<金曜は本の紹介>
「映画にしくまれたカミの見えざる手(谷國大輔)」の購入はコチラ
この本は、映画などによる観光、イベント、まちづくりに関わる各種委員、プロデューサーを歴任するかたわら、映画の企画・制作も精力的に行っている谷國大輔さんによる映画製作・映画業界・映画館・権利・ロケ・裏話など映画に関する話が満載の本です。
映画好きな方には堪らない本だと思います!!
特に、日本にしかない映画パンフレットや映画前売券・オマケ、格安映画DVDがある理由、ロケ地の話、日本でのロケが少ない理由など興味深く、また楽しく読めました。
とてもオススメですよ!!
以下は、この本のポイントなどです。
・エンドロールには、映画製作の裏事情がギュッと詰まっているからでもある。キャスト(役者さん)の名前の順番、スタッフの役職(監督、脚本、エグゼクティブプロデューサー、プロデューサー、アソシエートプロデューサーなど)、ロケ協力に載っているフィルムコミッション(ロケ支援を目的とした地域の非営利団体)、エキストラ協力など、映画製作の駆け引きやドタバタ劇、制作者たちの人間模様までもが凝縮されているのだ。例えば、キャストの「友情出演」。大物の俳優がちょい役で出ていると、エンドロールの後のほうに一行で堂々と「友情出演」として掲載されていたりする。このときに、「この俳優はプロデューサーとか監督とか、誰かと友だちなのかな? 友情だとすると、無償か、出演料を度外視して演じているのかな?」などと思ったら間違い(たまにそういうケースもある)で、「主役級の役者ですが、今回はちょい役なので友情出演とクレジットしておいてください」などと所属事務所からいわれていたりするのだ。また、「特別出演」も同じようなこと。
・字幕の文字数は1秒に対して4文字で計算することになっている。それは、観客が字幕を読むとき、無理なく読める文字数が1秒間に4文字だからだ。また、画面に一度に表示できる最大の文字数は、制作会社によってばらつきがあるが、縦は1行に10文字から11文字まで、横は1行に13文字から14文字までと決まっていて、それぞれ2行までとなっている。つまり、画面に表示できる最大の総文字数が、縦字幕だと20文字から22文字まで、横字幕だと26文字から28文字までしかないわけだ。そのうえ字幕では、句読点を通常使わないが、そのかわりに「。」のところを1文字分空け、「、」のところも半文字分空けなければならない。そうなると、セリフに対して絶対的に文字数が足りないことになるから、どうしても簡潔に意訳して表現する必要が生じてくる。言い換えると、限られた文字数の中に、わかりやすい言葉を上手に詰め込まなければならないわけで、これは大変なことだ。
・毎月1日は「映画サービスデー」で1800円が1000円、シニアは1000円、水曜日は「レディースデー」で女性だと1000円、月曜日や木曜日などに男性が1000円になる「メンズデー」を設定している映画館もごく少しだが散見される。また、高校生3人で映画館に行けば映画料金が一人1000円になる「高校生友情プライス」、夫婦のどちらかが50歳以上で夫婦一緒に見ると一人1000円になる「夫婦50割引」なども用意されている。そして、前売り割引、モーニングファーストショー割引、レイトショー割引、会員割引、クレジットカード割引、駐車場割引、並びに商店街割引なども見られ、実にさまざまな映画料金割引があるのだ。そのうえ、「釣りバカ日誌シリーズ」や「山のあなた 徳市の恋」などは、入場料が1000円で、一般の1800円より安い料金設定がされる作品もある。
・海外の平均入場料金(2007年)をみると、アメリカは1984年に4.69ドルだったのが毎年上昇を続けて2007年には6.82ドルとなっている。また、フランスは5.94ユーロ、イギリスは6.1ユーロ、イタリアは5.93ユーロ、ドイツは6.12ユーロとなっており、ヨーロッパはだいたい6ユーロ前後といったところだろう。為替の変動が激しく比較が難しいが、当時(2007年)の為替レート(1ドル110円、1ユーロ160円)で計算すると、日本円でアメリカが約750円、ヨーロッパが約960円、韓国が約700円、中国が約400円(上海は約1200円)である。ちなみに、世界一製作本数が多いインド(年間1000本以上)は、大都市のシネコンが300円から800円位、大都市の一般館は100円から250円位となっている。
・映画のパンフレットは、意外かもしれないが、実は日本だけに存在しているものだ。海外に映画パンフレットがない理由は俳優に肖像権があるためで、その写真が簡単に使用できないことなどが原因だが、あのハリウッドも日本にだけ映画パンフレットを映画宣伝の一環とみなして、映画館内限定だがその販売を認めているのだ。日本では今、映画パンフレットを集めている映画ファンも多く、それを扱う映画専門の古書店もあり、そういった古書店では希少価値のある映画パンフレットが高値で売買されており、独自のマーケットも形成されている。
