと数え上げればきりがない。文化的進化の速さと範囲は、いまや生物学的進化の速さと範囲を圧倒的に上回っている。したがって、現生人類を特別なものにしているすべての資質の中でも、私たちの文化的な能力こそが最も変革力のある最も大きな成功要因だったのだと結論しても差し支えないだろう。現生人類のこの能力が原因だと考えれば、現生人類が初めてヨーロッパに到達してからほどなくして最後のネアンデルタール人が絶滅してしまったのも説明がつくし、私たちの種がアジア全域に広がったときに、なぜ私たちがデニソワ人やフロレス島のホビットや、その他もろもろの残存していたホム・エレクトスの子孫をすべて駆逐してしまったかも説明がつく。次々になされた多くの文化的革新のおかげで、現生人類の狩猟採集民は、1万5千年前までには地球上のほぼ全域に棲みついた。

・人間の進化というのは何よりまず、筋肉に対する脳の勝利なのだといえなくもない。実際、人間の進化を説明した多くの物語がこの勝利を強調している。力強くもなければ敏捷でもなく、天然の武器も持っていなければ、ほかの身体的な優位性もまったく持っていない人間が、にもかかわらず、文化的な手段を駆使することによって繁栄し、自然界のほぼすべて-バクテリアからライオンにいたるまで、北極から南極にいたるまで-を掌中に収めた。いま生きている数十億人の人間の大半は、かつてなく長命で健康な生活を享受できている。しかしながら、私たちの思考能力、学習能力、コミュニケーション能力、協力する能力、革新する能力がいかにすばらしく、これらのおかげで私たちの種のいまの成功があるのだとはいえ、筋肉に対する脳の勝利という見方だけで現生人類の進化をとらえるのは不正確であり、かつ危険でもあると私は考えている。

・人間の文化的な適応力の皮肉なところは、この独特の革新の才能と問題解決の才能のおかげで、狩猟採集民が地球のほぼ全域で繁栄できたまではよかったが、やはりその才能のおかげで、一部の狩猟採集民が最終的にその生活様式をやめてしまったことだろう。1万2千年前頃から、狩猟採集民のいくつかの集団は永続的な共同体をつくって定住を始め、植物を栽培し、動物を家畜化するようになった。そうした変容は、おそらく最初は徐々に始まったのだろうが、その後の数千年の間に世界規模での農業革命を起こし、いまなおその効果が地球全体を、そして私たちの身体を揺さぶり続けている。農業は多くの利益をもたらしたが、同時に多くの深刻な問題を引き起こしもした。農業によって人間は多くの食料を得られるようになり、その結果として多くの子供を持てるようにもなったが、それに伴って新しい形態の仕事が求められ、食べるものも変わり、病気や社会悪が詰まったパンドラの箱も開けられた。農業がこの世に現れてからまだ数百世代しか経っていないが、以後の文化的変化の速さと広がりは劇的なまでに加速した。人間の身体は何百万年もかけて少しずつ果実食の二足動物になり、アウストラロピテクスになり、最後にようやく大きな脳を持った文化的創造力のある狩猟採集民になるように形成されていったのだから、私たちの身体はそのときのように、つまり私たちの進化的過去が私たちを適応させたときのままに暮らしているほうが自然ではないのか。

・いくつかの研究がこの数百年の間になされた軽微な自然選択の証拠をつきとめることに成功している。たとえばフィンランド人とアメリカ人の集団の中では、女性の初出産の年齢と閉経の年齢に自然選択が働いており、体重や身長、コレステロール値、血糖値についても同様である。もっと長期的な視点で見れば、最近の自然選択の証拠はもっと見つかる。新しいテクノロジーのおかげで高速かつ比較的安価に全ゲノムの配列が決定できるようになった結果、ここ数千年の間に特定の個体群の中で強い自然選択にかけられてきた数百の遺伝子が明らかにされてもいる。ご想像の通り、これらの遺伝子の多くは生殖や免疫系を制御するもので、その持ち主に子を多く持たせるように、あるいは持ち主を感染症で死なせないように働くからこそ、強く選択されてきたのである。そのほか、代謝に関する役割を果たしていたり、特定の農業集団を乳製品やでんぷん質の作物を食べることに適応させる働きをしている遺伝子もある。また、自然選択によって残されたいくつかの遺伝子は体温調節に関わっているが、これはおそらく、広範囲に拡散した集団を多様な気候に適応させるのに役立ったためだろう。たとえば私の研究グループは、氷河期の終わり近くにアジアで進化した一つの遺伝子変異が強い選択にかけられた証拠を発見しており、東アジア人とネイティブアメリカンはこの変異によって、毛が濃くなり、汗腺が多くなったと考えられる。このような最近の進化を経験した遺伝子を研究することには実益がある。その一つが、ある特定の病気にかかりやすい人とかかりにくい人はどう違うのか、その違いはなぜなのか、そしてさまざまな薬に対して人はどう反応するのかを理解する助けになるということである。このように、自然選択は旧石器時代の終わりとともに止まったわけではないけれども、ここ数千年の間に人間に起こった自然選択が、それまでの数百万年に比べて相対的に少ないことは事実である。その差は当然のことで、なにしろ最初の農民が中東で土を耕しはじめてから、まだ600世代しか経過していないのだ。しかも大半の人の祖先が農業を始めたのは、それよりさらにあとのことで、おそらくここ300世代ほどの間と思われる。

・2型糖尿病で考えてみようか。これは以前にはめったになかったが、いまでは世界中で見られる代謝性疾患である。一部の人は、この2型糖尿病に遺伝的にかかりやすい。この病気の広まりが欧米よりも中国やインドで急速だった理由は、それで説明がつくだろう。ただし2型糖尿病がアジアで急激にアメリカをしのぐ勢いで蔓延しているのは、新しい遺伝子が東洋で広まっている最中だからではない。新しい西洋式の生活様式が世界中を席巻して、いままで悪影響を及ぼしていなかった旧来の遺伝子と相互作用しているからである。言い換えれば、自然選択を通じて起こる進化だけが進化のすべてではない。遺伝子と環境との相互作用は急速に、ときに根本的に変わってきている。それは主に私たちの身体をとりまく環境が変わってきているからで、その変化を促しているのが急激な文化的進化だ。あなたの持っている遺伝子の中に、扁平足や近視や2型糖尿病になりやすくさせる遺伝子があったとしても、あなたにそれを受け継がせた遠い祖先は、おそらくそれらの問題に悩まされていなかったに違いない。そう考えると、進化のレンズを通じてものを見て、旧石器時代が終わったあとに起こった遺伝子と環境との相互作用の変遷を考えることには大きな意義がある。

・人間の身体は自動車のように設計図から作られたのではなく、代々の修正を通じて進化してきたものなのだ。したがって人体の進化の歴史を知ることは、自分の身体がなぜこのような姿をしていて、このように働くのかを見定める助けとなり、ひいては、自分がなぜ病気になるのかを推し量る助けともなる。生理学や生化学のような科学分野は、病気の原因をなす直金のメカニズムを理解する助けとなるが、進化医学という新興分野は、そもそもなぜその病気が生じるのかを説明する助けとなるのだ。たとえばがんは、まさに体内で進行中の異常な進化プロセスであると言える。一個の細胞が分裂するたびに、その細胞の遺伝子は突然変異を起こす可能性を持つ。したがって、分裂する頻度の高い細胞(たとえば血液細胞や皮膚細胞)や、突然変異を引き起こす化学物質にさらされやすい細胞(たとえば肺細胞や胃細胞)は、ともどない細胞分裂を引き起こして腫瘍を形成するような突然変異を偶然に獲得する見込みが高い。ただし、ほとんどの腫瘍はがんではん。腫瘍細胞ががん性になるには、細胞がさらに突然変異を獲得して、その突然変異の影響により、ほかの健康な細胞が栄養分を奪われ、正常な機能を阻害されて、打ち負かされてしまうことが必要となる。要するに、がん細胞とは、自らをほかの細胞よりも有効に生存させ、繁殖させられる突然変異を持った異常細胞にほかならないのだ。もし私たちが進化するべく進化した生き物でなかったら、私たちは決してがんにはならなかっただろう。さらに踏み込んで言えば、進化はいまも起こっている現在進行形のプロセスだから、進化がどう働くかがわかっていれば、失敗を防いだり機会を確実にとらえたりするのと同様に、多くの病気を予防したり治療したりすることもできるだろう。進化生物学が医療に必要となる例として、とくに切実で、かつ明らかなのは、感染症への対処である。それらの病気はいまも私たちととともに進化を続けているからだ。私たち人間と、エイズやマラリアや結核のような病気とのあいだで、いまなお進化的な軍拡競争が続いていることをわかっていないと、うっかり不適切な薬を作ったり、軽率に生態条件を壊したりして、逆にそれらの病気を助長してしまうことがある。次に発生する流行病を食い止め、治療するには、ダーウィン的なアプローチが必要なのだ。日常的な感染症への抗生物質の用い方を向上させる上でも進化医学は、重要な視点を提供する。抗生物質の濫用は、超強力な新種の細菌を進化させることになるだけでなく、体内の生態系を変化させて、クローン病のような新たな自己免疫疾患を生じさせることになりかねない。そしてがんの予防と治療にも、進化生物学は助けになると期待される。がん細胞と闘うとき、現在のところは放射線や有毒性の化学物質(化学療法)でがん細胞を殺そうとするのが普通だが、そうした療法はときに逆効果となることもあり、その理由を説明してくれるのが進化からのアプローチだ。放射線療法や化学療法は、致死性でない腫瘍が突然変異を起こして自らの細胞をがん細胞に変容させる確率を高めるだけでなく、細胞の環境も変化させ、新しい突然変異が選択される利点を高めてしまうこともありうるのだ。この理由から、あまり悪性でない種類のがん患者には、あまり攻撃的でない療法のほうが有効な場合があると考えられるのである。

・進化医学のもう一つの効用は、病気の症状の多くはじつのところ適応なのだと認識させることにより、医者と患者の双方に、ある種の病気や怪我の治療法を考え直させることである。発熱や吐き気や下痢の最初の兆候があったとき、あるいはどこかしらに痛みを感じたとき、あなたはすぐにでも薬屋に行って、一般市販薬を服用するのではないだろうか。これらの不快感は緩和すべき症状だとほとんどの人が思っているが、進化論的な見地から言えば、これらは留意すべき有益な適応であるのかもしれない。たとえば発熱は、あなたの身体が感染症と闘うのを助けているのだし、関節痛や筋肉痛は、正しくない走り方のような何かしらの有害な行為をやめるようあなたに警告しているのかもしれないし、吐き気や下痢は、あなたの体内から有害な病原菌や毒素を除去しようとしているのだ。そもそも適当というのはやっかいな概念である。人体の適応はずっと昔に進化したものだが、その目的はただ一つ、私たちの祖先にできるだけ多くの子を生き残らせるようにすることだった。結果として、私たちはときどき患うことになる。なぜなら自然選択にとっては健康よりも繁殖力のほうが重要だからで、私たちは健康になるために進化しているわけではないのである。たとえば旧石器時代の狩猟採集民は、定期的に食料不足に直面していたし、きわめて活発に身体を動かさなければ生きていけなかったから、エネルギー豊富な食物を切望し、休めるときはつねに休もうとする方向に自然選択が働いて、脂肪を蓄積しやすい身体になり、より多くのエネルギーを繁殖に費やさせるようになった。そうした進化論的な視点から見ると、現在のダイエットやフィットネスのプログラムが成功しないのは想定内で、事実、ほとんどが失敗している。それもそのはず、かつて適応的だったドーナツを食べたがったりエレベーターを使いたがったりする原始的な衝動にどう対抗していいかを、私たちはいまだ知らないからである。しかも、身体のなかにはいくつもの適応がごちゃごちゃに詰め込まれていて、そのすべてにプラス面とマイナス面があり、いくつかは互いに衝突もするから、完璧で最適な単一のダイエットプログラムやフィットネスプログラムなんてものは存在しない。私たちの身体は、いわば妥協の集積なのである。

・シマウマは、アフリカのサバンナを歩いたり走ったりしながら、草を食べ、ライオンから走って逃げ、ある種の病気に抵抗し、暑い乾燥した気候とうまくやるように適応している。そのシマウマが、たとえば私の住んでいるニューイングランドにつれてこられたら、シマウマはもうライオンのことを心配しなくてもよくなるが、今度は別のさまざまな問題に悩まされることになるだろう。お腹をいっぱいにできるほどの草は見つからないし、冬は寒いし、初めて遭遇する病気に対しては抵抗力がない。なんらかの助けがない限り、移住させられたシマウマはほぼ確実に病気にかかって死ぬだろう。この生き物はニューイングランドの環境にまるで適応していない(つまりミスマッチである)からだ。進化医学という新しく出てきた重要な分野での見方からすると、私たちは旧石器時代以来たいへんな進歩を遂げてきたにも関わらず、ある意味では、このシマウマのようなものになっている。特に農業が始まって以降、革新が加速するにつれ、私たちは次々と新しい文化的習慣を考案したり採用したりしてきたが、それらの習慣は私たちの身体に矛盾する作用を及ぼしてきた。一方では、比較的最近の多くの発展が利益をもたらしている。農業によって食物は増え、近代的な公衆衛生と科学的な医療によって乳幼児死亡率は低下し、寿命は長くなった。だが一方では、無数の文化的変化によって、私たちの持つ遺伝子と私たちをとりまく環境との相互作用が変えられた結果、さまざまな健康問題が生じるようになっている。それが「ミスマッチ病」で、定義するなら、旧石器時代以来の私たちの身体が現代の特定の行動や条件に十分に適応していないことから生じる病気ということになる。ミスマッチ病がいかに重要な意味を持つかは、いくら強調してもしすぎることはないと思う。みなさんが死ぬときは、十中八九ミスマッチ病で死ぬだろう。

