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「これから3年不動産とどう付き合うか」という本は、アベノミクスや税制、REIT、インフレや金利上昇、2020年のオリンピックや人口減少の影響を踏まえた不動産市場について分かりやすく説明があり、そして今後有望な地域や、家賃とローンの損得勘定、建物の寿命や立地、それからマンションや戸建ての注意点などにも言及していて、今後不動産購入を考えている方にはとても参考になる内容となっています。
とてもオススメですね!
以下はこの本のポイント等です
・住宅ローン市場ではいまだ多くの方が変動金利を選好しています。私は変動金利を否定するわけではありませんが、変動金利のローンを借りていいのはリスクを理解している人、借り入れの絶対額が少ない人、あるいは、いざとなったら手持ち現金で大幅に繰り上げ返済できる人などに限られるでしょう。固定金利に比べて金利の低い変動金利は、支払額に占める元金の割合が高いため、元金の減りが早いというメリットはありますが、常に金利上昇という大きなリスクと隣り合わせです。変動金利は政府がコントロールする余地があるものの、金利上昇の局面では、市場に連動する変動金利もとっくに上がっている可能性が高いと考えるのが普通です。
・不動産価格は、原則として株価と連動しています。株価はREITやファンド、都心部・都市部の新築マンション価格に対して敏感に反応する傾向があります。そこから中古マンション、郊外へと波及していきます。立地的な順序でいえば、東京については、まずは都心3区(中央・千代田・港)→5区(中央・千代田・港・新宿・渋谷)→城南地区→城西地区→城東・城北地区といった流れがあります。首都圏ならば、東京→神奈川→埼玉→千葉の順で波及します。名古屋・大阪はじめ地方都市への波及は1、2年程度後です。
・日本の総人口は、50年には約25%、3300万人が減少し、9515万人になります。首都圏人口、あるいはカナダ全土の人口がごそっとなくなることを想像してみてください。人口や世帯数が減少する局面では、人の動きは偏在化し、特定の場所に集まることが知られていますが、その偏在は私たちがイメージしているよりも極端になります。人口が増加するのは全国土の2%以下で、東京、名古屋などの三大都市圏に集中する一方、全国の6割以上のエリアで人口は半分以下になります。現在の人口規模が小さいほど人口減少率は高くなります。10万人以下の市区町村では平均を上回る減少率、とりわけ6000人~1万人以下の市町村人口は半分になると予想されています。人口が減少する自治体の財政は当然悪化します。税収は減るうえ、上下水道などインフラの修繕や更新、ごみ収集などの行政サービスの効率が極端に悪化します。
・人口減・高齢化という大きなトレンドを踏まえると、海外マネーや投資マネーが流入する可能性があるREITやファンドが注目している、大都市・都心のマンションの価格は下がりにくいでしょう。とりわけアベノミクスやオリンピック効果で、東京の都心部や湾岸地区の一部などはさらに上値の余地もあります。
・例えば品川駅周辺です。この地域は内閣府の「国際戦略総合特区」や東京都の「アジアヘッドクオーター特区」に指定されています。品川駅はリニア中央新幹線の発着駅となる予定です。20年に新駅が完成予定の品川-田町間は、鉄板ともいえる強さです。複数路線が利用可能なターミナルであり、周辺に大規模商業施設が集積している大宮、船橋も一人勝ちの様相を呈しそうです。もっともさいたま市・船橋市全体が強いのではなく、駅周辺に限ります。「東の渋谷」とよばれる柏も注目地域です。かつて柏といえば大資本のデパートが立ち並び、週末には郊外から自動車客が買い物に訪れる場所でしたが、大きく変貌しつつあります。今では日本初のペデストリアンデッキ(ダブルデッキ)を利用し、ストリートパフォーマーが集うなど、若者文化の発信基地の様相を帯びてきています。高島屋・丸井・そごうなどの百貨店が並ぶ「表柏」とともに、個性的でおしゃれな店がひしめく、小資本による「裏柏」が人気を集め、柏の新たな顔になりつつあります。北千住も有望です。東京芸術大学(06年)、東京未来大学(07年)、帝京科学大学(10年)、東京電機大学(12年)と、立て続けに大学誘致に成功しました。北千住は昭和風の飲み屋街が残るなど、下町情緒があり、物価は安く、JR、千代田線、日比谷線、東武線が利用できるなど、不動産価格の割に利便性が高いことが再評価されるのではないかと考えます。国立は意識の高い住民が多く、きれいな町並みが保持されているうえ、常に需給が逼迫気味です。こうした条件を備えている地域の不動産価値は保たれやすいといえます。商店街に活気があるところも有望です。金融機関に預金することも可能な商店街スタンプを年間1億円も発行している千歳烏山、活気ある商店街で有名な武蔵小山なども注目されています。
