<金曜は本の紹介>
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この本は1967年生まれの著者が、2004年9月1日からイタリアのフィレンツェで妻と子の3人でイタリア生活を始めた経験に基づいて、その住宅事情や家探し、移住ビザと諸手続き、引っ越し、食料品、電気、航空チケット、生活費、医療制度などについてまとめている本です。
1ユーロ=約160円のユーロ高の頃に書かれた本なので、ちょっと現在とは感覚が違うかもしれませんが、現在はユーロ安なので、かえって住みやすいかと思います。
また、ネーロという悪しき習慣があるというのには驚きました。さすがイタリアって感じですね。
イタリアに興味がある人や、住んでみたい人にはとても参考になる本です!
とてもオススメです!!
以下は、この本のポイント等です。
・夫婦二人で節約すれば1ヵ月1960ユーロで滞在することが可能。その内訳は次の通り。食費200、外食費100、住居・備品費1000、衛生費60、衣服費50、水道光熱費120、美容費50、交通費40、通信費40、交際費100、レジャー費100、雑費100。
・息子の名前は「Cozy」(康仁)といいまして、これは英国人からいただいた名前に対し漢字を当てはめたもので、本来は「Colin」から変形をした通称/俗称でもあります。とにかく、グローバルに親しめて日本国内でも違和感のない名前、というのが名付けに対してまず考えたことでした。
・移住に伴い、自宅住居を決定しなくてはなりません。欧州イタリアでは、不動産取得に関して、外国人および国外企業による取得の制限はなく、購入と賃貸の自由が認められています。しかし、その土地での生活に慣れる以前の住宅購入は、あまりにもリスクが大きいものだと思われます。
・イタリアは家庭でのインターネット普及率が43%(欧州内では18位、2008年1月調べ)であることから、ネットでの物件探しは一般的ではありません。住宅情報などは従来の不動産屋、または街のフリーペーパーなどを頼りにすることになります。それでも大手のポータルサイト「YAHOO!ITALIA」などでは、少数ながらも住宅物件などの紹介サービスを行っています。下見に出かける前に大まかな間取りや金額などを参考にしておくのもよいかもしれません。
・イタリアの夏の湿気は日本ほど高くはありませんが、日中の気温は30℃を超えることがしばしばです。日陰に入れば涼しいのですが、真夏の陽光下は殺人的な暑さです。それでも夜半には気温も落ち着き、15℃前後までに下がったりもするので、就寝時には寝苦しいという感覚はなく、肌寒さを覚えることもあります。
・イタリア住宅の多くはリスカルダメントという暖房器具を使用しています。これは各部屋に備え付けられており、ガスで燃焼させてあ熱湯が機器内を巡り暖めるというセントラルヒーティング方式の暖房器具です。そのため冬の時期は常時ガス給湯器が作動することになり、月々のガス代が跳ね上がること!
・イタリアでは毎日お湯に浸かるという習慣がないのでしょう。イタリアへ旅行した際にも、バスタブがなくシャワーのみというホテルもザラでしたし、毎日がシャワーのみ、最後にお風呂に入ったのは30年前(!)などという強者もいるとかいないとか。バスに入ってのんびりというのは、特別にリラックスをしたい時や優雅なひと時を過ごしたいなどというスペシャルな理由のみで、バスタブのない物件は多いものです。
・さて「ネーロ」とは一体なんでしょう?これはイタリア国内の至るところで日常的に行われている「不正申告」「闇儲け」の一種です。例えば「ネーロで働く」という意味は、正規な被雇用者ならば収めるはずの所得税では、年金や保険ぶんなどが差し引かれるのは当然ですが、申告を行わないことにして労働賃金の現金を直接受け取ることを言います。雇用者にしてみれば労働者を雇ったぶんの税金、または労働者に対する年金や労働保険を支払わなくて住む-などという利益がありますが、要は脱税の一形態なのです。
