「当世出会い事情-スマホ時代の恋愛社会学」の購入はコチラ
「当世出会い事情-スマホ時代の恋愛社会学」という本は、主にアメリカ人で大卒で二十代終わりから三十代になるまで子供を持たず、スマホと密接に暮らしている中産階級を対象にして調査した結果をまとめた異性の出会いや恋愛事情についてまとめたものです♪
具体的な調査データの出所などは以下とのことです。
・2013年から2014年にかけてニューヨーク、ロサンゼルス、カンザス州ウィチタ、ニューヨーク州モンロー、ブエノスアイレス、東京、パリ、ドーハで数百人を対象にグループインタビューや取材した内容で、そこでは具体的にケータイやスマホの実際の内容も確認
・上記以外の地域についても知るためRedditのサイトで「現代恋愛」の掲示板を立てて質問を投げかけ、ネット上でグループインタビューを行い、それらの回答
・著名な社会学者・人類学者・心理学者・ジャーナリストへの取材内容
・Match.comでの過去5年間のアメリカ独身者に対する大規模調査のアメリカ内での代表的なサンプル約5万人の結果
・クリスチャン・ラダーとOkCupidの利用者の行動様式に関する情報
・スタンフォード大学のマイケル・ローゼンフェルトによる「カップルはいかにして出会い、いっしょにいるのか」というアメリカでの読み書きできる4002人の調査結果
特に本書で興味をもったのは以下ですね♪
・アメリカでも晩婚化が進み、1960年には20代の68%が結婚していたが2008年には26%に過ぎない。
・50年ほど前は熱烈に愛し合ったから結婚したのではなく、ともに家族をつくれそうだから結婚した。「ほどほど婚」だった
・メール中心の世界となりつつあり、人々の会話力が落ちてきている
・メール等で文法やスペルの間違いがあるとマヌケと思われモテない
・最初の誘いの良いメールは以下の3点
①具体的な日時と目的のわかるはっきりした誘い
②前回じかに会ったときの話題に触れる
③ユーモアを交える
・メールを送る頻度を下げると希少性を高めることとなりより魅力的に思わせることもある
・LGBTのカップルがバーや近所で出会うことは以前よりはるかに少なくなり、70%近くがオンラインで出会っている
・女性のプロフィール写真は正面を向いた笑顔の写真よりカメラに向かって誘いかける感じの写真の方がわずかに恋愛の成功率が高い
・女性にとってプロフィール写真の効果的な撮影アングルは正面からの「自撮り」で、ちょっとはにかんだ表情を浮かべ高い角度から撮るのが良い。次がベッドでの写真、そしてアウトドアと旅行の写真。もっとも効果が低いのが飲酒の写真と動物と一緒にポーズをとる写真
・男性のプロフィール写真は、笑わず目線を外しているほうが恋愛の成功率が高い。また効果的なのは動物と一緒の写真で、次が筋肉ムキムキ(腹筋が割れている様子など)の写真、続いて、何か面白いことをしている写真。もっとも効果が薄いのはアウトドア・飲酒・旅行の写真。
・オンラインデートでは直接会うまでに交換するメールは多くても6通までにすると良い
・恋愛の対象者の選択肢が多すぎると優柔不断や思考停止の状態になりかねない
・誰しも始めは相手の見た目とすぐわかる特徴に引きつけられるが、本当に惚れ込む要因となるのは、もっと深いその人ならではの性質であり、それは長くつきあってみて初めて表れるもの
・日本の女性たちに草食系男子の話題を振り、男性にもっと主導権を握ってほしいか尋ねるとイエスという答えがきっぱり返ってきた。この女性たちはは日本の男性たちにとにかく誘ってほしいと望んでいた。
・日本では出会いの場として流行しているのが「街コン」であり、国が独身者のために金を注ぎこんでいる
・アルゼンチン人は、この国では女性がノーといったら、その気があるということ。本当にその気がなければなにを言わない。
・2005年から2012年の間にアメリカで結婚した全カップルのなんと1/3がインターネットで出会っている
・インターネットが発達しているが、実際に相手と直に会ってともに過ごすより有益なことはない
