<金曜は本の紹介>
「改訂新版 コワ~い土地の話」の購入はコチラ
「改訂新版 コワ~い土地の話」という本は、2000件以上の土地・不動産売買のある著者が、土地売買に関する注意点について、分かりやすく解説したものです。
特に、公簿売買の場合は実際に測量した面積ではなく、登記上の面積で売買するので注意が必要ということには驚きましたね。
地主が悪用して切り売りを重ねて、実際には180坪くらいあるのに、 公募上では25坪で、それで課税額を節約していたこともあったとはビックリしました。
また、以下の法に関することについても、とても興味を持ちましたね。
いろんな制限があることがわかり、とても勉強になります。
・接道義務違反
・都市計画道路
・市街化調整区域
・用途地域
・建築協定
・防火地域
それから、新築マンションは仲介業者には手数料がないというのは知りませんでしたね。
また、仲介業者は建売りを売ると、買主と業者から土地・建物それぞれの手数料をもらえるので、建売りを売りたがるということにはナルホドと思いました。
「改訂新版 コワ~い土地の話」という本は、特に不動産購入を検討している方に参考となり、またフレンドリーで分かりやすく、とてもオススメです!
以下はこの本のポイントなどです。
・東京・西部で土地を探していた方が、千葉県の土地を購入という例もありました。都心を中心にするとほぼ正反対の場所。なぜ選択肢をそこまで広げられたかというと、「同心円式土地探し」を行ったからです。この方法なら、通勤時間を変えずに、広い地域に目がいきます。土地の価格も同心円状に変化するので、値段の目安もつけやすい。
・土地がない状態のままで注文建築を希望される方は、俗に「地なし」と呼ばれています。業者にとって手間ひまかかる割に利益が少ないお客です。なぜかというと、たとえば不動産仲介では、土地+建物である建売住宅を1軒売ると、建売業者と買い主の両方から、土地と建物の合計金額に対する手数料が得られます。「地なし」のお客さまだと、土地のみの手数料分しか利益が出ない。にもかかわらず、手間ひまは建売物件の何倍もかかる。ハウスメーカー側にしても、土地がない上になにかと建物の注文が多いのでやりづらい。だから「建売を売れ!」ってのが、不動産業界では常識。そんなわけで、土地から探すお客様は、不動産屋、ハウスメーカー双方から敬遠されます。
・まず注意すべきなのが、①「道路状況」と②「傾斜地」の物件。①はその内容いかんで「不適合接道」という、「買ったはいいけど家が建たない」シンプルかつ致命的なトラブルに発展する可能性があるからです。販売図面の道路の備考欄に、「不適合接道」「再建築不可」とか「43条但し書き」などの記入があったら要注意。②の「傾斜地」は、有効宅地面積が制限されることが多く、建てたい家の広さに土地の広さが合うかどうかが分かれ目。ただし、有効宅地面積を販売図面に明記する義務は今のところないんです。自分で測るか、業者に頼むしかないとわからない。さらに傾斜地は足場を固めるための余分な費用もかかります。②については、どの方角に傾斜しているのかも欠かせないチェックポイント。コンパスを持って行くといいですよ。
・この事例では、重要事項説明書をきちんと理解していなかったために100万円以上の水道管設置費用が余計にかかり、さらに地権者(水道管を通す部分)の合意を得るため、業界でいう「ハンコ代」が必要というオマケ付き。地権者の合意を取り付けるだけでも大変だったと思いますよ。
・複雑な業界である不動産の世界で損をしないためには「信用できる不動産仲介業者を見つける」ことがいちばんの早道。結局はここに落ち着くんじゃないかな、と。では、どういう業者が「いい業者」なのでしょうか?ひとつには経験年数が判断基準になります。仲介業者の事務所に貼ってある「宅地建物取引業者免許」の免許証番号の( )の中の数字は、更新回数を示したもの。これが大きいほど経験年数が長く、2桁ならいいほうです。営業マンの名刺にも免許証番号が書かれているので、そこから業務内容を調べることもできます。都内だったら都庁のホームページの「宅建業者情報インターネット情報提供システム」で検索可能です。過去の処分歴までわかります。けっこうワルな業者でも行政処分まではなかなかいきませんから、もし処分歴があったら、それだけでヤバイい業者です。
