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「ビールの科学」という本は、サッポロビールの研究所員と商品・技術開発部のメンバーにより、ビールの歴史・文化・法律・技術・科学・飲み方・健康・関連する料理などについてまとめられたものです。
著者によると、2009年に初版がブルーバックスにより発行されていますが、2015年になっても売れ続けていて版を重ねていて、ロングセラーのようです。
この一冊でビールについて様々なことが楽しくまとめられていて、とても良いと思います。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・黒ビールは黒麦芽やカラメル麦芽を使っているので黒い
・紀元前5000年以上前にイラク北部でビールが造られたという記録がある
・ビールは通貨や給料の役割も果たしたことがある
・ベルギービールは個性的でワインやシャンパンのようなものもある
・ビールの定義は国や地域によって大きく異なる
・瓶ビールと缶ビールの中身は同じ
・ビールは日光や高温にさらすとダメ
・古代のビールは麦芽の成分や酵母そのものが豊富に入っている栄養ビールと推察
「ビールの科学」という本は、ビールについて歴史や技術、美味しい飲み方など学ぶことができ、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・「ビール」の語源は、ラテン語の「ビベル」(飲み物)から来たという説と、ゲルマン語の「ベオレ」(穀物)に由来するという説の2つが有力視されています。ラテン語説によるならば、まさに「飲み物」そのものの意味を持つほど、昔から人々の生活に密着していたのでしょう。ちなみに日本では、江戸時代、幕府の医官とオランダ商館長との問答を記した書物に「名はヒイルと申候」という記述が出てきます。これが日本最初のものではないかとされています。
・通常の澄み切った色のビールと違って、黒ビールは濃厚な色をしています。これは色素を添加して色を付けるのではありません。原料に黒麦芽やカラメル麦芽という色麦芽を用いているのです。色麦芽は、大麦から麦芽をつくる際に、より焦がした工程を経てつくられます。ちょうど、コーヒー豆を深煎りするのを想像してもらっていいかもしれません。こうして、あの独特の香りと色や味の深みが生まれるのです。
・紀元前5000年以上前に、現在のイラク北部のチグリス、ユーフラテス両河の沿岸域のシュメールやアッシリア地方でビールを造っていたという記録があります。また紀元前3000年頃の人類最古の史上の事実として、穀物の栽培とビール醸造とが古代バビロニアのくさび形文字の記録に残っており、当時のビール造りの様子を知ることができます。その概要を示すと次のようになります。
①原料の麦を発芽させて「麦のもやし」をつくり、それを乾燥した後に粉にする。
②できた粉を練ってパンを焼く(ビール・ブレッドと呼びます)
③できたパンを砕き、熱水を加えて混ぜ合わせ、固形物をふるいでこし、取り除く
④上澄みを壷に入れ、その液体に自然発酵を行わせ、ビールができあがる。
・古代バビロニアからやや遅れてですが、古代エジプトにおいても紀元前2000年頃からビール醸造の記録がほぼ完全に壁画や人形によって残されており、当時の醸造方法は古くから詳細に知られています。古代エジプトにおけるビール造りは、種々の根拠からシュメールやバビロニアからの移入であると推論されています。通説では、ビール・ブレッドを用いる古代バビロニアとほぼ同様な技術でビールを醸造したと考えられてきました。しかし近年、古代エジプトにおけるビールの製造技術に関して、サワーパン生地(乳酸発酵のパン)やナツメヤシ(デーツ)の発酵液を用いて酵母の純粋培養に近い操作を行っていたという新説が出されました。微生物の知識がない時代に、かなり高度な酵母管理技術を駆使していたという新説です。また、古代エジプト人は特にビールの清澄化に苦心し、清澄材として赤色粘土の粉末を使用していました。このことは洗練された味づくりの点で大変興味深いことです。清澄化することで澱が取り除かれ、液体としての飲み安さの点で意味があったのかもしれませんが、香味の点でもすっきりした洗練されたものであったと推察されます。ビールのバリエーションも多く、発酵後すぐに飲むビールだけでなく、特別の壷に入れて長期熟成させたビール、弱アルコール、強アルコールのビールなどもあったと言います。