<金曜は本の紹介>
「アルバイトだけでもまわる チームをつくろう」の購入はコチラ
「アルバイトだけでもまわる チームをつくろう」という本は、大手企業のプロモーションを手がけるイベント会社である(株)グッドウェーブプロモーション取締役の鈴木亮さんが著者です。
日本で1.2万人以上、中国を合わせると年間9万人以上のアルバイトを管理し、指導や管理までこなすスーパーアルバイトを育てた経験から、具体的に優秀なアルバイトを見極める面接方法やアルバイトを育てるトレーニング、アルバイトだけでもまわるマネジメント、優秀なスタッフを育てるコミュニケーション術、指示の出し方、上手なほめ方・叱り方などについて分かりやすく説明したものです。
特に、以下については共感しましたね。
・具体的な面接での各チェック項目
・人は責任を与えるから成長する
・素直さは大切
・マニュアルはアルバイト自身に作らせる
・コンテストや表彰は重要
・360度評価を取り入れる
・叱る基準と理由をはっきりさせる
・影響力のあるほめ方が大事
この本は、アルバイトを見極め・育てる方法について、具体的に分かりやすく前向きに書かれていてとてもオススメですね!
以下はこの本のポイントなどです。
・大切なのは、そのアルバイトスタッフの能力ではなく、潜在的に持っている責任感と素直さを見抜き、そこを評価した上で集中的な教育をしていくことです。アルバイトスタッフには、責任感と素直さが絶対の武器となります。
・「アルバイトだけでまわるチーム」の作り方の流れは以下の通り。
(1)スタッフ全員がモチベーション高く、一生懸命働くチームを目標に掲げる
(2)優秀な人材を見極める面接・研修
(3)選抜した優秀な人材への集中的な教育
(4)勤務の様子を見ながら、さらなる教育と選抜、同時にアルバイトスタッフが働きやすい環境づくり
(5)信頼に足る人材に、社員だけに任せてきた大きな責任を伴う仕事を任せ、アルバイトだけのチームがある場合はそのリーダーに任命、教育・環境づくり、人材選抜にも参加させる
・面接での評価には大きく2つの方法があります。評価基準と照らしあわせ、プラス要素があった場合に点数を加えていく「加点方式」と、マイナス要素があった場合に点数を減らしていく「減点方式」です。実際には「加点方式」と「減点方式」を組み合わせて評価を行っている会社が多いのではないかと思いますが、すべての面接は原則「加点方式」で行うことをお勧めします。減点方式で相手と接すると、あら探しのような面接になってしまいます。相手も面接官に良い印象をもたない場合は、お互いにとって良い面接になることはないでしょう。相手の良いところを見つけようと好感をもって面接することで、相手も本音で話してみようという気にになるのではないでしょうか。
・「あなたのお名前の由来をご存じですか?」と。これに答えられれば、名前の当て字は気にしなくてよいでしょう。ちなみにこの質問は、当て字の人に限らず有効な質問です。自分の名前の由来を知っている若者の方が素直な傾向があります。名前の由来をしっかりと説明している親からは深い親の愛情を感じます。但し知らないか駄目ということではないのでご注意ください。
・名前理論は親の愛情を見るものでしたが、反対に親への愛情を見る質問があます。「親の誕生日に毎年何かしていますか?」という質問です。「毎年」というのが肝になります。生意気盛りの若者で、親の誕生日に毎年プレゼントや親孝行をしている若者は非常に少ないです。これが素直にできている若者は、仕事に対しても本当に真面目で素直です。採用試験で親の誕生日を書かせている会社も多いようです。
・何かをきっかけに親の愛情や苦労に気づき、素直に親への感謝が芽生えていく。それが人の成長なのでしょう。その人の成長過程で、どの段階に現在いるのかを見極めることは、仕事においての成長とリンクするものだと思います。10代から身に付いている場合もあれば、私のように30代になってやっと気づいたという人もいます。親への感謝は、遅かれ早かれ必ず全員が気づくことですが、早期に気づき、親孝行をしているという若者の親は素晴らしい教育を子供にしてきたのだと思います。そのような親に育てられた若者は、仕事に関しても真面目に取り組むものです。