・築80年のRC建物をリノベーションした実例があります。まず、建物のコンクリートは強度に問題がないことをコア抜き試験によって確認します。もちろん劣化している箇所はありますから、一部は鉄筋を張り替え、新しいコンクリートを注入するなどして補修、表面には1.5センチ程度のポリマーセメントモルタルを塗布することによって、寿命は60年程度、築140年まで延びると認定されました。
・近未来の住宅市場で、高く評価される住宅の条件とはどのようなものでしょうか。まずは「各種書類が整備されていること」が大前提です。書類がなければ適正な評価の土台に乗りません。とくに設計図書(竣工図書)は必須です。竣工図書とは、間取り図(平面図)だけでなく、立面図、断面図、矩計図をはじめとする、工事の際に施工者が参照する詳細書類のことです。これらは中古住宅を評価する際の元となる書類です。
・新築住宅を買う際には、各種の税制優遇や住宅ローン金利・期間の優遇を受けながら、物件の資産価値がピークのところで購入します。ところが、買って住んだ瞬間からそれは「中古住宅」の認定を受け、20%程度の資産価格低下、10年で半値、20~25年でゼロと、時間が経過するごとに価値は大きく下落していきます。新築住宅を販売する産業側・業界側が最大限の利益を取り、ユーザー(国民)が住宅を譲り受けたとたん、その価値が著しく下落していくという構図です。このことを解消するには「所有者は適切に点検・メンテナンスを行っている」とう宣言が欠かせません。建物は当然時間の経過に伴い、劣化します。劣化を放置していれば、さらなる劣化を招く元凶になります。また、雨漏りや水漏れなどの問題が発生してから補修を行う対症療法より、未然に防止するほうがコストも低くなるし、結果として建物の寿命も延びます。こうした建物のメンテナンスの努力が中古住宅の評価につながります。「点検口の有無」も重要です。一戸建てなら床下と天井裏、マンションの場合は配管が通っているパイプスペース(PS)などに点検口はるでしょうか。今どきこれらがついていないような住宅を提案する業者は、メンテナンスの意識が足りず、勉強不足の時代遅れと断言していいでしょう。もし私ならば、そういった業者の新築物件は買いません。中古住宅を購入するばあいは、点検口がついていないケースも多いですから、近隣の工務店に依頼して設置してもらいましょう。費用は数万円で、年に1回程度の点検で防げる雨漏りや水漏れなどの放置による損害と比べたら安いものです。世の中、本当に「もったいない住宅」ばかりです。せめて年に1回、建物を一通り点検しておけば防げただろう水漏れなどの損害によって、売れなくなったり、無駄にお金がかかるケースがいかに多いかを知って欲しいです
・どんな立派な建物であっても、それがニーズのない立地にあるなら資産価値はありません。たとえ1億円の豪邸を建てても、誰も住まないような場所にあれば、市場価値はゼロです。すなわち住宅選びの要諦は何よりも「立地選び」なのです。立地選びについて、大きく「地位」、ややミクロ的には「駅からの距離」「周辺・生活環境」が重要であることはよく知られています。またその地域の概況を知るために、市区町村役場などで「都市計画図を入手せよ」と書かれているでしょう。「都市計画図」とは、その自治体の道路計画や街づくり、建築規制などの広義の都市計画が、白地図に落とし込まれたものです。該当物件周辺が商業系なのか住宅系なのか、どのくらいの大きさや種類の建物が建ちそうなのかを知ることによって、地域の将来像を把握します。都市計画図は市区町村役場の都市計画課などで、無料から500円程度で入手できます。情報公開が進んでいる横浜市などは、ネットで無料で確認できます。都市計画や路線価、地盤情報に道路台帳、公共下水台帳、防災情報まで一元化されています。
・マンションに住む国民はおよそ1400万人、一般的な都市部のマンション世帯比率は20%程度です。東京は約25%で、都心3区に限れば、全世帯の50%がマンション暮らしです。我が国にあるマンションの戸数は590万戸(12年末時点、国交省)で、うち築30年のマンションは100万戸を超えています。これが、16年には173万戸、31年には406万戸と、現在とは全く異なる社会がやってきまs。これは、ドラッカー風に言えば、「すでに起こった未来」です。中古マンションを見る場合に、最も重要なことの一つが、「マンション全体の管理状態」です。専有部(居住部分)に限らず、外壁や屋上、玄関や廊下、エレベーターやゴミ置き場などの共用部も含めた、ハードとしての建物全体、そして管理組合運営といったソフト面を意識しておくことが必要です。