その他、古代バビロニアのビールと同様、種々の香り付けのハーブやスパイスが添加されていたようで、ナツメヤシ、蜂蜜、ベニバナ、ルピナスなどを使うことによって香味の変化やアクセントがつけられ、風味も格段に多様化し、人々の嗜好を満たしていたのでしょう。古代エジプトでは巨大なピラミッドが建造されましたが、炎天下で巨石を運ぶのは大変な労働でした。ビールはまさに喉の乾きや疲れを癒し、栄養補給や疲労回復のための「栄養ドリンク」の役割を果たしていたと考えられています。精密にろ過されていないので、麦や酵母の成分そのmのを多く含み、透明な現代のビールに比べて滋養に富んだ、まさに、「液体のパン」であったと言えます。古代バビロニアや古代エジプト時代の人々は、現代人よもはるかにビールとの関係が深く、ビールは日々の糧としてだけではなく、通貨や給料の役割も果たし、寺院への供え物にも使われていました。ビールという穀物飲料がこれほど生活に密着した時代はなかったのではないでしょうか。
・1516年にバイエルン(ドイツ南部)の王であったウィルヘルム4世によって出され、現在もドイツで守られている有名な法律に「ビール純粋令」があります。それは「ビールは、大麦、ホップ、及び水だけを使って醸造せよ」というものであり、それ以降、完全にグルートは駆逐されました。この純粋令は、世界初の食品・飲料の法律と言われており、品質を守るために画期的なものであると評価できます。歴史的な背景もありますが、このような品質に対する強いこだわりも「ドイツがビールの本場」と言わしめるゆえんでしょう。ちなみに、小麦が純粋令に入っていないのは、パンなどの食料としてへの用途への影響を考慮したためだと言われています。
・現在世界で最も多く醸造され飲まれているビールの種類は「ピルスナー」というタイプで、淡黄色でホップの効いた、すっきりとしたキレ味のある、爽やかな香味が特徴です。では、このピルスナーがビールの本場と言われるドイツ発かというと、実はそうではありません。1838年、ボヘミア(現在のチェコ)にあるピルゼンという町では、ビール醸造が非常に出来の悪い状態となり、飲用に堪えない多くのビールを廃棄することになりました。これを機会に、新工場の建設と革新的な技術者の招聘を行うことになったのです。そして1842年、バイエルンから技術者を招いて新たに醸造が始められました。当時はミュンヘンで飲まれている下面発酵で色の濃い、しっかりした重厚な味わいのビールを造るつもりだったのですが、なんと、できあがったものは黄金色で泡の白いビールでした。全く予想していなかったビールです。1842年10月4日にこのビールが披露されたとき、まずグラスに注がれたビールの色を見て皆驚きました。さらに、すっきりとしたキレ味のある喉ごしに加え、それまでピルゼンで造られていたビールとは比較にならないうまさにまた驚いたのです。こうしてピルゼンでは、新しくできたビールの量産に取りかかることになりました。これが現在最も多く飲まれているピルスナータイプのビールが誕生に至ったストーリーであり、その呼び名も地名のピルゼンに由来しているのです。
・ベルギービールは、通常の日本のビールにもっぱらなじんだ人が飲むと、「これがビールなのか」と衝撃を受けるでしょう。ワインやシャンアンと言ってもいいほどのものもあります。ベルギービールは世界のビールの中でも極めて個性的で魅力があり、今後のビールの多様化の流れの中で評価はさらに高まるでしょう。
・大麦はイネ科オオムギ属に属し、世界中の広い地域で栽培されていますが、ビール醸造用の品種が登場してきたのは19世紀の欧州においてです。その後、ビール麦にふさわしいようにさらに育種が行われ、それらが世界各地へと伝わり、また、現地に適した優良な品種が育成されてきました。大麦は穀粒の実り方によって、穀粒が2列の二条大麦と6列の六条大麦に分けられます。二条大麦は六条大麦の4列が退化したもので、一粒の大きさにおいて優位にあります。ビール醸造では、アルコールをできるだけ多くつくり、かつビールらしいスッキリ感を得るために、デンプンが多く、タンパク質が少なく、酵素力の強い大麦が選ばれる傾向にあり、特に二条大麦はビール用として数多くの品種が育種されてきました。ビール大麦の主要な生産地はヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアであり、国内では、北海道、関東、九州北部などでつくられていますが、国内のビール会社の麦芽使用量のうち国産が占める割合はわずか1割程度です。
・ビールになくてはならない特有の苦みと爽やかな香りとを与える原料がホップです。一般にはあまり目にすることのないホップは、ビール醸造のためにのみ生産されているといっても過言ではありません。中世以前にはホップ以外の薬草や香草も使われていましたが、ビールの品質を高めるにはホップが最も適していることが次第に広まり、16世紀にはその地位を確立することになりました。