・ミスマッチ病を特定するにあたってのもう一つの問題は、多くの病気についての理解が十分に足りていないため、その病気を引き起こす直接的、間接的な環境要因を正確に指摘しにくいということである。たとえば自閉症は、かつてはほとんどなかったのに最近になって急に一般的になった障害であること、そして大半が先進国で発生していることから、ミスマッチ病の一つではないかとも考えられている。しかしながら、自閉症の遺伝要因と環境要因はどちらもあいまいで、果たしてこの病気が大昔の遺伝子と現代の環境とのミスマッチから生じているのかどうかは、なんとも言いがたい。同様に、もっと詳しい情報が得られない限り、多発性硬化症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、膵臓がんなどの多くの病気、および一般的な腰痛などの悩ましい症状を進化的ミスマッチの事例と見なすのは、あくまでも仮説にすぎない。

・ミスマッチ病の特定に関する最後の問題は、狩猟採集民、とくに旧石器時代の狩猟採集民の健康に関するデータが十分にそろっていないことだ。ミスマッチ病の本質は、なじみのない環境条件に身体が十分に適応していないために生じるということだから、西洋人の集団の間では一般的だが狩猟採集民の間では、めったにみられないような病気は、進化的ミスマッチである可能性が高い。逆に、現在でも身の回りの生活環境に十分に適応していると思われる狩猟採集民の間で一般的な病気は、ミスマッチ病ではない可能性が高い。

・進化的ミスマッチによって発生したもしくは悪化したと仮説を立てられている病気や健康問題の一部をまとめたのが以下だ。別の言い方をするなら、これらの病気はその発生原因に絡んでいる新奇な環境条件に人間が十分に適応していないために、広く蔓延したり、症状が深刻化したり、あるいは羅患年齢を下げたりしているのかもしれない。繰り返しいっておくが、以下はあくまで仮のリストである。これらの病気の多くは、まだ今後の検証を必要とする仮説段階のミスマッチ病であり、人間が新しい病原菌と接触するようになったことで生じる感染症はすべてリストから省いてある。もしそれらを含めていたら、リストははるかに長大で、はるかに恐ろしいものになるだろう。
 胃酸の逆流/慢性的胸焼け、にきび、アルツハイマー病、不安障害、無呼吸、喘息、水虫、注意欠陥・多動性障害、腱膜瘤、がん(一部のみ)、手根管症候群、虫歯、慢性疲労症候群、肝硬変、便秘(慢性)、冠状動脈性疾患、クローン病、うつ病、糖尿病(2型)、おむつかぶれ、摂食障害、肺気腫、子宮内膜症、脂肪肝症候群、線維筋痛、扁平足、緑内障、痛風、槌状址(ハンマートゥ)、痔、高血圧、ヨード(ヨウ素)欠乏症(甲状腺腫/クレチン病)、埋伏智歯、不眠症(慢性)、過敏性腸症候群、乳糖不耐症、腰痛、不正咬合、メタボリックシンオローム、多発性硬化症、近視、脅迫性障害、骨粗相症、足底筋膜炎、多嚢胞性卵巣症候群、妊娠高血圧腎症、くる病、壊血病、胃潰瘍

・虫歯は、歯に付着する薄い膜状の歯垢のなかにいる最近のしわざである。あなたの口内にいる最近のほとんどは天然の無害のものだが、ごく少数の種が、あなたの噛んだ食物に含まれているデンプンや糖を餌にするときに問題を引き起こす。この細菌から放出された酸が、その下の歯を溶かして穴をあけるのだ。早急に治療をしないと、虫歯はいつのまにか進行して歯の奥まで達し、激痛とともに深刻な感染をもたらす。残念ながら人間は、虫歯の原因となる微生物に対抗できる天然の防御を唾液以外にほとんど持っていない。これはおそらく、私たちがデンプン質や糖質の食物を多量に食べるように進化してはこなかったからだ。類人猿が虫歯になることはめったになく、狩猟採集民の間でも珍しい。虫歯がこれほどまでに広まったのは農業が開始された後のことで、急激に増加したのは19世紀と20世紀においてだ。今日、虫歯は世界中の25億近い人々を苦しめている。虫歯は、発症の仕組みが壊血病と同じぐらいようわかっている進化的ミスマッチだがそれが今日でもいまだに世の中にはびこっているのは、私たちが虫歯の根本原因を有効に阻止していないからだ。もし私たちが本当に虫歯を予防したいのなら、私たちは糖とデンプンの摂取を劇的に減らさなくてはならない。


良かった本まとめ(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オー・コアン・ドゥ・フー(東京 中目黒)のフレンチはとてもオススメ!

2016年09月22日 01時00分00秒 | 外食
東京の中目黒にあるオー・コアン・ドゥ・フーへ行って来ました♪


↑店構え

ミシュラン ビブグルマン掲載のお店で、食べログでもTOP5000に入る人気店です♪
予約必須のお店で、ランチも予約必須とは驚きましたね♪

綺麗な店内で、中目黒という場所柄かもしれませんが女性客率が高いです♪

今回は6人での会食で、あらかじめ5千円のコースを頼んでいて、飲み物はビールの後は白ワインや赤ワインをボトルで注文しました♪


↑メニュー


↑前菜と主菜のメニュー

前菜や主菜はそれぞれ6種類、10種類から選びます♪
このお店をよく知っている方が、前菜は「厚切りサーモンの瞬間燻製、温泉卵添え」がオススメというので、それを注文します♪

主菜は「本日の鮮魚料理」を選び、真鯛のポワレとのことでした♪

まず初めに「はじめの一口オードブル」が運ばれ、そして前菜が運ばれます♪


↑はじめの一口オードブル

「はじめの一口オードブル」はサラダがカラフルに彩り素晴らしいです♪
もちろん新鮮野菜で美味しいですね♪

そして、オードブルが運ばれますが、おぉぉサーモンが大きい!
しかも身が柔らかくて、確かに燻製のような感じで美味しい♪
温泉卵もからませて、とても美味しいです♪
写真では分かりにくいかもしれませんが、かなりのボリュームです♪


↑前菜の「厚切りサーモンの瞬間燻製、温泉卵添え」

そして、「季節の一皿」としてスープが運ばれます♪
トリュフやフォワグワ?で冷製スープで美味しい♪
コーンの甘みも感じます♪


↑季節の一皿

そして、メインの「真鯛のポワレ」が運ばれますが、これが大きい♪
そして温野菜もたっぷりで素晴らしいです♪
真鯛の白身がとても柔らかいながらも、しっかりとした身でとても美味しいです♪


↑真鯛のポワレ

そして、デザートということとなり、メニューから選びます♪


↑デザートメニュー

どれを選ぶか非常に悩みますが、やはりここは季節でもありますし、フルーツの中で一番好きな「丸ごと桃のコンポート、ジュレ仕立て」を選びます♪


↑丸ごと桃のコンポート、ジュレ仕立て


↑コーヒー

これも、桃が丸ごと1個あり、とてもボリュームがあります♪
このボリュームは凄いですね♪
桃は甘く、そして柔らかくて、至高なひとときです♪

飲み物はコーヒーか紅茶、エスプレッソから選べ、コーヒーを美味しく頂きました♪

オー・コアン・ドゥ・フーの料理はどれも質が高くボリュームがあるので、女性客が多いんですね♪
さすがです!
そして、こんなにリーズナブルに提供できるのは、席と席の間が比較的狭く、そしてシェフも含めて3人で経営しているからと推測します♪
私はよく分かりませんが、ワインもかなりリーズナブルなようです♪
しかも女性ソムリエがいるので、最適なものを選んでくれるようです♪

夜の19時頃に訪れたのですが、たっぷり4時間滞在しました。
どの席も2回転させず、ゆっくり4時間かけて食事を堪能できるのも素晴らしいと思いましたね♪

オー・コアン・ドゥ・フーは、質が高くボリュームのある料理をリーズナブルに頂け、とてもオススメです♪
さすが、ミシュラン ビブグルマン掲載のお店ですね♪


美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パッソ・ア・パッソ(東京 門前仲町)のイタリアンはとてもオススメ!

2016年09月21日 01時00分00秒 | 外食
念願の東京の東京メトロ門前仲町駅すぐのパッソ・ア・パッソへ行ってきました♪


↑店構え

いつも満員となるほど人気なお店で、予約は必須ですね♪
料理メニューはコース8千円のみとは驚きましたが、食材ロスをなくしリーズナブルにするためのようです♪

また飲み物メニューがないのにも驚きました♪
これもワインなど料理に合ったものを用意するためのようです。
あれこれ食べるものや飲むものを悩む必要がないのは嬉しいですね♪

ちなみに一人用のカウンター席ではワイン屋さんがワインを並べて、それぞれの料理を食べながら、料理に合うワインをどれにするかワインも飲みながら研究していました^_^)

最初にスパークリングワインかビールはいかがですかとのことでしたので、イタリアの白のスパークリングワインを頼みます♪
さすが甘くて爽やかで美味しいです♪
あまり飲めないので、お水を頼み、肉料理の前に赤ワインを出してもらうことにします♪


↑スパークリングワイン

そして冷製トマトジュレ入りガスパチョが運ばれ、夏らしくてひんやりで美味しいです♪


↑アミューズ

そしてパン3種が運ばれますが、さすがこだわりを感じますね♪


↑パン

そして前菜として鮎やマツタケの包み焼きが運ばれ、ひもをほどいて食べます♪
この意表さが嬉しいですね♪
鮎は長良川産とのことです♪


↑前菜包み


↑前菜包みを開いたところ

マツタケが大きく、そして香りがよく、出汁もよく効いていてさすがですね♪
スープもじっくり堪能します♪
鮎も柔らかくて美味しい♪

少し後でスプーンに盛られた鮎の肝が運ばれます♪
ちょっと苦味があり美味しい♪
鮎の肝はとてもオススメとのことでしたね♪


↑鮎の肝

そして、川魚の山女(ヤマメ)を丸ごとすりつぶしたスープが運ばれますが、アツアツで、少し苦みがありますが、これも出汁が効いていて美味しい♪
山椒がピリリと舌を刺激します♪


↑山女のスープ

そしてカブとウニのリゾットが運ばれますが、黒トリュフがタップリで嬉しい♪
これでもかと、こんなに黒トリュフが振りかけられていて豪勢です♪
これもリゾットが優しい感じでしっかりと歯ごたえもあり素晴らしいですね♪
これも逸品です♪


↑リゾット

そしてここで赤ワインが運ばれます。
次のロバ肉から赤ワインが合うとのことでしたね♪


↑赤ワイン

ラビオリの上にロバ肉を柔らかく甘く煮込んだものが運ばれ、これがラビオリと合って美味しい♪
ロバとは珍しいですが、ワイン用のぶどうの木は、狭い山道で育てられるので、現地では大きな馬ではなく、小回りが利くロバが重宝されるようです。
そのため、現地ではロバ肉も食するようです♪


↑ロバ肉とラビオリ

そしていよいよメインの奈良県の大和(やまと)牛が運ばれます♪
大和牛とはあまり聞きませんが、但馬牛の仲間のようです。
絶妙の火加減で柔らかくて、素晴らしく美味しい♪
これには感動しましたね♪


↑メインの大和牛

そして、圧巻だったのは、デザートの桃!
丸ごと1個で大きい♪
柔らかくなるまでシロップ等で煮込まれたようです♪
また後でシェフ自ら上から白のスパークリングワインをかけてくれて、より美味しく感じます♪
素晴らしい♪


↑デザートの桃

それから、飲み物として、エスプレッソかハーブティどちらにするか訊かれます♪
えっコーヒーや紅茶はないの?と思いましたが、ハーブティにしました♪
たっぷりのハーブで作られたハープティーが透明感があり美味しい♪
茶菓子も美味しいですね♪


↑ハーブティと茶菓子

それから、シェフの有馬邦明さんの著書「山のお肉のフルコース パッソ・ア・パッソのジビエ料理」という本もあり、後で読んで感動して、このブログでも紹介しました♪とてもオススメですね!

冬場の11月~2月はジビエ料理を提供するとのことなので、その季節にもぜひ行きたいと思います♪

パッソ・ア・パッソは、素材にこだわった美味しい料理を堪能でき、とてもオススメですね♪

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

割烹天竜(東京 清澄白河)の天然鮎コースはとてもオススメ!

2016年09月20日 01時00分00秒 | 外食
TV番組のアド街ック天国や、江東区のクーポン付き情報誌「ことみせ5月号」に掲載されている東京の清澄白河にある割烹天竜に行ってきました♪

場所は清澄通り沿いで、深川図書館近くの交番のすぐそばです♪


↑店構え


↑店構え

玄関が綺麗で、この通りを歩く際には気になっていたお店ではあります♪

店内はカウンター6席と4人の座敷が1つ、二人用テーブルが2つで全部で14席です。
しかも、18:00~21:00の営業で、2回転しないので、事前に予約することをオススメします♪

また6~8月は店主の地元の天竜川から仕入れた天然鮎を楽しめ、天然鮎コース6800円があり、これがとてもオススメですね♪


↑天然鮎コースのメニュー

この天然鮎コースは、前菜・お造り・塩焼き・天ぷら・酢の物・炊き込みご飯とすべて天然鮎が使われ、鮎三昧で楽しめます♪

飲み物は純米酒なども揃っていて素晴らしいです♪
お店の方が、山口の村重の純米吟醸が鮎に合うとのことなので、それを頼みます♪


↑飲み物メニュー

そして、その村重が運ばれますが、透明なガラスの急須で、中に氷が入っていて、冷酒を楽しめるのは素晴らしいと思いましたね♪
急須や器がとても美しい♪
夏を涼めるような趣向で素晴らしいと思います♪


↑村重

そして、さっそく前菜が運ばれます♪
子鮎のフライと枝豆、鮎の内臓(身うるか)、アボガトと川海苔を和えたものです♪
どれも美味しいのですが、「身うるか」は甘塩仕立てて珍味ですね♪
素晴らしいです♪


↑前菜

それから、今回は「ことみせ5月号」のクーポンを持って行ったので、鮎の甘露煮とキスの天ぷらが無料でサービスされて、とても嬉しいです♪
クーポンでこんなにお得感があるのは初めてかもしれません^_^)
とても柔らかく甘露煮が作られていて、これも酒に合いますね~♪


↑鮎の甘露煮

そして、お造りが登場です♪
鮎は「背干し?」とのことで、酢味噌で食べてくださいとのことでした♪
確かに酢味噌に合う!