・親の職業については、顕著なデータがあります。親が小さな商売をやっている家庭の子どもは、優秀なアルバイトスタッフになることが非常に多いです。その商売は小さければ小さいほど良く、自宅でお店や工場、事業をやっている場合などです。おそらく、小さな頃から近くで両親の働く姿を見ていたため、労働の本質がいつのまにか身についているのでしょう。父親の働く姿を子供に見せることができる環境は、大変な苦労もあると思いますが、非常に素晴らしい教育の場になります。親の苦労を見て学ぶものは非常に多いです。
・最近では地方の出身者が良い傾向があります。正確な分析を行っていないので参考程度にしてほしいのですが、出身地で分析するとおもしろい結果が出ると思います。地方出身で一人暮らしの若者の方が苦労している分、おもしろい結果が出てきそうです。また弊社のデータによると団地暮らしやアパートで暮らしてきた若者の方が我慢強く、コミュニケーション能力も高い傾向があります。おそらく自分だけの部屋がないような環境で育った若者で、兄弟姉妹がいるような場合は、何かにつけて我慢に慣れていることと、自分の部屋がなく逃げ場がないのでコミュニケーション能力が高いのかもしれません。
・弊社の面接では必ず好きな音楽について聞きます。手探りで始めた質問内容でしたが、このデータをまとめたときにおもしろい結果が出てきました。我々の業界では、ビジュアル系バンドが好きな若者に優秀なスタッフが多いというものでした。ビジュアル系のような一見周りから後ろ指をさされるかもしれない特異な服装をするところまで何かに没頭できるというのは、とても素直な資質の表れではないかと思います。もちろん、その興味を仕事に向けるというのが前提ですが、あそこまで何かに没頭できるという若者は、その気持ちのベクトルが仕事に向いたときに大きな力を発揮するというのも納得がいく話です。
・携帯アドレスに彼氏彼女の名前が入っている若者が意外と多いのですが、そのような人は要注意です。非常に高い確率で無責任に辞めていく傾向があります。これは依存の問題です。自分の知り合いが周知する携帯アドレスに彼氏彼女の名前を入れるのは、一見すると仲むつまじく思えますが、そこまですることに、交際相手に対する強い依存を感じざるをえません。実際、交際が良好にいっている時はとても良い働きをしていたにも関わらず、プライベートが荒れてくると、人が変わったように仕事に対して無責任になってプライベートを優先し、最終的には信じられないような無責任な辞め方をするのがこのタイプです。特に女性に多い傾向があります。ペットの名前や子供の名前が入っている場合がありますが、これは似て非なるものなので、こちらはまったく問題ありません。むしろ、こちらは良い傾向が強いです。
・私の会社では一点だけ加点評価として能力評価をすることがあります。私の会社では、趣味がダンスの場合やダンス部に所属していた若者は非常に良い仕事をしてくれる傾向があります。体と表情を使っての表現には、イベント会場やキャンペーン会場でのスタッフの動きに通じるものがあるからです。大きな身振りと大きな声でお客様に何かを伝えることは、まさしくダンスと呼べるものです。ボーカリストや演劇経験者も同じ理由で良い傾向にあります。また、その活動をどれだけ本気でやってきたかも重要です。毎日3時間は練習していますという人や、野球をやっていて甲子園に出場しましたなど、過去に結果を残している人は大きく加点です。そこに大きな努力が見えるからです。
・面接の最後、そろそろ終了という雰囲気で打ち解けたところで、何気なく軽い感じで聞きます。「今までのあなたの人生、ツイてたと思う?」必ず答えは3つに分かれます。「ツイていたと思います」こう即答できる人は、非常にポイントが高いです。本当にツイていた人もいるとは思いますが、多かれ少なかれ人生においてツイていないと、肩を落とすことは誰にでもあることです。社会経験の少ない若者でも同じです。親のことや恋愛のこと、様々な悩みを抱えています。しかし、今の自分はツイていると言えることは、その悩みを自分の中で解決し、前向きに進んでいる証拠です。自分はツイていると言えるポジティブさは、仕事においても大きな武器になるものです。