・築年数が経過し建物が老朽化すると、さまざまな課題が露呈します。なんといっても給排水設備の老朽化は建物の寿命を縮めます。マンションは最初にコンクリートがダメになるのではありません。給排水設備の劣化等がもたらす水漏れがコンクリートの中の鉄筋を腐食させ、膨張した鉄筋がコンクリートを押し出す、いわゆる「爆裂現象」が置き、老朽化が進行します。人間にあてはめれば、血管などの「循環器系」がだめになっていくのです。コンクリートそのものは、施工から50年程度をかけて強度を増し、その後緩やかに劣化します。ただし、それは外部からの影響を全く受けない前提、つまり風雨にさらされない環境下でのことです。このデータに近づけるためには、しかるべき点検や修繕を定期的に行う必要があります。
・「マンションは管理が大事」というフレーズは、ずいぶん前から言われながら、なかなか浸透してきませんでしたが、ようやく都市住民の大きな関心事になりつつあります。マンション管理において、管理会社は業務委託先に過ぎず、主体はあくまで所有者で構成する管理組合です。ところが、「マンション管理は管理会社がやってくれるもの」と思い込んでいる人がいまだに多いのが実状です。
・一戸建てに関する不具合で多いのは、「建物の傾き」です。床が傾いている、壁が垂直でないといった問題です。実は、水平・垂直とも完璧な精度にある建物はほとんどありません。建物やパソコンや自動車などの工業製品とは違って、現場で人間がつくっていくものである以上、一定程度の傾きが生じるのは許容されています。その許容範囲について、さくら事務所では「1000分の5」、すなわち10メートルの距離で5センチメートルまでとしています。これは国土交通省の告示と同水準です。1000分の5を超える場合には、その原因を探り、しかるべく対処を行う必要があります。
良かった本まとめ(2014年下半期)
<今日の独り言>
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「これから3年不動産とどう付き合うか」という本は、アベノミクスや税制、REIT、インフレや金利上昇、2020年のオリンピックや人口減少の影響を踏まえた不動産市場について分かりやすく説明があり、そして今後有望な地域や、家賃とローンの損得勘定、建物の寿命や立地、それからマンションや戸建ての注意点などにも言及していて、今後不動産購入を考えている方にはとても参考になる内容となっています。
とてもオススメですね!
以下はこの本のポイント等です
・住宅ローン市場ではいまだ多くの方が変動金利を選好しています。私は変動金利を否定するわけではありませんが、変動金利のローンを借りていいのはリスクを理解している人、借り入れの絶対額が少ない人、あるいは、いざとなったら手持ち現金で大幅に繰り上げ返済できる人などに限られるでしょう。固定金利に比べて金利の低い変動金利は、支払額に占める元金の割合が高いため、元金の減りが早いというメリットはありますが、常に金利上昇という大きなリスクと隣り合わせです。変動金利は政府がコントロールする余地があるものの、金利上昇の局面では、市場に連動する変動金利もとっくに上がっている可能性が高いと考えるのが普通です。
・不動産価格は、原則として株価と連動しています。株価はREITやファンド、都心部・都市部の新築マンション価格に対して敏感に反応する傾向があります。そこから中古マンション、郊外へと波及していきます。立地的な順序でいえば、東京については、まずは都心3区(中央・千代田・港)→5区(中央・千代田・港・新宿・渋谷)→城南地区→城西地区→城東・城北地区といった流れがあります。首都圏ならば、東京→神奈川→埼玉→千葉の順で波及します。名古屋・大阪はじめ地方都市への波及は1、2年程度後です。
・日本の総人口は、50年には約25%、3300万人が減少し、9515万人になります。首都圏人口、あるいはカナダ全土の人口がごそっとなくなることを想像してみてください。人口や世帯数が減少する局面では、人の動きは偏在化し、特定の場所に集まることが知られていますが、その偏在は私たちがイメージしているよりも極端になります。人口が増加するのは全国土の2%以下で、東京、名古屋などの三大都市圏に集中する一方、全国の6割以上のエリアで人口は半分以下になります。現在の人口規模が小さいほど人口減少率は高くなります。10万人以下の市区町村では平均を上回る減少率、とりわけ6000人~1万人以下の市町村人口は半分になると予想されています。人口が減少する自治体の財政は当然悪化します。税収は減るうえ、上下水道などインフラの修繕や更新、ごみ収集などの行政サービスの効率が極端に悪化します。
