<金曜は本の紹介>
「運をつかむ技術」の購入はコチラ
「運をつかむ技術」という本は、H・I・S創業者で、ハウステンボス社長の澤田秀雄さんが、その人生経験から人生や会社経営を成功させる秘訣について書かれたものです。
この方もそうですが、成功者の話に共通するポイントとして一度死の恐怖を経験しているということが挙げられます。
著者の場合は海外での旅先で体調が悪くなり死を覚悟したときに、あれをやっておけば良かった、これをやっておけば良かった等と様々な後悔をしたようです。
この後悔の経験を基に人生における時間の重みを噛みしめ、後悔するくらいならいろんなことにチャレンジすべきだと身にしみて学んだようです。
限られた人生を有意義に過ごすためにも、何事も前向きにチャレンジすることは大切ですね。
またこの本では、留学先での商売や、毛皮輸入業から起業したこと、ハウステンボス再生の経緯や経営改善のポイント、さまざまな失敗の対処法、人生や歴史の波動を認識すること、元気だと運をつかめる、運が向かないときの対処法など楽しく分かりやすく説明があり、とても前向きに参考になりました。
また、死なない限り失敗を重ねても何度もやり直せばいいのだし、明るく元気にしていれば運をつかめるということがよくわかりました。
それから改めて旅をすることは良いことだし、旅は人生・人生は旅だと再認識しましたね。
「運をつかむ技術」という本は、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・これから変化のスピードが速まっていく世界を生きていく若い人には、大チャンスではないかと思う。もちろん、それは大起業、ベンチャー企業を問わず、日本の企業すべてに言えることだ。予想もしていないような大きな変化がすごいスピードで起きる激動期だからこそ、たった数年で大勝利を収められるかもしれないのだ。正直に言って、私は若い人がうらやましい。自分が若かったら、あれもしてみたい、これもしてみたいという思いがどんどん広がる。
・失敗したら、やり直せばいい。それでもダメならやめればいい。とてもシンプルで、文字にすれば数行のことだが、本当にそうなのだ。別にどうということはない。他人に迷惑をかけたのなら、誠意を込めて謝ればいい。それでも許して貰えないのなら土下座でもなんでもすればいい。償いはする。それだけのことだ。二度とチャレンジできなくなるわけでも、人生が終わるわけでもない。まして命が奪われるわけでもない。私など、開き直って言ってしまえばいつも失敗の連続だ。ハウステンボスでも数々の失敗をしている。失敗なんて怖くないと言えば、それは嘘になる。やはり失敗は嫌だし、つらいことだけど別にどうということはない。失敗しない事業などない、と断言できるのだから。もしその失敗が頭も時間も使わず、いい加減なチャレンジだったのなら、失敗は当然の報いだ。でも、知恵を絞り出し、考え抜き、最善の努力を尽くした結果なのなら、開き直ればいい。最善の努力の結果の失敗は、必ず糧になる。後に思わぬヒントになったり、鉱脈に化けたりする。そこで初めて、「失敗は成功の母」というのは本当のことだったのだと思えるようになるはずだ。真剣な失敗の積み重ねがとんでもない大成功を生む。大発明につながる。いま日本人や日本企業に足りないのは、そこなのではないだろうか。チャレンジしない限り、新しいものはできない。そして時代が激しく変化する以上、チャレンジしない者は滅んでいくしkな。真剣さと気楽さ、過去の自分を裏切れる洒脱さを持ち合わせた人間が、これからの時代を作っていくはずだ。
・旅にはいろいろな楽しさがある。なかでも、旅に出たいという気持ちさえあれば、出かける前から旅は始められるのがいい。地図を眺め、計画を練り、準備を整える。それだけで気分は高揚してくるのだ。そしていざ旅に出ると、事前に計画したとおりにはいかないことが大変なのも面白く、勉強になる。