「当世出会い事情-スマホ時代の恋愛社会学」という本は、最近の出会いや恋愛事情についてよく理解でき、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・子どもの頃をともに過ごした相手との結婚が考えにくい理由の一つは、現代では結婚の時期が以前よりずっと遅くなっていることである。ニューヨークの高齢者施設で取材した人たちの世代では、初婚年齢の平均が、女性20歳、男性23歳だった。現代の初婚年齢の平均は女性が27歳、男性が29歳。そしてニューヨークやフィラデルフィアのような大都市では男女ともにおよそ30歳である。ここ数十年のあいだに、初婚年齢がこれほど劇的に上がったのはなぜか?1950年代に結婚した若者たちにとって、結婚は大人としての第一歩だった。高校か大学を卒業したら結婚して家を出るものだった。一方、今日の若者たちにとって、結婚は大人になってから、もっと後の段階でするのが一般的だ。ほとんどの若者は、二十代から三十代に、人生の別な段階を踏む。大学に行ったり、働きはじめたりして、結婚するより前に親の家を離れ、大人としての経験を積んでいく。この期間は、相手を見つけて結婚するためだけのものではない。ほかにもさまざまな優先事項がある。教育を受ける、いろいろな仕事を経験する、恋愛をする、そしてうまくいけば人間としてもっと十分に成長する。社会学者が人生のこの新たな段階に名前をつけているほどだ。「新成人期」と。この時期はまた、恋愛の選択肢をぐっと広げていくようになる。近所や自分のアパート内にとどまるのではなく、別の街へ引っ越し、何年もかけて大学や職場で多くの人に出会い、そして最大の変革として、オンラインデートなどのテクノロジーによって無限の可能性を得る。新成人期は結婚に影響を及ぼすだけではない。若者は親から独立して、大人の喜びを味わい、楽しく刺激的な時期を手に入れる。夫や妻になって子どもをもつのはそのあとだ。
・高齢女性のグループインタビューで、同年代の女性で実家を出るだけのために結婚した人は多いかと、素直に尋ねてみた。そこにいた独身女性の全員がうなずいた。その時代の女性にとっては、結婚こそが、大人としての最低限の自由をもっとも簡単に手に入れる方法だったのだ。しかし、その後の状況も楽ではなかった。結婚したら、確かに親からは自由になるが、自分を大事にしてくれるかどうかわからない男に依存するはめになる。そして、家事や育児の責任を負わなければならない。そのことが当時の女性たちに与えたものを、ベティ・フリーダンはベストセラー「新しい女性の創造」のなかで、「名もなき問題」と呼んでいる。女性が労働市場に参入し、離婚する権利を勝ち取ると、離婚率が跳ね上がった。グループインタビューで会った年輩の女性の数人は、離婚革命の絶頂期に夫と別れた。彼女たちは、すばらしい特別な機会、すなわち若く身軽な独身女性としての経験が得られなかったことを、ずっと恨めしく思ってきたという。新成人期を望んでいたのだ。
・高名な家族社会学者で「The Marriage-Go-Round」の著者であるアンドリュー・チャーリンに話を聞いた。チャーリンいわく、50年ほど前まで、たいていの人は、彼が呼ぶところの「友愛結婚」で満足していた。このタイプの結婚では、そえぞれにはっきりとした役割が与えられていた。男性は一家の主であり、大黒柱である。一方、女性は家にいて、家事をして子どもを産む。結婚生活で得られる満足感はほぼ、課されたこの役目をどれだけきちんと果たせるかにかかっていた。男性は生活費を稼ぐことで、自分がよい夫だと感じられる。女性は家をいつもきれいにし、子どもを2、3人産めば、よい妻ということになる。連れ合いを愛してはいても、おそらく「彼の口ひげを見るたびに、心臓がドキドキするの」という種類の愛し方ではなかっただろう。熱烈に愛し合ったから結婚したのではなく、ともに家族をつくれそうだから結婚したのだ。愛のために結婚したという人もいる一方で、結婚して家庭を築かなければといういプレッシャーは相当なものだったから、すべての結婚がラブラブ婚とはいかず、かわりに「ほどほど婚」をしたのだった。真実の愛を待つことは贅沢であり、特に女性にはなかなか叶わないことだった。1960年代の初めには、女性のなんと76%が愛していない相手とでも結婚すると認めている。しかし、同じことをするという男性は35%に過ぎない。女性の場合、相手を見つける時間がはるかに少なかったのだ。