・ある地主が土地を売りに出し、お客さんからその土地への購入希望の電話が仲介業者に入ったとします。申し出を受けた営業マンは、最初にお客さんに「買い付け証明」(大手仲介企業では「不動産購入申込書」などと呼ばれる)を提出してもらいます。買い手側の希望などを確認し、そこで初めて、売り地に関する具体的な調査を開始します(調査以前の物件情報は、あくまで売り手側の自己申告)。売買契約は、売り手・買い手双方の意思表示が合致しないとはじまりません。「不動産購入申込書」は買い主側が、その意思表示をするためのものです。読んでみるともっともらしいことが買いてあって、「すでに契約の前段階!」と思わせるような”勢い”が感じられます。初めての人はビビっちゃうと思いますが、この内容は法的根拠はなんら存在しません。つまり、書いたからといって買わなきゃいけないというわけじゃない。書中に「手付金○円」と書かれていますが、本来はこれにも強制力はありません。つまりこの時点では、お金はなんら発生しない。「とりあえず手付金10万入れてください」といわれても、その場は拒否してかまわない。しにくかったら「なんのためのお金ですか?」と聞いてみてください。まともな答えは返ってこないはずです。ここで「○日後に100万持ってきてください、人気物件だから物件押さえちゃいましょうよ」なんていわれて、ホイホイ手付金を渡しちゃう人がけっこういるんですよねこれ、考える間を与えずに買わせるために業者がとる常套手段のひとつ。「100万円入れちゃったしなあ」って思わせて、後戻りできないような心境に強引に持っていくことで、自分のペースに相手を引き込むわけです。
・「不動産購入申込書」の記入をすませると、営業マンはまず手始めに法務局に行って、業界で「一件資料」と呼ばれる必要書類-「登記簿謄本」「公図」「地積測量図」「建物図面」など、とれるものは全部とってきます。「登記簿謄本」は、現在コンピュータ化されて「登記事項証明書」になりつつあります。見た目はきれいですが、昔の情報が載っていないので、これだけではその土地のルーツまではわかりません。「昔は墓地だった」「田んぼだったので地盤が弱い」などの情報を得るには「閉鎖謄本」が必要となります。(費用は一筆につき千円)。「公図」は、土地の登記所にある地図のこと。ふだん見ている地図のものすごく詳細になったものです。土地は「一筆(ひとふで)」、「二筆(ふたふで)」という数え方をしますが、その一筆ごとに地番が割り当てられます。だから、「見た目にはふつうの四角い土地でも、公図を見たら長方形の土地がくっついた四筆土地だった」なんてこともしょっちゅうあります。地番は、この公図じゃないと見つけられません。よって周辺の道路や地番が知りたいときに必要となります(500円で誰でも閲覧可能。コピーも可)。営業マンに信用がおけない場合、催促するか、あるいは自分で見に行くのも手でしょう。もっとも、けっこういい加減に書かれた公図も多いので、記述内容と実際の地形が一致していないほうが一般的です。正確な情報を得るためには「地積測量図」で確認するのがベスト。業者がくれた図面ではほぼ正方形の土地だったのに、実際は道路部分までが自分の土地-つまり「敷地延長」だった、なんてことがこれによって判明します。「地積測量図」は必ず見つかるとは限りません。土地家屋調査士に測量を依頼して登記した土地のデータのみが、法務局に書類として残ります。「地籍調査」という例外もありますが、ここでは省略。これにより土地の面積は正確に把握できませうが、古いものは平気で1坪くらい誤差が出るのが常ですから、測り直してもらったほうが安心でしょう。プロに頼む場合は、だいたい20万円くらいが相場ですが、自分でも測れます。
・法務局の次は、市(町・村・区)役所方面での調査です。都市計画課、建築指導課などの役所の担当課を回って、必要な建築制限を調べます。ここでは「都市計画図」や「道路種別図」などを確認することになります。道路種別図は、「二項道路」や「43条但し書き」などが色分けされて書き込まれている地図のこと。役所の建築指導課にあって、実質的には誰でも気軽に閲覧できます。公図だと、残念ながら道路の細かい情報までは確認できません。「道路種別図」で確認したら、「現地にあったはずの道路がない!」なんてこともときどきあります。まだ購入する土地が決まってない人も、一度見ておくといいでしょう。ためしに自宅付近を調べてみたら、公道だと思っていた道路が実はそうじゃなかった新たな事実が判明したり。「土地って見た目だけじゃ判断できない」と実感できるはずです。
・「必要な建築制限を調べる」というのは、「その場所に家を建てていいのかどうか」のチョー基本的なことから、「高さの制限」「1階を店舗にするのはOKかNGか」などまで、とにかく「その土地でしたらマズいこと」を調べ上げるという意味です。「実は3階建て建築が不可の土地だった」というのがのちにわかって、トラブルになることもあるので、それを未然に防ぐための作業です