・当時の日本人にとって、海外旅行、海外出張はいま以上に高価で、大変で、物珍しい大イベントだった。彼らはおしなべて現金を多めに持ってきている割に、それをどこで使えばいいのかについては、ほとんど情報を持っていなかった。そこで埋もれたニーズを、ホテルのマネージャーを通して現地の店と結びつける。私も含め、日本人客も、お店の経営者も、ホテルのマネージャーもみな満足する。誰も損をしない。だからうまういったのだと思う。これも、後の私のビジネスの基本ルールとなった。
・留学生としてはあり余るお金を手に入れたおかげで、私は約4年半にわたり、50か国以上を旅行することができた。ドイツに近い国にとどまらず、アジアや中近東、南北アメリカ大陸、そしてアフリカまで足を延ばした。陸路で国境を越えるたび、文化や言葉だけでなく、豊かさも、考え方も、ルールも変わってしまうことを知った。そのたび、自分のなかにある「常識」が刺激され、揺さぶられた。いったい何が正解なのか?そもそも正解などあるのか?できるだけ多くの国を回れるよう、そしてなにより地元の人たちとのふれあいが楽しくて、安宿にばかり泊まり、夜の街を歩いた。高級ホテルやレストラン、きれいなブランドショップはあくまでのぞくだけ。それよりも、その土地のものを食べ、時には寺や無料の宿泊所に泊まることを選んだ。ある宿泊所では、天井にビッシリとゴキブリがたかっていてビックリしたことがある。日本はちょうど高度成長期が終わったばかりの頃で、私が日本人とわかると、それを褒めてくれる外国人もいた。一方で私には、日本はいい意味でも悪い意味でも均一的な、均質的な国だということが客観的に理解できた。
・近代的なホテルにチェックインし、とにかく食べて、休むことに専念した。その後、ようやく症状が治まり、体力が回復してきた。ああ良かった、助かったと思うと同時に、私は初めて、人生における時間の重みを噛みしめた。人生なんて、ある日簡単に終わってしまうかもしれないということを実感したからだ。そして、後悔するくらいならチャレンジするべきなのだということを、身にしみて学んだ。少々失敗しようが、命までは取られない。たとえ財産を失おうと、半身をもがれるわけではない。そう思えば、実はほとんどのことは問題にならない。やらずに後悔しながら死ぬことと比べれば、怖いものなどない。だから、悩む前に動け。何かあったら開き直れ。後悔するよりチャレンジしろ。この経験は、私の若いころのもっとも大きな経験だった。そして、大好きな旅から教わった人生の転換点、ビジネスの発想の原点となった。
・ハウステンボスでは、試しに3カ月間だけの暫定措置として、17時以降の入場料を無料にしてみた。仮に1円もお金を落としてくれなくても、多くの人が場内をめぐってくれれば活気が出る。そんな考えからだった。ところが、まったく入場者は増えなかった。大失敗だ。そんな馬鹿な、という思いだった。航空券は、値段を下げれば下げるほど喜ばれる。しかし、テーマパークが提供している価値は、そういうものではなかった。お金をかけ、ハウステンボスに来ていただくことの価値を作らなければならないのだ。
・仕入れ価格を下げる交渉を行い、1億円ほどのコストカットに成功した。要するに、やればできるのだ。私も細かくチェックしたし、従業員にもあらゆる経費の2割カットを目標に見直すよう指示した。それでも、どうしても削れない案件や部署もある。そこで私は、経費を削れないのであれば、「1.2倍速く動く」ことを従業員に求めた。1時間かけていた仕事は45分、50分で行う。
・私だって失敗は嫌だし、つらいものだ。できれば避けて通りたい。それでも私の人生ははっきり言って失敗の連続である。それは、若いときもいまも変わっていない。私は失敗そのものを嫌う以上に、失敗することを恐れてチャレンジをしなくなることを嫌う。私自身、たとえ失敗するかもしれないと思っても、思いついたならば挑戦するほうを選んでしまう。しかし、実際には多くの人が失敗を恐れてチャレンジをしない。本当にもったいないことだ。そしてこれは、日本経済がなかなか回復しない原因のひとつであると思う。まず、失敗するのは悪いことではない。むしろ、後から振り返れば、以前に失敗したからこそ、そこで得られた経験を活かして大きな成功を収められたという構造になっていることが大半なのだ。