↑お造り

その他、鯛やマグロの赤身、中トロ、イカ、甘海老なども上質で、わさび醤油に合います♪
上質さを感じて良いですね♪

そして、メインの鮎の塩焼きで、程よく焼かれていて柔らかいので、頭から食べられます♪
こんなに骨も柔らかく、美味しく食べられるとは驚き♪
こんなに美味しい鮎を食べたのは初めてですね!
これはとても感動しました♪


↑鮎の塩焼き

そして、鮎の酢の物も美味しい!
酢も上質さを感じ、これもとても美味しかったです♪
素晴らしいです♪


↑鮎の酢のもの

そして、クーポンのキスのフライがアツアツで美味しく、そして鮎やとうもろこしの天ぷら、鮎の唐揚げが、特に塩に合って美味しい♪


↑キスの天ぷら


↑鮎の天ぷら等

それから、きゅうりやごぼうの漬物が運ばれ、鮎の炊き込みご飯を見せてくれます♪
土鍋で鮎入りのご飯が炊き上げられ、アツアツで素晴らしいです♪


↑漬物


↑鮎の炊き込みご飯

炊き込みご飯は、お店の方がきれいにかき混ぜてくれます♪
味噌汁と、漬物と合って美味しいです♪
ご飯が余れば、おにぎりにもしてくれます♪


↑炊き込みご飯と味噌汁

そして、最後にデザートでした♪
これも、スイカやメロン、サクランボが上質さを感じます♪
素晴らしいですね!


↑デザート

割烹天竜は、上質な天然鮎を珍味から刺身・塩焼き・酢の物・天ぷら・炊き込みご飯と堪能でき、とてもオススメですね♪
冬場はフグを扱ったりもするようで、楽しみです。
平日ランチにもいつか行ってみたいと思います♪

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「こち亀展」(東京 日本橋高島屋)はとてもオススメ!

2016年09月19日 01時00分00秒 | イベント・外出
 東京の日本橋高島屋で開催されている「こち亀展」へ行って来ました♪

「こち亀」とは、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の通称で、「週刊少年ジャンプ」で1976年の連載開始から40年続いている、警察官・両津勘吉を主人公としたギャグ漫画ですね♪

私も小学生の頃などよく読んでいて、初期の頃はスーパーカーの話題があったと記憶しています♪
ハンサムな大富豪の警察官の中川が、ランボルギーニ・カウンタックで乗り付けて、確か色違いで3台持っていると言ってましたね^_^;)

また、これまた大富豪の婦人警官の麗子、頑固一徹な上司の大原部長など個性豊かな登場人物や、当時の旬なネタを盛り込んだ面白い内容だったと思います♪

ついにコミックが200巻とは凄いと思いますし、ギネスブックにも掲載されているようです♪

そんな「こち亀」の展示会ですが、秋本治先生監修のもと、3万枚を超える中から厳選された原画や展示物、映像などで楽しめる内容でした♪

 写真撮影できる所もあり、それらを含めて紹介したいと思います♪

開催は2016年9月14日(水)から2016年9月26日(月)までとなっていますのでご注意ください♪
入場時間は午前10時30分~午後7時までです♪(午後7時30分に閉場)

入口には、たくさんの花が飾られていましたね♪
あの漫画家の永井豪さんの花もありました♪


↑入口

そして写真撮影できませんでしたが、その40年間に発行された200巻のコミックが飾られていました♪
最初の100巻の表紙には、「~の巻」とタイトルが書かれていましたね♪
101巻目の表紙からは「~の巻」は書かれなくなったようです^_^)

そして、主な登場人物の紹介も詳しくありましたね♪

それから、3分30秒ほどの映像では、作者の秋本治さんが実際に両津勘吉を描くまでの、下書きから色を塗るまでが紹介されていて面白かったですね♪
そういう風に絵を描くのかと勉強になります♪
連載当初は、両津は怒り顔が多かったのですが、どんどん笑顔が増えるようになってきたようです♪
またどうしても、どんどん背が低くなりがちなので、顔を小さめに書いたり色々と苦労していたようです♪

後半は、写真撮影OKのコーナーで、以下のパネルの前でみんな記念撮影をしていましたね♪
確かにこの大原部長が馬に乗ったシーンは記憶にあります^_^;)


↑記念撮影用のパネル


↑記念撮影コーナー

それから、「こち亀」が描いた40年コーナーでは、当時の流行と漫画との関わりの説明があり、あぁそうだったと歴史を振り返ることもできて、楽しめましたね♪


↑「こち亀」が描いた40年

それから「こち亀」で両さんは色んな商売をやって儲けたり、損害を与えたりしていますが、その収支は大幅な赤字となっていましたね♪
それが表にもなっていて面白いと思いました♪


↑こち亀の収支

それから、祭のコーナーもありましたが、神田明神はちょうど今年2016年で400年で、「こち亀」はちょうど40年ということで、なにやらコラボもやっているようでしたね♪


↑こち亀祭

そのほか、想像以上に展示が盛りだくさんで、とても楽しめましたね♪

 東京の後は、2016年12月中旬から1月上旬に大阪で「こち亀」展がありますし、その他の地方でも検討しているようです♪
ぜひ「こち亀」展を楽しんで頂ければと思います♪

お勧めなお話(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「実践レシピ「いつものパン」があなたを殺す では、何を食べる?」という本はとてもオススメ!

2016年09月16日 01時00分00秒 | 
「実践レシピ「いつものパン」があなたを殺す」の購入はコチラ

 「実践レシピ「いつものパン」があなたを殺す では、何を食べる?」という本は、以前このブログで紹介した「「いつものパン」があなたを殺す」という本の続編で、具体的に小麦などグルテンフリーで炭水化物を減らした料理を紹介したものです♪

 この本の著者はアメリカ人ですが、この本では日本の食環境、日本の味覚にフィットするものを選び、日々のキッチンでより実践しやすいように工夫を加えたものとなります。

 具体的には本書は以下の構成となっています。

・低タンパク質で脂質を取り入れた方が良い理由等
・具体的に食べてはいけないもの等
・脳に良い食べ物
・基本の調味料
・朝食のレシピ
・昼食のレシピ
・夕食のレシピ
・軽食のレシピ
・デザートのレシピ

私もさっそくこの本を参考にして、料理を楽しみ、よりヘルシーになりたいと思います♪

ヘルシーな生活のために「実践レシピ「いつものパン」があなたを殺す では、何を食べる?」という本は、とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・20世紀に我々の食事は様変わりしたが、かつての「高脂肪・低炭水化物」の食事から、現在の(基本的に穀物やその他の危険な炭水化物から成っている)「低脂肪・高炭水化物」の食事への移り変わりが、脳に関わる多くの病気の根本原因だとも考えている。たとえば、慢性頭痛、不眠症、不安障害、うつ病、てんかん、運動障害、統合失調症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、それから重い認知低下や治療ができない深刻な脳疾患の前触れとしての物忘れなどがそうだ。

・私は過去30数年間、現役の神経科医として、日々脳のさまざまな機能障害や認知症の処置を行ってきたが、現在の一般的な医療制度では、予防策を講じて治すというよりも、いまだ強い薬を患者に用いる治療がほとんどだ。今の社会では、もしも体に何か異常があれば、医者のもとに出向き、その問題を緩和する(であろう)”特効薬”を処方してもらえばいい-そんなふうに思っている人が多いと思う。しかしほとんどの場合、薬を飲んで脳疾患を改善させることはできない。それに、たとえその症状のための薬があっても、必ずしも問題の根を取り除くわけではない。不安障害でも偏頭痛でもうつ病でも認知症でも、同じことがいえる。前著で私が強調した例の一つが、アメリカにおけるADHDの発生率だ。その数字からわかるのはまさに、健康管理において我々はいかに事前の策を講じず、受け身であるかということである。過去10年間でADHDだと診断される人が53%も増えている。ADHDは強力な薬を使って治療すべき病気であるとは私には思えない。こうして発生率が増しているのは、ほぼ間違いなく、子どもたちに「食べさせているもの」のせいだと考えている。しかし、医学的に立証済みだとして、投薬による「迅速な解決」が一番よいのだと親たちが納得させられてしまう場合もたびたびある。

・アメリカの成人人口の約10%はうつ病に苦しんでいる。そして通常はうつ病を「深刻な」病気とは考えないものの、それがアメリカにおける毎年おおよそ3万人の死に直接かかわっているということだ。うつ病はほぼ必ず強力な薬、つまり体や脳の自然な化学的性質を変えるうえ、多くの副作用を伴う薬によって治療する。実際、抗うつ剤はアメリカにおいて、もっとも多く処方される薬剤の一つにあげられる。しかし、すでに述べたように、うつ病、アルツハイマー病、ADHDは脳に関わる病気の中でも、食事によってあらかじめ防げる。抗うつ剤のような薬は、要するに「火を見ずに煙に対処する」ようなものだ。ここでいう「火」とは、まさしく私たちの体の中の”炎症”であると私は考える。

・現在では、脳にまで達する炎症経路をとりわけ刺激するものとして、「グルテン」(小麦や大麦やライ麦に含まれるタンパク質)や「高炭水化物の食事」があることがわかってきている。何より難しいのは、脳がいつマイナスの影響を受けているのか、自分ではほとんどわからないということだ。消化器官の不調や食物アレルギーはたやすく自覚できるが、それは腸内ガス、膨満感、痛み、便秘、下痢が比較的すぐに現れるからだ。しかし脳はなかなかわかりにくい。分子レベルの攻撃ならば、自分が何も感じないうちに脳は耐えてくれている。頭痛、めまいやしびれなどの神経系の問題が出てくるまで、脳で何が起こっているのかはわかりにくい。そのうえ、気づいたときには手遅れだ。そしていったん脳の病気であるとの診断が下されると、好転させるのは難しい。

・しかし、いい知らせもある。食べるものの選び方によって、炎症にじかに影響を与えられるということだ。さらに、がんや糖尿病、心臓疾患、肥満、そして実質西欧文化に共通するすべての慢性症状に炎症が関わっていることを考えれば、口にするものを変えることは、まさに人生を変えることにほかならない。本書では、遺伝子によってつくられる運命を(たとえ、神経系の病を発症する遺伝的傾向を持って生まれたとしても)、食事を通じてどう抑えることができるのかを示すつもりだ。そのためには、多くの人がなおもしがみつく、次の二つの「間違った思いこみ」を手放さなければいけない。
 1.炭水化物はヘルシー
 2.脂肪は悪

・驚くべきことに、血糖値の平均と脳内の二つの領域の萎縮の程度には、著しい関連性があったのだ。血糖値が「正常」値の範囲内であっても、高ければ高いほど、萎縮の程度も高かった。たとえアルコール摂取、喫煙、年齢、高血圧等の血糖値以外にも可能性のある要因を考慮したとしても、脳領域の萎縮の6~10%は血糖値に原因があると判断された。血糖値が高いことが脳、特に認知機能や記憶機能を司る領域の大幅な萎縮に直接関わっているということだ。そしていわゆる正常な(あるいは正常だと思っている)血糖値であっても、脳や精神的能力を維持するという意味においては、必ずしも理想的ではないということだ。本書は「理想的な血糖」を維持することだけにとどまらない、トータルな健康づくりを目指している。そしてそれは、砂糖やデンプンを含む食べ物(パン、パスタ、ポテトなど)を含め、炭水化物を減らすことだけで達成できる。

・オレンジジュースと同じように、果物は典型的な炭水化物源だ。誤解のないようにいっておくと、1日にブルーベリーひとつかみやリンゴ1個を食べることは何の問題にもならない。しかし、栄養学の専門家が「もっとフルーツを食べましょう」と勧めるままに4個も6個も食べてしまうと、体の糖代謝能力を破壊する可能性がある。目標は、1日の炭水化物の総量を60~80g以下にとどめること(つまり、グラス1杯のオレンジジュースはやめたほうがいい。その1杯は1日の炭水化物量の半分に相当するのだから)。それはこの本のレシピに従っているだけで簡単に実践できる。

・本書のレシピの最大の特徴は”脂質”である。そう、みんなが毛嫌いしている脂質だ。炭水化物の摂取量を十分に減らすのに合わせて、脳のためにできる一番重要なことといえば、ヘルシーで生命維持に欠かせない脂質を食事に取り入れること。人間は食物に含まれる脂質をおよそ260万年も前から口にしている。脂質は体の全細胞の健康のためには欠かせないからだ。食事に含まれる脂質は、ここ数十年にわたって悪者扱いされてきたが、実は脳のためには優れた燃料になる。最先端をいく科学者たちは現在、「食事に脂肪をたくさん取り入れるほど、脳は甘楽図健康でいられる」とはっきり言明している。読者のみなさんも本書のおいしいレシピをつくって食べてみて、脂質のありがたさを見直し、健康長寿の食事を楽しんでくださることを願っている。