・歴史学者で「Marriage,a History」の著者ステファニー・クーンツによると、近年まで婚姻による結びつきのもっとも大事な目的は、二つの家庭の間に絆を築くことだった。つまり、経済的、社会的、あるいは個人的に保証を得ることだ。血筋を絶やさず繁栄するための条件づくりでもあった。これは大昔の話ではない。産業革命まで、欧米人のほとんどは農業で暮らしており、家族全員が働かなければならなかった。誰と結婚するかを考えることは、まさに現実的な問題だったのだ。以前なら、男はこんなふうに考えた。まいったな、農場の働き手になる子どもにいれもらわなきゃ。肉体労働ができる4歳の子どもができるだけ早く欲しい。それに、服を縫ってくれる女も必要だ。早くなんとかしよう。女はこう考えた。農場の仕事がよくできる人を見つけなくちゃ。飢え死にしないですむようにね。自分と同じように寿司とウェス・アンダーソンの映画が好きで、しかも髪に触れるたびにムラムラするような女性がいいだなんて、あまりにも選り好みしすぎだろう。もちろん、互いに愛し合っているから結婚した人だっていうが、愛情がもたらすものへの期待は、今日の我々が望むものとは違っていた。将来の保証が子どもたちの良縁にかかっていた家庭にとって、情熱なんて結婚の動機をするにはあまりにも危険すぎた。「結婚は経済的にも政治的にもきわめて重要な制度なので、愛情などという不合理なものだけに基づいて決めるわけにはいかなかった」とクーンツは書いている。
・チャーリンによると、赤い糸結婚は幸福になれる可能性がもっとも高く、取材したお年寄りの世代がめったに到達できなかったほどの充足をもたらしてくれる。チャーリンはまた、こうした幸運を持続させることがどれほど難しいかもお見通しで、今日の赤い糸結婚が失望につながる可能性はきわめて高いと断言する。期待があまりにも高すぎて、関係が思いどおりにいかないと、さっさと別れてしまう。
・通信件数全体を見ると、しだいにメールが増え、通話が減っていることがわかる。ニールセンの調査によれば、アメリカ人の通話の利用は2007年がピークだった。それ以降、電話をかける回数も話す時間も減っている。
・どの取材でも聞いたが、メールで文法やスペルの間違いがあると、たちまち嫌気がさすそうだ。女性たちにとって、相手がマヌケだという確かな印に見えるらしい。たとえばあなたがハンサムで魅力的な色男で、すばらしい第一印象を与えたとしよう。もし最初のメールにめちゃくちゃなスペルで書いたら、せっかく寄せられた好意もぶち壊してしまうかもしれない。掲示板で読んだ話だが、ある男性が絶世の美女とつきあっていたけれど、結局別れてしまったという。彼いわく、坂を下りだしたのは、彼がメールで、ふたりの共通の友人宅で開かれるパーティの話を聞いたかどうか尋ねたときだった。彼女の返事は「Hoo?」だった。「Who」ではなく「Hoo」だ。彼は会話の中で「Who」という言葉を使わせるよう仕向けて、この美しい女性が簡単な三文字の単語を綴れるかどうか確かめようとした。彼女は毎回「hoo」と綴った。それですべて台なしになったと彼はいった(お相手は女性で、フクロウではないことはちゃんと確認した)。
・我々はまた、出来のいいメールに共通する特徴を見つけることもできた。大勢の男女から話を聞いた結果、以下にあげる3点がもっとも重要に思われる
・具体的な日時と目的のわかるはっきりした誘い
・前回じかに会ったときの話題に触れる
・ユーモアを交える
・メールに関する文化的コンセンサスはしだいにできあがりつつある。基本的なルールをいくつかあげておこう。
・すぐに返信するな。ヒマな負け犬だと思われてしまう。
・誰かにメールしたら、相手から返信があるまで次のメールをするな。
・書くメールの分量は、相手がよこしたメールの長さと同じにすること
・自分のメッセージがブルーで相手のメッセージがグリーンだとして、もし会話のなかでブルーのほうがグリーンよりずっと多いなら、その相手はあなたを屁とも思っていない。
・やりとりの終わりのメッセージを受け取った側が勝者になる!