・しかし借り方の我々としてはネーロにすることによって家賃が安くなったなどと喜んでもいられません。まず契約書が発生しないことから、賃貸に関する法的拘束がなくなるため、全ては貸し方である大家さんの一存で何事も決まってしまいます。また事務的にも「住んでいないこと」として賃貸をさせてもらっているわけですから、貸し方との賃貸契約書類提出が必須である住民登録、その後に発生するIDカード発行が不可能となってしまいます。
・欧州にはシェンゲン協定が存在し、協定に調印をしている加盟国内では通行の自由化と、手続きの簡素化が進んでいます。加盟国の国民なら、ビザの申請を行わずに別のEU加盟国への定住や就労が可能になっているのですが、我々日本国民にはそのような特権は適用されません。イタリアの場合もこのシェンゲン協定にのっとり、邦人の滞在は6ヶ月以内の90日間までと規定されています。ビザの申請と発給は在日イタリア大使館で行われております。
・イタリアには日本の消費税に相当するIVAという付加価値/間接税があります。一般的には20%と少々高い金額設定になってはいますが、特定品目によりそれぞれ10、6、4%などと、設定が変化するのが特徴。欧州のEU加盟国では多く採用されている一般消費税ですが、趣味嗜好品には高い税率を適用し、米などの生活の根幹に関わる物品は低税率となっています。
・朝市や個人商店は現存していますが、大型スーパーマーケットの存在も無視はできません。食料品や日用品などを多く取り揃えているイタリア/トスカーナの大手小売業者は「ESSELUNGA」(エッセルンガ)と「CO-OP」(コープ)の2つがあります。どちらも駐車場を備えた大規模マーケットで、フィレンツェ市内にも多数店舗が存在しています。コンビニエンスストアが基本的に見当たらないイタリアでは、これらのマーケットで週に1、2回、まとめ買いをして保存する例が一般的。
・まず、店舗入り口近くに買い物カートがあります。それぞれに1ユーロを挿入すれば、着脱式のチェーンが外れ、利用が可能となります。使用終了後にチェーンを差し込めば、返金されるという仕組み。
・さて店内に入ると、まずは野菜や果物などの生鮮コーナーがあります。ここでは日本のシステムとは多少異なり、必要なぶんだけ自分でビニール袋につめ、量り売りをするというものが一般的。袋につめた食品を量りに載せ、商品のボタンを押せば値段が書かれたシールがプリントされます。これをビニールに張り付けてレジへ向かう、という流れになっています。
・大型スーパーマーケットの品質に満足できない、統制された品質管理には不服だ、人ごみが苦手だ、1点だけ買い忘れた品物がある-などという場合は、近所にある小売店を利用すればいいでしょう。著者も、または著者の周囲でも「肉は肉屋で、魚は魚屋で買うのが美味しくて安全」という人がほとんどです。値段はスーパーマーケットと比較すると少々高めではありますが、小売店は基本的に店主と消費者である我々が直接取り引をする場所なので、人的コミュニケーションが生まれることがしばしばです。話好き、世話好きだと一般的に言われるイタリア人ですので、同店に足繁く通う回数が増えれば、思わぬサービスが生まれることもあるでしょう。欧州生活のひとつの醍醐味でもあるので、積極的に活用するのがお勧めです。
・無性に魚が食べたくなってしまうのは、悲しいかな日本人としての習性でしょうか?そんなときはフィレンツェ市民の台所、中央市場へ出かけます。場所はサンタ・マリア・ノヴェッラ中央駅から、またはドゥオモからもほど近いところ。
・欧州でもロンドンやパリといった大都市には、日本食材が置かれた専門店や和食レストランがいくつか存在します。ところがフィレンツェなどの地方都市には、そういった日本ショップが皆無なのです。それでも欧州大都市はもちろん、各地方都市にも必ずある中華食材店を利用すれば問題はありません。近年は中華系食材とともに、日本食材も店に用意されていることがあるのです。しかし価格は日本と比較すると非常に高くなっています。突発的に必要な場合にのみ利用するといいでしょう。日本食材は、輸入に関する税関法上の注意に従いながら、日本から持ち込む、またはこちらに遊びにくる友人知人などに託することが、節約への一歩といえます。ちなみに世界的にも認知されている醤油などは「SoySauce」としてスーパーのエッセルンガなどでも売られています。また米に関しては、イタリアではリゾットという米食文化があるために、数多くの米種が取り揃えられているので安心です。