・食生活の中でももっとも多く炭水化物を食べた人たちは実際に認知症の危険が増し、なんと89%も跳ね上がっていたのだ。しかし、すべての脂質が体にいいとは限らない。それに私は「肥満になれ」と勧めているのでは決してない。トランス脂肪酸をとったり、毎朝菓子パンを食べたり、ただ手頃だからといってコーン油で料理したりするべきではない。スーパーマーケットで売っている低脂肪・高炭水化物の総菜や、何ヶ月も棚においたままの調理油の多くに含まれるのは、脳にダメージを与え(そして人間を太らせる)”加工された脂質”だ。食事には、次に示すような”健康にいい油”をオススメする。
 ・エキストラ・バージン・オリーブオイル
 ・ココナッツオイル
 ・アボカド
 ・牧草で育てた牛
 ・(養殖ではなく)天然の魚
 ・ナッツ類(たとえばアーモンド、クルミ、ペカンナッツ)
 ・シード類(たとえばカボチャの種、チアシード、ひまわりの種)

・天然の完全食品である卵をもっと食べるようぜひともすすめたい!この70キロカロリーの「栄養のかたまり」には、人間が生きるために必要なすべての必須アミノ酸、それにビタミン、ミネラル、脳を保護する抗酸化物質が含まれている。それにはもちろんコレステロールもだ。

・現在のコレステロール撲滅キャンペーン-とくに心血管疾患、心臓発作の危険に関わっているというもの-は、まったくの事実無根だ。健康のためには、コレステロールがどうしても必要である。実際、体内のすべての細胞がコレステロールを作り出すのは、体に必要不可欠だからである。研究によれば、コレステロール値が低い人たちはうつ病になったり、自殺したり、そして高齢者の場合には、認知症を発症したり、さらには死に至ったりする危険性がとても高い。一部の研究では、85歳以上の高齢者の場合、コレステロール値が高いほど、認知症に極めてなりにくいと分かっている。

・実は、健康状態を判断する際に、参照すべきなのは、コレステロール値ではなく「ヘモグロビンA1c」という過去3ヶ月間の血糖値の平均を表す値だ。この値が高ければ高いほど、コレステロール値に関わらず、脳疾患にかかる危険性が高い。

・グルテンと呼ばれる特定のタンパク質が、体に与える有害な影響について触れておきたい。グルテンは、その名前からわかるように「接着剤(グルー)」のようだ。粘着性があり、それを利用してピザ生地やパンやパスタやケーキをつくる。ところが人間の生理機能は、人の体にとって比較的新しく、なじみのないこのタンパク質を扱うようにできていない。人間の体は見知らぬもの、異常なものに出会うと、一般に、免疫反応を起こす。つまりこれが炎症だ。グルテンに敏感な体質だと、体中で炎症が大幅に拡大してしまうことが明らかになりはじめて10年以上が経っている。これが恐ろしいのは、グルテンは現在私たちが口にしている多くの食べ物、つまり小麦や大麦、ライ麦でできたものなら何にでも含まれているからだ。さらに、たとえば全粒穀物のように「健康にいい」といわれているまさにその食べ物にも、グルテンは存在する。日々目にする食品のパッケージに書かれた宣伝文句や「全粒穀物はいかに体にいいか」と触れまわるうたい文句、あるいは低脂肪の利点など-人々はこうして脂質を避け、全粒穀物ならよろこんで食べるべきだという。しかし、それは大間違いである。グルテン抜きの生活習慣についてもっと知識を深めたい方は前著をお読みいただきたい。目下、「グルテンフリー」が注目を集めているのは、科学的にとても説得力があるからだ。特に脳の健康に関しては明らかである。

・神経学の世界で、炎症はさまざまな脳の病気の根本原因であることが認められるようになると、ただちに私はグルテン過敏症に苦しむほぼすべての患者の検査に着手し、頭痛や記憶力低下を訴えているかどうかを調べた。驚くべきことに、患者がグルテンを抜いた食生活を送るだけで、長年の症状が改善したのだ。どうにもならないような偏頭痛やてんかん、とめどない不安やうつ病にいたるまで、慢性的に神経系疾患に苦しんできた人たちが、いきなり解放されたのだ。だから私は患者でも研究仲間でも、耳を貸してくれる人なら誰にでも、低炭水化物の食事はもちろん、グルテンに敏感な人たちには、グルテン抜きの食生活を実践することの重要性について伝え始めた。「グルテン抜き」は、現役の医者として私が30年間に体得したどの処置よりも協力だった。

・「人間は小麦、つまりグルテンをずっと食べてきたのでは?」実際、私たちが小麦を食べ始めたのはおおよそ1万年まえで、農耕の開始に伴ってのことだ。かなり長い間、食べていると思う人はたくさんいるだろう。しかし、現実的に、人間がこの地球上で生きてきた時間の99%以上は、本質的に小麦なし、グルテンなしの生活なのだ。

・これを食べてはいけない①「穀物とデンプン」
大麦、ブルグア小麦、ファリーナ粉、グラハム粉、カムット小麦、マッツァー(ユダヤ式パン)、ライ麦、セモリナ粉、小麦、ライ小麦、スペルト小麦、焼き菓子、パン、パン粉、パン粉をまぶした食品、ケーキ、シリアル、グラノラ、クラッカー、プレッツェル、クッキー、ドーナツ、マフィン、パウンドケーキ、パスタ、クスクス、ペーストリー、小麦の麦芽物やデンプンを含むすべての食品

・これを食べてはいけない②「あらゆるグルテン源・糖資源・悪い油」
ベイクドビーンズ(缶詰)、ビール、ウォッカ、ワインクーラー、ブルーチーズ、ポテトチップス、市販のチョコレートミルク、チャツネ、ハム・サラミ、クッキングオイル(大豆、コーン、綿実、キャノーラ、ピーナッツ、ベニバナ、グレープシード、ヒマワリ、米ぬか)、コーン製品、ドライフルーツ、メブルシロップ、代用卵、アガベシロップ(砂漠に育つ植物から抽出された甘味料)、エナジーバー、フレーバーコーヒー、フレーバーティー、フローズンヨーグルト、フルーツフィリング、キャンディ、ハチミツ、ホットドッグ、アイスクリーム、シャーベット、インスタントの温かい飲み物、ジャム(及びゼリーやプレザーブ)、ジュース、ケチャップ、麦芽ビネガー、マーガリン、マリネ、市販のマヨネーズ、糖類(すべて)、乳製品を含まないクリーム、醤油、オート麦(グルテンフリーの認証を受けていないもの)、ピザ、プロセスチーズ及びチーズスプレッド、油でローストしたナッツ、サラダドレッシング、ソーセージ、トレイルミックス(ナッツとドライフルーツのスナック)、セイタン(グルテンから作られる人工の肉。グルテンミート)、ソーダ、即席スープ(及びブイヨンやブロス)、スポーツドリンク及びエナジードリンク、ジャガイモ、サツマイモ及びヤムイモ、照り焼きソース、植物性ショートニング(ちなみに天然醸造の醤油はグルテンフリーで製造可能だが、市販品の多くはグルテンを含んでいる。)

・これを食べてはいけない③「無脂肪・低脂肪食品」
「無脂肪」や「低脂肪」と明示してある加工食品すべて。ただし、ビネガーやマスタードや水などのように本来「無脂肪」や「低脂肪」であるものは除く。

・これを食べてはいけない④「大豆」「大豆加工品」
未発酵の大豆製品(豆腐、湯葉、油あげ、豆乳など)及び、大豆を使った加工食品すべて。加工食品は材料に「大豆タンパク質分離物」が含まれているかどうか必ず確認する。
ソイバーガー。ソイチーズ、ソイホットドッグ、ソイナゲット、ソイアイスクリーム、ソイミルクヨーグルト

・これを食べてはいけない⑤「グルテン含有成分」
加工食品を買うときは、成分表示を確認しよう。次の成分はグルテンが含まれていることを示す「コードネーム」だ。
アミノペプチド複合体、エンバク、玄米シロップ、カラメル色素(オオムギからつくられる)、シクロデキストリン、デキストリン、穀物発酵エキス、ヤバネオオムギ、オオムギ、加水分解物、加水分解麦芽エキス、植物タンパク質加水分解物(HVP)、麦芽デキストリン、加工デンプン、天然香料、ダイズタンパク質、コムギ、酵母エキス、フィトスフィンゴシンエキス

・これを食べよう①「健康にいい油」
アーモンドバター、アボカドオイル、ココナッツオイル、エキストラ・バージン・オリーブオイル、ギー(インドの精製バター)、オーガニックバターあるいは牧草牛のバターウォールナッツオイル、タヒニ(中東のゴマペースト)、カシューバター

・これを食べよう②「生の果実あるいは加工した果実の油」
アボカド、ココナッツ、オリーブ

・これを食べよう③「ナッツ/ナッツミルク」
無糖アーモンドミルク、無糖ココナッツミルク、生あるいは素焼きのナッツ類(ただしピーナッツは豆なので除く(市販用のパッケージされたナッツを購入するときは、表示を確認すること。糖類や避けるべき油脂で加工されたものは避ける。)

・これを食べよう④「乳製品」
すべてのチーズ(ただしブルーチーズや加工されたチーズ(添加物の多いもの、プロセスチーズなど)は除く。

・これを食べよう⑤「種/シード類」
チアシード、アマニ、カボチャの種、ゴマ、ひまわりの種

・これを食べよう⑥「ハーブ類、シーズニング、調味料」
生および感想させたハーブ、スパイス、根茎すべて、マスタード、西洋ワサビ、サルサ、タプナード、ビネガー、ハーブミックス及びスパイスミックスなど(市販用に加工さえた根茎やシーズニングの多くは小麦由来のビネガーや天然ステビア以外の甘味料を添加せずにつくってあればいい。加工食品は、小麦や大豆を処理する工場でつくられたために小麦や大豆が混ざっている場合があることに注意する。)

・これを食べよう⑦「野菜」
アルファルファスプラウト、アーティチョーク、アスパラガス、ビーツ、ピーマン、チンゲンサイ、ブロッコリー、菜の花、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、セロリ、キュウリ、ナス、フェンネル、ニンニク、インゲン豆、サヤインゲン、ケール、コールラビ、葉物野菜、ニラネギ、キノコ類、カラシ菜、タマネギ、カボチャ、ダイコン類、ワケギ、エシャロット、ホウレンソウ、スイスチャード、カブ、オオクログワイ(ミズクワイ)、クレソン、ザワークラウト(酢漬けキャベツ)

・これを食べよう⑧「低糖質の果物」
(アスタリスク(※)がついているものはやや糖質が多い。そのため控えめに食べること。新鮮なグレープフルーツなどを朝食に加えるのはまったく問題ない。しかしその場合は、ほかにモモや洋ナシなどの糖質が多い果物一緒に食べないこと。
グレープフルーツ※、キウイ※、レモン、ライム、プラム※、ネクタリン※、オレンジの皮、モモ※、洋ナシ※、トマト、市販用ピクルス(ただし小麦由来のビネガーや甘味料を使用していないか表示を確認する)

・これを食べよう⑨「タンパク質」
全卵、天然の魚、ギンダラ、カレイ、ニシン、シイラ、タイ、サーモン、イワシ、スズキ、マス、甲殻類および海産動物、貝類(ハマグリ、アサリなど)、ムール貝、カニ、ロブスター、タコ、イカ、カキ、エビ、牧草を与えて育てた牛の肉、および干し草を与えて育てた動物の肉、子羊、豚、子牛、牧草で育てた動物の内蔵、放し飼いの鶏、オーガニックの鶏、野鳥類、カモ、ダチョウ、ウズラ

・ほどほどに食べよう①「グルテンを含まない穀物」
以下の食品は食べ過ぎないようにすること。適度なのは、1日に1回、少量(約1人前)
アマランサス、そば、アワ等の雑穀類、オーツ麦(オーツ麦は天然にはグルテンを含まない。ただし小麦を処理する工場で加工される場合にはグルテンが混ざることがある。グルテンフリーであることが保証されていないかぎりは避けること)、キヌア、コメ(玄米、白米、マコモ)、ソルガムキビ、テフ、ふりかけたりコーティングしたりソースにとろみをつけたりするためにごく少量用いあられるグルテンを含まない粉類、タピオカデンプン、粟粉、玄米粉

・ほどほどに食べよう②「豆類」
乾燥豆、レンズ豆、乾燥グリーンピース

・ほどほどに食べよう③「糖質の多い野菜」
ニンジン、白ニンジン

・ほどほどに食べよう④「全脂肪の乳製品」
(レシピの中でごくひかえめに、あるいはトッピングとして用いる)
カッテージチーズ、ケフィア、ヨーグルト、生クリーム、牛乳

・ほどほどに食べよう⑤「甘い果実」
(アスタリスク(※)がついているものはかなり糖質が多いので、特別なごちそうとして控えめに食べること)
リンゴ、アプリコット(※)、バナナ、ベリー類、サクランボ、ブドウ、マンゴー(※)、メロン(※)、パパイヤ(※)、パイナップル(※)、ザクロ

・ほどほどに食べよう⑥「甘味料」
天然ステビア、カカオ含有量が70%以上のダークチョコレート

・ほどほどに食べよう⑦「嗜好品」
甘味料無添加のココアパウダー、ワイン(できれば赤)1日1杯

・基本のビネガーソース
エキストラ・バージン・オリーブオイル375ml、ワインビネガー(赤、白どちらでもよい)大さじ6、塩・こしょう適宜(常温は3日まで。冷蔵では1ヶ月保存可能)