・エリン・ホイットチャーチ、ディモシー・ウィルソン、ダニエル・ギルバートの3人のチームが、こんな実験を行っている。女性たちに、男性たちのフェイスブックのプロフィールを見せて、その男性たちも彼女たちのプロフィールを見たと告げる。第一グループが見るのは、自分のプロフィールを最高と評価した男性のプロフィールだと知らせる。第二グループには、自分のプロフィールをまあまあと評価した男性のプロフィールだという。第三グループには、自分をどう思っているか「はっきりしない」男性のプロフィールだという。予想通り、女性たちは、自分をまあまあと評価した男性よりも、最高と評価した男性のほうを好んだ(自分を好いてくれる人が好きという相互主義)。しかし、女性たちがもっとも心を惹かれたのは、「はっきりしない」グループだった。また、あとからの報告でも、「はっきりしない」男性のことをもっとも考えているとのことだった。誰かのことを考えるほど、その人の存在が心のなかで大きくなり、結果として魅力を感じようになる。社会心理学からもう一つ、メールのゲームに通じる考え方に、希少性の原理がある。人間は基本的に手に入りにくいものをより好ましく感じる。誰かにメールを送る頻度を下げれば、すなわち、あなたの希少性を高めることになり、より魅力的に思わせることができる。
・インターネットによるデートは、ローゼンフェルトが呼ぶところの「閑散市場」において、いっそう劇的な変化をもたらした。これにもっとも該当するのは、同性に興味のある人たちだが、最近では中高年の異性愛者も増えている。この変化の理由ははっきりしている。そう、恋人候補の対象者が少ないほど、友達の紹介にしろ、学校や公共の場にしろ、じかに恋人を見つける可能性が低くなるからだ。確かにゲイ地区が発展してきた町もあるにはあるが、そこで暮らして出歩いていたら、しょっちゅう顔を合わせることになる。しばらくすると、選択肢をひととおり見てしまい、新たな候補を求めるようになる。それも原因となって、今日LGBTのカップルがバーや近所で出会うことは以前よりはるかに少なくなり、70%近くがオンラインで出会っているのだ。ローゼンフェルトの研究によると、オンラインデート、「同性カップルの間で飛躍的に普及している。過去において、異性同士でも同性同士でも、出会いの手段がこれほど広く行きわたった例はない」。そして、最近の傾向では、高い年齢層の人たちもインターネットを使うようになっており、オンラインデートは高齢者の世界をも支配しそうな勢いとなっている。
・マンハッタンで開いたオンラインデートに関するグループインタビューで、デレクはOkキューピッドにアクセスして、候補の女性たちを吟味する様子を見せてくれた。彼のプロフィールとサイトのアルゴリズムに基づいて、Okキューピッドが恋人候補として選んだ女性たちだ。彼が最初にクリックした女性は、とても美しく、プロフィールもウィットに富み、よい仕事に就き、スポーツ好きなど共通する趣味も多かった。1分間ほどざっと目を通したあと、デレクhいった。「うーん、まあまあかな。とりあえずほかをみてみよう」どこが気に入らないのか尋ねると、彼は答えた。「彼女、レッドソックスが好きなんだ」僕は激しくショックを受けた。彼がさっさと次に進むのが信じられなかった。創造してみよう、デレクがもい20年前に、この美しくて魅力的な女性が自分とデートしたがっていると知ったらどうだったろう。彼女がバーにいてほほえみかけてきたら、1993年のデレクはきっとメロメロになっただろう。彼女がバーにいてほほえみかえてきたら、1993年のデレクはきっとメロメロになっただろう。まさか、つかつか歩み寄って「いや、待てよレッドソックスのファンだって?願い下げだね!」といって背を向けたりしなかったはずだ。ところが2013年のデレクは、ブラウザのタブの×をクリックするだけで、ためらうこともなく彼女を削除してしまった。次の女性も同じくらい魅力的だったのに、デレクはやはり気に入らなかった。そうやって10分か15分ぐらい、サイトをあちこちのぞいていた。大勢のとてもステキな女性たちがすぐそこでロマンスを求めているのに、彼は熱意のかけらさえ見せなかった。やがて、ようやくひとりに決めて、簡単なメッセージを打ち込むと、ほかの女性たちを彼のブラウザの歴史のなかに埋もれさせてしまったう。僕がいいたいのは、彼はべつにモテ男には思えなかったってことだ。ところがなんと、女性たちのプロフィールをチェックしているとき、彼はモテ男の心理になっていた。彼と似たようなたくさんの男たちが、オンラインデートではほかの場よりもずっとよろしくやっているのだと、想像せずにはいられない。デレクはじめオンラインでデートする人はみな、男女を問わず、かつてないほどたくさんの恋の可能性を与えられていて、そのことが恋人候補を探すためのアプローチをがらりと変えつつあるのだ。