・前売り券のオマケをいくつか紹介しよう。映画の中身にちなんだアイデア商品が実に多い。たとえば「ターミナル」は旅にちなんでウエストポーチにもなる小物入れ、「マイ・ボディガード」は誘拐にちなんで防犯ブザー、「ダ・ヴィンチ・コード」はモナリザの画像が浮かび上がるペンライト付きボールペン。「デイ・アフター・トゥモロー」はレスキューホイッスル、「ハッピーフィート」はペンギンのぬいぐるみという具合だ。遊び心に満ちたものも多く、「WALL・E ウォーリー」は「もう”ひとりぼっち”じゃない!映画館限定”ド~ンと!ウォーリー!”」とコメントのついた携帯ストラップ、「コックリさん」は「このペンは『コックリさん』専用のものです。類似品(ソックリさん)にご注意ください。」と注意書きのある巨大ボールペンである。そして、変わり種では、「キル・ビル」のトラックスーツを買えば何度でも作品を見られる前売り券15,000円(100枚限定)、「イーオン・フラックス」は”近未来メタルソープ”という量の減らない金属の石けん、「ザ・リング2」は”呪いのビデオを見ない為に映画館に持って行く”アイマスクといった具合である。それから、前売り券が逆にオマケのようになってるケースもある。「ケロロ軍曹劇場版4」のフィギュア付きのプレミアム限定前売り券は11,800円だ。こういうケースは、景品表示法の過大な景品類にあたるので、オマケという位置づけではなくてセット販売だろう。さらに、奇抜なのはフランス映画「ひめごと」(日本ではR-18指定)のフランス製高級ランジェリーだ。下着と映画のペア鑑賞券がセットで3000円だったが、追加販売するほどの人気だった。また、「ウォーターズ」はホストクラブで2時間遊べるという特典付きで3000円、まさに離れ業だ。
・ハリウッド映画は数分単位でストーリー展開を計算し、登場人物のキャラクターも法則に基づいて設定されている。つまりは、観客の心理的変化を計算し尽くした科学的な仕掛けが隠されているのだ。
・海外では、映画に出演している俳優とテレビに出演している俳優やタレントが同じ人たちではなく、それぞれが別で違っていて、その顔ぶれが重なってはいない。でも、日本では、ほとんど一緒で重なっている。実はこれも、世界にあまり例が無く、日本だけだともいわれている。海外では、映画俳優とテレビに出演する俳優・タレントはほとんど重ならないもので、基本的に別の職業なのだ。もちろん、テレビで活躍する俳優が、そのうち映画に出演するようになることはある。でも、これはステップアップした結果なのだ。
・アメリカでは、映画俳優が1番で、テレビ俳優はその次、CMに出演するタレントはそのまた次という考えが根強くある。したがって、いわば国家の顔ともいえるハリウッドスターがテレビCMに出演することは、ほとんどあり得ない。しかし、日本のCMがアメリカ人の目には触れないからだ。日本のテレビCMをアメリカにいながら見ることはできない。ハリウッドの映画俳優は、お忍びのように日本にやってきて、こっそり日本のCMに出演している。それは、日本のCMのギャラが高額だからで、ハリウッドの映画俳優からみても割のいい仕事になっているのである。
・映画の当たりハズレで恐いのは、劇場公開の初日と2日目、または最初の1週間の映画館入場者数で、その後の先行きが決まることである。その成績が劇場公開日数の目安になり、もしも数字が悪いと早々に劇場公開が打ちきられてしまうのだ。
・映画のロケ地が映画の舞台になるとは限らない。例えば、宮崎あおい主演の映画「初恋」のワンシーンは1960年代の新宿だが、現在の新宿にはその頃の面影はもうほとんど残っていないため、全国各地を探しまわって、見つけ出した場所が北九州市だ。だから、新宿の南口の階段は小倉北区の新砂だし、新宿の裏通りは門司区の住宅街でロケされている。海外でも例えば、「スティング」の舞台は1930年代のシカゴだが、シカゴにあるはずの回転木馬はロサンゼルスの近くのサンタモニカ・ピアにあるし、映画「アマデウス」は18世紀のウィーンが舞台だが、ウィーンに18世紀当時の雰囲気が残っていなかったことから、チェコのプラハがロケ地になっている。また、海外ロケの場合、政治や治安の状況によっては似た国でロケが行われることも多い。例えば、1985年に公開された市川監督「ビルマの竪琴」のロケ地はビルマ(現在のミャンマー)ではなくタイランドだ(当時はビルマでのロケは政治的に難しかった)。
・海外にある米ドルが凍結されて米国内への持込が禁止されたわけだから、ハリウッドの映画会社が海外に配給した利益を米国内に送金できなくなってしまった。そのため、海外で凍結された資金を海外で使う必要が生じて、ロケ撮影が行われたのだ。「ローマの休日」の製作にあたって監督のウィリアム・ワイラーは、ローマですべてのロケ撮影をすることを主張した。その結果、ローマの魅力を伝える映画になり、その公開後、ローマの観光客が急増している。それ以来、今日にいたるまで、スペイン広場などのロケ地は、「ローマの休日」のラブロマンスという付加価値がついた観光地になった。つまり、「ロケ撮影による臨場感と、映画によって新たに創り出された地域の物語」が新たなローマの観光資源となったのである。
・実写映画のロケ地は観光地になる。「フィールド・オブ・ドリームス」の野球場があるアイオワ州の小さな町ダイヤースヴィルもメジャーな観光地になり、アメリカのワイオミング州のデヴィルズタワー国立公園が「未知との遭遇」に登場して観光客の数が約75%も上昇、「フォー・ウェディング」の舞台となったクラウンホテルのスイートルームが何年にもわたって予約がいっぱいになるなど、ロケ地を訪ねる観光(ロケ地観光)の事例は星の数ほどあって枚挙に暇がないほどだ。また、テレビドラマ「北の国から」の舞台となった北海道富良野市は、最終回が放送された2002年の観光客数は約250万人と過去最高に達している。
・海外からの日本への観光客が増えた事例として、「Love Letter」があり、小樽に韓国からの観光客が増えている。一方、国内から海外へのロケ地観光としては、「シュリ」のラストシーンが撮影された済州島のベンチ「シェリベンチ」が観光名所になり、韓国ドラマ「冬のソナタ」のファンが、日本からロケ地に訪れたのは広く知られているところだ。
・ロケのオープンのセットの保存といえば、「男たちの大和」では、原寸大の「大和ロケセット」が6億円で造られたが、ロケの後おしばらく公開された。「大和ロケセット」の公開は、映画のプロモーションになり、2000万円から3000万円もかかる解体費用の軽減にもつながったし、尾道市への観光客が増えている。また、映画「二十四の瞳」のロケで使われたオープンセットは長期にわたって保存されている。それから、映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」に映っている60年代の福岡県筑豊地方の炭鉱町は、実は宮城県栗原市にある細倉鉱山の鉱山住宅を活かしたオープンセットなのだが、このオープンセットもそのまま保存されて一般に公開されているし、映画「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」のオープンセット「鬼太郎ハウス」も沖縄県国頭村安波の「やんばる学びの森」に移築されている。
・「現地で映画の追憶にひたれる」事例としては、山形県鶴岡市にある「おくりびと」や「蝉しぐれ」などの庄内映画村、北海道夕張市にある「幸せの黄色いハンカチ」の黄色いハンカチ広場、香川県小豆島にある「二十四の瞳」の二十四の瞳映画村、徳島県鳴門市にある「バルトの楽園」のBANDOロケ村などがある。
・どうして海外からに本位はロケ隊がほとんど来ないのか。その1番の理由は、日本でロケ撮影することが海外より困難だという認識が世界の映画人に広まったからである。それが広まったきっかけは、1989年に公開された「ブラック・レイン」の日本ロケであった。「ブラック・レイン」の日本ロケは、もともと10週間の予定だったのが、撮影が困難で5週間で中止となり、ロケ隊はハリウッドに舞い戻ってしまったのだ。ロケはもともとは東京で行われる予定であったが、東京では絶対に無理だと日本側の関係者がアドバイスして、大阪で受け入れることになった。だが、その大阪での撮影も困難を極めてしまったのだ。ロケ隊は急遽、アメリカに戻ったあと、地元に大規模なセットをつくって、日系人を集めて撮影したのである。
・カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどは国家戦略として、ハリウッド映画をターゲットに、そのビロウザラインの誘致をはっきりと打ち出しているのである。例えば、ニュージーランドはこれまで、「ラストサムライ」、「ナルニア国物語」、「ロード・オブ・ザ・リング」「紀元前1万年」などのハリウッド映画の大作を誘致している。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のロケ誘致によって、ニュージーランドのGDPは2%もアップしたといわれ、それほどハリウッド大作のロケ誘致が及ぼす経済効果は大きい。
・ワーナー・マイカル・シネマズは、花粉、浮遊菌、ウイルス、臭いのほとんどを取り除くウイルスウォッシャー機能を搭載した空間清浄システムの導入を2008年から本格的に開始している。
・例えば、「殯の森」では地域の人々からの支援があった。具体的にいうと「殯の森」の製作委員会が「ひとコマもがり」と呼ぶ、地域の人々が映画づくりを支える仕組みをつくり、地元奈良県の人々が「地域サポーター」として映画に資金を提供したのである。この方法は一口(ひとコマ)が2000円と手ごろな値段で参加・協力できるもので、映画づくりに出資ではないかたちで関わっている(不特定かつ多数のものからの金銭の受け入れなので、出資だと出資法違反となる)。その値段が手ごろであることもあって、サポーターの数は何と数千人にも及んでいる。ちなみに、サポーターにはお礼として、実際に撮影された映画35ミリフィルムをひとコマプレゼント、奈良県下の6ヵ所で行われる特別試写会への無料招待、「殯の森」の映画パンフレットへの氏名掲載と3つの特典を用意している。
・現在の日本映画の製作における資金調達は、製作委員会に参加する企業からの出資、文化庁などの国や自治体、並びに財団などから助成金、企業などから協賛金があるが、最近はそれらに加えて、多様な資金調達の手段が用意されている。その一つが映画ファンドだ。ファンドとは、投資家からの資金運用を信託会社などの機関投資家が代行する金融商品のことをいうが、映画ファンドはその映画版である。この映画ファンドで製作された例としては、「フラガール」があり、「フラガール」は「シネカノン・ファンド第1号」の運用対象として製作された映画だ。「シネカノン・ファンド第1号」とは、シネカノン社が製作・買い付けする20作品をパッケージにしてつくった45億円の映画ファンドのことである。。そしてまた、「SHINOBI」もこの作品に限定したファンドで製作されている。松竹がインターネット証券を通じて個人投資家から募集したもので、個人投資家の元本割れのリスクに配慮して、「元本60%タイプ(積極投資型)」と、「元本90%タイプ(安定運用型)」の2種類が用意され、1口10万円であった。その募集結果は、申込者は約1300人で、申込総額は5億220万円となっている。ちなみに「SHINOBI」のエンドロールには、「忍-SHINOBIファンド匿名組合」に投資した多数の個人名が載っていて、個人投資家たちは、単なる投資に留まらず、映画づくりに参加するという、夢を買ったという側面もあるだろう。この映画ファンドという仕組みは、アメリカなど海外では、以前から一般的に行われている資金調達の手法で、アメリカの場合は5作品を基本にしている場合が多い。
<目次>
まえがき
第1章 映画の身近な疑問から業界が見えてくる
なぜ映画館でポップコーンを売っているのか
「キネマ」は何語か、その語源からわかる業界
製作の裏事情がギュッと詰まったエンドロール、「友情出演」の友情とは
1895年12月28日、映画の誕生日はこうして決めた
字幕スーパーの翻訳に首をかしげてしまうわけ
なんとなく可笑しい吹き替え、「NO」が「いやだ」にならない理由
映画料金がまちまちで複雑になったわけ
はたして日本の映画料金は高いのか
日本にしかない映画前売り券、オマケの離れ技
空席だらけの映画館はなぜ潰れないのか
あの映画にこの映画、何人見れば儲かるか
映画の長さ、理想の長さは何分
ラストシーンで感動の涙、涙が乾く時間までちゃんと計算していたあの映画
分単位でストーリーを計算しているハリウッド映画のこわいしかけ
第2章 プロっぽい視点で映画を見てこそわかること
波瀾万丈だった業界の突き抜けた苦しみ
日本の映画産業が凋落を経験した本当の理由
テレビ局が映画をつくる日本、映画会社がテレビ番組をつくるアメリカ
海外では映画俳優とテレビタレントははっきり区別、日本は一緒のなぜ
日本のヒット映画が海外でなかなか売れない複雑な理由
海外ドラマに活気があるわけ
なぜハリウッドの土地に映画産業が集積したのか
「ローマの休日」のDVDが格安で、「生きる」が高いわけ
ゴジラの身長が100メートルまで伸びたことからわかること
「リング」「Shall we Dance?」「南極物語」、ハリウッドがわざわざリメイクする理由
「千と千尋の神隠し」でキットカット、「UDON」でマルちゃんを食べてるわけ
映画には権利ビジネスがてんこ盛り、ファッションや料理も真似しちゃだめなケース
映画の検閲と自主規制からわかること
国際映画祭で性的シーンにボカシがなくても許される理由
映画のヒット率は野球と同じ、3割当たればヒットメーカー
第3章 なぜあの町この店でよくロケしているのか?
ロケがよくあるお店、気になったので行ってみた
ロケで儲けるお店になったわけ
雑誌やドラマでよく見るあの飲食チェーン店のからくり
テレビに映って売り上げ急増のお店、別にたいして変わらなかったお店、二極化のわけ
映画の舞台とロケ地、同じ場所かまったく別か、ロケこだわりの舞台裏
数字にみるロケに有利な首都圏、でも業界が口コミに頼りたがるわけ
方言でロケ地の「スウィングガールズ」、あの町がロケ地になった意外な理由
「フラガール」「佐賀のがばいばあちゃん」、ロケ誘致の内幕あれこれ
ロケ隊が地域に落としていく金額の相場と経済効果はいくら
ハリウッド映画の日本ロケ、5日間で約1億円もどう使うのかその中身
世界初のフィルムコミッションはどのように誕生したか
フィルムコミッションの仕事の中身とその悩み
「男やつらいよ」「釣りバカ日誌」、ロケ地とタイアップの舞台裏
工場誘致に似ているロケ誘致、日本でもはじまっているインセンティブ
売れ残り不動産が完売、閑古鳥のテーマパークが元気になったしかけ
「ローマの休日」でローマに観光客が増えた本当の理由
実写映画のロケ地観光とアニメの聖地巡礼、現場で起こっていること
ロケ地を観光地にするコツ
第4章 世界大恐慌をきっかけに飛躍した映画産業
「ブラック・レイン」から「バベル」まで、身動きとれない日本ロケ
海外がロケに協力的なわけ
ロケなら税金還付、マンハッタンを完全封鎖、警官もロケでアルバイトの海外
日本ロケの今を海外映画人はどう思っているか
夕張市の破綻からみえてきた映画と地域の関係性
日本にしかない仕組み、製作委員会方式とその限界
日本全国で地域への影響が懸念される2013年問題とは
3D映画、空気のきれいなシネコン、映画館の新しい楽しみ方
世界大恐慌をきっかけに飛躍した映画産業
第5章 映画でいろどる花綵列島、日本が各地で元気になる
「おくりびと」「千と千尋の神隠し」、まだまだ伸びる日本のコンテンツ産業
世界のKUROSAWAを支えた海外、「殯の森」資金も支援した地域サポーター
地域発「リージョナルシネマ」の芽ばえ
地方博なき時代から目立ちはじめた映画のイベント
民の力で地域が栄える映画の仕組み
映画で地域を元気にする方法
日本映画を活気づける映画ファンド
映画に資金が集まる海外の国際戦略
未来を描く力、こころとお金と時間のこれから
おわりに
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
5歳の息子と長距離のサイクリングをしました。途中で酔っ払いのまねをして、ガニマタで「うぃー」と言いながら、「おっとっと!」とペダルを踏み外すと、息子はオオウケです。笑いすぎて自転車を降り、自転車を立たせることもできません^_^;) そんなに面白いですか・・・^_^;)
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・エンドロールには、映画製作の裏事情がギュッと詰まっているからでもある。キャスト(役者さん)の名前の順番、スタッフの役職(監督、脚本、エグゼクティブプロデューサー、プロデューサー、アソシエートプロデューサーなど)、ロケ協力に載っているフィルムコミッション(ロケ支援を目的とした地域の非営利団体)、エキストラ協力など、映画製作の駆け引きやドタバタ劇、制作者たちの人間模様までもが凝縮されているのだ。例えば、キャストの「友情出演」。大物の俳優がちょい役で出ていると、エンドロールの後のほうに一行で堂々と「友情出演」として掲載されていたりする。このときに、「この俳優はプロデューサーとか監督とか、誰かと友だちなのかな? 友情だとすると、無償か、出演料を度外視して演じているのかな?」などと思ったら間違い(たまにそういうケースもある)で、「主役級の役者ですが、今回はちょい役なので友情出演とクレジットしておいてください」などと所属事務所からいわれていたりするのだ。また、「特別出演」も同じようなこと。
・字幕の文字数は1秒に対して4文字で計算することになっている。それは、観客が字幕を読むとき、無理なく読める文字数が1秒間に4文字だからだ。また、画面に一度に表示できる最大の文字数は、制作会社によってばらつきがあるが、縦は1行に10文字から11文字まで、横は1行に13文字から14文字までと決まっていて、それぞれ2行までとなっている。つまり、画面に表示できる最大の総文字数が、縦字幕だと20文字から22文字まで、横字幕だと26文字から28文字までしかないわけだ。そのうえ字幕では、句読点を通常使わないが、そのかわりに「。」のところを1文字分空け、「、」のところも半文字分空けなければならない。そうなると、セリフに対して絶対的に文字数が足りないことになるから、どうしても簡潔に意訳して表現する必要が生じてくる。言い換えると、限られた文字数の中に、わかりやすい言葉を上手に詰め込まなければならないわけで、これは大変なことだ。
・毎月1日は「映画サービスデー」で1800円が1000円、シニアは1000円、水曜日は「レディースデー」で女性だと1000円、月曜日や木曜日などに男性が1000円になる「メンズデー」を設定している映画館もごく少しだが散見される。また、高校生3人で映画館に行けば映画料金が一人1000円になる「高校生友情プライス」、夫婦のどちらかが50歳以上で夫婦一緒に見ると一人1000円になる「夫婦50割引」なども用意されている。そして、前売り割引、モーニングファーストショー割引、レイトショー割引、会員割引、クレジットカード割引、駐車場割引、並びに商店街割引なども見られ、実にさまざまな映画料金割引があるのだ。そのうえ、「釣りバカ日誌シリーズ」や「山のあなた 徳市の恋」などは、入場料が1000円で、一般の1800円より安い料金設定がされる作品もある。
・海外の平均入場料金(2007年)をみると、アメリカは1984年に4.69ドルだったのが毎年上昇を続けて2007年には6.82ドルとなっている。また、フランスは5.94ユーロ、イギリスは6.1ユーロ、イタリアは5.93ユーロ、ドイツは6.12ユーロとなっており、ヨーロッパはだいたい6ユーロ前後といったところだろう。為替の変動が激しく比較が難しいが、当時(2007年)の為替レート(1ドル110円、1ユーロ160円)で計算すると、日本円でアメリカが約750円、ヨーロッパが約960円、韓国が約700円、中国が約400円(上海は約1200円)である。ちなみに、世界一製作本数が多いインド(年間1000本以上)は、大都市のシネコンが300円から800円位、大都市の一般館は100円から250円位となっている。
・映画のパンフレットは、意外かもしれないが、実は日本だけに存在しているものだ。海外に映画パンフレットがない理由は俳優に肖像権があるためで、その写真が簡単に使用できないことなどが原因だが、あのハリウッドも日本にだけ映画パンフレットを映画宣伝の一環とみなして、映画館内限定だがその販売を認めているのだ。日本では今、映画パンフレットを集めている映画ファンも多く、それを扱う映画専門の古書店もあり、そういった古書店では希少価値のある映画パンフレットが高値で売買されており、独自のマーケットも形成されている。
・前売り券のオマケをいくつか紹介しよう。映画の中身にちなんだアイデア商品が実に多い。たとえば「ターミナル」は旅にちなんでウエストポーチにもなる小物入れ、「マイ・ボディガード」は誘拐にちなんで防犯ブザー、「ダ・ヴィンチ・コード」はモナリザの画像が浮かび上がるペンライト付きボールペン。「デイ・アフター・トゥモロー」はレスキューホイッスル、「ハッピーフィート」はペンギンのぬいぐるみという具合だ。遊び心に満ちたものも多く、「WALL・E ウォーリー」は「もう”ひとりぼっち”じゃない!映画館限定”ド~ンと!ウォーリー!”」とコメントのついた携帯ストラップ、「コックリさん」は「このペンは『コックリさん』専用のものです。類似品(ソックリさん)にご注意ください。」と注意書きのある巨大ボールペンである。そして、変わり種では、「キル・ビル」のトラックスーツを買えば何度でも作品を見られる前売り券15,000円(100枚限定)、「イーオン・フラックス」は”近未来メタルソープ”という量の減らない金属の石けん、「ザ・リング2」は”呪いのビデオを見ない為に映画館に持って行く”アイマスクといった具合である。それから、前売り券が逆にオマケのようになってるケースもある。「ケロロ軍曹劇場版4」のフィギュア付きのプレミアム限定前売り券は11,800円だ。こういうケースは、景品表示法の過大な景品類にあたるので、オマケという位置づけではなくてセット販売だろう。さらに、奇抜なのはフランス映画「ひめごと」(日本ではR-18指定)のフランス製高級ランジェリーだ。下着と映画のペア鑑賞券がセットで3000円だったが、追加販売するほどの人気だった。また、「ウォーターズ」はホストクラブで2時間遊べるという特典付きで3000円、まさに離れ業だ。
・ハリウッド映画は数分単位でストーリー展開を計算し、登場人物のキャラクターも法則に基づいて設定されている。つまりは、観客の心理的変化を計算し尽くした科学的な仕掛けが隠されているのだ。
・海外では、映画に出演している俳優とテレビに出演している俳優やタレントが同じ人たちではなく、それぞれが別で違っていて、その顔ぶれが重なってはいない。でも、日本では、ほとんど一緒で重なっている。実はこれも、世界にあまり例が無く、日本だけだともいわれている。海外では、映画俳優とテレビに出演する俳優・タレントはほとんど重ならないもので、基本的に別の職業なのだ。もちろん、テレビで活躍する俳優が、そのうち映画に出演するようになることはある。でも、これはステップアップした結果なのだ。
・アメリカでは、映画俳優が1番で、テレビ俳優はその次、CMに出演するタレントはそのまた次という考えが根強くある。したがって、いわば国家の顔ともいえるハリウッドスターがテレビCMに出演することは、ほとんどあり得ない。しかし、日本のCMがアメリカ人の目には触れないからだ。日本のテレビCMをアメリカにいながら見ることはできない。ハリウッドの映画俳優は、お忍びのように日本にやってきて、こっそり日本のCMに出演している。それは、日本のCMのギャラが高額だからで、ハリウッドの映画俳優からみても割のいい仕事になっているのである。
・映画の当たりハズレで恐いのは、劇場公開の初日と2日目、または最初の1週間の映画館入場者数で、その後の先行きが決まることである。その成績が劇場公開日数の目安になり、もしも数字が悪いと早々に劇場公開が打ちきられてしまうのだ。
・映画のロケ地が映画の舞台になるとは限らない。例えば、宮崎あおい主演の映画「初恋」のワンシーンは1960年代の新宿だが、現在の新宿にはその頃の面影はもうほとんど残っていないため、全国各地を探しまわって、見つけ出した場所が北九州市だ。だから、新宿の南口の階段は小倉北区の新砂だし、新宿の裏通りは門司区の住宅街でロケされている。海外でも例えば、「スティング」の舞台は1930年代のシカゴだが、シカゴにあるはずの回転木馬はロサンゼルスの近くのサンタモニカ・ピアにあるし、映画「アマデウス」は18世紀のウィーンが舞台だが、ウィーンに18世紀当時の雰囲気が残っていなかったことから、チェコのプラハがロケ地になっている。また、海外ロケの場合、政治や治安の状況によっては似た国でロケが行われることも多い。例えば、1985年に公開された市川監督「ビルマの竪琴」のロケ地はビルマ(現在のミャンマー)ではなくタイランドだ(当時はビルマでのロケは政治的に難しかった)。
・海外にある米ドルが凍結されて米国内への持込が禁止されたわけだから、ハリウッドの映画会社が海外に配給した利益を米国内に送金できなくなってしまった。そのため、海外で凍結された資金を海外で使う必要が生じて、ロケ撮影が行われたのだ。「ローマの休日」の製作にあたって監督のウィリアム・ワイラーは、ローマですべてのロケ撮影をすることを主張した。その結果、ローマの魅力を伝える映画になり、その公開後、ローマの観光客が急増している。それ以来、今日にいたるまで、スペイン広場などのロケ地は、「ローマの休日」のラブロマンスという付加価値がついた観光地になった。つまり、「ロケ撮影による臨場感と、映画によって新たに創り出された地域の物語」が新たなローマの観光資源となったのである。
・実写映画のロケ地は観光地になる。「フィールド・オブ・ドリームス」の野球場があるアイオワ州の小さな町ダイヤースヴィルもメジャーな観光地になり、アメリカのワイオミング州のデヴィルズタワー国立公園が「未知との遭遇」に登場して観光客の数が約75%も上昇、「フォー・ウェディング」の舞台となったクラウンホテルのスイートルームが何年にもわたって予約がいっぱいになるなど、ロケ地を訪ねる観光(ロケ地観光)の事例は星の数ほどあって枚挙に暇がないほどだ。また、テレビドラマ「北の国から」の舞台となった北海道富良野市は、最終回が放送された2002年の観光客数は約250万人と過去最高に達している。
・海外からの日本への観光客が増えた事例として、「Love Letter」があり、小樽に韓国からの観光客が増えている。一方、国内から海外へのロケ地観光としては、「シュリ」のラストシーンが撮影された済州島のベンチ「シェリベンチ」が観光名所になり、韓国ドラマ「冬のソナタ」のファンが、日本からロケ地に訪れたのは広く知られているところだ。
・ロケのオープンのセットの保存といえば、「男たちの大和」では、原寸大の「大和ロケセット」が6億円で造られたが、ロケの後おしばらく公開された。「大和ロケセット」の公開は、映画のプロモーションになり、2000万円から3000万円もかかる解体費用の軽減にもつながったし、尾道市への観光客が増えている。また、映画「二十四の瞳」のロケで使われたオープンセットは長期にわたって保存されている。それから、映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」に映っている60年代の福岡県筑豊地方の炭鉱町は、実は宮城県栗原市にある細倉鉱山の鉱山住宅を活かしたオープンセットなのだが、このオープンセットもそのまま保存されて一般に公開されているし、映画「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」のオープンセット「鬼太郎ハウス」も沖縄県国頭村安波の「やんばる学びの森」に移築されている。
・「現地で映画の追憶にひたれる」事例としては、山形県鶴岡市にある「おくりびと」や「蝉しぐれ」などの庄内映画村、北海道夕張市にある「幸せの黄色いハンカチ」の黄色いハンカチ広場、香川県小豆島にある「二十四の瞳」の二十四の瞳映画村、徳島県鳴門市にある「バルトの楽園」のBANDOロケ村などがある。
・どうして海外からに本位はロケ隊がほとんど来ないのか。その1番の理由は、日本でロケ撮影することが海外より困難だという認識が世界の映画人に広まったからである。それが広まったきっかけは、1989年に公開された「ブラック・レイン」の日本ロケであった。「ブラック・レイン」の日本ロケは、もともと10週間の予定だったのが、撮影が困難で5週間で中止となり、ロケ隊はハリウッドに舞い戻ってしまったのだ。ロケはもともとは東京で行われる予定であったが、東京では絶対に無理だと日本側の関係者がアドバイスして、大阪で受け入れることになった。だが、その大阪での撮影も困難を極めてしまったのだ。ロケ隊は急遽、アメリカに戻ったあと、地元に大規模なセットをつくって、日系人を集めて撮影したのである。
・カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどは国家戦略として、ハリウッド映画をターゲットに、そのビロウザラインの誘致をはっきりと打ち出しているのである。例えば、ニュージーランドはこれまで、「ラストサムライ」、「ナルニア国物語」、「ロード・オブ・ザ・リング」「紀元前1万年」などのハリウッド映画の大作を誘致している。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のロケ誘致によって、ニュージーランドのGDPは2%もアップしたといわれ、それほどハリウッド大作のロケ誘致が及ぼす経済効果は大きい。
・ワーナー・マイカル・シネマズは、花粉、浮遊菌、ウイルス、臭いのほとんどを取り除くウイルスウォッシャー機能を搭載した空間清浄システムの導入を2008年から本格的に開始している。
・例えば、「殯の森」では地域の人々からの支援があった。具体的にいうと「殯の森」の製作委員会が「ひとコマもがり」と呼ぶ、地域の人々が映画づくりを支える仕組みをつくり、地元奈良県の人々が「地域サポーター」として映画に資金を提供したのである。この方法は一口(ひとコマ)が2000円と手ごろな値段で参加・協力できるもので、映画づくりに出資ではないかたちで関わっている(不特定かつ多数のものからの金銭の受け入れなので、出資だと出資法違反となる)。その値段が手ごろであることもあって、サポーターの数は何と数千人にも及んでいる。ちなみに、サポーターにはお礼として、実際に撮影された映画35ミリフィルムをひとコマプレゼント、奈良県下の6ヵ所で行われる特別試写会への無料招待、「殯の森」の映画パンフレットへの氏名掲載と3つの特典を用意している。
・現在の日本映画の製作における資金調達は、製作委員会に参加する企業からの出資、文化庁などの国や自治体、並びに財団などから助成金、企業などから協賛金があるが、最近はそれらに加えて、多様な資金調達の手段が用意されている。その一つが映画ファンドだ。ファンドとは、投資家からの資金運用を信託会社などの機関投資家が代行する金融商品のことをいうが、映画ファンドはその映画版である。この映画ファンドで製作された例としては、「フラガール」があり、「フラガール」は「シネカノン・ファンド第1号」の運用対象として製作された映画だ。「シネカノン・ファンド第1号」とは、シネカノン社が製作・買い付けする20作品をパッケージにしてつくった45億円の映画ファンドのことである。。そしてまた、「SHINOBI」もこの作品に限定したファンドで製作されている。松竹がインターネット証券を通じて個人投資家から募集したもので、個人投資家の元本割れのリスクに配慮して、「元本60%タイプ(積極投資型)」と、「元本90%タイプ(安定運用型)」の2種類が用意され、1口10万円であった。その募集結果は、申込者は約1300人で、申込総額は5億220万円となっている。ちなみに「SHINOBI」のエンドロールには、「忍-SHINOBIファンド匿名組合」に投資した多数の個人名が載っていて、個人投資家たちは、単なる投資に留まらず、映画づくりに参加するという、夢を買ったという側面もあるだろう。この映画ファンドという仕組みは、アメリカなど海外では、以前から一般的に行われている資金調達の手法で、アメリカの場合は5作品を基本にしている場合が多い。