「どちらとも言えません」と返答する人は、おそらく現在、もしくh過去に大きな悩みを抱えていたと思います。しかし、現在進行形でその悩みと葛藤している最中の方が多いようです。自分の中では完全に消化できていなくとも、前向きに進もうとしている最中なので、加点も減点もしなくて良いと思います。今は温かく見守ってあげることが最善です。「ツイていなかったと思います」は一番注意してもらいたい答えです。この回答に関しては、加点方式で面接をする弊社でも大きく減点を加えていまう。正直に話すと、私はこの答えの若者は採用しません。この質問では責任感を見ています。今の自分をツイていないと思ってしまう心理はどのようなものでしょうか。おそらく、この人は大きな壁に突き当たったことがあるのでしょう。現在進行形で苦しんでいるのかもしれません。どちらにせよ、その現実を今も解決できずに、悩み苦しんでいるのは間違いなさそうです。ここから読み取れるのが、その原因を運のせいにしていることです。起きた事実を運に責任転嫁してしまっていることに大きな問題があるのです。仕事をしていく中で必ず失敗はあります。できる人とできない人の大きな違いは、その失敗という事実を自分の責任として受け入れ、他の誰かや何かのせいにしないことです。確かに、自分ではどうにもならない大きな問題もあるかもしれません。やりきれないほど悲しいことも起こるかもしれません。それでも、他の何かのせいにするのではなく、必ず自責の気持ちで事実を受け入れることが大切です。苦しさや悲しさを乗り越えて人は成長するものです。人は必ず伸びるものなので、このような考えの人も先々は大きく成長するとは思います。しかし、企業活動の中でこのタイプの人を育成するのには時間がかかりすぎてしまうのです。したがって、私はこのタイプの人を採用しないようにしています。
・もう少し責任感を見極める場合は、過去の失敗について聞くことをお勧めします。「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」と。経験が豊富なアルバイトであれば、たくさんの失敗を重ねていると思います。あまりアルバイト経験がない人でも1つくらいの失敗はあるものです。重要なのは、その失敗を他の誰かや何かのせいにすることなく、自責の気持ちで事実を受け入れているかということです。またその失敗をどのように解決し、乗り越えたかという答えを持っていることが理想的です。成功体験よりも失敗体験の方が圧倒的に重要です。失敗を繰り返し、その度に何を学び、何を活かすかで人は成長するのです。もし「失敗の経験はありません」と言われた場合は、失敗に気づけていないか、何も活かせていない人ということになります。
・ここで私が面接のときにチェックしている項目をまとめます。
来社時間
□早すぎるのもNG。遅刻も当然NGですが、事前の連絡やその後の対応次第。
□面接会場までの行き方を調べているか。行き方がわからなくて、電話をしてくる場合は、近くまで来ていることが最低条件。
挨拶
□言葉での挨拶と目での挨拶。特に相手の目を見て挨拶できることが重要。
□服装や髪型の身だしなみをはじめ、身振り、姿勢、表情、視線、声のトーンなどノンバーバルコミュニケーション力をチェック。シンプルに第一印象が良いか悪いかを重要視。
履歴書
□名前が当て字ではないか。当て字で由来を知らない場合は減点。
□携帯アドレスをチェック。記載欄がない場合は、記入してもらう。彼氏彼女の名前がアドレスになっていないかをチェック。変わったアドレスの場合は由来を聞いてみる。
□履歴書をコピーしていないか。写真の使い回しがないか。
□住所を事前チェック。一人暮らしか自宅同居か、団地やアパートか。
質問
□趣味・特技を見る。唯一の能力評価。弊社の場合はダンス、ボーカル、演劇が加点。どのくらい本気でやっていたかを聞く。また受賞歴などの結果も聞く。
□好きな音楽。弊社の場合はビジュアル系などコアな音楽が加点。右2つの質問は、アイスブレイクの役割もあり。気軽に相手の好きなことを楽しげに話してもらうように心がける。
□当て字の名前でなくても名前の由来を聞く。知っていて親の愛情を感じる答えの場合は加点。