・朝のグリーン・ジュース1人分
ホウレンソウ50g、セロリ1本70g、キュウリ1本85g、ショウガ1かけ10g、アボガド大1個200g、レモン汁しぼりたて1/2個、水250g、塩ひとつまみ

・ズッキーニパンケーキ2人分
ズッキーニ1本半250g、卵白Lサイズ2個、アーモンドパウダー大さじ2、パプリカ粉末小さじ1、塩・コショウ適宜、澄ましバターまたは無塩バター大さじ3

・激うまトマトスープ4人分
無塩バター40g、タマネギみじんぎり小1個100g、ニンニクみじんぎり小さじ1/2、完熟トマト大3個600g、塩・コショウ適宜、フェタチーズ適宜、ピンクペッパー適宜、バジル適宜

・カレー風味のポークシチュー2人分
ココナッツオイル大さじ1、豚肉さいの目切り170g、タマネギみじん切り80g、ニンニクみじん切り大さじ1/2、ハラペーニョまたは青トウガラシ種を取りみじん切り小さじ1/2、カレー粉辛口大さじ1、カイエンペッパー小さじ1/4、ターメリック粉末ひとつまみ、ホウレンソウ太い茎を除く170g、ココナッツミルク無糖435ml、塩適宜、黒こしょう適宜

・カポナータ(夏野菜のトマト煮)8人分
エキスト・バージン・オリーブオイル40ml、赤タマネギ角切り大5/4個250g、ニンニクみじん切り小さじ1、ナス角切り4本450g、赤または黄パプリカ種を取りさいの目切り大1個150g、カットトマト1缶400g汁も使う、グリーンオリーブみじん切り100g、バジル生みじん切り大さじ1/2、オレガノ生みじん切り小さじ1/2、赤ワインビネガー90ml、塩・コショウ適宜、ケッパーお好みで20g

・セサミチキン2人分
鶏肉うす切り4枚各70g、塩・コショウ適宜、白ゴマ150g、アボカドオイル大さじ3/2、無塩バター35g、レモン汁しぼり立て1/2個

・ホウレンソウのソテー ワケギとカボチャの種をのせて2人分
ホウレンソウ(固くて太い茎を除く)220g、アボカドオイル大さじ1/2、塩・あらびき黒コショウ適宜、カボチャの種5g、ワケギ適宜

・イエローズッキーニのソテー バターとチーズ風味のパスタ2人分
イエローズッキーニ1本半250g、ズッキーニ1本半250g、無塩バター40g、塩コショウ適宜、パルメザンチーズすりおろし60g、ルッコラ細切り50g

良かった本まとめ(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナタラジ(東京 銀座)の自然派インド料理はとてもオススメ!

2016年09月15日 01時00分00秒 | 外食
ZAGAT2013に掲載されていたので、東京の銀座六丁目のユニクロの隣にあるナタラジへ行って来ました♪

自然派の料理を提供し、完全ベジタリアンのビーガン向け料理も提供するということで気になってはいました♪

ナタラジのホームページを見ると、このお店のコンセプトは「からだが喜び、食べたあとに心地良さが残る料理、身体も心も満足するヘルシーな野菜料理」を提供することとのことです。

ナタラジには、3つの自家農園があり、野菜はすべて完全無農薬と有機肥料というのは素晴らしいですね♪
ナンは国産小麦を使用し、天然酵母を使っていて、ご飯は有機無農薬玄米を使っているとのことです♪

エレベーターで7Fに上がります。
7F~9Fがナタラジのようです。

店内がとても明るく綺麗なのには驚きましたね♪
巷のインド料理店とは違い高級感があります♪


↑店内


↑店内

スッキリと清潔感がありながらも、インドらしい飾りも間接照明で美しく置かれていて、とても良いですね♪

席に着いて、メニューをみます♪
ホームページにも掲載されているアーユルヴェーダの知恵や国産小麦使用の天然酵母パン、有機無農薬玄米等についても書かれています♪


↑こだわりの素材についての説明


↑メニュー

単品でも注文することができますが、せっかくなのでセットを注文しました♪
からだにやさしいマクロビオティックメニューの「シャンティ・セット」3960円(税込)です♪
もう一人は「グジャラート・ターリー」3910円(税込)です♪

まず、パパドとサラダが運ばれました♪


↑パパドとサラダ

パパドは小麦粉を薄く伸ばして焼いたものですね♪
パリパリしています♪
サラダはシャンティサラダで、発芽米や海藻、きのこなどが入ったシャキシャキ野菜のサラダです♪
さすがヘルシーです♪

そして前菜はナタラジスペシャルで、植物性グルテンをスパイシーソースで炒めた前菜のナタラジスペシャルが美味しい♪
これが結構腹持ちするんですよね♪
野菜ばかりなので、お腹いっぱいになるのかと思いましたが、結構お腹は貯まります♪
しかしお店の人によると、野菜ばかりなので翌日の胃の調子が軽やかになるとのことです♪


↑ナタラジスペシャル

そして、メインの根菜豆腐カレーと豆カレーが運ばれます♪
根菜とうふカレーは、レンコン・こぼう・とうふ・きのこ・かぼちゃなどが入ったマクロビオティック対応のカレーです♪


↑根菜豆腐カレーと豆カレー

ナンは小松菜ビーガンナンを注文しました♪
小松菜が入って、緑色のナンとは初めてでしたね♪


↑小松菜ビーガンナン

ナンはアツアツで、それをカレーに付けて食べますが、美味しい♪
特に根菜豆腐カレーが美味しいですね♪
カレーはそんなに辛くなく、辛いのが苦手な私にとっては嬉しいですね♪
豆カレーの方は、小さなナッツ類のようなものが入っていて良かったです。

そして、最後にデザートですが、豆乳タピオカにフルーツが入ったもので、マクロビオティック対応とのことです♪
甘くて美味しい♪


↑豆乳タピオカキール

肉や魚がなくてお腹いっぱいになるのかと思いましたが、結構豆類が腹持ちするようで、すっかりお腹いっぱいになりましたね♪
確かに胃が軽く感じヘルシーなようです♪
想像以上に美味しくて、しかも無農薬・有機野菜を使用していて素晴らしいと思います♪

それから、「グジャラート・ターリー」セットはまずパパドは同じで、サラダが違っていましたね♪


↑パパドとサラダ

カレーは野菜カレー2種と豆カレー1種と3種類あるのが素晴らしいですね♪
小ライスもあります♪


↑カレー等

それからナンではなく、メティ入りパラタを注文していましたね♪


↑メティ入りパラタ

デザートはキールというライスプディングでしたね♪


↑キール

こちらもどれも美味しそうでした♪

なお、ナタラジではランチは1130円でカレーや飲み物等食べ放題・飲み放題とは素晴らしいですね♪
今度行ってみたいと思います。

ナタラジは、とても綺麗な店内で、ヘルシーで無農薬・有機野菜をメインとしたカレーなどを堪能でき、とてもオススメです!


美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「大甚本店(名古屋市)」の居酒屋はとてもオススメ!

2016年09月14日 01時00分00秒 | 外食
 約5年前に旧東海道等を通って、自転車で東京から京都まで約8日かけて旅行したことがあるのですが、その際、東海道居酒屋という本を読んで、ぜひ行きたいと思っていた居酒屋が、名古屋市にある大甚本店です♪

 しかし、当時自転車旅行なので、天候を気にしなければならなかったので、この日は先を急いで岐阜市まで行ったことから、この大甚本店は行けず、悔しい思いをしていました^_^;)

 そこへ、たまたま名古屋の大甚本店のすぐ近くに行く用事が出来て、そして夕方に時間が空いたことから、これは天命だと思い(言い過ぎ^_^;))、思い切って行ってみました♪

 場所はJR名古屋駅から地下鉄で一駅の伏見駅の真上となります♪
危うく間違えて「大甚中店」へ入ろうとしてしまいましたが、「大甚本店」へ入ります^_^;)
「大甚中店」は支店でしょうか?


↑大甚本店の店構え

 16:30に到着したのですが、こんな早い時間ですでに席がほぼ満席という状態には驚きましたね♪

大人気です♪
後で2階も覗いてみましたが、2階も満席でしたね♪

開店は16時のようです。
早い!


↑ほぼ満席で大賑わい

 この人気の大甚本店は、創業は明治40年で、もうすぐ100年という老舗ということにも驚きましたね♪
店の壁に、その記事が貼られていました♪


↑創業は明治40年の記事

 そして生ビールの生中を注文します♪
あぁ美味しい♪

 驚いたのは、ツマミはたくさん種類があるツマミの小皿から、自分で好きな皿を選んで、自分の席へ運ぶという素敵なシステムだったということです♪

 お店の方から必要に応じてお盆も渡され、そのお盆にツマミの皿を4つほど乗せて、自分のテーブルまで運びます♪


↑ツマミの小皿

 お店の方は、ツマミの皿がなくなれば、大皿に大量に盛られたツマミを、次々と小皿に移して行きます♪


↑ツマミの大皿

 壁のメニューを見ると、ほとんど250円のようです。
板わさが470円だったかな?
どうも皿の大きさや形で金額が決まっているようです♪


↑壁のメニュー

刺身が時価というのは気になります^_^;)
会計は、お皿の数を大きなソロバンで計算していましたね^_^;)
さすが、老舗♪

まずは、オーソドックスに枝豆や、〆鯖、珍しいシャコ、バイ貝を持ってきます♪


↑枝豆、〆鯖、シャコ、バイ貝

シャコは茹でたもので、自分の手で身をはがして食べますが、酢醤油に合って美味しい♪
初めて食べましたね♪


↑シャコ

バイ貝も柔らかく、甘~く煮込まれていて、これは酒が進みます♪

それから、穴子やイワシの煮付け、揚げ豆腐なども美味しく食べます♪
穴子は甘く、イワシもかなり甘くて大きい♪


↑穴子、揚げ豆腐、イワシ煮付け

そして、板わさが大きく、そして表面に焼きが入っていてこれも絶品♪


↑板わさ

そして甘く煮込まれた穴子と里芋♪
これも美味しい♪


↑穴子と里芋

すっかり、たっぷり飲んで、食べてお腹いっぱいになり幸せな気分です♪
回りも笑顔が絶えませんね♪
あぁ写真を撮り忘れましたが、辛子が効いたポテサラも美味しかったですね♪

 お勘定を頼むと、お店のおじさんが大きなソロバンを持ってきて、計算してくれます。
え~一人約2400円とリーズナブルなのには驚きました♪
こんなに食べたのに・・・
大甚本店は素晴らしいお店だと思います^_^)

名古屋市の中心で、老舗でワイワイしたお店で、たくさんの美味しいツマミを現物を見ながら選び、リーズナブルに飲めて、大甚本店はとてもオススメです!
一つ夢が叶えて嬉しかったですね♪

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「割烹 堂島(大阪市 北新地)」のランチはとてもオススメ!

2016年09月13日 01時00分00秒 | 外食
大阪市のJR大阪駅近くの北新地にある割烹 堂島でランチを堪能しました♪

大阪の北新地でコスパに優れているランチとしてNAVERに掲載されていたためです♪

場所は堂島アバンザの近くで、大きな立体駐車場の前です。

ホームページも綺麗ですが、店構えも綺麗でしたね♪


↑店構え

平日11:30頃訪れたのですが、気持ちよく出迎えてくれます♪
カウンターで予約していたのですが、個室を案内されたので、個室に入ります。
ランチであれば個室は無料とのことです♪
すごい!

個室には、掛け軸と生け花が飾られており、どちらも美しい♪
心が安らぎます♪
BGMは静かに琴が奏でられていて、日本の情緒を感じますね♪


↑掛け軸と生け花

お店の優しい女将と少しお話しすると、創業43年とのことです。
老舗でこんなに店を綺麗にしているとは素晴らしいと思いますね♪

メニューを見て、「おばんざい膳」980円を選びます♪
1650円の天心以上の料理は、前日までの予約が必要とのことです。


↑メニュー

温かいお茶か冷たいお茶かを問われ、梅雨時で蒸し暑かったので、冷たいお茶にします♪

そして、すぐに「おばんざい膳」が運ばれます♪


↑おばんざい膳

カツオのたたきや、薄味の柔らかい卵焼き、おから、細かい切れ目が入った茄子と味噌、肉じゃがなど、どれも想像以上に上質で美味しい!

また、味噌汁も赤出汁で、出汁がよく効いていて、そして酸味があり美味しい♪

素晴らしい味ですね♪
そして、どれもヘルシーで嬉しいです♪

「割烹 堂島」では、こんなにも上質な空間と料理を980円とリーズナブルに美味しく堪能できて、とても素晴らしかったですね♪
とてもオススメです!

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長崎市の原爆落下中心地等へ行って来ました!