・大失敗をして、元気になんてなりようがないと思う人にはなおさら、無理をしてでも、明るく楽しげに振る舞い、元気があるかのように演じることを勧めたい。まさに、嘘でもいいから、無理矢理そうしてほしいのだ。なぜなら、元気でいることには、それだけで価値があるからだ。仕事でも遊びでも、やはり元気のいい人と向き合うと気分がいい。理由もなく、気分が明るくなってくる。何でもできるような気持ちになってくる。失敗をした後でも、明るい気分を失わず、周りもそんな人ばかりならば、失敗点を改良、改善することができるし、新しいアイディアも浮かんでくる。すると、越えられないと思えた壁を突破できるようになる。これが、シンプルだが、失敗を成功に変える方法なのだ。
・個人でも企業でも、自分が本来持っている特質や特性、そして夢にしたがって、何か1点だけを選択し、集中して、本気でそれに取り組むべき。これが、私が失敗から得た大切な教訓だった。ただやってみたい、夢だった、という理由で取り組むことは、あまり賢い選択ではない。もちろん目標を自ら設定することは価値があるが、背の低い人が、いくらバスケットボールを頑張っても、中学や高校では活躍できても、プロになれる可能性はかなり低い。もちろん例外はあるし、頑張ることで自分自身は成長できるが、市場競争力がないのだ。好きだ、やってみたいということと、向いている、素養がある、というのは、悲しいことだが必ずしも一致しない。それに気づくことは、ひとつの重要な通過点である。また、たとえば会社の経営者や上司は、自分の周りにいる若い部下が不向きなことに注力しては失敗している姿を見たら、いままでとは違う道を見せ、方向転換を考えさせることも必要だと思う。これはとてもシンプルな教訓だが、意外なほど重要な経営の「ノウハウ」であると思う。そして、これも自ら失敗したからこそ会得できたことだ。
・いつまでも失敗が多いままではない。この7割の失敗を活かすことができれば、やがて知恵がついてきて、半々くらいの確率に近づけるようになる。次第に打率が上がっていくのだ。だから私は、どんどんチャレンジする。チャレンジし続けないことには、つまり打席に立ち続けないことには打率は上がらないのだ。チャレンジは時に危険を伴う。それでも、チャレンジしないと新しいものが得られない。それを知っている人だけが、最終的に成功にたどり着ける。しかし、危険には、チャレンジしてもいい危険と、絶対にしてはいけない危険がある。判断基準は2つある。まずは、命にかかわるかどうか。有り体にいえば死なないか、重い病気や怪我を背負ったりしないかどうかだ。会社の場合であれば、破綻しないか、倒産しないかどうか、ということになる。もうひとつの判断基準は、法に触れないか、人倫に反していないかどうかだ。これについては多くを語るまでもない。たとえ法律に触れなくても、大勢の関係者をアンハッピーにすることで成り立つようなチャレンジはしない。この2点さえ守れば、チャレンジは全部勉強になる。失敗しても取り返しがつく。つまり、なぜ失敗したかを検証できるのだ。
・夢や目標をシンプルにすると、少なくともほとんどの人が理解できるようにある。実現や達成にはいろいろ問題はあると思われても、少なくともゴール地点を頭に描いてもらうことはできるはずだ。
・私は序章で、時代を動かす大きな軸がアメリカやヨーロッパからアジアにシフトし始めていると述べた。これも波動の一種だと考えられる。アメリカやヨーロッパに来ていた波が引き、アジアに押し寄せ始めている、ということなのだ。もっと大昔の話をすれば、エジプトやメソポタミア、中国に波が押し寄せていた時代もあったし、ローマやモンゴル、スペインやイギリスに来ていた時代もあった。やがてアメリカに渡り、いまアジアにシフトしている。何百年という単位で、波はあっちに行ったり、こっちに行ったりしているのだ。人間の営みも、人間もまた生物である以上、波動から無縁でいることはできない。これは、文明や国に限った話ではない。企業も、人も、間違いなく波の周期の中に含まれている。こちらのほうが人間の寿命により支配されやすいために、周期は短くなる。人の一生が70年だとすれば、周期は最大でもせいぜい60年というところだろう。もっと短いかもしれない。私の考えでは企業は30年が一区切りだ。