□親の誕生日に何かしているかを聞く。親の誕生日を書いてもらうのもOK。親への感謝の気持ちを直接聞くのもOK。
□親の職業は聞けないので、過去にフォーカスした質問をする。お父さん、お母さんとの思い出や、小さいときによくしていたお手伝いなど。
□一人暮らしか実家住まいかを聞く。良い印象の場合の自宅は加点。あわせて兄弟姉妹がいるか。自分の部屋はあったか。
□あなたの人生は今までツイていたと思いますか。何気なく軽い感じで質問。ツイていないと発言した場合のみ減点。私の場合は、よっぽどな場合以外不採用。
□責任感を見極める質問。今までで一番の失敗談を聞く。その失敗をどのように解決し、どう次に活かしているかが重要。
・アルバイトを募集する場合に、既に働いているアルバイトスタッフから紹介してもらう方法も有効です。面接の話とは少し外れてしまいますが、おもしろい法則があるので、ここで紹介しておきます。それは、A級はA級を連れてくる、B級はC級を連れてくるという友人紹介の法則です。
・内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2011年度)を見て私は驚きました。なんと20代の約73.5%が現在の生活に総じて満足していると答えているのです。しかも、20代~60代の働く世代の中では一番満足度が高いのです。そして、その数値は1970年からの調査の中で過去最高の満足度なのです。30代以降の世代からは20代の若者はかわいそうだと同情されてきましたが、実は当事者である20代の若者たちは満足した生活を送っているのです。消費にはおもしろい傾向があります。車は買わない、ブランド品も興味がない、飲みにいくことも外食もあまりしない。しかし、インターネットや通信費は惜しまない。人と繋がるためにお金は使うが、物欲はない。そもそも、バブル時代を経験したことがなく、もの心がついたときには、日本の景気の良い時代は終わっていた。そのため、就職難や格差についても、不満ではなく当たり前になっている。これが、現代の20代のリアルです。だから上の世代から、草食系は元気がない、欲がないと揶揄されてしまうのですが、実は環境に対応して自然に生きてきただけなのかもしれません。
・当社における具体的な「聞くスキル」のチェック内容
□相手の目をしっかり見ているか
□話の内容に合わせて表情をつくっているか
□程よく(10秒に1回程度)目線をずらしているか
□程よく相づちをしているか。毎回の相づちは逆効果
□声と頭の両方を使って相づちができているか
□メモをとっているか
□復唱しているか。相手の認識とのズレを確認
□自分に求められていることとその他不明な点を質問できているか
・ディズニーランドやスターバックスでも、アルバイトスタッフが講師となって新人研修を行っているのをご存じですか?どこが始めたのかはわかりませんが、実は意外と多くの企業が実施している手法です。これも会社の大きさは関係なく、有効な手法になります。やはり仕事を一番知っているスタッフが教えることで、現場の状況を加味した細かい内容になります。教え方は下手かもしれません。しかし、研修を繰り返すうちに必ず教えることもうまくなります。そして気がつくと、その仕事のエキスパートに育っていることをお約束します。何度も言いますが、アウトプットすることで人は成長するのです。また、教育を通して相手が成長していくことに、間違いなくやりがいを感じます。教える側には、これも大きな成長のきっかけとなるのです。また、良好な人間関係も生まれます。一番のコミュニケーションになるからです。
・「成長に必要なものは責任である。あらゆるものがそこから始まる」これは、経営学者ピーター・ドラッカーの言葉です。私もアルバイト教育を経験してきたため、深く共感できる言葉です。責任を与えなければ人の成長は100%ありえないのです。言い換えると、成長をしたから責任を与えるのではなく、責任を与えるから成長するのです。