2016年09月12日 01時00分00秒 | イベント・外出
 1945年8月9日午前11時2分にアメリカ軍のB29により投下され、長崎市上空約500mで爆発した原子爆弾は、爆心地直下で約3400℃となり、爆心地から秒速500mの爆風が吹き荒れ一瞬にして約7万人以上の多数の死亡者を出したとのことです。

 この原子爆弾の主体はプルトニウム239で、およそ10kgのプルトニウムが使用され、実際に核分裂を起こしたプルトニウムは約1kgと推定され、この原子爆弾が炸裂した場所は、長崎市の松山町171番地(当時はテニスコート)とのことです。

現在は石柱が建てられています。


↑原爆落下中心地のある公園


↑原爆落下中心地の石柱

また、原爆殉難者名奉安にもなっていて、平成27年8月9日現在で168,767人となっています。


↑原爆殉難者名奉安者数

 なぜ、ここが原爆落下中心地と判明したかというと、大浦天主堂や病院、交番の3点で、それぞれ強烈な熱線により影が焼き付けられた状態として残っているので、それらを逆算して原爆が爆発した中心地と高さが判明したようです。

また、近くには被爆当時の地層を見ることができるようになっていました。

護岸工事している際に出土したようです。

 原爆によって壊された家の瓦(かわら)や、レンガ、熱によって焼けた土や溶けたガラスなどが現在でも大量に埋没していて、驚きましたね。
当時の原爆の爆発の凄まじさを感じてしまいます。
被爆当時の悲惨な実相を示す史跡として貴重な物だと思います。


↑被爆当時の地層


↑被爆当時の地層の説明


↑護岸工事現場より出土した状況

また、当時の焼け野原となった状況の写真や、被爆直前の地図を見ることもできます。


↑当時の焼け野原の状況


↑被爆直前の地図

それから、長崎市全体の原子爆弾被害区域図もありました。


↑長崎市原子爆弾被害区域図

 これら原爆落下中心地石柱や当時の地層などは、今後の平和のために、このような過去が二度と行われないようにするためにも貴重な史跡だと思います。

 なお今回は被爆者の方による訴えの講演を聞く機会があり、心を打たれました。

 この被爆者は12歳の時に被爆し、爆心地近くの防空壕に避難していた重傷の父と軽症の母に被爆二日後に会えたにも関わらず、約1週間後に相次いで父母は死亡したようです。

 父の死亡の際にはあまりの惨状に感情を失い涙すら出なかったようです。

 また現在資料館などで被爆者の写真はよく見ますが、この被爆者が特に心を打たれるのは当時同世代の小学生が爆心地近くで黒焦げとなった死体の写真とのことで、その黒焦げの写真の彼が自分に「お前は生きているではないか?原爆を伝えるのはお前ではないか?」と問われるように感じるようで、そのため現在ガンを患いながらも、原爆の語り手を3年前から始めたようです。


↑小学生の写真

 「平和があるからこそ豊か」なので、皆さんにはぜひ「平和を作るエリートになって欲しい」と力強く述べておられ、強く感銘を受けました。

 この平和への意志は、ぜひつないで行きたいと思いました。

お勧めなお話(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「山のお肉のフルコース(有馬邦明)」という本はとてもオススメ!

2016年09月09日 01時00分00秒 | 
「山のお肉のフルコース」の購入はコチラ

 「山のお肉のフルコース」という本は、東京の門前仲町にある人気店「パッソ・ア・パッソ」が提供する日本国産のジビエ料理や、それらシカやクマ、イノシシ、タヌキ、カモ等ジビエの現状・捕獲法・下処理法・解体法、それらジビエに関わる漁師やその狩猟等について分かりやすく、丁寧に書かれています。

 特に「パッソ・ア・パッソ」で国産の各ジビエを臭わずに美味しく食べるために、仕留めた後に素早く処理していることや、国内各地の漁師に話を伺いに行っていること等は素晴らしいと思いましたね。
 国産にこだわるのが素晴らしいと思います。

 そしてとにかく、本書に掲載されている料理の写真がとても美しい♪
これは食欲をそそられますね♪

 また、各ジビエの特徴なども分かりやすく説明されていて、とても興味がそそられます♪

 今はシカが全国で増えすぎているようなので、今後こういったジビエが上手く日本国内で流通して気軽に美味しく頂けるようになるといいなぁとも思いましたね。

 本書を読むきっかけとなったのは、この「パッソ・ア・パッソ」で食事をして美味しかったからですが、店主は色々と料理のことを面白く丁寧に説明してくれ、料理に対する意気込みをとても感じました♪
 その時にこの本の存在を知りました♪

 たまたまこの「パッソ・ア・パッソ」で食事をした際は、ジビエの季節ではなかったのですが、今度はぜひ11月~2月に訪れて、これらジビエを美味しく頂きたいなぁと思いましたね♪
ぜひまた行ってみたいと思います。

 なお、この「パッソ・ア・パッソ」は、現在のところはディナーのみでランチはなく、食事はおまかせの8000円のコースのみとなります♪
食材ロスをなくすためにも、その時その時に美味しいものを提供したいためのようです。
またワインなどは料理に合ったものを選んでくれます♪
食事もドリンクもメニューがないお店です♪

 「山のお肉のフルコース」という本は、日本国産のジビエのことがよく分かり、また構成もよくて読みやすく、とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・11月から翌年2月にかけての4ヶ月間くらい、ジビエ料理をコースでお出しします。ジビエとはフランス語で食べられる野生鳥獣のことをさします。フランス料理やイタリア料理でよく聞く言葉ですから、なにか特別な料理のように思われるかもしれません。でも僕にとっては、春の山菜、初夏の鮎、秋のきのこ、と同じようにごく自然に日本の四季を感じさせてくれる食材のひとつです。森林が豊かな日本には昔から野生のイノシシやシカ、クマなどがいます。それらももちろんジビエです。秋冬になると肉にほどよく脂をもち、一年で一番おいしくなってきます。だから僕はこの時期にジビエを使う。そして、日本のコックさんが日本で料理をしているのだから、日本のジビエを取り寄せる。それだけのことです。ジビエが売れるからジビエのコースをするのではなく、ジビエが旬の食材だから使いたい。北は北海道から南は沖縄まで、日本各地のジビエが、時に丸のまま、時に解体されてブロックに分けられて僕のところに届きます。ただどこの肉でも、誰がとったものでもいいというわけではなく、その猟師さんでなければいけない理由があります。マタギさんのような専業の猟師さんじゃなくてもいいんです。肉になることを考えて撃ってくれて、最後まで大事に扱ってくれる、山をよく知っている、何より、山や自然を理解し、守ろうとしている。こういう猟師さんたちが送ってくれるジビエは、箱を開けた瞬間から違います。やさしい山の香りがする。「よし、がんばって料理するぞ」っていう気持ちになれる。そんな食材にぴったりの料理法を考え、料理に仕上げることにやりがいを感じますし、食べてくださって「おいしい」と言っていただけると、とても幸せです。

・有馬シェフのジビエ地図
 ・北海道・広尾町:エゾシカ、ヒグマ
 ・新潟・津南町:マガモ、ハシビロガモ、カルガモ
 ・富山・南栃市:イノシシ、ツキノワグマ
 ・長野:イノシシ、ツキノワグマ、ホンシュウシカ(ホンドシカ)
 ・千葉:コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キジバト、タシギ、シギ、コジュケイ、キジ、ハクビシン
 ・神奈川:ヒヨドリ
 ・岐阜:ツキノワグマ、イノシシ、タヌキ、スズメ
 ・滋賀・朽木:ホンシュウシカ、イノシシ
 ・鳥取:ホンシュウシカ
 ・愛媛:キジ、ヤマドリ
 ・福岡・糸島市:アナグマ、タヌキ、イノシシ
 ・宮崎:マガモ、ヒドリガモ、コガモ、ハシビロガモ

・定番はレバーペーストです。え?レバーはくさいですって?まずは食べてみてください。そんなことはない、と感じて頂けるとうれしいです。各動物が持つ特有の風味はありますが、くさいと思うのは、レバーそのものの質がよくない場合が多いです。レバーペーストは状態がいいもので作らないと苦みや臭みが出ておいしくない。たとえばシカなどの動物は、仕留めたあとすぐに頸動脈を切り、すべての血を流さないと、血や肉が内蔵にまわってしまって、それがにおいのもとになります。そして、内蔵を抜き取り、肉、内蔵とも即、冷やさないといけません。そうしないと、どんどん劣化が進んでいきます。また、弾の当たる場所が悪いと、シカがもがいて全身に血がまわり、当然、内蔵も傷みやすくなります。僕のところには猟師さんたちが仕留めたあと、素早く処理をしたものが送られてくるので、レバーは非常にフレッシュできれいなんです。鳥類は内蔵がついたまま送られてきますが、大切に扱ってくれているのでくさくはならない。それらをペーストにして、今日のコースではどんな肉を使うかを紹介するとともに「僕のところのジビエはこんなにいいんですよ」と、まずは伝えたい。つまり、今日のコースのナビゲーターになるのが、レバーペーストの盛り合わせなんです。

・僕が修行した場所はイタリアの中部、トスカーナというエリアです。そこの名物料理のひとつにレバー・パテがあり、パテ・ディ・フェーガトと呼ばれていました。だから、僕にとってはとても思い出深い料理のひとつといえます。パテ・ディ・フェーガトを、カリカリに焼いた塩味のパンにのせたクロスティーニは、イタリアの前菜、アンティパストとしてポピュラーです。ワインのおつまみとしてもぴったりです。僕のレバーペーストの作り方は、どの肉でもベースは同じです。簡単にいうと、レバーをたまねぎとともにオリーブオイルで炒め、ミキサーにかけてペースト状にしてからバターで仕上げます。裏ごしをするので、口あたりはかなりなめらかです。

・テリーヌは、「なんでもミンチ」で作ります。この「なんでもミンチ」とは、大きい肉の塊はとれない小さな肉、つまり首肉、肩肉、腕肉、すね肉、尾の付け根といった肉などを中心に、肉を切り整えたときに出た端肉、骨をはずしたときに骨についた肉など、いろいろな肉をすべて集めて、フードプロセッサーにかけてミンチ状にしたものです。肉の種類も、部位も、量も、大きさもバラバラ、手に入るものは毎日異なるから、色も味も毎日違います。でも、ひとつの肉ではなくいろいろな味が混ざると、うま味の相乗効果なのか、とてもおいしくなるように思います。そして何よりこうすると食材が無駄にならないから、気分的にも気持ちがいい。テリーヌは「なんでもミンチ」にお酒やハーブを加えてテリーヌ型に詰め、蒸し焼きにしてから冷やし固めたものです。その日に使った肉で作ったわけですから、テリーヌを食べれば、その日のコースの肉を全部食べたことにはなります。つまり、ジビエコースをギュッと凝縮させた味わいが、このテリーヌだといえます。カツレツにも「なんでもミンチ」を使っています。テリーヌような冷たい温度で食べるのではなく、温かい温度で食べてもらうのがカツレツ。肉汁がジュワッと出てきて、テリーヌとはまた異なる味を楽しんでいただけます。

・僕はローストという料理法が好きです。理由は、すごく難しい調理法だから。ローストは肉の中心部にどれほど熱を入れていくか、そして香ばしさをどう表現するかが大きなポイントの料理です。僕は、肉のおいしさは香ばしさだと思います。焦がすのではなく、香ばしくする。そのタイミングをのがしたくない。ブタやウシなど飼育されている動物の場合は、ある程度計算された脂身が赤身肉に入っているので、少々、火を入れすぎても固くなりにくい。でもジビエにはサシで脂が入らず、脂身の部分と赤身肉の部分が分かれているので、赤身肉への火入れのタイミングの幅がぐっと狭くなります。また、管理されていない自然の肉だから、どういう肉の状態であるかは、見て、においをかいで、触って、自分の経験値で焼き具合を判断しなくてはいけません。同じ種類の肉でも個体差があって、決して同じ条件の調理法になりません。オーブンから出し、余熱を使って休ませ、その結果どういう火入れになるか?それを考えるのが、食材と対話できているようでおもしろいです。

・ツキノワグマは富山県のYさんが撃ったものです。ツキノワグマの脂はほれぼれするほど真っ白できれいです。秋冬になると赤身の上に脂がたくあんのってくるのですが、脂身が赤身の3倍くらい厚くなるものもあります。この脂を、なんとかおいしく食べてもらいたい。Yさんに聞くと、地元では脂身を薄く切ってしゃぶしゃぶにして食べるのだそうです。あとは、すき焼き風にたっぷりの野菜と一緒に食べるとのこと。イタリア料理で肉の脂そのものを食べる料理といえば、ラルドです。これは、ブタの背脂を塩漬けにしたもので、薄く切ってサラミと一緒に盛り合わせたり、焼いたパンにのせて食べたりします。このときのパンは「熱々」でなければなりません。パンの熱によってラルドの表面がジュワッと溶けて、絶妙な味わいになるのです。僕はイタリアのラルドの作り方と同じように、ツキノワグマの脂の塊を塩漬けにします。ハーブは使わずに、シンプルに塩とこしょうだけをまぶします。ツキノワグマの脂は融点が低いので、口の中に入れるとすぐに溶けます。溶けて、口の中でフワッと広がる風味がなんともいえず、甘いんです。

・ヒグマは先のコッパと同じように、同じ産地、つまり今回は北海道のお酒を加えて煮込みました。そして、その日にある野菜の端っこを入れて柔らかくなるまで煮ます。たいてい大根やネギ、ショウガは加えますね。だってジビエの時期は大根やネギが美味しいから。香りや甘みを加えることができますし、ショウガはジビエのとがった香りを和らげる働きがあります。大きなブロックの肉だと、柔らかくなるまで半日間くらいかかるでしょうか。脂が浮いてくるので、それを丁寧にすくいとっていきます。その脂は集めてリエットに加えたり、コンフィに使ったりと、ラードのように使います。半日間煮続けても、ヒグマは筋肉質で大丈夫なので型くずれすることなく、適度な食感が残りつつ柔らかい肉に仕上がります。この時期の北海道のヒグマは、仔グマでも鮭を食べているからか、大人のクマに比べるとクマ臭は少ないとはいえほのかに魚のような香りがするので、その香りをなじませるために、煮込むときに野菜をたっぷり加えています。そして蕪の葉をすりつぶしたものにワインヴィネガーとにんにくを加えてペーストにし、サラダ仕立てにしています。