・ビールの定義は国や地域によって大きく異なります。日本での酒税法によるビールの定義は、「麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもので、麦芽の一部を麦・米・トウモロコシ・コーンスターチ等の政令で定められる物品を副原料として、麦芽の量の半分以下で使うことができる」というものです。従って、副原料を麦芽の半分を超えて使用した場合や、ベルギービールのように、チェリーやカシスなどの果実、コリアンダーやオレンジピールのようなスパイス、その他ハーブなどのような、政令で定められていない原料を使用した場合は、ベルギーではビールであっても、日本ではビールと呼べません。
・グラスに注がれた際、見た目でビールらしさを演出してくれる泡は、ビールの重要な品質特性の一つです。泡の役割は大きく2つに分けられます。まず一つ目は、「グラスに注がれたビールが本来のおいしさを十分に発揮できる状態であるかを示すバロメーターの役割」です。例えば、泡立ちが悪ければ、ビールを冷やし過ぎたかグラスの洗浄が十分でなかったかなどがわかります。逆に、静かにグラスに注いでも泡だらけであったら、冷えていんか、飲む直前に乱暴に取り扱って衝撃を与えたりしたかなどがわかります。このように、泡の状態に注目することで、ビールの保管や取り扱い方法、グラスの洗浄状態、そして注ぎ方が適切であるかを推し量ることができます。つまり、泡はビール本来のおいしさを演出するさまざまな条件についての大切な「証人」であるとも言えるのです。ビールをおいしい状態で飲めたかどうかは、飲んだ後にグラス内面へ付着した泡の状態を見ればわかります。ビールを一口飲む毎にグラスの内面に「レーシング」という泡の輪がクッキリとできます。その泡の輪を数えることにより何回でグラスを飲み干したかがわかるようであれば、そのビール本来のおいしさを堪能できた証拠でもあます。
・グラスの形もビールの泡の形成に大きく影響します。その基本的な形は、ビアホールのジョッキに見られるように美しく緩やかな曲線を持った円筒形で、底に適度な丸みを有するものです。この形状のグラスだと、注がれたビールが底に当たってちょうど円を描くように下から上へと滑らかに対流することで、きめの細かい泡が形成されます。グラスの理想は直径1に対して高さが1.8~2.2くらいの比率を持ったものがベストと言われています。この比率より大きすぎても小さすぎても、きれいな泡は形成されません。直径に対する高さの比率が大きすぎるグラスでは、背が高すぎることで注ぐ際の衝撃が大きくなるために泡が適正量より多くなってしまいますし、逆に比率が小さすぎるグラスでは炭酸ガスが抜けやすいため泡が粗くなりやすくなります。また、ラッパのようにグラスの先が開いているものも炭酸ガスが抜けやすく粗い泡となって泡持ちも悪くなりますし、底が角張っているグラスでは炭酸ガスがグラスの上方へ抜けにくいため、炭酸がきつくなって重い味として感じることもあるので、ビール本来のスッキリとした味を楽しむことができなくなります。
・ビール注ぎ名人が、ビール注ぎに最も重要だと考えていのは、サーバーから最初に出たビールがジョッキの底に叩きつけられてできた泡だといいます。この泡をジョッキの縁まで持ち上げていくというのが理想です。ジョッキはできるだけ垂直に立てサーバーから出てくるビールが底に直接当たるようにして安定した泡をつくります。最初の泡が大切なのです。ジョッキの底に泡をつくったら、その泡を持ち上げていきます。ジョッキを少しだけ傾けて、サーバーから出てくるビールをジョッキの壁に当てるようにしながらきめ細かな泡を形成させます。この段階で名人はジョッキの姿勢を微妙に調節することで、ビールが流れ込む速度を変えてきれいな泡を形成させます。次にジョッキを垂直に戻しながら最初にジョッキの底につくった泡をそのまま持ち上げ、ジョッキの縁まで盛り上げるように泡の蓋をつくります。大ジョッキの場合、約5秒程度で注ぎ終わります。極論すれば5秒の間にジョッキの姿勢をいかに調節するかというところが勝負です。ジョッキを立てれば立てるほど泡が立つのは当然ですが、ただ泡ができればいいのではありません。サーバーから出てくるビールの勢いを受け止める際に、名人はその微妙な加減を調節することで、きめ細かいシルキーな泡をつくりだしています。
・ご家庭で適正量の泡をつくるには「3度注ぎ」がおすすめです。