・元気というのは「気の元」と書く。すべての気の根源なのだ。元気がなければやる気も出ない。いい仕事もできない。するとやがて風当たりが苦しくなり、仕事が苦痛になってしまう。本人も悩んで元気を失い、病気になる。一方で、元気で、やる気さえあれば、能力に多少問題があろうと、1.2倍の仕事ができ。仕事も、生きていること自体も楽しくなる。
・まず表情に注目する。明るさを感じられる人、表情が豊かな人からは、たいがい良い気が出ている。次に、仕事の内容とスピードだ。私の経験では、ほぼ能力的に同等の普通の人と、私が良い気を持っていると思う人に同じ仕事を与えると、良い気を持っている人は1.2倍の速さで、2割増しに良い仕上がりになる。対照的に、悪い気の出ている人、やる気のない人に同じことをやらせると、時間は2割増しになるのに対して、パフォーマンスは2割減になってしまう。結果として、多少能力で劣っていても良い気の出ている人のほうあいい仕事をするケースが多くなる。だから、できるだけ良い気の出ている人にいい仕事を任せたくなってしまう。
・こうした差は、最終的には本人の運の良し悪しにまで結びつく。運がいい人というのはたいがいプラス思考の人、元気な人が多い。つまり良い気を出している。すると人が寄ってきて、いろいろなものや、チャンスを与えてくれる。当人や、事情を知らない周りの人は「ツイている」と思いがちだが、実際は必然なのだ。いま、自分は運をつかめていない、運が悪いと思っている人は、自分を一度客観的に見てみることをおすすめする。そのとき、いま自分がつらい状況なのか、最近いいことがないかということよりも、誰に対しても元気に対処できているか、つい暗い表情をしたり、ため息をついたり、グチばかりこぼしたりしてはいないかを重視する。
・普段からネガティブなことを口にしている人は、課題を与えられた時点で反射的に「難しい」、「できません」と口をついて出てしまう。難しいのは当たり前で、できるかできないかはやってみなければわからないし、一生懸命取り組んでできなかったことを、誰も責めたりはしない。にもかかわらず、まずとりかかることそのものを拒絶するようになってしまうのだ。これではゼロはいつまでもゼロのままで、何も始まらない。言霊という言葉がある。言葉には魂が宿っているのだが、これはネガティブなものにも当てはまる。悪い言霊は強い毒気を持っていて、自分だけでなく周囲の人の運気も落とす。まず、ネガティブなことばかり口にする人には近づかないことが大切だ。本当に元気で、揺るぎない明るさを持っている人ならば、悪い気を持っている人を引き上げることだってできるが、普通は難しい。
・自分がネガティブな言葉を口にしそうになったら、とりあえず我慢して、ぐっと飲み込んでほしい。これは慣れればできるようになる。よく「私なんて○○だから」という物言いをする人がいる。私なんて馬鹿だから、足が遅いから、かわいくないから・・・なんでもいいのだが、これは謙虚のように見せかけておいて、実際は体のいい言い訳であり、逃げ道ばかりを探すネガティブ発想だ。それがよりネガティブな気を引き寄せてしまうのだ。気を高めるには、とにかくポジティブな発信を心かげることだ。
・私たちがライブドア事件の煽りを受けたのは、まさに業績が絶好調のときだった。そこからの暗転は、正直に言って想像もできなかった。過ぎたるは及ばざるが如し、ではないが、いいときにさらに調子に乗ると、かえって危険を招くことがある。それは、まさにいわれなき天罰のように襲いかかってくることもあるが、有頂天になってしまうことによって慎重さや繊細さが鈍くなり、変化に気づけなくなった結果自ら招いてしまうこともある。本来持っていたはずのバランスを、失ってしまっている状態なのだ。あまりに調子のいいときには、むしろあえてブレーキをかけ、抑え気味にすることによって、平時の感覚を取り戻すことを心に留めておきたい。絶好調のあと、揺り戻しは必ず来る。