・掲示板ではこの現象の驚くべき例がほかにも出てきた。ある青年は、魅力的な女友達が、ティンダーでモテまくっているのを見て衝撃を受けたそうだ。「95%の確率で成立するんです」と彼はいう。「20分間に150件近くですよ。確かに実物はすごくステキだけd、まさかそこまでになるとは予想しませんでした。彼女は1時間のうちに僕が4ヶ月かかったのと同じ数だけ、デート相手を見つけました」ある意味、この男性は、オンラインデートの世界において男であることの問題に不満をこぼしている。魅力的な女性をめぐる闘いは数知れず、そして女性のほうが男性よりはるかに打率が高い。確かにそうだ。だが、この話のなかで、彼はこんな信じがたいことも明かした。「僕は5ヶ月でせいぜい350人でした」つまり月あたり70人ということだ。もし20年前に、先月は自分に気がある女性に70人会ったという男性がいたら、よほどのモテ男だと思っただろう。今日では、スマホと、それをちゃんとスワイプできる指さえあれば、誰でもそうなれる可能性があるのだ。
・運命の90%がプロフィール写真の選び方で決まるなんて一大事だ。では、どうすればいいのか?ラダーは、Okキューピッドでどのような写真がもっとも成功するか、そして成功しないかを調査し、驚くべき発見をした。まず女性にとって効果的な写真について考えてみよう。多くの女性(56%)が、正面を向いた笑顔の写真を選ぶ。だが、それよりも「カメラに向かって誘いかける」感じの写真を選んだ9%の女性たちのほうが、わずかに成功率が高いのである。さて、こうした結果はさほど驚くにはあたらないが、奇妙なのは男性の場合だ。なんと、笑わず目線を外しているほうが、成功につながりやすい。さらにラダーが発見したのは、女性にとってもっとも効果的な撮影アングルは、正面からの「自撮り」で、ちょっとはにかんだ表情を浮かべながら高い角度から撮るのがいいらしい。ラダーのデータによれば、女性に飛び抜けて効果的なのは、高い角度からの自撮り写真。次がベッドでの写真、そしてアウトドアと旅行の写真。もっとも効果が低いのは、飲酒の写真と動物といっしょにポーズをとっている写真だ。不思議なことに、男性の場合もっとも効果的なのは、動物と一緒の写真だという。次が筋肉ムキムキの写真(腹筋が割れている様子など)、続いて、何かおもしろいことをしている写真。もっとも効果が薄いのはアウトドア、飲酒、旅行の写真だ。
・だが、僕がなによりも興味をそそられたのは、どんな写真がもっとも良好な会話につながったかというデータだった。「胸の谷間写真」の女性たちは、新たに受ける月あたのアプローチ数が平均より49%多い一方、いちばん会話に結びつきやすかったのは、興味深いことをしている写真だった。顔が見えなくてもかまわない場合もあった。スキューバダイビング中に親指を立てている男性。不毛の砂漠に立っている女性。ギターを弾く女性。こうした写真は、その人の興味や暮らしについてさらに深い部分を明らかにし、。より意義深い交流につながっていくのだ。
・オンラインデートに関するコンサルタントもつとめるローリー・デイヴィスは、直接会うまでに交換するメールを多くても6通までにするようクライアントにアドバイスしている。それだけやりとりすれば、相手とデートする気になるかどうか判断するために、十分な情報が得られるはずだからだ。たいていの場合、そこから先はすべて、避けられないことを先延ばしにしているにすぎない。「オンラインデートは、より多くの人に会うためのただの手段なんです」と彼女はいう。「実際にデートする場ではありません」
