「できる人の読書術」という本は、以前にも読書術の本を著したことがある著者が、今回は角度を変えて、未来志向で読書術を掘り下げたもので、具体的にはAI(人工知能)が、生活にもビジネスの世界にも現在以上により深く浸透するようになる近未来を想定した読書術となります♪
実はAIはディープラーニングという技術で進化したものですが、実は人間の学習法である読書を真似たものであり、読書を習慣にしていると、ディープラーニングを繰り返すことでAIが賢くなるように、ビジネスパーソンも二流から一流へそして一流から超一流へと自らを成長させ、超一流に必要な洞察力を身につけることとなります♪
本書はその洞察力を身につけるための読書術だけでなく、実になる処世術についても書かれてあり、特に以下についてはナルホドと思いましたね♪
・読書以外で一流から超一流にジャンプアップするには自分自身を疑うこと
・本に書かれている内容は常に過去のものであり、それだけでは時代の最先端の潮流を読み切れない
・古典に慣れ親しんで学ぶのは、過去の先達の苦労の知識をわずか4~5時間で学べるので効率的
・まずは1冊を読み、興味深いと思ったら改めてもう1冊を買い信頼できる仲間に差し上げ、感想を語り合うとディープラーニング効果がある
・気になる本は3回は読む
・実社会の正解を見つけ出すのに役立つのは哲学
・哲学ビギナーは1年に1冊でも読むと良い
・哲学のないリーダーには誰もついてこない
・ホワイトカラーの武器は付加価値をつける能力
・本は人脈ゼロでも読める
・本当に優れた小説は読みやすいもの
・欧米人の考え方のバックグラウンドはキリスト教・ギリシャ哲学・ローマ法
・定年後を見据えて株式投資するなら優れた部品メーカーの株を少しずつ買うこと
・良書を読むには信頼・尊敬できる人から勧められた本を読むこと
・パフォーマンスを上げるには睡眠は十分必要
・本に書いてある内容は自分なりに要約すること
・読書の量は質を補う
・人生に大切なものや友人と学歴ではなく学習歴
私自身も今後は哲学書を読もうかなと思いましたね。
以下は本書のポイント等です♪
「できる人の読書術」という本は、より良い人生のための読書について参考になり、とてもオススメです!
・近視眼的バイアスが避けられないときは、気の置けない友人に「私という人間に足りないところ、偏りがあるところはどこだと思う?」と素直に聞いてみるのだ。耳の痛いことを言ってくれるのが本当の友人である。そういう友人に恵まれたら、自らを見つめ直す絶好のチャンスが得られる。友人の愛ある助言が得られて、自分がこれでいいと思っていたことが覆る体験をすると、自らの知識や知恵に対して懐疑的になれる。批判的な読書と同じような効用が得られ、俯瞰して自らの足りないところを伸ばし、偏りを正そうと謙虚になれたら、血肉となった教養を洞察力として活かせるようになる可能性が高まる。
・AIと戦う必要はない。共存共栄するために自己研鑽を怠らなければいい。そこで大きな武器になってくれるのが他ならぬ読書なのである。読書はAIが得意とするディープラーニングそのものだからだ。
・読書のディープラーニング効果を高めるという側面では、違う人間同士が読み、感想を語り合うことも重要だ。同じ本でも違う人間が読むと、異なった感想が出てくる。それまでの読書体験や価値観といったバックグラウンドが異なるのだからそれは当たり前のことだ。
・読書仲間との語らいは、囲碁や将棋の感想戦に似ている。感想戦とは対局が終わった後、勝負を振り返りながら、対局した同士が最善手などを検討するものだ。感想戦には、勝った側にも負けた側にもメリットがある。負けた側は「あのときはこう打つべきだった」という学びが得られる。勝った側も「ここでもしもあの手を打たれていたら、勝負の行方は最後まで分からなかった」といった反省につながる。
・立場が違うと得られる学びと反省も異なる。互いの学びと反省をぶつけ合いながら振り返るのも一種のディープラーニングであり、実力を伸ばすきっかけになる。読書には勝ち負けはないが、1冊の本を巡って2人で感想戦を行うと、自分1人の読書では得られない気づきと学びがある。それが本を読むディープラーニング効果を一層高めてくれる。相手用に2冊買うとコストは2倍だが、その価値は3倍以上のことが多い。
・AIとコンピュータは過去を振り返って「~してはいけない」という否定的な答えを導き出すのは得意だが、これから先に「~すればいい」という未来志向で肯定的な答えを出すのは不得意である。未来志向で肯定的な答えを導き出すのは、世の中に存在していなかった最適解を見つけるクリエイティブな作業である。誰も考えなかったことを考えなくてはならない。しかも「~すればいい」という正解は1つに絞れないのが普通である。そこで活きてくるのが哲学を通して学んだ考える力であり洞察力なのである。
・AIとコンピュータが集約した過去のケーススタディでピラミッドの土台を作り、その天辺に人間が洞察した正解をのせる。現在AIと人間はそういうスタイルで協業している。この先AIが進歩すれば土台作りから天辺に正解をのせるところまですべてをこなす時代がやってくる。少なくともそれまでは、哲学を学んだビジネスパーソンとAIの協業がベストマッチングなのである。