・私は運の悪い人、悪い気を持つ人に近づくなと言っているが、自分に余裕があるときには、そうした人たちを助けたい、チャンスをあげたいと思うこともある。と同時に、陰陽の考えに基づいて、ちょっと調子が良すぎるときにスピードを調整するため、あえて倒産を経験した元経営者など、あまり元気のない人たちを自分の周りに配した。言葉は悪いが、ある意味、運についての実験の意味も持っていた。結果としては、やはり私の運はかなり落ちた。実は、その最後に招いたのが、ライブドア事件の大混乱だった。私はそのころ若干自信過剰で、調子に乗っていた面があったことを否定しない。何せ、あえて運の悪い人で自分を囲むなどということをのんきに発想したのだから。全体としてバランスが大切なのと同様に、仕事をする際の組織にもバランスが重要だ。ある集団のなかに運の強い人と運の弱い人がいたら、基本的にはより人数の多いほうに全体の運が引かれていく。運の強い人が5人、運の弱い人が1人だったら、運の弱い人が強い人に引かれるのだ。ところが反対に、運の悪い人が5人、運のいい人がたった1人だったら、逆に運の悪いほうに引かれてしまう。まさに私のケースはそれだった。いくら自分の幸運に自信があっても、助けられる人はせいぜい1人だ。それもできれば他の運がいい人を巻き込んだ上で、チームで改善していくことが望ましい。私自身、自分の運の良さ、明るさには自信があったのだが、実際は難しかった。これは身をもって経験した結果で、調子に乗ってそんなことを考えたことを反省している。
・運が向かない場合の基本的な、常識的な対応は、ひたすら待つことだ。台風が来ているとする。猛烈な雨と風で、身動きが取れない。陰と陽で言えば、陰の極地だ。そんなときに表に出て何をやってもうまくはいかない。看板が飛んできて、電線が切れているかもしれない。怪我をする可能性は格段に高い。だったらじたばたせず、丈夫な建物のなかで、ひたすら時が過ぎるのを待つ。なぜなら、陰と陽にはバランスが働くから、陰の極地である状況が長続きするはずはない。台風はやがて去る。それがわかっているのなら、いまが悪いサイクルのもっとも下にいることが想像できるはずだ。逆らわず、無理をせずに身を潜めて、雨がやみ、陽がさす日が来るまで体力を温存することを優先する。不景気も同様だ。長短の波はあれど、悪くなれば必ず良くなる。
・やや上級者向けというか、安易に真似はしないでいただきたいのだが、実は別の対処法もある。じっと身を潜めているのとは対照的に、運が悪いときにこそあえて大きく打って出る、という方法だ。これが「陽の構え」だ。台風が来ているのはあくまで日本で、中国に行けば何の影響もないかもしれない。ハワイに行けば晴れているかもしれない。それなら、思い切って場所を変えてしまう。台風が通り過ぎるまで待つ、というのは、場所を変えずに時が変わるのを待つやり方だ。一方で中国なりハワイに飛んでしまうというのは、時を惜しんで場所を変えてしまうという、少々荒っぽい行動になる。これは、自分たちの根本が陽の状態にあるという確信がある場合にだけとってもよい方法だ。そして、打って出る以上は大きく打って出ることが大切だ。東京は台風でも大阪なら大丈夫、というレベルではなく、中国やハワイまで飛んでしまうことが重要なポイントとなる。なぜなら、嵐の中で大きなリスクを取るようなことは誰もしないからだ。その大きな行動そのものに価値が出るのだ。
・ブームには乗らない。ブームが来ているときは、もう半分終わりである。クレバーに行くのなら、ブームになる少し手前に乗ることが大切だ。ハウステンボスで言えば、AKB48をお招きしたのは2010年、「ONE PIECE」も、大ブームになる少し前だった。エンターテインメントだから、まったくブームを無視して進むわけにもいかない。しかし、ピークにあるものに飛びつかず、これからの伸びしろがあるコンテンツを選ぶことが大切だと思う。