・僕はコースの中に必ずスープを入れます。僕にとってすごく大事な料理なんです。そして、コースのみのご用意だからこそ、スープをメニューに入れたいと思っています。というのは、お客様自身で好きな料理を選んでいただけるアラカルトメニューにスープを入れていても、あまり注文してくれないんです。どうせなら肉をガツンと食べたいし、変わった料理を食べたいし、何よりスープだけでお腹いっぱいになってしまうのはイヤだし、という心理が働いてしまうのかもしれません。水が豊かな日本には昔から汁物は欠かせません。軟水なので素材に対してとてもクリアなスープができまs。水のおいしい日本ならではの料理だな、と思います。「スッポンとトマトのスープ」「鮭児と大根のスープ」「ホロホロ鳥とズッキーニのスープ」など、旬の魚介または肉に、同じく旬の野菜を組み合わせることが多いです。素材から出た味を生かしたいのでワインで香りをつけたり強い調味料を使ったりはせず、味つけのベースは塩で、オリーブオイルを少し垂らすくらいで仕上げます。少量でもじんわりと体にしみわたり、リッチな気分になっていただけると思います。

・スープというとベースは出汁。ジビエの場合はジビエのガラからとります。骨や、骨についた肉、肉を成型したときに出た端肉などを、寸銅鍋にボンボン入れます。フランス料理やイタリア料理の場合は、ガラをオーブンで焼いてから香味野菜で、という技法もありますが、素材の味をダイレクトに伝えたいので、僕はもう、そのまま、ボンボン。そして、そのときに手に入る野菜はなんでも加えて、コトコトコトコト時間をかけて煮込みます。出汁をとるときのポイントは弱火にすること。強火にしてゴボゴボ炊くと、濁ってしまいますから。ジビエから出るイノシン酸、トマトのグルタミン酸、シイタケのグアニル酸など、たくさんの素材が入るほうが、うま味物質っていうのですかね、いろいろな味が混ざりあって、複雑味を出しておいしくなると思っています。あっ、でも、ゴボウのように土の香りが強い野菜のときは、ほかの野菜とは別鍋にします。ゴボウとアナグマだけ、ゴボウとイノシシだけ、というように単独で組み合わせ、野菜そのものの味をもっと前に出すことを意識したものにします。出汁が一番よく出るのはやっぱり骨ですね。そして、骨はすごく正直です。素材の善し悪しがはっきり出る。古い骨や不健康な骨からとった出汁はよくないんですよ。スープを飲んでいただくと、僕が扱う食材のよさが、そして漁師さんや生産者のすごさがわかっていただける、くらいに思っています。さらに、ジビエの骨からじっくりと煮出した出汁のうま味をジビエの肉に戻してあげたい。そんな気持ちでこの出汁を、スープやソースに使いたいんです。

・コジュケイってご存じですか?昔から日本ではポピュラーな野鳥で、「チョットコーイ、チョットコーイ」と甲高い声で鳴くんです。もともと鑑賞用の鳥なので羽は鮮やかできれいなのですが、茂みの中に隠れているため捕まえるのは難しく、手にはいるのは珍しいジビエです。猟が制限されている鳥ではないですが、飼育されている鳥でもないので、漁師さんが捕まえてくれたジビエとしてしか食べられません。今回はYさんが千葉で撃って送ってくれました。ウズラがぷっくらと少し太ったような体型をしていて、キジ科なので味はキジに似ていて淡泊です。鳥類をさばいた際に出た骨は水で煮出して出汁をとります。たいていの鳥はそれぞれの個性が出ますが、コジュケイやキジでとった出汁はうま味が強いのにクセはないので、スープはもちろんスープ以外にも使えます。でも王道はスープ。

・僕はパスタもリゾットもどちらもコースに盛り込みます。小麦のパスタ、米のリゾット。「どちらにしますか?」と聞かれたら、自分だったらどちらも食べたい。だから、両方ともコースに乗せるんです。パスタはほとんど手打ちで、北海道の「ハルヨコイ」という小麦や山梨県の上野原で昔ながらの農法で育てられた小麦、フランスの有機農法で育てられた小麦など、信頼できる生産者が育てた小麦を使っています。リゾットに使う米は千葉県・木更津で「パッソ・ア・パッソ」用の田んぼを借りていて、そこで育って自分たちで稲刈りをしたコシヒカリを1年がかりで使います。リゾットには米だけではなく、押し麦や丸麦、赤米など、さまざまな雑穀を加えると、歯ごたえや味に変化がっておもしろい。

・マガモは新潟のマガモと決めています。野生のカモといえば大きな河川や湖沼にいるものだと思われがちですが、陸側にいるカモと海側にいるカモがいて、海側にいるカモをウミガモと呼んでいます。僕が送ってもらっているカモはリクガモと呼ばれているもので、お米の収穫時期になると渡ってくるマガモです。稲刈りをしているとポロポロと籾が落ちるから、それを食べようと集まってくる。その習性を利用して、籾、米をおとりいにしてカモが地面に降りたとき、上方に準備していた網を離れた場所から人がロープで操作して捕獲します。これを無双網(むそうあみ)猟といいます。無双網猟でカモをじっと狙っていると、近くに人間と同じようにカモを狙っているタヌキやキツネがいることもあるそうで、人間よりもそっちに気づいたカモが飛んで逃げちゃうという場合が多いそうです。一回逃げると、もう戻って来ないから今日はおしまい。なかなか大変な猟です。カモをとる方法はほかにもあって、池や川のカモがいるところに行って撃つ方法、舟をチャーターして海に出て撃つ方法、特別な許可をもらって空に網を張ってとる方法などがあります。無双網猟のカモは、銃で撃って捕獲したカモよりは断然肉質がいいです。カモを撃つと、基本的には散弾銃ですから、どうしても肉が傷ついてしまう。無双網でとったカモは、ベテランの漁師さんが馴れた手つきでギュッとつかみ、一羽一羽、首をキュッと締めていきます。窒息による即死です。すぐに首は落とさないで、そのまま僕の店に送ってくれます。窒息死したカモは、運搬されている間に血が肉の中にとどまって、届く頃にはちょうどいい状態の肉になるんです。レストランで出されるカモ料理では「エトフェ(窒息)」させたカモとしてシャラン産のカモが有名です。窒息させると血液が肉の中にとどまり、カモの風味が高まって味わいも濃く食感もジューシーになるといって評価が高いのです。カモやハト、ウズラに関しては、こうした窒息カモ、窒息ハト、窒息ウズラがおいしいと僕は思います。今回のカモは新潟のFさんのものです。Fさんのカモは本当にきれい。段ボール箱のふたを開けた瞬間、胸がキュンッとなるくらい。一羽一羽新聞紙にくるまれていて、首がていねいに折り返されていて、まるで眠っているみたいなんです。よし、おいしい料理を作るぞ、無駄にしないぞ、って素直に思える。

・レバーは漁師さんたちの中でもおいしくて人気の部位です。レバーというと臭みがあるとか、牛乳に浸けて臭みを抜く必要があると思っている方もいらっしゃいますが、きっちり処理をした新鮮なものには、臭みがほとんどありません。おいしいレバーのためには仕留めえからすぐ血抜きし、腸など消化器系を傷つけて内容物がもれ出ないよう衛生に配慮しながら取り出し、ただちに冷やさなければなりません。さらに念入りに衛生に気を配ってくれる猟師さんは焼酎などのアルコールをかけて消毒してくれることもあります。ウシやブタなどの家畜の内蔵は、日本では流通がかなり複雑で新鮮なものは僕たち料理人でも手に入りにくいことがあるのですが、シカのレバーは衛生状態をしっかり意識して処理している猟師さんからならダイレクトに送ってもらえます。僕はシカのレバーはウシやブタよりも臭みが少ないと思っているので、料理人にもっと使ってもらいたい部位のひとつです。レバーは一目で状態がわかります。トスカーナはレバーを使った伝統料理が多く、修行先である「ダ・デルフィーナ」「チブレオ」という店では、レバーの見極めを最初に教えてもらえました。いいものはきれいに赤く発色をしていてどこか甘い香りがします。健康状態がよくないものや鮮度が落ちるものは、色がくすんでいます。紫がかったいかにもいやな色をしていて、苦みも強くなりますね。僕がおつきあいのある猟師さんはとてもきれいでフレッシュな状態で送ってくれるので、レバ刺しのようにカルパッチョにして出したいのが本音です。でも野生動物ですし、ウシのレバーでも加熱が義務づけられている時代です。肝炎や菌の問題などを指摘する有識者の方もたくさんいらっしゃいます。お客様が不安に思われないように、火を通してご提供します。

・イノシシはイタリア語でチンギアーレといい、トスカーナの伝統料理によく登場する代表的なジビエです。フィレンツェの中心部にはイノシシの像があって「鼻をなでると幸運がもたらされる」との言い伝えがあります。トスカーナで修行していた僕にとっては思い出深いジビエなんです。イノシシのもも肉は豚肉と同じような発想ができますから、ジビエの中ではもっとも扱いやすい食材です。

・ツキノワグマは珍しいジビエです。そしてそのタンも極めて珍しいといえる一品です。いま、ツキノワグマの頭数は年々減っています。シカは1年に1頭、一生のうちで何頭も産みます。でも、ツキノワグマは一生に何頭も産める動物ではありません。また、クマをめぐる環境は厳しくなっており、人間に害を加えるからと害獣対象になっていますが、頭数でいえば減り続けています。ジビエ界をピラミッドで表現すれば、シカは底辺の弱いほう、クマは強いほうに属します。でも、ピラミッドの頂点に近い強い側の動物は、どんどん減っていのが現実なんです。頂点に君臨した動物といえば、オオカミでした。でもそのオオカミはもうおそらくいません。ニホンオオカミは絶滅したといわれています。理想でいえば、自然動物たちと人間とは住み分けられているはずです。でも、森林に食べるものが減ってきて、住むところも追われているクマが、経験が未熟なために民家まで出てきてしまって、田畑を荒らしたり、びっくりして人間に害を加えてしまったりして、害獣にされてしまう。ちょっとかわいそうな状況ではあるんです。ツキノワグマも九州では絶滅したといわれており、地域によっては保護の対象です。とることが許されている地域でも、猟師さんはツキノワグマの生態を思い、撃つ頭数を自分たちで制限しています。

・スズメというと、おそらく日本でもっとも身近な小鳥で、あのスズメも食べられるんですね、って思われると思います。でも東京でスズメを見ることは少なくなったように、地方でもスズメは激減しています。とりたくても、とれない。もしとろうとしても、一羽あたりをそんなに高く売れないので、手間の割には儲けが少ない。ニーズもない。ということで猟師さんはとりません。よって、スズメはもう食べられなくなると思います。

・北海道はいま、日本でもっとも害獣被害が報告されているエリアです。なぜなら、エゾシカが増え続けているからです。北海道にのみ生息するホンシュウシカの亜種がエゾシカです。本州以南のホンシュウシカとの違いは、体が大きく角も立派なこと。オスは最大で三叉四尖(さんさよんせん)といって、3つに分かれてさらに4つに分かれる枝角を持ちます。北海道では明治時代、大雪と乱獲によって絶滅寸前にまで減少した時期もありましたが、その後の保護政策などを行った結果、今度は全土に増え続けてしまっている現状です。農林業の被害だけではなく、交通事故の増加や、木を食べてしまうことでの生態系への影響などが深刻な社会問題tなっています。

・シカは1歳から1歳半のメスがやわらかく、オスよりも香りがおだやかだとか、発情するとにおいが強くなるとか、年老いているかそうではないかは遠目でhわからないけれど、一本角のシカは発情前のオスで確実においしいから狙うとか、そういうことも教えてくれます。

・コースの最後を締める一品はデザートです。ストーリーを完結させるお皿ですからとても大切にしています。旬の香りいっぱいに仕上げ、最高に楽しんでもらいたいです。アイスクリームはよく使いますね。ジビエのコースはたいていのお客様はおなかいっぱいになっていらっしゃいます。でもアイスクリームならそんなお客様でもするっとお腹に入ります。このアイスクリームに旬のフルーツを合わせることが多いですが、このフルーツでさまざまなアプローチを試みます。イチゴもリンゴも柑橘類も、フレッシュをそのまま合わせるだけではなく、焼いたり、煮たり、サクサクにしたりトロトロにしたり。それを冷たいアイスクリームと合わせるのです。生クリームの代わりにツキノワグマの脂を使い、牛乳・卵・砂糖・バニラを合わせていったん煮立たせ、アイスクリームマシンにかけたところ、濃厚なのにサラサラ感があり、香りがよくておいしいアイスクリームができました。これに、ツキノワグマが食べていそうな果実や木の実を添えてデザートに仕上げます。

・門前仲町に「パッソ・ア・パッソ」をオープンしたのは2002年のことです。パッソ・ア・パッソとは一歩一歩というイタリア語ですが、イタリア料理を大きくうたっているわけではありません。ただ、一歩一歩成長しながら僕の料理を出したい、という気持ちはずっと持っていました。そしてオープンから今まで、試行錯誤をしてメニューを考えてきたつもりです。最初の頃はおいしい料理を少しでも安く、というコンセプトでやっていたので、お客様が喜んでくださるようなメニューをたくさん並べ、安く提供するために原価を落とすことばかりを考えていました。ウケそうな料理を決めて、それを安く出すためにどうするかを考えて・・・そんな発想ばかりしているととにかく疲れて、楽しくなくて。本当にこれでお客様に喜んでいただけるのか、疑問に思い始めました。そこで食材を価格で見るのではなく、まずは本質を見ようと思いました。そして。食材を改めて勉強したくて生産者を訪れるようになりました。すると食材に対する考え方が少しずつ変わっていったんです。たとえばもっともよく使う食材のひとつであるトマト。「前回のトマトはおいしかったのに、今日のトマトはそうでもない。」そういうことがあったとしましょう。それまでの僕だったら、質が安定していないなんてひどいじゃないか、と文句を言っていたと思う。でも現場を訪れると、自然に寄り添った農業をすればするほど、味に違いがあるのはしょうがないことだとわかったんです。同じトマトでも気候によっても土壌によっても生産者によっても味は変わる。さらに同じ生産者でも味は変わってくるものだと。もちろん、農業の近代化によって安定した素材を作る技術は向上しているでしょう。でも僕は、技術よりも作る「ひと」と「自然」を見ていたいと思った。現場でどういうこおが起こっているかがわかってくると、お客様に語りたくなる。どういう風に伝えればいいのか、もっともっと現場を訪れ、生産者と話したくなる。そしてようやく素材があってそれを生かせるのが料理人だと思えるようになりました。料理で大切なのは小難しくすることではなく、シンプルにかみ砕いて表現しつつ、どれほどの説明ができるかということだと思います。ゴージャスな料理がすごいのではなく、ストーリーを持てる料理が素晴らしい。