・「都市計画図」は、市や区が有料(400~500円)で配布していて、区によってはホームページでも閲覧可能です。用途地域、建ぺい率、容積率などが記載された地図で、そこでは、たとえば「この地域は”第一低層住宅専用地域”で環境はいいけど、道路一本隔てたところは商業地域」といった近辺情報までわかります。
・役所方面での調査がすむと今度は、水道とガスです。水道局で「水道台帳」、管轄のガス会社では「ガスの配管調査票」をとります。これらは、ライフラインがしっかりと敷かれているかどうかを確認するためのもの。ガスについてはファックスでもやりとり可能ですが、私は実際にガス会社まで出向いて、端末を叩いて現地と照合しています。ガスや下水道はどうにか解決することができるんですが、水道は別です。水道は大きな問題に発展することが多いので、「水道管が自分の土地まで届いているかどうか」をはっきりと営業マンに確認してください。細かい話になりますが、水道については他にもさまざまな問題が発生します。たとえば管の口径の問題などもそのひとつ。昔の管は13mmのものが多かったけど、今はけっこう水を使うので20mm以上のものが一般的で、3階建ての建物には20mm管でないと使用不可。場合によっては、「管はきているけど入れ替えなきゃいけない」という事態にもなりかねません。鉛管かどうかの問題もそうです。鉛が人体に悪いため、公費負担で順次入れ替え処理がなされていますが、完全になくなったわけじゃない。さらに、私道などの共有私設管に多い容量に関する問題などもやっかいです。25mm管がきているので十分な水量を確保できると安心していると、上流ですでに20mm管2本がとられていて、新たな管の接続ができないなんてこともありえます。25mm管は20mm×2で容量一杯です。「1本分を分けてほしい」と共有者にお願いしても、自分のところの水量が減るので、なかなか首をたてにふってはくれません。
・水道・ガス方面の調査が終わると、この他にも、たとえば埋蔵文化財(教育委員会管轄)の有無など、その地域独自の問題をそれぞれの管轄事務所などを回りながらクリアしていきます。
・買い手側は、重要事項説明書の内容をしっかりと理解しておくべきです。そうすれば、あらかじめ不利益な情報を知った上での最終決断が可能です。契約解除などのトラブルの防止にもなる。ゆえに重要事項説明書については、契約の前段階で(どんなに遅くてもその前日までに)読んでおかないと、ほとんど意味がありません。私が必ず契約の1週間前にお客さんに渡して、「質問があったらなんでも聞いてください」と伝えておくのはそのためです。ところがこの重要事項証明書、実際には本契約の場で初めて出されるケースが多いんですよ。その場で簡単に読み上げられて、「ちゃんと説明しましたからね」って。理由は簡単。契約にまでこぎつけたのに、買い主に気が変わられては元も子もないという思いが業者側にあるからです。
・「不動産売買契約書」を交わすと、いよいよ契約成立です。契約の右肩に<土地売買代金固定型>とか書かれてあるでしょ?これが「実測売買」か「公簿売買」かについての説明。実測売買=精算型、公簿売買=固定型です。なんにも知らない買い主さんだったらまずわかりません。これに限らず、契約に関する書類には「重要なことがあっさりと書かれている」ことを念頭においてください。契約書の内容が気に入らなかったら、書き直してもらっていいんです。とはいえ、いい土地は売り手市場です。ひとつの土地を何人かで競る場合がほとんどです。良心的な業者だったら、土地購入の意思表示をしてから契約までには最低でも1週間はとりますが、普通は2、3日で決断させなきゃいけない。なのに土地に関する調査はけっこう時間がかかる。そんなときは、契約書に「特約」を付記するという手もあります。たとえば「買い主は本契約締結後3週間以内に地盤調査をして、その結果、地盤補強に金200万円以上費用を生じることがわかったときは、契約を無償解除ができる」とかなんとか。また、別途「覚書」なんて書類を作ってごまかしちゃうことも多いですね。
・本来、契約書や重要事項証明書は、消費者保護を目的に作られたものです。が、実際の現場では、買い主を保護する目的では作られていません。昔の不動産屋がワルすぎたんでしょう。悪用したんですねえ、これを。現在もそういう悪しき体質が業界全体に残っていて、とくに運用面ではついついそうなっちゃう。トラブル防止のマニュアルが各社にありますが、その「トラブル」ってのはあくまで「業者にとっての」トラブルなんですよ。というわけで、ここで教訓。頭にしっかり叩きこんでおいてほしいのは、「契約書や重要事項説明書は、業者の保身のためのもの。逃げ道を保証するための方便」ってことです。