・詳細なマニュアルを作成し、それをもとにチェックリストを作成し、管理します。しかし、管理している側がチェックを忘れてしまうこともよくあります。これでは、せっかく作成したマニュアルが無駄になってしまいます。マニュアル作成とセットで、必ずそのマニュアルをチェックする仕組みと担当者が必要なのです。そして、一番重要なのが、その担当者のチェックを、さらにチェックする仕組みを作ることです。おそらく、ここには社員が担当することになると思います。具体的には、アルバイトスタッフがマニュアルを実践し、アルバイトリーダーがチェックを行い、みなさんがチェックの管理を行うのです。
・まずは発送業務を担当しているアルバイトスタッフにマニュアル作成をしてもらいました。すると驚くような変化がありました。毎月2、3度は必ず起こっていた発送ミスがまったくなくなったのです。人はアウトプットする時に大きく成長することを実感しました。これから、アルバイトスタッフ向けのマニュアルを作成する方は、アルバイト自身に作成してもらってはいかがでしょうか。すでに、マニュアルがある場合は、アルバイトスタッフに改善をお願いするのも良いでしょう。現場の生の声を生かした、より良いマニュアルにバージョンアップすることは間違いありません。
・重要なのは、目指すものがあるということです。具体的な目標があって人は頑張れるものです。あの人のようになりたい、自分もあの仕事がしたい等、具体的な目標が成長したいというモチベーションに変わるのです。まずは1つでもいいので、アルバイトスタッフにも具体的な目標となるような役職をつくってみてください。それを目指すアルバイトスタッフが必ず変わり始めます。
・スキルを競うコンテストの規模は小さくて構いません。社内イベントで十分だと思います。アルバイトスタッフの人数が少ないなら、社員も一緒にやりましょう。店舗なら、レジ打ち部門、陳列部門などもおもしろそうです。要は日頃の業務にゲームの要素を加えて、スキル向上を目指すのです。当然、大会なので商品があればなお良いと思います。商品目当てでも良いので、スキルとモチベーションが上がってくるのは良いことではないでしょうか。
・パートナー同士がお互いを観察し、行動指針をしっかり実践していると思う人がいたら、こういう点が良かったとカードに書いて渡すのです。少し気恥ずかしい気がして抵抗がある人も、徐々にこの習慣にハマっていくそうです。この仕組みは、私の周りではサンクスカードという方法で導入している企業が多いです。やり方に多少の違いはあるものの、日頃のお礼や感謝の気持ちを伝えることで職場の雰囲気を良くします。当然、周りから褒めてもらったり、感謝されたりするとうれしいですよね。特に日頃から一緒に働く仲間に認めてもらうことは、大きなモチベーションになります。日頃から相手を認め、褒めたり感謝したりする仕組みは、良好な職場環境をつくるのに必要なことでしょう。
・仕事をしながら優秀なアルバイトスタッフを見極めるのに有効な質問があります。「今日の仕事どうだった?」という質問です。この質問に対して、たいていのアルバイトスタッフの回答はこうです。「楽しかったです!」「大変でした・・・」必ず自分を中心とした感想を答えます。しかし優秀なアルバイトスタッフは違います。「この仕事は、実施場所が屋外だったせいか・・・」「たくさんのお客さんが来てくれて、一番喜んでくれたのが・・・」「クライアントの○○さんが現場に来られまして・・・」感想だけではなく、必ず仕事の状況を説明するのです。やはり、気持ちのベクトルが仕事に向いているので、仕事を中心とした発言になるのです。自分に意識が向いていることがNGだというわけではありませんが、サービスやチームプレーでは奉仕の精神が必要になります。時には自分を犠牲にしてでも他者を優先することが必要です。はじめから仕事を中心にものを語れる若者は、少し教えるだけでお客様やクライアントなどの他者の目線で物事を考えられるようになるため、相手に喜んでもらえるサービスを提供できるのです。この視点でアルバイトスタッフに教育を行えると、非常に効果的です。
・優秀なアルバイトスタッフは、反省点以上に「できるようになったこと」や「克服できるようになったこと」を答えます。厳しいことを言うようですが、反省することは誰にでもできます。その反省を活かし、できなかったことを克服することで人は成長します。そのためには反省点を課題に置き換えて、それを改善する習慣が必要です。自分の弱点の把握と克服を意識して実行している若者は、非常に高いポテンシャルをもっています。これは社員やアルバイトに関係なく、非常に高度な習慣を身につけていると言えるのです。成功者の共通点とも言えるこの習慣をもつ若者に、ハズレはないと言っても過言ではありません。