①グラスはなるべくテーブルに置いた状態で注ぎます。グラスを手に持った状態では、注ぎ口の方向にグラスを斜めにされる傾向がありますが、それではグラスの底面にビールの流れを当てることが困難になります。グラスを手に持つ場合でも必ず垂直にしておかなければなりません。1度目の注ぎでは、グラスの底面めがけて、ビールに少し勢いをつけて注ぎます。ビールが適度に泡立ったら一旦注ぎを止めます。この時に形成された泡が蓋の役目を果たします。
②2度目の注ぎは、あまり泡立てないようにゆっくりと注ぎます。1度目の注ぎで形成された泡の蓋がそのままグラスの上へ押し上げられるようにすることがコツです。泡の蓋がグラスの縁に達する直前で注ぎを止め、泡の形成を落ち着かせます。
③そして仕上げとなる3度目の注ぎで、グラスの縁に泡を盛り上げるように静かに注いで完成させます。ビールに占める泡の比率が30%程度となるように、1度目から3度目を通じて注ぎの緩急をうまく調節してください。
・缶の場合は瓶と比較して1~2℃程度低めの温度とすること、そしてスピードをゆっくり目に加減して注ぐことです。泡の状態を目で確かめながらきめ細かい泡がグラスの3割程度を占めるように泡を形成させることが、おいしいビールの条件になります。
・ビールは日光にさらされると「日光臭」という不快な臭いがついてしまいます。これは日光の特定の波長がビールの苦み成分を分解することで発生するものです。この「日光臭」は、瓶ビールを直射日光下に放置した場合、短時間でも生じてしまいます。これを防ぐには、瓶ビールを日光にさらさないことに尽きます。茶色や緑色の瓶は、この特定の波長をある程度遮断する効果がありますが、直射日光にさらされてはひとたまりもありません。ぜひともビールは冷暗所に保管してください。
・ビールにとっては温度変化も大敵です。冷やしすぎにご注意という話を紹介しましたが、高温が大敵であることは言うまでもありません。ビールを高温にさらすと風味を損ねるばかりか濁りや沈殿を生じる原因にもなります。さらには、夏場の車のトランクの中など思わぬ高温になってしまうような状況では、瓶や缶の内圧を上昇させ容器が破裂する危険もありますので、ご注意ください。
・ビールの炭酸ガスは泡や味に大きく関与しています。もし、飲む前にビールが振動や衝撃を受けてしまうと、たとえ上手な注ぎ方をしても、炭酸ガスの抜けが速くなり、ビール本来のきれいな泡や爽快な味を楽しめなくなってしまいます。ビールは、それほどまでにデリケートな製品であると言えます。ビールをおいしく味わうためにも振動や衝撃には十分気をつけて取り扱ってください。
・ビールをおいしく飲むための基本的条件が整えば、あとは口にするだけです。丁寧に準備されたビールをおいしく味わってもらうためにも「掟」があります。
①まず、背筋を伸ばしてビールを口に持っていきます。ビール特有の喉ごしを体感するために喉から胃袋のラインができるだけ直線となるように心がけてください。背筋を曲げていては、せっかくの喉ごしが体感できません。
②上唇で泡を押さえ泡の下のビールを飲みましょう。せっかく3度注ぎで適正量の泡を形成したのに、その泡を飲んで減らしてしまっては台無しです。この泡はグラスを空にするペースを知らせてくれる大切なものです。
③等間隔の時間で同じ分量だけ前記の飲み方を繰り返すことで、等間隔のキレイな「レーシング」がつくられます。この「レーシング」が形成されていれば、今までにご紹介したおいしいビールの飲み方について「免許皆伝」と言っても過言ではありません。
最後に、もう一点注意しなければならないことがあります。
④グラスへの注ぎ足しは厳禁です。泡をつくる際に大切なことは、注ぐ時のグラスは必ず空となっていることです。一度グラスに注がれたビールは、炭酸ガスが刻一刻と失われ、泡も少しずつ消えていきます。この状態に新たなビールを注ぐことは、ビール本来の炭酸ガスや泡の力を薄め、爽快感を損なうことになるのです。
・古代のビールは現代のビールと違って麦汁ろ過やビールろ過といった固形分を分離する工程がほとんどなく、発酵終了後の上澄み液を飲んでいたと考えられています。そのため、麦芽の成分や酵母そのものが豊富に入っている「栄養」ビールであったと推察できます。麦芽や酵母には、食物繊維、タンパク質、アミノ酸、炭水化物などの栄養成分や、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンB1、ビオチン、葉酸などビタミン類が多く含まれていて、当時のビールは栄養豊富な「液体のパン」であったと言えましょう。