・ティンダーへの登録はほとんど瞬時にできる。アプリをダウンロードして、フェイスブックのアカウントから入るだけだ。アンケートもアルゴリズムもない。サイインしたとたん、ティンダーがあなたのGPSの位置情報を使って、近くにいる会員を探し、パートナー候補の写真を無限に思えるほどたくさん見せてくれる。写真を一枚ずつパッと見て、関心をもったら右にスワイプし、そうでなければ左にスワイプする。プロフィールをもっと読んだり、基本的な情報を見たりすることもできるが、会員が基本的におこなうのは、誰かの写真を見て、好きかどうかによって、さっさっと左右にスワイプすることだ。あなたと別の会員がお互いに関心をもったら、つまりお互いに相手の顔を右にスワイプしたら、成立したことをアプリが知らせてくれる。するとアプリ内で個別にメッセージのやりとりができるようになり、デートでもそれ以上でもなんでも約束すればいい。2014年10月までに、ティンダーのアプリ会員は5000万人以上、企業価値は7億5000万ドルから10億ドルと見られる。
・選択肢が多すぎると、優柔不断や思考停止の状態になりかねないということだ。彼女は共同研究者とともに、高級食料品店にテーブルを出し、買い物客にジャムのサンプルを勧めた。ジャムを6種類出すときもあれば24種類出すときもあった。24種類のときのほうが、足を止めて味見をする人は多かった。だが、不思議なことに実際にジャムを買う可能性ははるかに低かった。少ない種類のジャムを味見した人は、多い種類を味見した人と比べて、実際に購入する確率がほぼ10倍になった。我々の身に起こっていることが見えてこないだろうか?とにかくジャムがたくさんありすぎるのだ。あるジャムとデートしていても、集中することさえかなわない。だって、トイレに立ったとたんに、ほかの3つのジャムからメールが届く。ネットにつながれば、もっとたくさんのジャムが目に入る。完璧なジャムを探そうとして検索条件を増やす。その瞬間にも、iPhoneのアプリが、食べられたがっているジャムがすぐそばにいることを教えてくれるのだ。
・誰しもはじめは、相手の見た目と、すぐわかる特徴に引きつけられる。だが、本当に惚れ込む要因となるのは、もっと深い、その人ならではの性質であり、それは普通、長くつきあってみてはじめて表れるものなのだ。
・日本の現状について語る前に、まず理解しておくべきなのは、結婚の制度をどう考え、どう実行するか、日本でも大きく変わりつつあるということだ。僕の友人の社会学者クミコの話によると、第二次世界大戦まで、見合い結婚がもっとも一般的な結婚の形態だった。1960年代になっても、結婚全体のおよそ7割が、家族によって決められていた。1970年代には、職場が連れ合いを見つけるための主要な場となった。大企業は親睦の機会を設け、ほとんどの女性が結婚して家庭をもったら退職するというのが文化規範になっていた。だが、今日では、そんな仕組みは過去の遺物だ。見合い結婚は珍しくなった(2005年までに6.2%に減っている)。アメリカ同様、日本も、それぞれの選択や幸福に基づく個人主義的な文化を取り入れるようになったのだ。1990年代以降、日本経済が低迷するなか、現代の職場はストレスの多い環境の場になっている。もはや社員のために事実上のシングルズ・バーとして機能することもない。
・東京に着いたら、やるべきことをやる時間が限られていることはわかっていた。まずは東京でトップ5のラーメン店を訪れるのだ。ラーメンをたらふく食べたあとは、いよいよ仕事に取りかかる。新宿歌舞伎町の「ロボット・レストラン」訪問だ。なぜって、こんなチャンスを見逃す手はないだろう?それからお次の任務だ。ビル・クリントンのお面をつけて犬の背中をなでる店に行かなければならない。最高だった。で、ちょっと昼寝をしてから、やっとのことで本書のための調査に取りかかった。
・僕は日本の女性たちに草食系男子の話題を振り、男性にもっと主導権を握ってほしいか尋ねてみた。イエスという答えがきっぱり返ってきた。この女性たちは、日本の男性たちに、一歩踏み出してとにかく誘ってほしいと望んでいた。彼女たちから見ると、男性が女性に対して保証と癒しを求めすぎることがイラだたしいのだ。女性たちの不満がありありと伝わってきた。彼女たちが、マスコミのいう肉食系女子に実際になりつつあるのがわかった。なかには、普通なら欧米の男性がするような役割を引き受け、自分から男性に近づいて電話番号を聞くという人もいた。しかし、彼女たちによれば、必ずしもうまくはいかない。たとえ出会いがあっても、。メールばかりでデートに誘わないアメリカ男性のケースをさらに悪夢にしたような状況になるという。とにかく延々とメールのやりとりが続くのだ。「男の人って気弱すぎて、ものすごーくうちとけないとダメみたい」とひとりの女性がいった。「相手も自分のことが好きだという確信がないと、あの人たちは行動を起こせないんです」別の女性が嘆いた。ある人の言葉を借りれば、「女性が自分のすべてを受け入れてくれるのを待ってから、ようやく動き出す」のである。拒絶に対する不安は、スマホの世界にまで現れていた。