・国家や企業も、まずはリーダーが大切だ。付け加えるならばブレーンの優秀さも重要だ。リーダーやブレーンたちが時代に合った政策や経営方針を打ち出せなければ、どんな会社でも滅ぶし、国であれば没落する。日本を見ていて歯がゆいのは、例えば企業を公的に支援する際、お金だけを入れればいいと思っている人が多いことである。私は、いち早くリーダーを変えるべきだと思う。順序を間違えれば、いたずらに延命し、国の借金が増えるだけだ。
・グーグルやフェイスブックのような企業があっと言う間に世界的企業に成長する。自社ではほとんど製造手段を持たないアップルが、ほんの数種類の製品だけで世界中のメーカーをリードしてしまう。本当にすごいことだ。だからこそ、これからチャレンジしようという人には大きなチャンスがある時代なのだ。ドラスティックな変化をうまくつかめば、人に力だけで既存の大企業とも伍していくことができる。
・テレビゲームやインターネットばかりで遊ぶようになってしまった子どもたちの五感を、風を切る音や丸太の感触で刺激したい。体を使うということは、本来人類が長い間生きてきたなかで、当たり前のように経験してきたはずのことだ。しかし最近はあまりにバーチャルに寄りすぎてしまい、リアルな経験に感動する機会が減ってしまっていることを、私は大いに懸念している。感動という字は感情に動くと書く。私は、本当に感情が動くのは自ら進んで動いたときではないかと思うのだ。自分で動く。自分で感じに行く。そういった根本が確保されてこその知識なのではないだろうか。そこに気づけた若い人は、強力なオリジナリティーを発揮できるようになる。結果として、大成功の入り口にたつことができるはずだ。
・大企業、歴史ある企業が生き残るのではない。時代の変化についていける企業が生き残るのだ。変化に柔軟に対応できる体制がなければ、どんな大会社でもつぶれる。自動車で世界を制覇したゼネラルモーターズも、フィルムで世界を制覇したコダックも破綻したのだ。かつて地球の王者だった恐竜は環境に合わなくなったために滅びた。いま成功しているかどうかは関係なく、エイチ・アイ・エスも、変化に対応できなくなればあっと言う間に危機に陥るだろう。人が変われるかどうかはその人次第だが、企業の場合は、人事的な方法で比較的簡単に手を打つことができる。それは、ときどき少数の「変な人間」を採用することだ。魚を運ぶとき同じ種ばかりの水槽に一匹だけナマズを放り込んでおくと、緊張感が生まれて魚が体力を保つという。また、抗菌グッズだらけでばい菌の全くない環境で育ってしまうと、人間は免疫力を失ってしまうそうだ。
・はっきり言って、いまでも日本はアジア人の憧れの地である。治安は良く、人々は優しく豊かで、食事はおいしく、自然はいっぱいある。そして、すべてのクオリティが高い。日本人の多くがそこに気づいていないのは、海外を知らず、「当社比」でものごとを考えてしまうからだ。
・私たちは、自分でもびっくりするほど、自分に縛れている。それは予断とか先入観、あるいは過去の成功体験や過剰な自信と言える。そして全方位に気を配ることをせず、すでに自分の頭の中にある要素だけで情報を整理してしまう。これからの人たちには、この段階をぜひ乗り越えてほしいと思う。世界にはいろいろな見方、考え方がある。そして世界そのものがどんどん変わっていく。いま自分が見ているものがすべてだと決めつけず、そう思う自分を裏切れる軽やかさ、柔軟さを併せ持ってみてほしい。