・人口減・高齢化という大きなトレンドを踏まえると、海外マネーや投資マネーが流入する可能性があるREITやファンドが注目している、大都市・都心のマンションの価格は下がりにくいでしょう。とりわけアベノミクスやオリンピック効果で、東京の都心部や湾岸地区の一部などはさらに上値の余地もあります。
・例えば品川駅周辺です。この地域は内閣府の「国際戦略総合特区」や東京都の「アジアヘッドクオーター特区」に指定されています。品川駅はリニア中央新幹線の発着駅となる予定です。20年に新駅が完成予定の品川-田町間は、鉄板ともいえる強さです。複数路線が利用可能なターミナルであり、周辺に大規模商業施設が集積している大宮、船橋も一人勝ちの様相を呈しそうです。もっともさいたま市・船橋市全体が強いのではなく、駅周辺に限ります。「東の渋谷」とよばれる柏も注目地域です。かつて柏といえば大資本のデパートが立ち並び、週末には郊外から自動車客が買い物に訪れる場所でしたが、大きく変貌しつつあります。今では日本初のペデストリアンデッキ(ダブルデッキ)を利用し、ストリートパフォーマーが集うなど、若者文化の発信基地の様相を帯びてきています。高島屋・丸井・そごうなどの百貨店が並ぶ「表柏」とともに、個性的でおしゃれな店がひしめく、小資本による「裏柏」が人気を集め、柏の新たな顔になりつつあります。北千住も有望です。東京芸術大学(06年)、東京未来大学(07年)、帝京科学大学(10年)、東京電機大学(12年)と、立て続けに大学誘致に成功しました。北千住は昭和風の飲み屋街が残るなど、下町情緒があり、物価は安く、JR、千代田線、日比谷線、東武線が利用できるなど、不動産価格の割に利便性が高いことが再評価されるのではないかと考えます。国立は意識の高い住民が多く、きれいな町並みが保持されているうえ、常に需給が逼迫気味です。こうした条件を備えている地域の不動産価値は保たれやすいといえます。商店街に活気があるところも有望です。金融機関に預金することも可能な商店街スタンプを年間1億円も発行している千歳烏山、活気ある商店街で有名な武蔵小山なども注目されています。
・築80年のRC建物をリノベーションした実例があります。まず、建物のコンクリートは強度に問題がないことをコア抜き試験によって確認します。もちろん劣化している箇所はありますから、一部は鉄筋を張り替え、新しいコンクリートを注入するなどして補修、表面には1.5センチ程度のポリマーセメントモルタルを塗布することによって、寿命は60年程度、築140年まで延びると認定されました。
・近未来の住宅市場で、高く評価される住宅の条件とはどのようなものでしょうか。まずは「各種書類が整備されていること」が大前提です。書類がなければ適正な評価の土台に乗りません。とくに設計図書(竣工図書)は必須です。竣工図書とは、間取り図(平面図)だけでなく、立面図、断面図、矩計図をはじめとする、工事の際に施工者が参照する詳細書類のことです。これらは中古住宅を評価する際の元となる書類です。
・新築住宅を買う際には、各種の税制優遇や住宅ローン金利・期間の優遇を受けながら、物件の資産価値がピークのところで購入します。ところが、買って住んだ瞬間からそれは「中古住宅」の認定を受け、20%程度の資産価格低下、10年で半値、20~25年でゼロと、時間が経過するごとに価値は大きく下落していきます。新築住宅を販売する産業側・業界側が最大限の利益を取り、ユーザー(国民)が住宅を譲り受けたとたん、その価値が著しく下落していくという構図です。このことを解消するには「所有者は適切に点検・メンテナンスを行っている」とう宣言が欠かせません。建物は当然時間の経過に伴い、劣化します。劣化を放置していれば、さらなる劣化を招く元凶になります。また、雨漏りや水漏れなどの問題が発生してから補修を行う対症療法より、未然に防止するほうがコストも低くなるし、結果として建物の寿命も延びます。こうした建物のメンテナンスの努力が中古住宅の評価につながります。「点検口の有無」も重要です。一戸建てなら床下と天井裏、マンションの場合は配管が通っているパイプスペース(PS)などに点検口はるでしょうか。今どきこれらがついていないような住宅を提案する業者は、メンテナンスの意識が足りず、勉強不足の時代遅れと断言していいでしょう。もし私ならば、そういった業者の新築物件は買いません。中古住宅を購入するばあいは、点検口がついていないケースも多いですから、近隣の工務店に依頼して設置してもらいましょう。費用は数万円で、年に1回程度の点検で防げる雨漏りや水漏れなどの放置による損害と比べたら安いものです。世の中、本当に「もったいない住宅」ばかりです。せめて年に1回、建物を一通り点検しておけば防げただろう水漏れなどの損害によって、売れなくなったり、無駄にお金がかかるケースがいかに多いかを知って欲しいです