・一般的に悪条件の土地というと、①極端に狭い「狭小地」(銀行の担保査定の基準でいうと50平米以下)、②三角形とか平行四辺形とか、とにかく正方形から遠い形をしている「変形地」、③傾斜がある「斜面地」、さらに、普通の人が立って歩けないほどの見た目はほとんど崖みたいな激しい傾斜がある「急傾斜地」、④土地そのものは平坦なんだけど、道路や隣の敷地と高低差がある「道上地」「道下地」などを指します。
・「公簿売買」っていうのは、実際に測量した面積ではなく、「登記上の面積で売り買いする」ということで、公簿の単位で土地の代金を固定してしまうので「土地売買代金固定型」と大手不動産企業では表記されています。反対語が「実測売買」で、こちらは実測値に基づいて売買します。この実測売買のことは「土地売買代金精算型」と記されます。
・「公簿売買だから実測値と違うのはしょうがない」っていわれたら、誰だって「じゃあ、公簿にあるのは本当の面積じゃないの?」って思うでしょ?でもその通りです。さらに契約書には「本物件の売買対象の面積は表記の面積とし、実測面積と差異が生じたとしても、売り主・買い主は売買代金の増減請求その他、なんら異議を申し立てない」という一文があります。これは公簿売買ではホントよくある決まり文句で、「あとから実際に測った大きさと、契約の書いてある大きさが違うことがわかっても、価格が安くなったり高くなったりしませんよ」という意味の文言です。新たな開発分譲や分筆を伴う売買じゃなければ、「現在の土地の売買のほとんどが公簿売買」っていうのが実情です。中古の物件とか土地の売買では、公簿売買のケースが圧倒的に多い。とくに一般消費者間での売買は、改めて測り直したりしないケースが普通だと思います。チラシでも「これは実測値とは異なる場合があります」って小さく書いてあるのを見たことありませんか?これも公簿売買の目印です。じゃあ、なんで実測と公簿がずれるのか。理由としては、単純に「昔は測量技術が未熟だった」ということ。なにしろ縄で測っていましたから。”縄のび””縄ちぢみ”っていうんですけど、ちょっと引っ張りすぎたりすると数cm単位ですぐ違ってきちゃいます。もうひとつ原因として多いのが、「地主が土地を切り売りしているうちに実測値と届けた面積がズレてきちゃった」ってやつ。これは、いつの間にかそうなっちゃったものと、確信犯的にやっているものと2パターンあります。
・測量には「確定測量」と「現況測量」の2種類があって、確定測量は、対象になる土地の周囲の住人に、実際境界を見ながらの立ち会いの下、ハンコをもらうことが必要です。これが登記所に出せる正式な書類となります。売り主にはこっちを奨めることが多いですが。たとえば、建売屋さんは大きな土地を買ったあと、分割しますよね。そのときは、必ず確定測量図じゃないと分筆できないんです。たいがいは、確定測量図をつけてなおかつ実測売買する、という慎重な売買スタイルをとります。前面道路が市や区の所有だったら、さらに「官民査定」をやらなきゃいけない。もっともこれには時間がかかるので、「面積さえわかればいい」というケースでは現況測量のみで処理し、今の状態を測ります。きちんと測った土地に関しては、登記所に「地積測量図」という記録が残ります。とはいえ、昔の測量技術はいい加減です。地積測量図の日付が昭和50年代より前だったら測り直したほうがベター。これは不動産屋のカンなので根拠はないですけど、今までの経験からそう思います。
・地積測量図があってもアテにできない要因として「残地」というのが考えられます。たとえば地主が自分のAという土地を、B、C、Dの3つに切って売る場合、そこを売り買いしたい業者が対角線を測るんです。われわれは「三斜を切る」っという言い方をします。この方法で仮にBの区画の広さを出すとすると、A全体からCとDの測定面積を差し引いて、「残りのBは○○でしょ」という出し方になるんです。そもそも、元になる土地Aを測った当時の測量技術もいい加減ですし、そこに現在の測量技術をのせて、「ココとココを測ったから残りはいくつ」と安易なやり方でやっている。なんの根拠もない数字がはじき出されることにもなります。こえがいわゆる「残地」です。これを確信犯的に繰り返して、最終的にすごい差を故意に生じさせたケースを見たことがあります。とある大きな地主がいて、そこが代々、自分の土地を切り売りしていたんですね。で、そのたびに、自分の地所として残しておく土地の面積を少なく届け出ていた。実際は38坪ほどしか売っていないのに40坪売ったことにして・・・っていうようなことを繰り返していったんです。「なんでそんなことをしたのか?」というと、税金が安くなるから。そうやって代々、公簿上の自分の土地を少なくしていった結果、最後に残った土地=残地には、公簿上のそれと比べ莫大な誤差が生じるまでになっていました。実際には180坪くらいあるのに、公簿上ではなんと25坪!当然、課税額がぜんぜん違います。最近は役所も現況課税方式をとることが多いので、現地を見に来ることもあるんですけど、どうにかしてくぐり抜けてきたんでしょう。残った最後の土地を売るときには実測することになるでしょうから、そこではごまかしきれないと思いますけど。