・いま、日本はなぜ不景気から抜け出せないのだろうか?それは、1990年ごろ、バブル経済が崩壊したことがきっかけだ。では、本当にバブル崩壊だけがその原因なのだろうか?日本の平均株価が4万円目前という市場最高値をつけるわずか1ヶ月半前、ドイツ分断、そして冷戦の象徴だったベルリンの壁が、市民の手によって崩壊した。1ヶ月後には米ソ首脳によって冷戦の終結が宣言され、東西ドイツは翌年に統一された。ヨーロッパをさんざん旅した私にとっても、そしてそうでない人にも、とても感動的な時代だった。しかし、日本のバブル崩壊とは一見関係なさそうに見えるこれらのできごとは、実はその後の日本経済を巻き込む大転換点だった。それまでは、武力と政治力によって隔てられていた東欧諸国や、中国、ベトナムなどの社会主義陣営の人々が、安価な労働力として大量に市場に流入してきた。時はあたかも情報化が進み、人、モノ、カネの行き来が盛んになり、国境の壁はどんどん低くなって世界はグローバル化した。歴史的にはいいことに思えるが、日本は「共産主義の防波堤」としての地政学的な価値が低下しただけなく、それまで誇ってきた製造業が熾烈な価格競争に巻き込まれてしまった。デフレからなかなか抜けさせなくなった原因のひとつは、東西冷戦の集結にあるのだ。
・夢を持つこと、チャレンジすることの最大の目的は、それを達成することだ。でも、夢を持っている、チャレンジする、そのために頭を悩まし、体を動かすことそのものも、成功sるのと同じくらいの価値を持っているのではないだろうか。成功など、いつかすればいい。そもそもいきなり成功することなど滅多になく、失敗して鍛えられた結果、だんだん確率が上がっていくのだ。だから、失敗することなど気にせず、とにかく、チャレンジ、またチャレンジである。
・私は、あえて自分とは違うタイプの人間と付き合ってみることをすすめたい。自分のことを慎重な性格だと思うなら、向こう見ずな人と。大雑把と思うなら繊細な人と。数学が苦手なら、得意な人と。まず、私たちは自分に縛られている。同じタイプ、同じ性格の人間と付き合っていると、お互いを素直に認め合うだけだから、新しい視点や考え方を吸収することが少ない。ラクで楽しいのだが、保守的、自己弁護的になりがちだ。違うタイプの人間と意識して関係を深めると、まず世の中は自分のような人間だけで構成されているわけではないという当たり前の事実が、深く理解できるようになる。すると、思考の幅、吸収しようとする知識の範囲が広がっていくという効用がある。もうひとつは、少し先の長い話だが、違う能力を持っている人のほうが、ビジネスパートナーとして一緒に取り組みやすいというメリットがあることだ。
・私の場合は、基本スタンスを「チャレンジ5:守り5」に置く。景気や、自社の状況が通常の状態であれば、半々でいいと思う。チャレンジ6~7に対して守りを3~4に置くのは、景気も、自社の状態もあまり思わしくないときだ。これを逆に考える人が多い。エイチ・アイ・エスが、バブル崩壊のまっただ中に、あえて日本一の店舗をつくって攻めたことはすでに述べた。もちろん失敗すれば即倒産というわけではない線はしっかりキープしつつ、思い切って打って出た。当時、日本の旅行業界で、そこまでのチャレンジをしたのはエイチ・アイ・エスだけだった。だからこそ価値があったし、大きく成長することができた。世間の雰囲気がどんどん暗くなっていく中で、社員のモチベーションを保つことにも貢献した。普通なら、景気が悪いのだから守りを中心に考えていくはずである。逆に、チャレンジを3~4に抑え、守りを6~7に上げるべきなのは、景気が良く自社の成績も急成長しているときだ。
・講演会などで、若い経営者や起業を目指す人にアドバイスを乞われると、私は決まって「「継続は力なり」、「石の上にも3年」です。やると決めたら、3年間は歯を食いしばる覚悟で頑張ってください」と声をかけるようにしている。もちろん、嘘でも何でもない。だが本当は、この言葉には続きがある。「でも、もし3年必死に頑張っても芽が出なかったら、もう一度よく考えて、きれいさっぱり諦めることも視野に入れてください」。
<目次>
序章 チャレンジが生むもの
1 サンタクロースとダイヤの原石
電気自動車のサンタクロース
ハウステンボスでの1日
泥にまみれたダイヤモンド
2 ハウステンボスは日本の縮図?