・紀元前3000年頃よあり後の時代には、ビールはその栄養価が着目され、古代エジプトやバビロニアで、すでに流行病の予防や治療薬として使用されていたと言われています。あっシリアのアッシュールバニパル王が収集した粘土板のコレクションの中に、「ビールとともに服用」といった記載のある処方箋が見つかっています。また、医学の始祖といわれる古代ギリシャのヒポクラテスの処方箋に、発疹性の病人に発芽した大麦の煎汁を飲ませて、排尿量を増加させるという記述もあります。中世ヨーロッパでは、キリスト教の普及っともに、教会や修道院でビール造りが盛んになりましたが、16世紀になってホップが本格的に普及するまでは、種々の薬草やハーブが使われていました。中世の経済発展とともにビールも一般の人に普及して行き、嗜好品としてだけでなく、栄養補給や医薬品としても用いられていたようです。15世紀から17世紀頃のコロンブスやマゼランで知られる大航海時代には、船にビールを積み込んで脚気の防止に努めていたと言われていますが、これはビールにビタミンB1が比較的豊富に含まれているためだったと考えられています。また、1620年にイギリスからアメリカに辿り着いた清教徒が乗ったメイフラワー号には、400樽ものビールが積み込まれていました。当時船上では肉やビスケットなどの食事とともに飲まれ、ビタミンやミネラル補給の役割を果たしていたのです。積み荷として、食べ物より重要視されていたほどです。さらに、ビールは水と比べて腐りにくいため、大航海時代に船上に積み込まれ飲料として利用されていました。こうして船によってもたらされたことで、北アメリカにビールが伝わるきっかけとなったのです。
・一気飲みだけでなく、未成年者にとってはたとえ少量でもアルコールを常用すること自体が問題です。それは、アルコールの代謝能力が不十分であることから、体への影響も大きいためで、肝臓障害、膵炎のほか、脳の萎縮、成長阻害、性線機能障害(生理不順、インポテンツ)などが、比較的少量の酒でも起こりやすいことが知られています。
・適正飲酒の10箇条
1 談笑し、楽しく飲むのが基本です
2 食べながら 適量範囲でゆっくりと
3 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
4 つくろうよ 週に二日は休肝日
5 やめようよ きりなく長い飲み続け
6 許さない 他人への無理強い・イッキ飲み
7 アルコール 薬と一緒は危険です
8 飲まないで妊娠中と授乳期は
9 飲酒後の運動・入浴 要注意
10 肝臓など定期検査を忘れずに
良かった本まとめ(2015年上半期)
<今日の独り言>
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「ビールの科学」という本は、サッポロビールの研究所員と商品・技術開発部のメンバーにより、ビールの歴史・文化・法律・技術・科学・飲み方・健康・関連する料理などについてまとめられたものです。
著者によると、2009年に初版がブルーバックスにより発行されていますが、2015年になっても売れ続けていて版を重ねていて、ロングセラーのようです。
この一冊でビールについて様々なことが楽しくまとめられていて、とても良いと思います。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・黒ビールは黒麦芽やカラメル麦芽を使っているので黒い
・紀元前5000年以上前にイラク北部でビールが造られたという記録がある
・ビールは通貨や給料の役割も果たしたことがある
・ベルギービールは個性的でワインやシャンパンのようなものもある
・ビールの定義は国や地域によって大きく異なる
・瓶ビールと缶ビールの中身は同じ
・ビールは日光や高温にさらすとダメ
・古代のビールは麦芽の成分や酵母そのものが豊富に入っている栄養ビールと推察
「ビールの科学」という本は、ビールについて歴史や技術、美味しい飲み方など学ぶことができ、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・「ビール」の語源は、ラテン語の「ビベル」(飲み物)から来たという説と、ゲルマン語の「ベオレ」(穀物)に由来するという説の2つが有力視されています。ラテン語説によるならば、まさに「飲み物」そのものの意味を持つほど、昔から人々の生活に密着していたのでしょう。ちなみに日本では、江戸時代、幕府の医官とオランダ商館長との問答を記した書物に「名はヒイルと申候」という記述が出てきます。これが日本最初のものではないかとされています。
・通常の澄み切った色のビールと違って、黒ビールは濃厚な色をしています。これは色素を添加して色を付けるのではありません。原料に黒麦芽やカラメル麦芽という色麦芽を用いているのです。色麦芽は、大麦から麦芽をつくる際に、より焦がした工程を経てつくられます。ちょうど、コーヒー豆を深煎りするのを想像してもらっていいかもしれません。こうして、あの独特の香りと色や味の深みが生まれるのです。
・紀元前5000年以上前に、現在のイラク北部のチグリス、ユーフラテス両河の沿岸域のシュメールやアッシリア地方でビールを造っていたという記録があります。また紀元前3000年頃の人類最古の史上の事実として、穀物の栽培とビール醸造とが古代バビロニアのくさび形文字の記録に残っており、当時のビール造りの様子を知ることができます。その概要を示すと次のようになります。
①原料の麦を発芽させて「麦のもやし」をつくり、それを乾燥した後に粉にする。
②できた粉を練ってパンを焼く(ビール・ブレッドと呼びます)
③できたパンを砕き、熱水を加えて混ぜ合わせ、固形物をふるいでこし、取り除く
④上澄みを壷に入れ、その液体に自然発酵を行わせ、ビールができあがる。
・古代バビロニアからやや遅れてですが、古代エジプトにおいても紀元前2000年頃からビール醸造の記録がほぼ完全に壁画や人形によって残されており、当時の醸造方法は古くから詳細に知られています。古代エジプトにおけるビール造りは、種々の根拠からシュメールやバビロニアからの移入であると推論されています。通説では、ビール・ブレッドを用いる古代バビロニアとほぼ同様な技術でビールを醸造したと考えられてきました。しかし近年、古代エジプトにおけるビールの製造技術に関して、サワーパン生地(乳酸発酵のパン)やナツメヤシ(デーツ)の発酵液を用いて酵母の純粋培養に近い操作を行っていたという新説が出されました。微生物の知識がない時代に、かなり高度な酵母管理技術を駆使していたという新説です。また、古代エジプト人は特にビールの清澄化に苦心し、清澄材として赤色粘土の粉末を使用していました。このことは洗練された味づくりの点で大変興味深いことです。清澄化することで澱が取り除かれ、液体としての飲み安さの点で意味があったのかもしれませんが、香味の点でもすっきりした洗練されたものであったと推察されます。ビールのバリエーションも多く、発酵後すぐに飲むビールだけでなく、特別の壷に入れて長期熟成させたビール、弱アルコール、強アルコールのビールなどもあったと言います。その他、古代バビロニアのビールと同様、種々の香り付けのハーブやスパイスが添加されていたようで、ナツメヤシ、蜂蜜、ベニバナ、ルピナスなどを使うことによって香味の変化やアクセントがつけられ、風味も格段に多様化し、人々の嗜好を満たしていたのでしょう。古代エジプトでは巨大なピラミッドが建造されましたが、炎天下で巨石を運ぶのは大変な労働でした。ビールはまさに喉の乾きや疲れを癒し、栄養補給や疲労回復のための「栄養ドリンク」の役割を果たしていたと考えられています。精密にろ過されていないので、麦や酵母の成分そのmのを多く含み、透明な現代のビールに比べて滋養に富んだ、まさに、「液体のパン」であったと言えます。古代バビロニアや古代エジプト時代の人々は、現代人よもはるかにビールとの関係が深く、ビールは日々の糧としてだけではなく、通貨や給料の役割も果たし、寺院への供え物にも使われていました。ビールという穀物飲料がこれほど生活に密着した時代はなかったのではないでしょうか。
・1516年にバイエルン(ドイツ南部)の王であったウィルヘルム4世によって出され、現在もドイツで守られている有名な法律に「ビール純粋令」があります。それは「ビールは、大麦、ホップ、及び水だけを使って醸造せよ」というものであり、それ以降、完全にグルートは駆逐されました。この純粋令は、世界初の食品・飲料の法律と言われており、品質を守るために画期的なものであると評価できます。歴史的な背景もありますが、このような品質に対する強いこだわりも「ドイツがビールの本場」と言わしめるゆえんでしょう。ちなみに、小麦が純粋令に入っていないのは、パンなどの食料としてへの用途への影響を考慮したためだと言われています。
・現在世界で最も多く醸造され飲まれているビールの種類は「ピルスナー」というタイプで、淡黄色でホップの効いた、すっきりとしたキレ味のある、爽やかな香味が特徴です。では、このピルスナーがビールの本場と言われるドイツ発かというと、実はそうではありません。1838年、ボヘミア(現在のチェコ)にあるピルゼンという町では、ビール醸造が非常に出来の悪い状態となり、飲用に堪えない多くのビールを廃棄することになりました。これを機会に、新工場の建設と革新的な技術者の招聘を行うことになったのです。そして1842年、バイエルンから技術者を招いて新たに醸造が始められました。当時はミュンヘンで飲まれている下面発酵で色の濃い、しっかりした重厚な味わいのビールを造るつもりだったのですが、なんと、できあがったものは黄金色で泡の白いビールでした。全く予想していなかったビールです。1842年10月4日にこのビールが披露されたとき、まずグラスに注がれたビールの色を見て皆驚きました。さらに、すっきりとしたキレ味のある喉ごしに加え、それまでピルゼンで造られていたビールとは比較にならないうまさにまた驚いたのです。こうしてピルゼンでは、新しくできたビールの量産に取りかかることになりました。これが現在最も多く飲まれているピルスナータイプのビールが誕生に至ったストーリーであり、その呼び名も地名のピルゼンに由来しているのです。
・ベルギービールは、通常の日本のビールにもっぱらなじんだ人が飲むと、「これがビールなのか」と衝撃を受けるでしょう。ワインやシャンアンと言ってもいいほどのものもあります。ベルギービールは世界のビールの中でも極めて個性的で魅力があり、今後のビールの多様化の流れの中で評価はさらに高まるでしょう。
・大麦はイネ科オオムギ属に属し、世界中の広い地域で栽培されていますが、ビール醸造用の品種が登場してきたのは19世紀の欧州においてです。その後、ビール麦にふさわしいようにさらに育種が行われ、それらが世界各地へと伝わり、また、現地に適した優良な品種が育成されてきました。大麦は穀粒の実り方によって、穀粒が2列の二条大麦と6列の六条大麦に分けられます。二条大麦は六条大麦の4列が退化したもので、一粒の大きさにおいて優位にあります。ビール醸造では、アルコールをできるだけ多くつくり、かつビールらしいスッキリ感を得るために、デンプンが多く、タンパク質が少なく、酵素力の強い大麦が選ばれる傾向にあり、特に二条大麦はビール用として数多くの品種が育種されてきました。ビール大麦の主要な生産地はヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアであり、国内では、北海道、関東、九州北部などでつくられていますが、国内のビール会社の麦芽使用量のうち国産が占める割合はわずか1割程度です。
・ビールになくてはならない特有の苦みと爽やかな香りとを与える原料がホップです。一般にはあまり目にすることのないホップは、ビール醸造のためにのみ生産されているといっても過言ではありません。中世以前にはホップ以外の薬草や香草も使われていましたが、ビールの品質を高めるにはホップが最も適していることが次第に広まり、16世紀にはその地位を確立することになりました。
・ビールの定義は国や地域によって大きく異なります。日本での酒税法によるビールの定義は、「麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもので、麦芽の一部を麦・米・トウモロコシ・コーンスターチ等の政令で定められる物品を副原料として、麦芽の量の半分以下で使うことができる」というものです。従って、副原料を麦芽の半分を超えて使用した場合や、ベルギービールのように、チェリーやカシスなどの果実、コリアンダーやオレンジピールのようなスパイス、その他ハーブなどのような、政令で定められていない原料を使用した場合は、ベルギーではビールであっても、日本ではビールと呼べません。
・グラスに注がれた際、見た目でビールらしさを演出してくれる泡は、ビールの重要な品質特性の一つです。泡の役割は大きく2つに分けられます。まず一つ目は、「グラスに注がれたビールが本来のおいしさを十分に発揮できる状態であるかを示すバロメーターの役割」です。例えば、泡立ちが悪ければ、ビールを冷やし過ぎたかグラスの洗浄が十分でなかったかなどがわかります。逆に、静かにグラスに注いでも泡だらけであったら、冷えていんか、飲む直前に乱暴に取り扱って衝撃を与えたりしたかなどがわかります。このように、泡の状態に注目することで、ビールの保管や取り扱い方法、グラスの洗浄状態、そして注ぎ方が適切であるかを推し量ることができます。つまり、泡はビール本来のおいしさを演出するさまざまな条件についての大切な「証人」であるとも言えるのです。ビールをおいしい状態で飲めたかどうかは、飲んだ後にグラス内面へ付着した泡の状態を見ればわかります。ビールを一口飲む毎にグラスの内面に「レーシング」という泡の輪がクッキリとできます。その泡の輪を数えることにより何回でグラスを飲み干したかがわかるようであれば、そのビール本来のおいしさを堪能できた証拠でもあます。