・若い男女がいるアルバイトの世界では、男女関係の問題が時々出てきます。これを抑えつけることは不可能です。こちらでルールづけするのもあまり意味がありません。私の場合はそのような情報を把握し、ある程度オープンにすることで、遊びの付き合いのような男女関係が起こりにくい環境を作っています。仕事に悪い影響があるような男女関係は絶対に許さない、または恋愛関係に至った場合は、こちらに情報が入ってくるようにして、問題になりそうな男女関係のほとんどは防げるようになっています。
・私の会社では、アルバイトスタッフの評価に「360度評価」を採用しています。360度とは、一般的な上司の評価だけでなく、同僚、部下など仕事において関わりのある周りの人が評価に参加する方法です。上司、同僚、部下だけでなくクライアントも含む人たちの評価を参考にしています。評価に慣れていない人が評価に関わることや好き嫌いが影響するということで、360度評価に反対する人もいます。しかし、私はこの評価方法ほど公平な評価方法は他にないと思っています。特にアルバイトスタッフのような若者を評価するには最適な評価方法です。360度評価は、難しくも面倒でもありません。まずは参考程度でよいので、簡単な社内アンケートをとるだけで十分です。このアンケートは本当におもしろい結果がみられます。自分が予想していた通りの結果から、見えていなかったと反省することまで、現状をリアルに把握することができます。評価の基準は曖昧で構いません。いえ、曖昧がよいのです。
・一般的な会社ではそこまではできませんが、当社でもアルバイトスタッフに感謝の意を示す場になればと思い、最近になって「G1グランプリ」という社内表彰式を始めてみました。社員も含めた表彰式で、パーティー形式で年2回実施しています。始めたばかりですが、アルバイトスタッフからの反応は予想以上でした。たくさんのうれし涙や笑顔が見られ、我々が思っていたよりも感動してくれたのです。私も経験があるのでよくわかりますが、フリーターの社会的地位は低いです。どんなに頑張っていても、世の中から評価してもらえることが少ないのです。ここが正社員とは大きく違うところです。一緒に働く社員と同じように彼らを評価してあげてもいいのではないでしょうか。その評価が良いものであれば、表彰してあげてもいいのではないでしょうか。
・女性に対して非常に有効だったのが、敬語を使うというテクニックでした。距離間をつくるためです。程よい距離間をあえてつくるのです。特に同世代の人に女性は甘えやすいものです。仲がよくなるほどその傾向が強く表れるので、あえて距離感をつくることで甘えにくい環境をつくりました。すると、甘えと思える発言がなくなったのです。また、距離感をつくることは女性にとっても大きなメリットがあります。職場になれなれしい男性がいると、仕事がしにくいとか、セクハラまがいの発言があるなど問題になることがあります。それは実は、男性本人に悪気があるのではなく、距離を縮めるためによかれと思ってやっていることがほとんどなのです。敬語を使うと決めることで、こうした誤解を避けられるようになりました。これはアルバイトスタッフだけに限りませんが、男女の距離が近づくと、女性は甘えてくる、男性は下心が出てくるというのはよくあることです。それを防ぐためにも、お互いの立場を理解し、距離を置いたコミュニケーションをとることが有効です。
・社内でアルバイトスタッフに指示を出している社員を見ていて、上手だなと感じる人は必ず共通点があります。上手な指示出しをしている人たちは、細かい指示に必ず期待をプラスして指示を出すのです。同じ指示を出すのでも、期待を伝えて相手のモチベーションをあげることは可能です。たとえばパソコンで資料作成をお願いするとしましょう。その資料をつくる目的を、スピードではなく、正確さを優先することを伝える場面です。「会議で使う大切な資料なので、いつものように正確に頼むね」「会議で使う大切な資料なので、正確に頼むね」何でもない指示なのですが、どちらの指示をもらった方がうれしいですか。「いつものように」があるだけで、期待が追加されていませんか。
・伝達ミスが起きてしまった場合には、叱られる人はすでに決まっています。必ず指示を出した側が叱られるのです。一般的によくあるトラブルは、伝達事項を伝えた、伝えていないかで食い違いが起きてしまうことです。当社ではそこはまったく気にしません。重要なのは、伝えたかではなく伝わっているかどうかという事実だけです。伝わっていなければ、伝えたことになりません。当然責任は伝えた側が負うことになるのです。それが浸透しているので、業務内容の伝達ミスはほとんど起きなくなりました。指示を出す側が、丁寧な指示出しを自分の責任として認識するようになったからです。
・遊び続けた営業も表彰された営業も、両方とも同じ営業職であり、販売商材も一緒、働いていたときの年齢も同じでした。かたや遊びまくりのダメ営業マン、かたやトップセールスマン。いったい何が違ったのでしょうか?それこそが環境の違いなのです。アルバイトスタッフがモチベーションを高く働ける環境づくりによって、結果が大きく変わるのです。その重要な要素の1つが、叱ることのできる環境だと私は思います。勘違いしてほしくないのが、叱られるから働くのではないということです。自分が叱られてしまうから一生懸命働こうなどという恐怖政治は、アルバイトスタッフにとっても会社にとっても良い環境であるはずはありません。叱ることのできる環境は、一生懸命働いている人たちのために重要なのです。ルールを守らなくても不真面目でも叱られることがなく、真面目に仕事をしている人が損をする印象があると、彼らのモチベーションを下げてしむことになります。それを防ぐためにも、叱られているところを見せることが大切なのです。
・「なんでこんなことで叱られるのだろう?」と不満に感じるのは、会社とアルバイトスタッフが価値観を共有できていないからです。叱ることのできる関係を構築すると同時に、はっきりとした叱る基準を事前に周知させなければなりません。私の場合は、遅刻と一生懸命さという基準を設けています。わかりやすい例が遅刻です。すべての遅刻をNGとしているわけではなく、連絡のない遅刻と連絡の遅い遅刻は叱ります。もちろん、理由が利己的なものは論外です。この基準は会社のルールとしてはっきりと設けています。
・私もたくさんのアルバイトスタッフと接してきて、本当に褒めることの大切さを感じています。特に20代の若者は承認欲求が非常に強い。認められたい、褒められたいという気持ちが非常に強いのです。上司だけではなく、同僚、仲間、お客様、承認されたいという対象はバラバラですが、誰かに認めてもらいたい、褒めてもらいたいと強く思っているのです。
・褒められればモチベーションが上がるのは当然ですが、一方で、その周りにモチベーションを下げてしまう人がいるかもしれないのを忘れてはいけません。「私の方が頑張っているのに・・・」と思われ、誰かを人前で褒めることが逆効果になってしまうのです。そのためにも、個人的な評価のうち基準の曖昧な「頑張り」みたいなものは、人前で褒めることは避けた方が無難です。はっいりした「数字」や「行動」のような明確な判断や、ここを見習ってほしいというような価値観を共有させたい内容に関して、人前で褒めることが効果的です。コツとしては、叱ることと似ているのですが、具体的な「事柄」を褒めるのは人前が有効で、「人柄」を褒めるときは慎重に周りを見なくてはいけません。
・日常の会話や電話、日報から聞こえてくる情報に聞き耳をたてて、「らしいね」を使って褒めるのです。人づてに聞いていると思わせることで、自分のいないところで良い噂が広がっているように思わせるのです。実際に私に聞こえてくる場合は、良い噂になっていることが多くあります。あえてもっと大きな噂になっているのではないかと期待させることに、効果があるのです。あまり会話もない上司などから、いきなり
「最近頑張っているらしいね」なんて言われたらうれしくないですか?自分の上司が様々なところで、自分のことを褒めてくれているのが想像できませんか?このように喜びに拍車をかけることになるのです。
<目次>
はじめに
1 アルバイトだけでまわるチームとは?
指導者を見出せ
優秀な指導者とっは
アルバイトスタッフ活用のメリット
①低コストオペレーション
②ミスマッチのない正社員採用
③教えることで社員が成長する
④将来の仕事につながる人脈となる
95%の仕事がキャンセルになっても倒産を免れる
責任とリスク
理想のアルバイト像
「アルバイトだけでまわるチーム」をつくる手順
2 優秀なアルバイトを見極める、7つの理論と2つの質問
お勧めは「加点方式」と「人物評価」
間違った人を採らない面接
①名前理論
②誕プレ理論
③親の職業理論
④団地理論
⑤ビジュアル系理論
⑥メアド理論
⑦趣味・特技理論
質問1「あなたの人生は今までツイていましたか?
質問2「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」
面接でのチェック項目
友人紹介の法則
中小・ベンチャー企業は、社員はアルバイトから採れ
今どきの若者の仕事観
3 優秀なアルバイトを育てるトレーニング
トレーニングが良い仕事を引き出す
研修でアルバイトのやる気とスキルをアップする
研修時間は小分けにする
研修は2次面接の場
アルバイトのコミュニケーション能力を鍛える
教える立場から学ばせる
仕事への「想い」を語ること
アルバイトのための目標のつくり方
「褒める」ワーク
①ビジュアルを褒めるタイプ
②言動にフォーカスして褒めるタイプ
③褒める+感謝の気持ちを伝えるタイプ
名刺・秘密・責任を与える
名刺を与える
秘密を与える
責任を与える
最初から優秀すぎるアルバイトは、80%の確率ですぐ辞める
4 アルバイトだけでもまわるマネジメント
アルバイト・マネジメントとは
「作業内容」をマネジメントする
「働く環境」をマネジメントする
シフト管理がうまくいかない
シフトの提出方法
シフトの偏りをなくす
繁忙期にシフトを増やしてもらうには
急なキャンセル、無責任な欠勤の防ぎ方
仕事のマニュアルは、アルバイトスタッフにつくらせる
超有名企業から学ぶ その1 マクドナルド
「クルー」という呼び名
昇進制度
オールジャパンクルーコンテスト(AJCC)
超有名企業から学ぶ その2 スターバックス
ブラックエプロン制度
グリーンエプロンブックカード
超有名企業から学ぶ その3 ディズニーランド
中国人アルバイトをマネジメントする
5 優秀なスタッフを育てるコミュニケーション術
コミュニケーションツールの使い方
電話術
メール術
SNSの活用
「今日の仕事どうだった?」
「今日の仕事を自己評価してみてください」
成功体験を語らせる
「自分のおかげ」と「他人のせい」を使い分ける
自分の気遣いをしっかり印象づける
不都合なことは、会社または上司のせいにする
アルバイトスタッフ同士の関係を把握する
360度評価を取り入れる
アンケート内容
ネガティブなことをこちらから聞かない
特定の人を評価しない
表彰式を開催する
「アルバイト」「フリーター」と呼ばない
6 アルバイトがイキイキ動く指示の出し方
アルバイトは所詮アルバイト
男女別にコミュニケーションを使い分ける
「とりあえずやっておいて」では通じない
自分が納得してから指示をする
指示と一緒に期待を添える
スタッフのレベルで変わる指示の出し方
第1段階(新人スタッフ)
第2段階(ベテランスタッフ)
第3段階(新人ディレクター)
第4段階(ベテランディレクター)
伝達ミスをなくす方法
指示が上手な人の共通点
7 上手な褒め方、叱り方
叱られたことが原因でアルバイトは辞めない
ときには「怒る」ように感情を乗せて叱る
叱らない職場に、一生懸命働く人はいない
叱る基準と理由をはっきりさせる
叱るときは、3つのルールを守りなさい
理由の説明
アドバイス
フォロー
影響力のある褒め方をする
「らしいね」で拍車をかける
褒める仕組みをつくる
おわりに
面白かった本まとめ(2013年上半期)
<今日の独り言>
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