「ディズニーランドを超えよう!」
ハウステンボス化する日本
3 チャレンジすることの価値
チャレンジしない日本人
日本企業が乗り遅れた「変化」
激動期だからこそ大チャンス!
失敗したら、やり直せばいい
第1章 いくつかの冒険
1 学生時代
私の土台
旅は予想外のことばかり
西ドイツへの留学
ドイツでの「起業」
2 旅が教えてくれたこと
旅のスタイル
死の恐怖
人生の転換点
3 起業
最初は毛皮輸入業
本が先生
飛躍
4 苦い経験から得たもの
スカイマーク
証券会社での学び
第2章 ハウステンボス 新たな挑戦
1 ハウステンボス前夜
また三度頼まれて・・・
事前の調査と債務交渉
難問ほど面白い
2 何が問題だったのか
「本物のオランダ」以上の価値
無料でもダメ
経費2割カット、1.2倍速の仕事
3 新しい取り組み
音楽の重要さ
フリーゾーンを設ける
「観光ビジネス都市」計画
日本一、東洋一、世界一
4 意識改革
「勝ち戦」を知らない社員たち
自信がつけばすべてが変わる
5 これからの課題
上海航路とカジノの可能性
ディズニーを目標にする意義
地元企業として
後進を育てること
第3章 大切な失敗、大切な夢
1 さまざまな失敗と対処法
本当の失敗とは
失敗は成功の母
明るく、楽しく、元気でいることの価値
プロとアマの差
ひとつのことを極める
2 ライブドア事件
野口さんを失ったショック
ライブドア事件で得たもの
3 失敗を本当に活かすには?
打席に立たなければ打率は上がらない
命にかかわるか?法に触れないか?
ハワイに行く人、行けない人
目標はシンプルに
旅がすべてを癒してくれる
第4章 運をコントロールする
1 運と波動
運は自力で変えられる
波動を認識する
波動から歴史を考える
2 気とバランス
気とは何か
病は気から
気落ちへの対処法
良い気が出ている人の見分け方
3 運をつかむ
「運が悪い」と思ってはいけない
ネガティブな人に近づくな
気を高めるには?
4 陰陽とバランス
できすぎの結果には注意
人事でも大切な気
「運の悪い人」実験
5 どうしても運がないときの心得
運が向かないときには?
「陽の構え」
第5章 これから
1 情報時代のビジネス
企業は30年が一区切り
ブームのちょっと手前をつかむ
メールを見なくなった理由
2 企業活動のゴールとは?
企業は人
知識と経験値が違う
変わり続けることこそが価値
3 日本はどうなる?
暗い話はそろそろやめよう
財政均衡より大切なもの
4 未来を担う人に必要なこと
若い人は優秀
自分を裏切る
歴史的な観点でいまを見る
ハングリーさ
違うタイプの人間と付き合う
5 起業を目指す人へ
起業の目的
守りと攻めのバランス
「石の上にも3年」の本当の意味
大会社にいることがメリットにも
多様な価値観を許容する現代
終章 もう一度、旅へ
旅は人生、人生こそ旅
旅が気持ちを変える
すべては旅の途中
面白かった本まとめ(2013年上半期)
<今日の独り言>
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