・社会科学者たちの説によると、草食系男子は日本経済の衰退にともなって登場した。多くの文化と同様、日本の文化でも、男性の自信や自意識は、仕事の成功と結びついている。東京で接した誰もが、バブルに沸いた80年代を別の時代として記憶しているようだった。金をたっぷりもったサラリーマンが、きれいな女性に自信満々で近づき、臆すことなく電話番号を聞き出す、恋の時代だったと。これもきっと尾ひれがついているのだろうが、さもありなんという感じがする。終身雇用があてにできなくなった今、男性は伴侶を見つけにくくなったばかりか、経済的に相手を養うことも難しくなった。こうした不安から、拒絶をおそれる気持ちが強くなったことも理解できる。また多くの独身男性が、20代から30代になっても親の家で暮らしている。グループインタビューの女性たちは、こうした状況が日本の文化にすでに蔓延しているマザコンを悪化させているだけだと感じている。実家で暮らす男性は、母親に料理や掃除、選択をしてもらえる場合が多い。そのために世話をしてもらうことに慣れすぎて、男らしい本能を失ってしまうという説である。
・日本で出会いの場として新たに流行しているのは「街コン」だ。街コンでは、男女が会費を払って大規模な移動式パーティーに参加し、何百人もの独身者が近所のバーやレストランを歩き回る。ひとりで参加す街コンもあれば、友達と数人で参加して、異性のグループといっしょに食事をすることから始める街コンもある。そのあと、主催者が参加者をイス取りゲーム方式で移動させ、参加者は多くの異性と話すことになる。こうしたイベントについて驚きなのは、それを主催する組織に、民間セクターも日本政府も補助金を払っていることだ。東京を案内してくれた社会学者で、論文の題材として街コンを研究しているクミコ・エンドウによると、バーやレストランのオーナーは、パーティに場所を提供すると、1席につき25ドルから35ドルもらえるという。デートについておこなったさまざまな調査のなかで、国が独身者のために金をそそぎ込むなんて、ほかの場所では耳にしたことがない。なんと、相手を求めてうろうろする若者ひとりひとりに、国が酒をおごっているというわけだ。今のところ、こうしたイベントへの公共投資はささやかな金額だが、政府が結婚日照りをどれほど深刻に受け止めているか、そしてお見合い市場をふたたび活気づけるのがどれだけ大変か、ひしひしと伝わってくる。
・東京で僕が食べたもののなかで、ナンバーワンは何だったか。うーん、なかなか決めがたい。最高級の鮨屋「すし匠まさ」では心ゆくまで楽しんだ。一方、築地市場の庶民の店で食べたテンプラも実に美味かった。そしてもちろん、ラーメンもはずせない。
・アルゼンチン人の態度は、アメリカの「ノーはノーを意味する」文化とはまったく別物なのだという。「この国では、女性がノーといったら、その気があるということなんです。本当にその気がなければ、なにもいいません。ただただ無視するだけです」だから今では、ロブが女性から離れるのは、相手が文字どおり背を向けたときだけだという。ブエノスアイレスの求愛を彼なりに解釈すると、「ノー」はたいてい「イエス」の前ぶれにすぎないのだ。
・アメリカ人は国際的な晩婚化の傾向にも同調している。1960年には20代の68%が結婚していたが、2008年には26%にすぎない。史上はじめて、典型的なアメリカ人は、結婚している期間より長い期間を独身で過ごすようになっているのだ。
・おそらくオンラインデートは、運命の人を探す上で、唯一にして最大の変革をもたらしたものである。なにしろ、2005年から2012年の間に、アメリカで結婚した全カップルのなんと3分の1が、インターネットで出会っているのだ。この本が出版されるまでに、その数字は間違いなく増えているだろうし、新しいアプリやサイトが登場して、今は大人気のティンダーなども、時代遅れになっているかもしれない。
・我々は人と出会って交流するための新たな手段をもつようになったけれど、やっぱり実際に相手とじかに会ってともに過ごすより有益なことはない。
良かった本まとめ(2016年下半期)
<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。