・どんな立派な建物であっても、それがニーズのない立地にあるなら資産価値はありません。たとえ1億円の豪邸を建てても、誰も住まないような場所にあれば、市場価値はゼロです。すなわち住宅選びの要諦は何よりも「立地選び」なのです。立地選びについて、大きく「地位」、ややミクロ的には「駅からの距離」「周辺・生活環境」が重要であることはよく知られています。またその地域の概況を知るために、市区町村役場などで「都市計画図を入手せよ」と書かれているでしょう。「都市計画図」とは、その自治体の道路計画や街づくり、建築規制などの広義の都市計画が、白地図に落とし込まれたものです。該当物件周辺が商業系なのか住宅系なのか、どのくらいの大きさや種類の建物が建ちそうなのかを知ることによって、地域の将来像を把握します。都市計画図は市区町村役場の都市計画課などで、無料から500円程度で入手できます。情報公開が進んでいる横浜市などは、ネットで無料で確認できます。都市計画や路線価、地盤情報に道路台帳、公共下水台帳、防災情報まで一元化されています。
・マンションに住む国民はおよそ1400万人、一般的な都市部のマンション世帯比率は20%程度です。東京は約25%で、都心3区に限れば、全世帯の50%がマンション暮らしです。我が国にあるマンションの戸数は590万戸(12年末時点、国交省)で、うち築30年のマンションは100万戸を超えています。これが、16年には173万戸、31年には406万戸と、現在とは全く異なる社会がやってきまs。これは、ドラッカー風に言えば、「すでに起こった未来」です。中古マンションを見る場合に、最も重要なことの一つが、「マンション全体の管理状態」です。専有部(居住部分)に限らず、外壁や屋上、玄関や廊下、エレベーターやゴミ置き場などの共用部も含めた、ハードとしての建物全体、そして管理組合運営といったソフト面を意識しておくことが必要です。
・築年数が経過し建物が老朽化すると、さまざまな課題が露呈します。なんといっても給排水設備の老朽化は建物の寿命を縮めます。マンションは最初にコンクリートがダメになるのではありません。給排水設備の劣化等がもたらす水漏れがコンクリートの中の鉄筋を腐食させ、膨張した鉄筋がコンクリートを押し出す、いわゆる「爆裂現象」が置き、老朽化が進行します。人間にあてはめれば、血管などの「循環器系」がだめになっていくのです。コンクリートそのものは、施工から50年程度をかけて強度を増し、その後緩やかに劣化します。ただし、それは外部からの影響を全く受けない前提、つまり風雨にさらされない環境下でのことです。このデータに近づけるためには、しかるべき点検や修繕を定期的に行う必要があります。
・「マンションは管理が大事」というフレーズは、ずいぶん前から言われながら、なかなか浸透してきませんでしたが、ようやく都市住民の大きな関心事になりつつあります。マンション管理において、管理会社は業務委託先に過ぎず、主体はあくまで所有者で構成する管理組合です。ところが、「マンション管理は管理会社がやってくれるもの」と思い込んでいる人がいまだに多いのが実状です。
・一戸建てに関する不具合で多いのは、「建物の傾き」です。床が傾いている、壁が垂直でないといった問題です。実は、水平・垂直とも完璧な精度にある建物はほとんどありません。建物やパソコンや自動車などの工業製品とは違って、現場で人間がつくっていくものである以上、一定程度の傾きが生じるのは許容されています。その許容範囲について、さくら事務所では「1000分の5」、すなわち10メートルの距離で5センチメートルまでとしています。これは国土交通省の告示と同水準です。1000分の5を超える場合には、その原因を探り、しかるべく対処を行う必要があります。
良かった本まとめ(2014年下半期)
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