・欧州をはじめ、イタリアにもファーストフード店は存在します。しかし日本ほど乱立していないのが現状で、またコンビニエンスストアも数少なく、手軽なコンビニのお弁当や惣菜屋さんはイタリアには皆無です。そのため、イタリアでの食生活は自炊が基本。独身男性のひとり暮らしでも、自炊して食べるのが日常となっています。
・息子が通うインターナショナル・スクールには、日本の小中校が常とする学校給食がありません。生徒は弁当を持参するか、または業者が用意をする「ホットランチ」というケータリングサービスを利用することになります。このランチは1食につき6ユーロ。我が家では当然のようにお弁当を持たせています。
・イタリアでは特にパスタやトマト、オリーヴオイルなどの国の特産品とも言える食品生産者には補助金などが支払われているため、商品の価格が安価に保たれているという事実があります。
・イタリア国内に限らず、欧州または世界中の都市のどこかしこにも、中華料理店はあります。我々日本人にも慣れ親しんだ味の中華ですが、イタリアでは一般的に味は甘めで揚げ物が多いのが特徴。日本での中華とは一線を画している、いまひとつの感も否めません。
・電化製品は日本から持ち込みたいところ。しかし、パソコンなど「100V-240V」などと表記がされた国際対応の電圧を持つ製品は、形状アダプターのみを装着させればそのまま使用できますが、日本仕様の製品には変圧器が必要となります。変圧器はさまざまなタイプがありますが、消費電力が異なる製品に合わせて用意しなければいけません。
・インターネットなどのウェブサイトを利用してチケットを購入する方法は、いまや欧州ではスタンダードだと言えるでしょう。航空チケット発券のための人件費やコストがかからないために、航空会社はそのぶんだけ代金を安く抑えることができる、または代理店フィーも必要とされないため、我々消費者はリーズナブルにチケットを購入できるという二重の利点があります。多くの大手航空会社は自身のウェブサイトからクレジットカード決済でチケットを購入できるようなサービスを行っているので、それぞれを比較検討するのもひとつの手段です。これらチケットは年間を通じて価格が大きく変動します。当然大型の連休や年末年始、夏休みなどのバカンス時期には値段が上がる傾向にあるのです。一般的に1年を通じて航空チケットが底値となるのはお正月明けの1月、または11月などの初冬時で、安く購入できる傾向にあるようです。
<目次>
はじめに
第1章 海外に移住する。その意義と利便性
不退転の決意?イタリアに移住する
海外移住、その現状と実情
旅とは異なる「暮らす」の重要性
住めば都、しかし物価高が生活を直撃する
第2章 海外住宅事情と家探し
現地の不動産業者をまわる
コネクション社会のネットワーク
イタリア/欧州、住宅スタイルのあれこれ
庭・プール付きの住宅が我が家に!?
貴族末裔の自宅とは?
第3章 移住ビザと諸手続き
移住をするにはビザが必要?
必要なのは滞在許可証だ
イタリアで働くために
将来を見据えたビザ更新
第4章 暮らし方と生活、実例多数
国内引っ越しとは勝手が違う?海外引っ越しのあれこれ
食料品は安いけれど、それでも節約を試みる
自炊と外食、それぞれの楽しみ方
PC大爆発!日本製を使う際の注意事項
格安に利用するための航空チケット
第5章 お金と医療
移住のための生活費
イタリアの医療制度
あとがき
面白かった本まとめ(2008年)
<今日の独り言>
4歳の息子には毎日一桁の足し算をやらせているのですが、ついに引き算を教えました。理解させるのに苦労するかと思いましたが、思いのほか「-1」の引き算はすぐにでき(まあ当たり前か・・・)、「おぉぉ!すごい!天才じゃないの!!さすがだねぇ!世界一だね!最高だねぇ~!」とヤッターマンのドロンジョのように思い切りほめると息子はうれしそうです。翌日も率先して引き算をやろうと言ってきます^_^;)やはり教育はホメることが大切だと痛感します^_^;)