・競売がお奨めできない理由は、主に、
①競売市場はすでにプロ筋(マンション買取業者)が多数参入しており、さほど値頃感はない。
②海千山千のプロ相手の世界に入って行くのだから、リスクが大きく、すべては「自己責任」。
の2点です。
①はとくに首都圏でそう(あなたが欲しい物件はみんなが欲しいので、お買い得感はゼロです)。
②の「自己責任」(最近薄っぺらいね、この言葉)ですが、要するにバカを見る人が多いってことです。
・シロウトが競売に手を出して、得するケースがあるとすれば、次の場合くらいでしょう。
①自分の購入希望地域が地価下落傾向にある場合。
下落率が2桁台であれば、入札者が少ないので低価格での落札の可能性はあり。
②利便性が悪い地域で購入を考えている場合。
①とかぶりますが、人気のない地域で入札があった場合、誰も買う人がいなかったりして、特売(特別売却)されたりします。そうなったらいくらなんでも市場価格よりは安いですね。この二例は、かなり景気の悪い場所にはまるケースです。ただ、そんな地域にも細々と仕入れしている建売屋がいたりしますからね。パワービルダーの影響が及ばない地域であっても、大工に毛が生えたような工務店が、物件欲しさに入札してきたりすることもあります。確かに競売は、以前よりも手続きも迅速化され、法整備もマシになりました。けれども、仕事を持ちながら購入を考えている人がやるには、けっこうなスキルがいるものなのです。結局、自分の手に負えなくて代理入札業者に依頼するわけですが、手数料が上乗せされるので、よくても取得価格は相場に落ち着くのではないでしょうか。だって、業者が極端に安く入札できたなら、普通、業者が自分で買っちゃって転売して、利益出しません?
・42条一項一号道路:道路法によって定められた幅員4m以上ある、国道、都道府県道、市区町村道のこと。これに2m以上接していれば、なんの問題なく家を建てたり、立て替えしたりできる。
・「42条第二項道路」。幅員が4mに満たない、建築基準法の施行以前からあった道路です。すでに周りに人が住んでいるのに、「今度から道路は4mの幅にすることになったから、あんたたち少し下がりなさい」とは、いきなりはいえないですよね。だから、「今はいいけど、次に家を建て替えるときは、道路の中心線から2m下がってね」という約束を前提に、道路として認められているものです。「とりあえず道路としてみなす」という意味から、「みなし道路」ともいわれます。この「2m下がる」は、不動産用語で「セットバック」といわれています。広告や重要事項説明書に「要セットバック」の文字があったら、「下がって」家を建てなきゃダメという意味。とくに中古物件は一杯いっぱいに建てられていることが多いので、二項道路沿いの家を買って立て替えをする場合、敷地は狭くなります。
・現在の建築基準法で「4m以上の幅員のある道路との接道部分が2m未満の土地には、建物は建てられない」ことになっています。地震や火事などのとき、どの家も避難経路を確保できるように、という理由です。ここでいう「道路」というのが、われわれが日常的に使っている道路の概念とだいぶ違うところに、不動産売買に関する悲劇の原因が潜んでいます。建築基準法で認められているところの「道路」は、まず原則として幅員が4m以上あって、次のどれか一つが該当します。覚えなくてもいいですけど、いちおう目は通しておいてください。
①道路法で定められた道路。あるいは都市計画法、土地区画整理法、都市開発法などで定められた道路。
②都市計画区域に指定された時点ですでにあった道路
③事業計画に従って、2年以内に設置を始める予定の道路として、特定行政庁(市町村長、知事など)が指定した道路
④道路法などによらずに築造する道で、特定行政庁の指定を受けた道路