・哲学書の入門編として私がおすすめしたいのは、エーリック・フロムの著作だ。フロムの代表作として世界的に知られているのは「自由からの逃走(1941年)」と「愛するということ(1956年)」という2作である。特に私が好きなのは「愛するということ」のほうだ。もう何度再読したか数え切れない。
・作家の井上ひさしさんの言葉に次のようなものがある。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに」まさに至言である。
・哲学書を読むのに時間がかかる。もしも読書の目標を立てるなら、月単位ではなく年単位にすべきだ。年間5冊も読めたら立派なもの。哲学ビギナーは「1年に1冊でもいいから、哲学書を読んでみよう」と気楽に考えてみてはどうか。1年に1冊ペースでも5年で5冊、10年で10冊だ。30代に10冊の哲学書を読んで人間理解を深めたビジネスパーソンと、1冊も読まなかったビジネスパーソンとでは、自力の差が開いてくる。1年1冊ペースでも定期的に哲学書を読んでいると、自分なりの哲学書の読みこなし方がスキルとして会得できる。
・ホワイトカラーの武器は、付加価値をつける能力である。新しいアイデアや創造性で付加価値を高めて、会社に貢献できる人しか残れなくなる。超一流の人材とは深い教養と洞察力で付加価値を創造できる存在だ。
・アレキサンダー大王は、アリストテレスを生涯尊敬していたそうだ。日本の天皇家でも「進講」という形で、人文科学、社会科学、自然科学といった各界の学問の権威者から学ぶ仕組みがある。毎年1月には「講書始の儀」という形で進講が行われる。ちなみに平成31年はノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の本庶佑特別教授ら3人が進講者となった。帝王学は究極の耳学問だ。それは平民たるビジネスパーソンには無理だし、聞いてためになるような話をしてくれる人に巡り会い、直に話を聞ける機会も滅多にない。聞いて役に立つような話をしてくれる人は1000人に1人いればいいほうだ。より高いレベルになると1万人に1人しかいない。その耳学問に比べると読書はハードルが低い。本は人脈ゼロでも読める。
・リーダーシップを学ぶなら、マニュアル本よりも哲学書のほうが向いている。哲学のないリーダーには誰もついてこない。哲学を学んだ人は人間理解が深いから、人心を掌握して力を合わせる環境作りがうまい。考える力と洞察力が高まっているから岐路に立たされたときの判断にブレがなくて正確である。哲学書以外に例を挙げるとするならば時代小説もいい。時代小説のなかでも私がすすめるのは江戸時代を描いた人情ものだ。人情とは、人の心の動き。人情ものにはその機微が描かれている。人間関係が希薄になった現代と比べると、江戸時代は人と人とのつながりが濃密で距離感が近かったから人情を描くのにぴったりだ。時代小説を読んで人情に通じるようになれば部下の気持ちやお客さんの気持ちが少しずつわかるようにもなる。部下の気持ちがわからないと、リーダーにはなれない。お客さんの気持ちがわからないと、組織をどちらの方向へ導いたらいいのかが見えてこない。
・人の話を黙って聞くというのも、読書が磨いてくれる能力である。それゆえに哲学書や時代小説以外の読書もリーダーシップの素地を作ってくれる。書物は目次こそあるが、冒頭に趣旨が順序立ててリストアップされているわけではない。「この著者は一体何が言いたいのだろうか」と我慢して読んでいるうちに、あるところを過ぎると話が一気にかみ合い、霧が晴れたように「そういうことだったのか!」と膝を打ちたくなる。霧が晴れるポイントまでは、ひたすら著者の考えを拝読する他ない。だから読書家は基本的に聞き上手であり、相手の話の途中で我慢できなくなり、結論を急ぐような愚かな真似はしないものだ。
・相手から話をうまく聞き出して、自らの成長につなげるポイントは大きく5つある。
1 相手を褒めること
2 正直になること
3 興味と関心を持って話を聞いているというサインを積極的に出すこと
4 適度に相づちを打ちながら聞くこと
5 途中で余計な口を挟まないこと
・私の経験上、古今東西を問わず、本当に優れた小説は難解ではなく読みやすいものと相場は決まっている。小説のなかでも最初に手に取るべきなのは和書だ。なぜなら翻訳ものには考える力を伸ばすうえで2つの障害があるからだ。1つ目は文化的、社会的な背景が異なるため、人間理解が深まらない恐れがあること。もう1つは翻訳というプロセスを踏むため、筆者が本当に伝えたかった細かいニュアンスまで伝わりにくいという点である。
・読書によって定年後の経済的なゆとりが作れると思うのは間違いだ。経済的な心配をするあまり、慌ててアパート・マンション経営や株式投資の本を読み、指南通りに手を出そうとするのは極めて危険である。あえなく失敗してニッチもサッチも行かなくなる確率が圧倒的に高い。もし定年後の生活を支えるためにアパート・マンション経営や株式投資をするなら、遅くとも40代のうちからコツコツと勉強しておくべきだ。定年を迎えて生半可に勉強して臨んだり、銀行のファイナンシャルプランナーに相談して投資に取り組んだりしても、銀行側の利潤追求に旨味のある商品を紹介されてくいものにされるのがオチである。アパート・マンション経営や株式投資の本の著者の多くは、自己資金を投入してお金を増やすよりも、本を出して印税を手にしたり本業につなげたりするほうが、よほど儲かるという計算が働いているから書いているのだ。投資に励むよりも、本を書くほうが得意な人の言い分を果たしてどこまで信じたらいいのか。ほとんど信じるに足らないと私は思う。
・定年後を見据えて株式投資をするなら、優れた部品メーカーの株を少しずつ買っておくことだ。株式は資産の値上がりによるキャピタルゲインだけではなく、運用利回りによるインタレストゲインも得られる。その点では長期の資産運用に向いている。定年を迎えてから、慌てて始める類の投資ではないが、40代からならば長期的な視点で運用できる。ではどこの企業の株を買ったらいいのか。日本を代表する大企業というと、奥の人の頭にはトヨタ、ホンダ、ソニーといったナショナルブランドが思い浮かぶだろう。しかしこれらの大企業よりも優秀な会社が日本にある。それが部品メーカーなのだ。スマートフォンなどのIT機器も、EV(電気自動車)も、日本の優れた部品メーカーが作る基幹部品が欠けていては組み立てられない。韓国製のスマートフォンも、中国製の電気自動車も、ふたを開けてみれば、日本製の部品がたっぷり使われている。アンテナをきちんと立てておけば、仕事上のつながりがある情報源からの情報だって入ってくる。それなのに、日本のどの部品メーカーが有望なのかを知らないのだとしたら、危なっかしいから、投資には手を出すべきではない。
・同じ本を3回も読むなんて、時間の無駄と思えるかもしれないが、それは違う。3回読んでいるうちに、誰でも読解力が自然と高まってくる。そうなると書き手がかなり下手な部類の本、あるいは難解な哲学書でも、1回か2回読めば理解できるようになる可能性が高い。どんな本でも1回で理解できるまでに読解力が高まったら、それだけ読める本が増えるから知識、教養、洞察力の蓄積につながりやすくなる。
・いまやAmazonは日本最大の書店である。そこで頼りになるのは、カスタマーレビューと呼ばれる口コミである。レビューを読んでいると、自分に合っている本なのか、読んで役に立つ内容なのかがある程度まで想像できる。レビューが、いわばメンターの変わりをしてくれる。
・タイトルも本選びの決定的なファクターとなる。売れ行きを左右するから、出版社サイドもあれこれ知恵を絞っている。
・睡眠は心身を休める最良の時間だ。睡眠時間を削ってしまったら、起きている間のパフォーマンスが高まることはあり得ない。私自身、1日7時間半から8時間は寝ている。8時間睡眠が確保できないのだとしたら、そんな仕事は辞めてしまったほうがいいくらいに思っている。睡眠時間を削ってしまうと、脳力は低下する一方だ。集中力が落ちて仕事をこなすのに時間がかかりすぎるから、睡眠時間をさらに削るという悪循環に陥ってしまう。睡眠時間を削って読書にあてたとしても、脳力が下がった状態では、本を読むスピードも読解力も落ちる。
・読書をもっと有意義なものにするため、本を読むときにぜひ心掛けてほしいことがある。本に書いてある内容を自分なりに要約してみるのだ。読書で考える力をつけて、教養と洞察力を高めるためにも、この要約作業は欠かせない。
・学生時代の私は乱読だった。日本の小説から始まり、ライブラリアンの導きもあり、海外の小説、心理学、歴史物、進化論などの生物学、哲学と読書の幅を広げていった。私は今でも乱読を否定しない。読書というのはおかしなもので、量が質を補うという側面がある。中途半端な量では、質は補えないが、圧倒的な読書量は質を補って余りある。学生時代の乱読体験は、知識を熟成して教養を高め、私という人間の土台を作ってくれた。
・私が愛読しているロングセラーを2冊挙げよう。1冊は福沢諭吉の「学問のすゝめ」全部で17編があり、初版が出版されたのは、1872年(明治5年)である。一説によると、300万部も売れたという大ベストセラーであり、現代でも読み継がれているロングセラーでもある。もう一冊は、旧日本海軍のエースパイロットであり、空を舞台に零戦でアメリカ軍と戦い続けた撃墜王・坂井三郎さんの「大空のサムライ」である。この本を私はもう10回以上は読み返している。それでもまったく飽きない。なぜなら、そこには戦場で培われた心理がたんまり描かれているからだ。坂井さんが撃墜王になれたのは偶然ではない。彼は普段から努力と創意工夫を怠らなかった。その姿勢は、ビジネスパーソンの心もきっと打つはずだ。
・自分には自慢できる学歴がないと思っている人も多いだろう。しかしそんなことを思っている暇があったら、寸暇を惜しみ、せっせと読書に励むべきだ。読書で学習歴を積み上げられたら、学歴は気にしなくていい。学歴は一流、超一流へと近づく方法ではない。読書で教養を磨き、洞察力を高めるのが超一流への近道なのである。