<目次>
まえがき
第1章 映画の身近な疑問から業界が見えてくる
なぜ映画館でポップコーンを売っているのか
「キネマ」は何語か、その語源からわかる業界
製作の裏事情がギュッと詰まったエンドロール、「友情出演」の友情とは
1895年12月28日、映画の誕生日はこうして決めた
字幕スーパーの翻訳に首をかしげてしまうわけ
なんとなく可笑しい吹き替え、「NO」が「いやだ」にならない理由
映画料金がまちまちで複雑になったわけ
はたして日本の映画料金は高いのか
日本にしかない映画前売り券、オマケの離れ技
空席だらけの映画館はなぜ潰れないのか
あの映画にこの映画、何人見れば儲かるか
映画の長さ、理想の長さは何分
ラストシーンで感動の涙、涙が乾く時間までちゃんと計算していたあの映画
分単位でストーリーを計算しているハリウッド映画のこわいしかけ
第2章 プロっぽい視点で映画を見てこそわかること
波瀾万丈だった業界の突き抜けた苦しみ
日本の映画産業が凋落を経験した本当の理由
テレビ局が映画をつくる日本、映画会社がテレビ番組をつくるアメリカ
海外では映画俳優とテレビタレントははっきり区別、日本は一緒のなぜ
日本のヒット映画が海外でなかなか売れない複雑な理由
海外ドラマに活気があるわけ
なぜハリウッドの土地に映画産業が集積したのか
「ローマの休日」のDVDが格安で、「生きる」が高いわけ
ゴジラの身長が100メートルまで伸びたことからわかること
「リング」「Shall we Dance?」「南極物語」、ハリウッドがわざわざリメイクする理由
「千と千尋の神隠し」でキットカット、「UDON」でマルちゃんを食べてるわけ
映画には権利ビジネスがてんこ盛り、ファッションや料理も真似しちゃだめなケース
映画の検閲と自主規制からわかること
国際映画祭で性的シーンにボカシがなくても許される理由
映画のヒット率は野球と同じ、3割当たればヒットメーカー
第3章 なぜあの町この店でよくロケしているのか?
ロケがよくあるお店、気になったので行ってみた
ロケで儲けるお店になったわけ
雑誌やドラマでよく見るあの飲食チェーン店のからくり
テレビに映って売り上げ急増のお店、別にたいして変わらなかったお店、二極化のわけ
映画の舞台とロケ地、同じ場所かまったく別か、ロケこだわりの舞台裏
数字にみるロケに有利な首都圏、でも業界が口コミに頼りたがるわけ
方言でロケ地の「スウィングガールズ」、あの町がロケ地になった意外な理由
「フラガール」「佐賀のがばいばあちゃん」、ロケ誘致の内幕あれこれ
ロケ隊が地域に落としていく金額の相場と経済効果はいくら
ハリウッド映画の日本ロケ、5日間で約1億円もどう使うのかその中身
世界初のフィルムコミッションはどのように誕生したか
フィルムコミッションの仕事の中身とその悩み
「男やつらいよ」「釣りバカ日誌」、ロケ地とタイアップの舞台裏
工場誘致に似ているロケ誘致、日本でもはじまっているインセンティブ
売れ残り不動産が完売、閑古鳥のテーマパークが元気になったしかけ
「ローマの休日」でローマに観光客が増えた本当の理由
実写映画のロケ地観光とアニメの聖地巡礼、現場で起こっていること
ロケ地を観光地にするコツ
第4章 世界大恐慌をきっかけに飛躍した映画産業
「ブラック・レイン」から「バベル」まで、身動きとれない日本ロケ
海外がロケに協力的なわけ
ロケなら税金還付、マンハッタンを完全封鎖、警官もロケでアルバイトの海外
日本ロケの今を海外映画人はどう思っているか
夕張市の破綻からみえてきた映画と地域の関係性
日本にしかない仕組み、製作委員会方式とその限界
日本全国で地域への影響が懸念される2013年問題とは
3D映画、空気のきれいなシネコン、映画館の新しい楽しみ方
世界大恐慌をきっかけに飛躍した映画産業
第5章 映画でいろどる花綵列島、日本が各地で元気になる
「おくりびと」「千と千尋の神隠し」、まだまだ伸びる日本のコンテンツ産業
世界のKUROSAWAを支えた海外、「殯の森」資金も支援した地域サポーター
地域発「リージョナルシネマ」の芽ばえ
地方博なき時代から目立ちはじめた映画のイベント
民の力で地域が栄える映画の仕組み
映画で地域を元気にする方法
日本映画を活気づける映画ファンド
映画に資金が集まる海外の国際戦略
未来を描く力、こころとお金と時間のこれから
おわりに
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
5歳の息子と長距離のサイクリングをしました。途中で酔っ払いのまねをして、ガニマタで「うぃー」と言いながら、「おっとっと!」とペダルを踏み外すと、息子はオオウケです。笑いすぎて自転車を降り、自転車を立たせることもできません^_^;) そんなに面白いですか・・・^_^;)