・土地取引の際には境界を明示することになっています。しかし、悪意ではなくても習慣的に当然のこととして、指でさして、口頭で「ここまでです」といってすますいい加減な取引をしている業者も多いのです。「不動産屋は信用するな!」。私のような不動産屋がいうんですから間違いないでしょう。これは”不動産屋のパラドクス”ってところですかね。ですから、不動産屋と買い手である読者のみなさんだけで確認しないで、必ず隣家の人と一緒に確かめましょう。測量図、立会図面があっても、それを見ただけですませないように。隣家の人が思っている境界と一致しているとは限りませんから。もし測量図、立会図面がなければ、法務局が管理している「公図」を見てください。土地のだいたいの形、道路との関係、隣地との関係がわかる程度で、面積や距離などは正確ではあませんが、手がかりにはなります。この公図をもとに、接している隣地すべての地積測量図がないかどうかを調べます。買う土地の測量図がなくても周囲の土地が測量されていれば、予測できまs。役所に行けばそれらの資料は誰でも入手できますよ。のみならず、道路に接している部分を役所が管理していれば「道路査定図」、位置指定道路ならば「位置指定図」、分譲地なら「開発登録簿」など、手がかりになるものはすべて入手して、それらを突き合わせながら確認しましょう。測量するとなるとちょっとした出費ですが、これならかなり割安ですみます。
・書類があっても、必ず不動産業者と隣家の立会いのもとに確認し、そのときに隣家の確認印のある境界立会確認図面を作っておけば万全です。では、実際に境界線を確認するときはどうしたらいいのか?それはきちんと目で確かめることです。「でも、土地に線が描かれているわけじゃないから見えない」って?実は境界は見えるし、その気になれば触ることだってできます。といっても、もちろん線が引いてあるわけじゃありません。「境界標」があるだけです。境界標には、いろいろな形があります。頭を十字に切った四角いコンクリート杭の境界標が多いですが、境界石というただの自然石のこともあります。どんなものでもいいのですけど、埋まっていて見つかりにくいものがおおいのが難点。土盛りしたときに埋まったりして、そのまま放っておかれることが多いからです。はっきりしなければ、土を掘って探してみましょう。境界に塀や垣根がある場合、境界標はその下にあることも珍しくありません。隣家が住む前からある塀には注意してください。また、見つかった境界標は絶対に動かさないように。隣家の立会いのもとでも、動かしてはいけません。境界標には、当事者の知らない事実が残されていることもあります。場合によると、動かす行為そのものが犯罪になることさえあるんです。書類が何もなく、境界標も見つからないこともあるでしょう。そのときは土地家屋調査士などの専門家に依頼し、隣家とよく話し合って確定してください。もし手がかりになるものがなにもなければ、現在その土地がどう使われているか、つまり「現況」が最優先されます。その場合は、家の壁、屋根の出方、雨だれの落ち方などが参考になります。少なくとも屋根のある範囲はその家の土地です。雨だれはよその家に落とさせないという認識があるからです。いずれにしても、境界線の問題をきちんと解決しておかないと、ずいぶんあとになってからトラブルが起きることもあります。土地購入の際には、どこまでが自分の買う土地なのかはっきりさせることは基本中の基本。面積の違いから売る際に取引金額が変わってくるなんてことにもなりかねません。
・市街化調整区域っていうのは、「都市計画法」に立脚する決まりです。「都市計画区域」という大きな範囲で区切って、そのエリア内を、住宅地を分譲したり、商店街を作ったりして積極的に開発していく「市街化区域」と、「しばらく開発はやめておこう」という「市街化調整区域」に分けたんです。これを「線引き」といいます。都市計画図を見ると、色分けされているので一目でわkます。ちなみに、まだどっちにも区分されていない地域は白いまま残っているので、「白地地域」「未指定地域」といわれています。永久にそのままじゃなくて、いずれどっちかに分けられますから、この地域の土地を買うときも、注意は必要ですよ。
・市街化調整区域も、「誰も住んじゃいけません」というわけではありません。線引き以前に住んでいる人はそのままですし、住んでいる人がいる以上、ある程度の施設、たとえばお医者さんとか学校は必要になります。また、市街化調整区域というのはたいてい郊外にありますから、農業とか漁業に従事している人も、そのまま住めます。で、そういう人たちに不便がないように、市街化調整区域内でも建てられるものはあります。
A:市街化区域内においては立地困難なもの
B:市街化調整区域にあっても最小限必要と認められるもの等。
この2種類の建物は、例外的に認められています。具体的にはどういうものなのか?というと、たとえば、
A:農家用住宅、畜舎、温室、農林業用倉庫、農産物等の処理、貯蔵または加工に必要な建築物
B:学校、公民館、医療施設、変電所、社会福祉施設、郵便局、駅舎等。
・市街化調整区域は、一般住宅目的の家は建てられない前提の地域ですから、住宅ローンは適用されません。将来、売ることになっても、ローンが使えないので、非常に買い手がつきにくいでしょう。つまり、資産価値としてはかなり低い。途中でバレちゃったら建築も中止です。
・用途地域は以下の12種類です。
①第一種低層住居専用地域
②第二種低層住居専用地域
③第一種中高層住居専用地域
④第二種中高層住居専用地域
⑤第一種住居地域
⑥第二種住居地域
⑦準住居地域
⑧近隣商業地域
⑨商業地域
⑩準工業地域
⑪工業地域
⑫工業専用地域
これらを大別すると
(1)低層住居
(2)中高層住居
(3)商業混在住居
(4)商業地
(5)工業地
の5つとなります。
用途地域はその場所の建物を、サイズと目的、言い換えれば、中身と外側の両方から規制します。まず、どんなものが建てられるかが制限されています。住居専用地域には、パチンコ屋や風俗店などは作れないことになっています。また、用途地域別に「建ぺい率」と「容積率」がそれぞれ定められています。背の高いビルのような建物は、商業地域には作れますが、住居専用地域には作れません。
・高級と名のつく住宅地の多くは建築協定を持っています。東京でも田園調布などでなく、戦後、デベロッパーが山を切り崩して切り売りしたという街にはたいていありますね。建築協定は、地域の個性、特性に合わせた理想の街並みを一定に保つために定められています。協定作りには区域内の土地所有者や借地権者全員の合意が前提で、廃止するには過半数の合意が必要になります。協定にはいろんな観点があります。具体的な基準例としては、まず、
①「敷地」に関するもの。
これは分割禁止、最低敷地制限の他、一戸建て制限、地盤高の変更禁止などです。「最低敷地面積」は、高級住宅地にはたいていあります。たとえば、最低200平米以上ないとダメとか。要するに「敷地を小さく分割されると、金がないやつらまで集まってきちゃって、ちまちました家を建てちゃうので、それを防ぐ」っていう意味ですね。確かに小さい家が並んでいては、ハイソな感じはしません。他には、
②壁から道路までの距離などを定めた「位置」に関するもの。
③木造に限るなど「構造」に関するもの
④住宅専用に限るなど「用途」に関するもの。
⑤階数、高さの制限など「形態」に関するもの。
⑥色彩、広告物の制限など「意匠」に関するもの。
などです。
・実は建築協定といわれるもののなかにも、法的強制力があるものと、そうでないものがあります。両者の違いは、建築基準法に基づくかどうか。簡単にいうと、市区町村長に認可されているかいないかです。一言に建築協定といいますが、住民が任意に結んだだけで正式な手続きを経ていないものもけっこうあります。こういった協定には、法的強制力はないのです。
・「擁壁」という言葉、土地関係の本には当たり前のように出てくる言葉ですけど、イメージできますか?傾斜している土地って”盛り土”してあるんですけど、それが流れ出ないよう石組みとかコンクリートで支えているわけです。そこで「今ある擁壁が使えるかどうか」が重要ですよね。「擁壁の高さと作られた年代」だけはチェックしておくとよいです。地域にもよりますが、住宅密集地域では昭和40年代mでに作られたもので、高さが2mを超えるものはほぼ作り直しになると思ったほうがいい。擁壁って土地を安全に使うためのものだから、ある程度以上古いものは、現在の建築基準法に則って「工作物申請」を出さなきゃいけないってことです。その申請が通ってからようやく、建築確認申請ができます。全部作りなおすことになった場合、一般的には最低でも300万円くらいはかかります。広さや状態によっては1千万円近くかかってしまうこともある。傾斜地ということで、通常の土地よりやすいところがメリットなのに、これじゃあ最終的な物件価格は、変わらないどころか高くなる。
・予想外の出費の両横綱は「擁壁」と「地盤」ですが、他にもいろいろ考えられます。水道管がらみで、痛い目に遭った人は多いでしょう。代表的なのが、「土地を買ったあとに水道管が配管されていないことがわかった。埋設管から引き込みを受ける費用として、予定外に90万円かかった」というパターン。また私道がらみで目の前に水道管があっても自分の家には使えない、とかね。また「最初一区画だった土地を分割して売る」という場合、「一区画分の水道配管はあるけど、分割したほうの区画にはない」ということもあります。
・斜線制限というのは、建築基準法のひとつで、道路や隣家の上空の開放感を守るためにあるもの。要するに、「道路際や隣地のギリギリまで建物を建ててしまうと隣家の日当たりに影響が出てくるし、街も狭苦しくなるんで、ある程度の空間をあけようね」という決まりです。よく3階だけ変な形になっている家があるでしょう?あれは、この斜線制限のなかで目いっぱい延べ床面積をとろうと健闘した結果なんです。斜線制限には、①道路斜線による制限、②隣地斜線による制限、③北側斜線による制限、の3種類がありまs。
・建築条件付き土地を購入する場合は、次の3つを満たしているか確認の上、売買契約に臨んでください。
①土地売買契約の成立後、3ヶ月以内に建物の建築請負契約が成立すること。
②建物の建築請負業者が、土地の売り主か、その代理人に限られること
③建築請負契約が成立しなかった場合は、申し込み証拠金、預かり金など、売り主が受け取った金銭はすべて買い主に返却すること。
これらは、消費者保護と、独占禁止法の観点から定められている条件です。たとえば②は、建物も建てられる仲介業者が、自分たちを請負業者に指名することを条件にして土地を売買するような行為を抑止するためのもの。それだと独占禁止法にひっかかちゃうんです。
・定点観測じゃないと相場観がつかみづらいので、いったん目標物件を決めたらフラフラ動かず、しばらくはそのエリアのみを重点的に見ていきます。この作業を始める前に、縮尺1万分の1の住宅地図を買っておいてください。普通に本屋さんで売っているやつです。不動産会社に入社して、先輩社員から最初に買わされるのがこれで、初心者にはいちばん使い勝手がいいんですよ。ちなみにプロはゼンリンという会社の地図を使います。これは詳細な住宅地図で、個人宅の名前まで載っています。で、この地図に、チラシやインターネットで見た物件の価格をどんどん書き込んでいきます。その際に価格は坪あたりの単価に直してください。比較しやすくするためです。この段階ではあまり細かいデータを書く必要はありませんが、面積や土地の形状、最寄り駅からの距離などを書き込むと、のちのち、価格が拮抗したときなどに比較材料として使えます。この作業を通して、自分なりの「オリジナルの物件相場地図」を作っていくわけです。これで相場観はかなり鍛えられます。これを「そろそろ土地でも買おうかなー」くらいの段階からやっておくと、本格的に不動産屋で値引き交渉する際の武器になります。自分のなかにある程度のデータがたまっていれば、理論武装できますから。やみくもに「もうちょっと安くならないの?」というだけじゃなくて、「この間、南側で見た物件が坪○円だったから、これだったら○円くらいでもいいんじゃないの」という、中身のある交渉ができます。
<目次>
改訂新版 まえがき
はじめに
不動産業者の手のひらの上でお客は踊る
売り手と買い手の情報格差をなくすために
第1章 土地探し 最初のハードル
1土地探し「理想の土地」を追い求めすぎると「いい土地」には出会えません!
2契約書面 水道管が引かれてない!でも「聞いてない」は通らない!?
3悪条件の克服法 袋地27坪の土地で快適に暮らすマジック!
4公募売買 40坪で買ったはずが38坪、これが不動産業界の常識?
5契約解除 購入後にわかった「3階建て不可」、さて、こんなときどうするか?
6心理かしと近隣施設 「条件よし」でも「前住人が変死」、住むべきか?出るべきか?
7競売物件 競売でいい土地が安く手に入る!?シロウトさんには無理、無理!
第2章 マイホームの夢を阻む「法の制限」
8道路の種類 老朽アパートが立て替え不可!なんでココだけが・・・
9接道義務違反 外見上は一本道なのに中身が異なる”位置指定道路”の怪
10都市計画道路 格安でも「建築制限付き」!「都市計画道路」って知ってます?
11土地の境界線 あいまいな「土地の境界線」は隣家とのトラブルの素
12市街化調整区域 市街化調整区域内でのマイホーム、得か?損か?大損か?
13用途地域 「静かな環境」が条件で購入!でも突然、変わってしまったら・・・
14建築協定 建築基準はすべてクリア!最後の”見えざる障壁”とは?
15防火地域 住宅地では、なぜ、簡単にログハウスが建てられないのか?
第3章 土地が家作りに与える重大な影響
16擁壁と軟弱地盤 知らずに買った格安物件。800万円もの擁壁工事に愕然!
17容積率 「容積率の問題で、3階建ては無理」を克服する裏ワザ、教えます!
18建ぺい率 30坪の土地に「庭+和室付きの4LDK」?現実は、そんなに甘くないぞ!
19斜線制限 3階建てが2.5階建てになった!?冗談のようなホントの話
20建築条件付き売地 「建築条件付き」の物件が、いつのまにか「建売り」扱いに!
21土地の値段 「土地の値段」をめぐる世にも不思議な話
コラム プロがそっと教えるウラ話
今後、土地の値段は上がるのか?下がるのか?
消え行く新興デベロッパーと「偽装」の関係
広告の裏読マニュアル
〔付録〕困ったときのお助けホームページ
あとがき
一戸建てを建てて地球のオーナーになろう
面白かった本まとめ(2014年上半期)
<今日の独り言>
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