・人間と同じで暑い時期には牛だって食欲が落ちてバテやすくなる。飲む水の量も多くなる。そうすると肉そのものも水っぽくなってしまう。だから肉としてダメだというわけではなく、多くなった水分量だけとってやればいい。気候がおだやかな時期は牛も食欲が出て、よく食べ、よく眠る。そんな時期は肉の状態もいい。それを料理するなら、グリルやローストのようにストレートに肉の味が感じられる料理法がいいなどなど、どんどん頭が回転してくるんです。わかりやすく言えば肉を知り、肉の立場に立ってみると、どういう食材なのか、どういう料理法がいいのかが見えてくる。そして、野菜と同じように肉の旬も見えてきたんです。僕の肉カレンダーの一例をご紹介すると、こんな感じです。
11月から2月:ジビエ
3月:鶏、ブタ
4月:馬
5月:ブタ、ホロホロ鳥
6月:ハト、ウズラ
7月前半:ブタ
7月後半~8月:牛肉
8月後半~10月:仔羊
もちろん、ここに季節の魚や野菜が入ります。どうして夏に牛肉か、ですって?先ほど気候が穏やかな時期は牛も元気と言いましたが、そのタイミングでと畜すると、それから熟成期間が1か月半ほど必要なので、8月がちょうどいいということなんです。4月が馬というのはおわかりですね。桜肉というだけあって桜の時期においしくなる肉だからです。冬に雪が降って、干し草を食べる。干し草によって滋養をたくわえ、冬だからあまり歩き回らないからいい具合に脂がまわる。そして、雪の下から出てくる甘い新芽を食べる。こうして肉が仕上がってくるのが、3月。僕はハラミを使うのですが、ハラミはそんなに熟成させなくてもよい。だから食べごろが4月ということなんです。

・初めて行ったイタリアは、とにかく人がいい。明るくて、情に厚くおせっかいで。なんだか、彼らに喜んでもらえる料理を作ってみたいな、と素直に思いました。そして手にする食材すべてが珍しく、新鮮でおいしくて。イタリアを知りたくなって、結局はフランスへは観光だけで行き、けっこう長くイタリアにいました。ミラノの次はイタリアの中部、トスカーナ州に行ったんです。トスカーナはご存じですよね。美食の都として知られています。海の幸にも山の幸にも恵まれ、世界的にも有名なワインやオリーブオイルの産地でもあります。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナという牛肉のステーキやチンタ・セネーゼという豚肉が有名でトスカーナならではの肉料理が知られていますが、平野部分が少なく、丘陵、山岳地帯が多いために野生の動物たちもたくさん住んでいます。当然、ジビエ料理も豊富でした。特に修行をすることができた「ダ・デルフィーナ」は山奥にあるリストランテで、ごく当たり前にジビエメニューがありました。

・特にシカを肉にする場合は確実に仕留めて、そしてもがいて血がまわらないように、肉に血が残らないように、一刻も早く近寄ってナイフで頸動脈を切ってとどめをさし、血も抜いて血が肉にまわらないようにします。血が残っていると酸化し、けものくささの原因となります。あのときもすぐに切りました。切るところが頸動脈ではなく、心臓の上部の動脈を切る猟師さんもいます。いずれにしても、心臓が止まるまでずっと放血が続くところを狙って切ります。完全に血が抜けるまでは2~3分くらいでした。。そしてお腹を裂きます。この作業を加工場でやる場合もあるのですが、川のそばなど水のあるところは、このようにその場で内蔵を取り出します。このとき、まずは上部のレバーと心臓を取り出します。先に下部に包丁を入れると、胃や腸が傷ついて内容物が出て、ほかの部位が汚れることがあるので、まずは上部からが鉄則だそうです。内蔵を取り出し、お腹がからっぽになったシカをそのまま川で洗い、冷やします。レバーや心臓はそのまま持ってきた氷入りの発泡スチロールに入れて持ち帰ります。内蔵があったところには内膜が張っているので、その内膜でブロックされて肉は水っぽくならないのです。川が汚れているとダメですね。川上にひと里があって、そこの生活排水が流れてきたりすると、内蔵が汚れます。浸けたとたんに緑色になったり紫色になったりする川の水もあるんです。朽木は幸い、川上にあるので水がきれいです。氷を持っていって、内蔵を抜いてからすぐに氷を詰めることもあります。撃ってから血抜き、洗浄、冷却まではスピードが命で、15分でやらなくちゃいけないです。すぐにやらないと血が酸化をして発酵してきます。発酵をおさえるために、すぐに冷やしてやる必要がある。これができる猟師さんは、なかなかいません。血を浴びる作業でもあるので、嫌がる人も多いんです。駆除だけが目的だったら、本当は埋めなくてはいけないなど、自治体によって制約はあるんですが、撃ったらとどめをささずにそのままにしておく人もいます。また、たいていは埋められるだけです。いい猟師さんとは、まず山を知っていること。どこにどんな木の実がなっていて、何を食べて育った動物かをわかっている人。猟師として撃つ技術が長けている人、そして、撃ったあとに適切な処理ができる人です。適切な処理とは、血抜き、内蔵の除去、温度を下げることです。そしてそこまで素早く処理したら、イヌにちょっと肉のご褒美をあげて、山に戻っていきます。一度山に入ると、シカの場合は2、3頭くらいとらないと、労力に対して割が合わないからです。

・単に害獣駆除のために猟をするのではなく、海で漁師が魚をとるように、生活が山だから漁師は獣をとる。つまり猟は昔からの生活の一部だという漁師さんもいます。自分たちの食料として食べるだけではなく、山間僻地で暮らす人たちにとっての大事な現金収入になることがあります。剥製や毛皮、シカの首の壁掛け、ツノ飾りなどのほか、クマなどは薬としてもいい収入になります。特にツキノワグマの価値は高く、胆のうは「万病に効く薬」と信じられているほか、毛皮なども高値で取引されています。ところで、狩猟をするためには免許が必要です。居住地の都道府県知事が行う狩猟免許試験に合格し、狩猟免許を取得することが必要です。この狩猟免許は使用できる猟具の種類によっても分かれていて、銃はもちろん網やワナを使った猟にも免許は必要です。多くの漁師さんは農業を兼ねて生活をしています。自分たちが大切に育てた農作物を守るために、駆除を目的として猟をします。山に出かけて行って獲物を撃つばかりではなく、ワナをしかけてシカやイノシシをとることもあるし、畑のそばにワナを置いて小動物を捕まえるケースも多いです。通常はこうした小動物は、駆除したらそれで終わりなのですが、肉の状態がいいなと猟師さんが判断したものは送ってくれることがあります。小動物としてはタヌキ、アナグマ、イタチなどがかかりますが、もっともおいしいのはハクビシンでしょう。

・店が休みの日にはジビエに限らず各地の生産者をなるべく訪ねたいと思っています。秋冬に連休がとれたときは、猟師さんに話を伺いに出かけます。以前、一度だけ取材でお願いしましたが、基本的には猟場までは同行しません。プロの現場だと思うし、猟師さんに気を使わせてしまうから。猟師さんの家を訪ねるだけでも話を聞くだけでもとてもおもしろい。山深い場所に家がポツンと建っていて、家のまわりには猟犬がいて、獲物の皮や角があって、木の切り株があって、野菜を干していて・・・。猟がない夏には畑仕事のほか川で鮎とりなどをして、一年中自然と触れ合って暮らしていることがあります。時々山の料理をふるまってもらいながら、けもの道の話、木についた傷や堀りおこされた土、なぎ倒された木の話、それからわかる動物の種類や年齢や雌雄の別の話、野生動物の糞の話などなど、実際に山を知らないと語れない話をたくさん聞けると本当に勉強になります。豊富な山の知識にはただただ驚くばかりです。そして、そうした習性や生態を知ることで、無駄のない猟ができることがわかります。生産者を訪ねるときはマダムとしてフロアを仕切っている妻の房江も、なるべく一緒に行くようにしています。

・現地に行き、現地の話を聞く。手伝うのではなく、学ばせていただく。そういう体験ができていると、食材の味が想像できるようになる。そしてお客様がおいしい、と言われたときに、その理由をご説明できるのです。また、生産者を訪ねるようになって大きく変わったことは、ゴミの量が驚くほど減りました。生産者が心を込めて作った現場を見ると、そうした作物の葉っぱから皮まで捨てることができなくなりました。使いきりたい。そういう思いで仕事をしています。ところで地方へ出かけると、僕は必ずといっていいほど、その地の干し野菜や手作りの漬け物を買って帰ります。山で暮らす人の知恵が結集した保存食ですし、うま味は強くておいしいと思うから。そして日本の伝統的な保存食をイタリア料理をベースにした有馬料理にどう仕上げていくか。それをどう食べていただくか、どうお話しさせてもらうか。そんなことをずっと考えていると、料理人になって良かったとしみじみ思えるひと時なのです。

・猟師さんが野生動物をとり、自分でさばき、知人にタダで肉としてプレゼントするというのならまったく問題はありません。でも肉を売ったり、肉を流通させてレストランで出したりするには、食品衛生法に基づ
いて、食肉処理場、食肉販売業の許可を得てから、衛生基準をクリアした食肉加工施設を作らなければなりません。コストがかなりかかります。自治体の協力が不可欠だと言われる理由はそこにあります。僕みたいに猟師さんと細かく取引条件を決めているならば、送ってもらうことはできるのですが、一般流通では難しい。ここのところ自治体が、害獣駆除にもなり地域活性化にもなるようにと、ジビエを名産として流通させようとする動きがあります。北海道、長野県、三重県、奈良県、滋賀県、和歌山県などたくさんの自治体で取り組みが行われています。でもそれが流通できるようになるには、先の処理場のほか、規格や価格、配送の方法、支払いの方法など、細かい規定を猟師さんと一緒に自治体も制定しなければならないことがある。処理場はできたけれど、販路がないと結局は捨ててしまうことになる。これでは本末転倒です。たとえば僕は、鳥取県の施設からホンシュウシカを仕入れています。これは、アドバイザーとして僕をイベントに招待してくれたことがきっかけです。鳥取県では「イノシシ・シカ解体処理 衛生管理ガイドライン」を細かく設け、まずは衛生面で指導をし、ジビエを商品として一般流通ができるように、処理場の設置も積極的に行っています。そして加工された肉を食べてもらおうと、イベントを行うなどして販路の拡大に動いています。国も厚生労働省が衛生管理の指針づくりを進めています。こうした取り組みによって、ジビエが特別なものでなくもっと広がればいいと思っています。そして願わくば、ジビエ料理を開発するといえばすぐにカレーに走る傾向があるので、そこはひとつ、料理人たちのアイデアをくんで、新鮮なジビエならではの料理を考えてほしいと思いますし、それがいい形での付加価値につながると思っています。

良かった本まとめ(2016年上半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「焼きふぐ 優ふく(大阪市 北新地)」のランチはとてもオススメ!

2016年09月08日 01時00分00秒 | 外食
JR大阪駅近くの北新地にある「焼きふぐ 優ふく」というお店に行ってきました!

 大阪の北新地でコスパに優れているランチとしてNAVERに掲載されていたためです♪

 お店は雑居ビルの中にあり、少しわかりにくいです。


↑ビル


↑店構え

カウンター8席のみと小さな店ではありませすが、優しそうな男性が笑顔で迎えてくれます。

 席がカップル用ペアシートしかないのには驚きましたが、この北新地という高級クラブがたくさんある場所では、同伴でこのお店がよく使われるようで、そのためこのペアシートは身体を寄せ合うことができるので喜ばれるようです^_^;)
なるほど♪
男性の仕事の同僚と仕方なく、苦笑しながら仲良く一緒に身体を寄せ合いながら座ります^_^;)


↑ペアシート

そしてメニューを見ます♪
「焼きふぐ丼」か「ふぐ天丼」か、季節がら「はもちらし寿司」も捨てがたく、とても悩みます^_^;)


↑ランチメニュー

しかし、せっかくふぐの店に来たので、自分は「ふぐ天丼」、同僚は「焼きふぐ丼」を注文しました♪


↑ふぐ天丼


↑焼きふぐ丼

ふぐ天丼は、一度揚げた野菜などを、もう一度揚げていたようで、アツアツで甘いソースがかけられ美味しい♪
ふぐも結構あります♪
そして、天丼だけでなく、卵焼きやにゅう麺、筑前煮、吸い物もあるのは嬉しいですね♪
これで税込1000円はリーズナブルで嬉しいです♪

同僚の焼きふぐ丼もとても良かったようです♪

さすが、大阪の北新地ですね♪
北新地は、リーズナブルで美味しいランチ処がたくさんあって、素晴らしいと思います♪

「焼きふぐ 優ふく」はリーズナブルに美味しいふぐを堪能でき、とてもオススメです!

美味しかったものまとめ(2016年上半期)

<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする