「損する結婚 儲かる離婚」の購入はコチラ
「損する結婚 儲かる離婚」という本は、結婚を所得連動型の債券という金融商品という視点で書かれたもので、特に離婚時の財産分与や婚姻費用、調停から裁判について有名人の離婚も加えて具体例を示しながら詳しくその実態について書かれています。
特に驚くべきことは、夫婦のいずれかが働いていない場合であっても内助の功として家庭を支えているとみなされ、結婚後にできた財産分与は綺麗に夫婦で2等分されること、そして離婚までの生活費である婚姻費用についても働いている側が負担しなければならないということで、離婚までに長引けば、離婚を成立させるためには全財産をつぎ込む場合もあるとのことである意味恐ろしいです(^_^;)
身近な友人男女それぞれ、そのような話は聞いたことはあったのですが、具体的に書かれているのでその内情がよく理解できました・・・。
また、以下の有名人の離婚等に関するケーススタディがあり、実はダルビッシュ投手の元妻である紗栄子さんは良心的ということが分かりますし、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグが上場後に結婚した理由がよく分かりましたね♪
<ケーススタディ>
・ダルビッシュ有投手と紗栄子さん
・益若つばささん
・神田うの夫妻
・高嶋政伸さんと美元さん
・矢口真里さんと中村昌也さん
・サイバーエージェント藤田CEOと奥菜恵さん
・マーク・ザッカーバーグとプリシラ・チャン
・紗栄子さんとZOZOTOWN前澤社長
・川谷絵音さんとベッキーさん
・ジョニーデップとアンバー・ハード
・ファンキー加藤さんのW不倫
それから、結婚を所得連動型の債券という金融商品という視点から考えた結婚相手の選び方についても書かれています♪
これは結婚を考えている方は読むのは必須かもしれません♪
また少子化の原因、一夫一婦制などについても言及され興味深い内容となっております♪
「損する結婚 儲かる離婚」という本は、結婚・離婚制度の真実について追求されていてとてもオススメです!
以下は本書のポイント等です♪
・結婚と離婚で動く金は、基本的には、慰謝料、財産分与、婚姻費用(コンピ)の3つである。子どもがいれば養育費がかかるが、養育費は離婚成立後の話だ。離婚が成立するまでは、養育に関わる金は婚姻費用に含まれている。最初に慰謝料について簡単に説明しようこれは精神的な苦痛に対する損害賠償金で浮気など離婚の原因を作ったほうが支払うものだ。しかし日本は慰謝料の相場はある程度予測可能で、アメリカのようにべらぼうな金額になることもない。アメリカは社会で二度とこういうことが起きないようにと見せしめとして社会的ペナルティを科すために相手の所得や会社だったら規模によって金額を変えることがあるのだが、日本では慰謝料は慰謝料である。日本では浮気などの慰謝料はせいぜい100万円や200万円ぐらいの話である。一方的に片方が悪く、裁判官に嫌われるともっと高くなることもあるが、通常は男女の仲でどちらかが一方的に悪いと言うことはなく、また明確な祥子が出てくることも稀でだろう。ときに数千万円以上の金が動く離婚劇では、慰謝料ははっきりって無視できるものである。そして婚姻費用、財産分与の算定ではどちらが悪いかは全く関係ないのだ。つまり恐ろしいことに、離婚で支払われる金の大部分は、実は所得で決まる婚姻費用と財産分与がほとんどなので、どちらが浮気したとか暴力をふるったとか、そういうことは関係ないのである。まじめに働いていたほうが馬鹿をみる世界なのだ。
・財産分与を理解するには、まずは共有財産というものを理解する必要がある。財産分与とは離婚する際の二人の財産を分割するのが目的で、対象となるのはあくまで結婚してから形成された共有財産だけとなる。ここで重要なのは結婚前に持っていた金は関係ないということだ。つまり一財産作って、引退間近でそろそろ身を固めようかと思っているスポーツ選手と結婚しても、そのあとに稼がないと財産が減っていくので、妻が受け取る財産分与はゼロになるのだ。財産が減っても、妻に夫の財産が減った分の支払い義務まではなくて、あくまで受け取りがゼロになるだけだ。また親が金持ちのボンボンと結婚しても、結婚前にあった親の財産は関係ないので、理論的には奥さんはそこから1円も取れないことになる。結婚の法律は代々続く金持ちに甘く、成金に厳しいのだ。
・サラリーマンは大した財産は貯まらないので、実は財産分与も、慰謝料と同じでそれほど大した金額にならない。しかし起業家などはときに財産分与でとんでもない金額になることもある。創業と結婚、離婚騒動勃発のタイミング次第では、奥さんがいきなり自分の会社の株の半分を持っていくことになる。これは乗っ取り屋どころの騒ぎではないだろう。乗っ取り屋は、株を買い占めるときにその分の現金を支払うが、奥さんは何も支払わずに株を持っていくのだから。
・最重要なのが、コンピこと婚姻費用だ。民法の規定で、夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持し、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があるとされている。これが婚姻費用の法的根拠であり、具体的には夫婦間でより稼いでいる方がそうでない方に毎月一定の金額を支払う義務があるのだ。このコンピのためにある程度の所得があるサラリーマンが離婚する際の支払い金額が簡単に全財産を上回ることになるのだ。
・コンピの計算方法だが、夫の所得、妻の所得、子どもの数と年齢だけから、家庭裁判所ではほぼ機械的に決まるのだ。離婚騒動が勃発したあとに、妻が家庭裁判所で婚姻費用の審判を申請すると、夫を裁判所に呼び出してくれて、目の前でコンピを簡単に算定し、婚姻費用の支払い命令を書いた紙をもらえる。この紙切れは最強の証書であり、コンピが滞った途端に、預金や給料など、何でも差し押さえが可能になる。
・コンピの例は以下となる。
(1)夫は年収1000万円のサラリーマン、専業主婦、子なし
→コンピは14~16万円/月
(2)夫は年収1000万円の自営業者、専業主婦、子なし
→コンピは20~22万円/月
(3)夫は年収1000万円のサラリーマン、専業主婦、子ども二人(14歳以下)
→コンピは18~20万円/月
(4)夫は年収700万円のサラリーマン、専業主婦、子ども二人(15歳以上)
→コンピは14~16万円/月
(5)夫は年収2000万円の自営業者、専業主婦、子ども二人(15歳以上)
→コンピは40~42万円
・なぜ離婚でそれほどまでに多額の金額を支払うはめになるのか勘の良い方は分かっただろう。このコンピは、裁判で離婚が認められるまで、払い続ける必要があるのだそして裁判はとても長い。また日本では離婚が簡単に認められないのだ。どんなに妻が悪く、浮気の証拠写真があってもやはり調停、家裁、高裁と裁判を続けると、簡単に2~3年はかかる。このコンピがあるので、判決を待たずに和解する場合は、夫は妻から最低でもこの2~3年分くらいのコンピの総額を買い取らされるわけだ。ちょっと計算すれば分かるのだが、この金額は多くのサラリーマンの全財産を超えるはずだ。それでも「コンピ地獄」から解放されるために、多くのまともに働いている夫は払わざるを得なくなるのだ。
・ここまで読めば、なぜ浮気をして出て行った奥さんに全財産を払わなければならければいけなかったのか、そのカラクリがわかっただろう。彼が別居を始めたときの財産は約4000万円で、そのほとんどが婚姻中に蓄えたものだった。浪費家の奥さんはほとんど貯金がなかった。これでまず、財産分与の2000万円が確定する。さらに、調停、離婚裁判と和解が成立するまでに2年ほどかかった。これで婚姻費用37万円×24ヶ月で888万円である。裁判で離婚が認められるかどうかはフタを開けて見なければ分からない。だから彼は2年間ほど裁判を戦いながら、なんとか離婚を成立させようともがいていたのだ。そしてとうとう、この2000万円+888万円にさらに1000万円を上乗せすることで、奥さんとその弁護士を説得することに成功し、離婚に同意してもらったのである。
・実際には日本の離婚の約9割が裁判所を経ない協議離婚であるということを述べておく必要があろう。どれだけ浮気をして、どれだけ暴力を振るい、酒とギャンブルに散在してしまった夫でも、男にまともな所得も貯金もなければ、奥さんにも名うての弁護士にも何もできない。文字通りお手上げである。どんな立派な法律が有り裁判所があろうとない金は取れないのである。実際に日本の離婚する家庭の9割程度は、夫に大した所得もなく、それゆえに弁護士を雇い、法廷闘争を続ける経済合理性がなく、奥さんは子どもを連れて出て行き、「何もいりませんから離婚してください」と、飲んだくれの亭主にほとんどボランティア精神で奥さんにつきあっている弁護士と一緒にお願いしに行き、離婚を成立させるわけである。しかし夫が医師や弁護士、大企業のサラリーマン、ある程度の規模の会社経営者などまともな職業で、比較的高額な所得を得ている場合、離婚裁判は長期化する。奥さんは婚姻費用を長期間にわたって搾りとり続けることにより、経済的な利益を得ることができるからだ。
・まずは別居中の奥さんから婚姻費用分担請求の調停か審判が家庭裁判所に申し立てられる。調停は、家庭裁判所のボランティア同然の調停委員の下で、双方に納得いく仕送り金額を話し合いで決定しようということであるが、所得からほぼ自動的に決まる算定表があり、奥さんはこれより下の金額で合意するとは考えられず、結局は最後は裁判官が出てきて算定表に基づいて決定する。このときに奥さんから源泉徴収票や確定申告書類の提出を求められ、それらの提出を拒めば、奥さんの言い値が通るだけである。また奥さんという立場で税務署に行けば、納税記録の書類をもらったりすることもできるので、それらから婚姻費用が算出されることもある。審判では、こうしたボランティアのおじちゃん、おばちゃんの前での協議をすっ飛ばして、最初から提出された所得を証明する書類を元に、裁判官が婚姻費用算定表を使ってその金額を決定する。奥さんは調停でも審判でもどちらでも好きな方を選べる。
・ある程度以上の金額で婚姻費用が決まってしまえば、奥さんは、あとは好き放題、自分の人生をエンジョイするだけである。よって、取り立てて何か離婚する必要を感じていなかった夫側から、離婚裁判を起こさなければいけないことになる。なぜならば、離婚が成立しない限り、この婚姻費用を永遠に払い続ける必要があるからだ。コンピ地獄である。いったんコンピ地獄になってしまえば、奥さんのほうには離婚裁判を長引かせるインセンティブが生じるので、調停でお互いにわかり合える、などとは露程にも思わないほうがいい。ボランティアの調停委員のおじちゃん、おばちゃんの前で長々と話していても、時間の無駄、金の無駄である。なるべく早く、お互いに同意できないという結論、つまり調停不成立にしなければいけない。そうしないと裁判ができないからだ。調停は最短でも3~6ヶ月程度、長い場合は1年以上かかる。裁判所は調停を1ヶ月に1回程度の頻度でしか入れてくれないので、3ヶ月といっても3回協議するだけである。ビジネスマン的な感覚では5分のミーティングで決まるようなことは、裁判所では半年かかると思っていいだろう。
・それから長い、長い離婚裁判が始まる。まずは家庭裁判所であるが、粛々と奥さんがどれだけひどい人物で、悪行の限りを尽くしていて、昔も今も奥さんのことをまったく愛していない(=実質的な破綻状態)ということをひたすら弁護士と一緒に主張し続けることになる。また奥さんの方も夫がどれだけひどい人物で、それに耐え抜き、止むに止まれぬ理由で別居しているという主張をする。奥さんは離婚したくない、また元の生活に戻りたい(そうすることにより婚姻費用を最大化できる)、という虚偽の主張をし続け、一方で夫の悪事の数々をまくし立てるというとても奇妙な論理を展開することになる。なぜ有りもしない夫の数々の悪事を訴えるかというと、離婚の主たる原因が夫にある、つまり夫は「有責配偶者」であるという認定を裁判官がすると、離婚成立が著しく困難になるからである。相手を有責配偶者にさえしてしまえば、コンピ地獄を非常に長期化できるのだ。
・裁判では、かつては愛し合った夫婦同士が、文書でお互いをこれでもかと罵り合うわけである。そこにあるのは、双方の金に対する愛情である。少しでもたくさん金を取りたい奥さんと、少しでも自分の金を守りたい夫との血みどろの法廷闘争である。そんな夫婦も大変だが、犬も喰わない夫婦喧嘩を1年以上も聞かされ続けられる裁判官も大変である。そして家庭裁判所の裁判官はこんな進行中の裁判を一人で100~200件も抱えているのである。日本の官僚は昔ほどの輝きは失ってしまったが、現在でも貧しくとも優秀で勤勉であると世界から評されているが、日本の裁判官も例外ではない。彼ら、彼女らは労働基準法などお構いなしに毎日残業続きである。週末もこの文書に書き起こされた犬も喰わない金欲まみれの夫婦痴話喧嘩を読み続けるのである。さて、裁判官の出世で何が大事かということを考えることは、裁判というゲームの仕組みを理解するために極めて重要だろう。それは第一に年間の事件の処理件数である。そして処理というのには当然和解も含まれている。判決文を書くにはお互いの主張とその反論を精読して提出された証拠と突き合わせながら矛盾点をあぶり出し、慎重に事実認定し、法律、過去の判例に基づき、間違いのない結論を導かないといけない。そして判決文とその結論に至った理由など、裁判官は相当にたくさんの文章を書かなければいけない。一方で、和解ではいくらの金銭をいつまでに払うというぐらいのことを書くだけでいいので、楽だ。事情はどうであれ、お互いにそれで納得したのだから、裁判官がこれ以上関わらなくていいのだ。
・判決の場合はどうなるのか。裁判にまで行っているということは、夫婦関係がお互いに抜き差しならない関係になっているということだから、第一審の家裁の判決で双方が納得することはなく、控訴される可能性が高い。そして第二審の高等裁判所にまで行くことになる。裁判官には厳然たるヒエラルキーがあり、家裁での判決が高裁で覆るのはサラリーマンでいえば、上司にお前のやり方は間違っていると言われるようなものだ。つまり、判決を書いても、家裁の裁判官としては、高裁でひっくり返って出世競争で減点されるという大きなリスクを抱えることになるだけで、労多くして功少なしである。これも裁判官が必死に和解させようとするインセンティブになる。ちなみに日本は三審制と言われるが、最高裁は基本的には憲法の解釈だとか、過去の判例の変更だとか、そういう日本の法体系に関わることしか審査しないので、事実上の二審制となっている。つまり最高裁では、ふつうは事実認定は争われず、そもそも高裁では過去の判例に照らしてこうした判決になったが、その判例自体が間違っているとか、そういうことしか争われないのだ。だから離婚裁判は高裁でおしまいである。高裁も、また一から裁判をするのではなく、第一審の家裁の続審であり、あの電話帳のように積み重ねられた書類の上に、新たな書類を積み重ねて、家裁の裁判官はここがちょっとおかしいとか、そういうことを審理するだけである。日本の裁判官は、東大や京大出身で、在学中に超難関試験といわれている司法試験を突破したような優秀で勤勉な人ばかりなので、高裁で家裁の判決がひっくり返るようなこともあまりない。こうなっては事実上の一審制だ。このような理由で、裁判官もなるべく和解させたい。それで隙を見つけては裁判官は和解の話をちょくちょく持ちかけてくるわけだが、その和解へのプレッシャーがクライマックスに達するのが、ちょうど準備書面を5~10回ほど交換し合ったあとに訪れる「尋問」の前である。書面上で、ほぼお互いの主張が出尽くし、どの事実関係でお互いが矛盾したことを主張しているのか、争っているのかが明らかになったころにこの尋問の期日が決められる。
・尋問では、夫婦がお互いに裁判所に来て、裁判官の前で、自分の弁護士、そして相手の弁護士の質問に次々と答えていかなければならない。証人が来る場合は、証人にも尋問を行う。これは原告にも被告にも負担になることで、裁判官にしてみたら、和解させる大チャンスである。そこで裁判官は何をするかというと、奥さんが納得する金額を夫が出すように仕向けて、なんとか金で解決させようとするのだ。「日本の法律ではこのままでは離婚が認められる可能性はそんなに高くない」と、夫が裁判で負けそうなことを匂わす。離婚が認められなければ、このうんざりする離婚裁判があと何年も続く。そしてその間、婚姻費用が毎年搾り取られていくのだ。こうして奥さんに提示する和解金額がどんどん吊り上がっていく。そして裁判官は、今度は奥さんのほうにはこんなことをいうのである。「さすがに、これは離婚が認められるかもしれませんね。旦那さんもこれだけ払うと言っているんだから、裁判を続けるよりも、ここで和解した方が得かもしれませんよ」実は、弁護士の方も早く和解して欲しいのである。弁護士の報酬は着手金と成功報酬で、夫側の弁護士としたら、成功報酬は通常は離婚成立時に払われることになっているので、とにかく離婚が早くできればできるほどいい。奥さんの方の弁護士の成功報酬だが、これも取れた金額の何割というように契約している場合が多く、ここでゴソッと和解金が取れれば、成功報酬もはずむというものだ。時は金なり。弁護士も早く和解したいのだ。こうして婚姻費用を搾り続けたい妻に対して、夫、夫の弁護士、裁判官みなが和解のプレッシャーをかけることになる。よっぽど婚姻費用が多額で、その婚姻費用に対するインセンティブが成功報酬に盛り込まれていない限り、内心は妻の弁護士も「奥さん、そろそろ和解してくれないかな」と思っている。このことは、毎月婚姻費用を搾り取られ、忙しい仕事の合間に離婚裁判なんかに関わらなければいけなくなったビジネスマンの夫にはせめてもの救いだ。
・高等裁判所では、また一からやり直しというわけではなく、これまで積み上げられた電話帳のような準備書面の数々、そして家庭裁判所での判決文に基づいての続審となる。しかし控訴審は、一審の判決文に対する反論を裁判官が読んで、1回の審理で結審してしまうことが多い。結審というのは、ボクシングでいえば試合終了の意味で、その後に第一審の家庭裁判所で行ったような、準備書面での応酬や証人尋問などを行わないことを意味し、すでにこれまでに提出された書面や一審の判決文に基づき、これから高等裁判所の裁判官が判決を書くことになるのだ。だから最初の判決がなぜ間違っているのかをよっぽど上手く説明できない限り、控訴審は数か月程度で終わってしまう。日本は実質的には二審制なので、最高裁に上告しても棄却されるだけで、これでひとまず離婚裁判は終わりである。
・婚姻費用の権利を守り抜いた奥さんにはお疲れ様と言いたい。そして、離婚できなかった旦那にはまた次に頑張ろうと言ってあげたい。こうして第2ラウンドは、また家庭裁判所に戻ることになる。振り出しに戻るのだ。ちなみに当然だが離婚が高裁で認められた場合はそれで終了だ。それで離婚という結論は出たのだから、また裁判をやり直して婚姻関係を復活させられることはない。一方で、離婚を求める裁判は何度でも起こせる。なぜならば時間の経過とともに離婚事由は変化しているからだ。裁判を通して積み上げた別居期間の実績で、実質的な婚姻関係の破綻だと認められるかもしれない。婚姻費用を搾り取られている側は、相手が離婚してくれるまで、離婚裁判をひたすら繰り返していくことになるのだ。
・そもそも日本の法律ではいかなる場合に離婚が認められるのか?それは民法770条1項に書いてある。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
3と4は読んで字のごとくそのままの意味である。5は要するに性格の不一致などなんでもありうるという意味であるが、ふつうはこういう包括条項を濫用するのは避けるものである。それで見慣れない言葉があるのは1と2である。1の不貞というのは浮気のことだ。裁判所で浮気といえば肉体関係、つまりセックスをしたかどうかが全てであり、いわゆるプラトニックな恋愛というのは全く不貞行為に当たらない。浮気か本気かというのもぜんぜん関係ない。問題となるのはセックスの有無だけだ。さらに裁判所が考える配偶者以外とのセックスの罪にも濃淡があって継続的にセックスする相手がいた場合は文句なしに「不貞行為」になる。しかし旦那がソープランドに1回行ったとか、その程度のものでは離婚の理由となる不貞行為として認められる可能性は低い。2の悪意の遺棄のほうは、夫婦は同居して、互いに協力し合わなければいけないのだが、家を出て行き、稼いでいる方なら生活費を渡さず、主婦なら家事も育児もしないという意味だ。家庭を全く顧みないというやつである。これも離婚理由になる。5の包括条項だが、この中で特に強力な離婚理由になるのは暴力である。後遺症が残るようなひどい暴力、継続的な暴力などは離婚理由になる。
・これらの民法で定められる離婚事由は奇妙なことだが、むしろ離婚しないために使われる。離婚騒動が裁判まで行って泥沼化するわけは、一にも二にも婚姻費用にあるからだ。日本という先進国では、人は人に一緒に住むことやセックスを強要することは決してできない。だから究極的には金銭の授受がないのなら、結婚しているかどうかは、ただ役所の書類の上だけの話であり、どっちでもいいのである。ある程度の婚姻費用を受け取っている奥さんは、婚姻期間をなるべく長引かせることこそが目的なので、自らに不貞行為などの非がないことを主張しつつ、相手の不貞行為を攻撃し、それでもなお再び円満な婚姻関係に戻りたいと訴えるコトになる。相手の不貞を証明すれば、相手は有責配偶者として認定されてしまい、有責配偶者からの離婚請求は認められにくいので、この状態を維持しておけば、婚姻費用を長期にわたって防衛できるからである。
・幸いなことに、最近の日本の裁判所では、実質的に破綻している夫婦であるならば、片方がどうしても離婚したいと言っているなら離婚を認めてやろうじゃないかという方向に進んでいる。これを破綻主義という。そしてたとえ有責配偶者からの離婚請求であってもいくつかの条件を満たせば離婚が認められるようになっている。次のような条件が満たされなければいけないとされた。
1 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいる
2 未成熟の子が存在しない
3 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない
簡単に言うと、別居期間が長くて未成年の子がおらず、離婚によって奥さんが生活できなくなるなどということがなければ、愛人を作った夫からの離婚請求も認められるというわけだ。この別居期間というのがどれほど必要かというと、これは裁判官によってまちまちなのだが、最初の判例では30年以上だったのが、どんどん短期化され、20年、10年でも認められるようになってきており、最近では10年以下で認められるケースも出てきた。つまり有責配偶者であっても離婚成立までの婚姻費用の総額は10年分ぐらいになってきており、有責配偶者でない場合は5年分ぐらいで目処が立つようになったのだ。
・ダルビッシュ投手の当時の年収を推定しなければいけない。レンジャーズと6年5600万ドル+出来高400万ドルの総額6000万ドルで契約した
と報じられていたので、当時のドル円レートを1ドル80円として計算しても、ざっと6年で48億円となり年棒は8億円程度だ。ここにCMなどの出演料が入るので、年収10億円は下らないだろう。それではダルビッシュ投手と紗栄子さんのケースでコンピ(婚姻費用)はいくらになるのだろうか。これらの情報から計算すると月々1400万円以上になる。かなり控えめに見積もってもダルビッシュ投手は月1400万円以上の支払い義務があったのであり、紗栄子さんの当初の月1000万円の生活費の要求は、なんら不当に高額なものではないことがわかろう。つまり紗栄子さんが離婚に合意しないだけで、ほぼ自動的に毎月1400万円が振り込まれ続けることになり、これには税金もかからないのだ。これは年間1億7000万円程度であり、さらに離婚した時には二人で蓄えた(=ダルビッシュ投手が稼いだ)共有財産の半分の権利が発生する。当時の新聞報道などによれば、この共有財産が5億円程度だったという。紗栄子さんとしては10年離婚しないだけで、コンピだけで17億円と財産分与の5億円で23億円も入ってくることになる。そして和解以外にダルビッシュ投手が離婚を成立させることはほぼ不可能なのだ。だから紗栄子さんに離婚に合意してもらうためには、少なくとも20億円程度のパッケージを用意する必要がある。10億円程度のはした金で離婚しようといわれても、離婚しませんといって婚姻費用を搾り取り続けるだけの話なのだ。それにも関わらず、財産分与5億円+月500万円の養育費20年間というたったの総額17億円にしかならない金額で紗栄子さんは和解したという。だから仮にマスコミに流された情報が正しいとしたら紗栄子さんはずいぶん控えめな女性だというのが筆者の素直な感想なのである。ところでダルビッシュ投手はその後、女子レスリング選手の山本聖子さんと子供を作ったそうだ。とてもめでたい話である。
・もし男性が離婚する決意をしたならば、すぐにでも始めないといけないことは別居である。財産分与の金額をこれ以上増やさないためだ。婚姻届を出したその日から、夫が稼いで貯めた金の半分が妻のものになる。ふたりの共有財産になるからだ。結婚してから築かれる資産は、すべて夫婦のものなのだ。なぜ働いていない専業主婦にも半分の権利があるかというと、夫が会社で働いて稼いだ金額の50%は妻の内助の功、つまり家事をしたり精神的に夫を支えたことによるとされるからだ。ということは長い離婚裁判が始まっても夫が稼ぎ続ければ、共有財産が増え続け、それゆえに妻が財産分与で受け取る金額も増え続けるのだろうか。幸いなことに日本の裁判所では、この50%もの取り分が発生する内助の功は同居していないと発揮しないことになっている。つまり共有財産となるのは、婚姻届を提出した日から別居を開始した日までに作られた財産なのである。だから別居することにより、この共有財産の増加を止めて妻に支払う財産分与額がこれ以上増える可能性をなくすことができるのだ。さらに別居期間の実績は破綻主義の考えからも重要なのだ。破綻主義に基づいて離婚が認められるには、実質的に婚姻関係が破綻しており、夫婦関係の修復は不可能であると裁判官が判断しないといけないのだが「実質的な破綻」というのを見極めるときに「長期間の別居」というのが重要なのだ。5年~10年はこの実績を積み上げないといけない。よって別居するのは早ければ早い方がいいのだ。
・結婚というのは婚姻届に判を押した瞬間から、所得の多い方が所得の低い方へお互いが使える金額が同じぐらいになるように、金銭を支払い続ける義務が発生する契約である。だとするならば、女性は自分より所得の低い貧乏な男性と結婚する経済的なメリットはあるのだろうか?結論から先に書くと、まったくない。貧乏な男と結婚したら家庭を持ったり、子供を作ったりできるではないかと言っている人は根本的に何かを間違えている。なぜならば男と一緒に住むことも、子供を作ることも、当然であるが結婚しなくてもできるのであり、結婚という金融商品の譲渡契約とそれらは無関係だからである。自分より所得が低く貧乏な男を好きになってしまったのならば、一緒に住むもよし、子供を作るのもいいだろう。そうして愛にあふれる家庭を築くことはとても素晴らしいことだと思う。ただ多くの男はなんだかんだいって、家事や育児の助けにはならない。それだけでも大変なのに、さらに貧乏な夫を養う法的義務である結婚まで背負い込むことはないだろう。シングルマザーは大変だというけど、貧乏な男と結婚してしまえば、子供を養うだけでなく、その上に夫まで養う義務を負うのだ。結婚をせずに、事実婚にしておけば、コンピ地獄になることはない。事実婚なら夫の経済的な価値はゼロだが、結婚してしまえば、いきなり大きな負債を背負い込むようなものなのだ。もし貧乏な家庭を作りたいならマイナスよりもゼロのほうがいいというのは自明ではなかろうか。
良かった本まとめ(2018年下半期)
<今日の独り言>
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