・グラスの形もビールの泡の形成に大きく影響します。その基本的な形は、ビアホールのジョッキに見られるように美しく緩やかな曲線を持った円筒形で、底に適度な丸みを有するものです。この形状のグラスだと、注がれたビールが底に当たってちょうど円を描くように下から上へと滑らかに対流することで、きめの細かい泡が形成されます。グラスの理想は直径1に対して高さが1.8~2.2くらいの比率を持ったものがベストと言われています。この比率より大きすぎても小さすぎても、きれいな泡は形成されません。直径に対する高さの比率が大きすぎるグラスでは、背が高すぎることで注ぐ際の衝撃が大きくなるために泡が適正量より多くなってしまいますし、逆に比率が小さすぎるグラスでは炭酸ガスが抜けやすいため泡が粗くなりやすくなります。また、ラッパのようにグラスの先が開いているものも炭酸ガスが抜けやすく粗い泡となって泡持ちも悪くなりますし、底が角張っているグラスでは炭酸ガスがグラスの上方へ抜けにくいため、炭酸がきつくなって重い味として感じることもあるので、ビール本来のスッキリとした味を楽しむことができなくなります。
・ビール注ぎ名人が、ビール注ぎに最も重要だと考えていのは、サーバーから最初に出たビールがジョッキの底に叩きつけられてできた泡だといいます。この泡をジョッキの縁まで持ち上げていくというのが理想です。ジョッキはできるだけ垂直に立てサーバーから出てくるビールが底に直接当たるようにして安定した泡をつくります。最初の泡が大切なのです。ジョッキの底に泡をつくったら、その泡を持ち上げていきます。ジョッキを少しだけ傾けて、サーバーから出てくるビールをジョッキの壁に当てるようにしながらきめ細かな泡を形成させます。この段階で名人はジョッキの姿勢を微妙に調節することで、ビールが流れ込む速度を変えてきれいな泡を形成させます。次にジョッキを垂直に戻しながら最初にジョッキの底につくった泡をそのまま持ち上げ、ジョッキの縁まで盛り上げるように泡の蓋をつくります。大ジョッキの場合、約5秒程度で注ぎ終わります。極論すれば5秒の間にジョッキの姿勢をいかに調節するかというところが勝負です。ジョッキを立てれば立てるほど泡が立つのは当然ですが、ただ泡ができればいいのではありません。サーバーから出てくるビールの勢いを受け止める際に、名人はその微妙な加減を調節することで、きめ細かいシルキーな泡をつくりだしています。
・ご家庭で適正量の泡をつくるには「3度注ぎ」がおすすめです。
①グラスはなるべくテーブルに置いた状態で注ぎます。グラスを手に持った状態では、注ぎ口の方向にグラスを斜めにされる傾向がありますが、それではグラスの底面にビールの流れを当てることが困難になります。グラスを手に持つ場合でも必ず垂直にしておかなければなりません。1度目の注ぎでは、グラスの底面めがけて、ビールに少し勢いをつけて注ぎます。ビールが適度に泡立ったら一旦注ぎを止めます。この時に形成された泡が蓋の役目を果たします。
②2度目の注ぎは、あまり泡立てないようにゆっくりと注ぎます。1度目の注ぎで形成された泡の蓋がそのままグラスの上へ押し上げられるようにすることがコツです。泡の蓋がグラスの縁に達する直前で注ぎを止め、泡の形成を落ち着かせます。
③そして仕上げとなる3度目の注ぎで、グラスの縁に泡を盛り上げるように静かに注いで完成させます。ビールに占める泡の比率が30%程度となるように、1度目から3度目を通じて注ぎの緩急をうまく調節してください。
・缶の場合は瓶と比較して1~2℃程度低めの温度とすること、そしてスピードをゆっくり目に加減して注ぐことです。泡の状態を目で確かめながらきめ細かい泡がグラスの3割程度を占めるように泡を形成させることが、おいしいビールの条件になります。
・ビールは日光にさらされると「日光臭」という不快な臭いがついてしまいます。これは日光の特定の波長がビールの苦み成分を分解することで発生するものです。この「日光臭」は、瓶ビールを直射日光下に放置した場合、短時間でも生じてしまいます。これを防ぐには、瓶ビールを日光にさらさないことに尽きます。茶色や緑色の瓶は、この特定の波長をある程度遮断する効果がありますが、直射日光にさらされてはひとたまりもありません。ぜひともビールは冷暗所に保管してください。
・ビールにとっては温度変化も大敵です。冷やしすぎにご注意という話を紹介しましたが、高温が大敵であることは言うまでもありません。ビールを高温にさらすと風味を損ねるばかりか濁りや沈殿を生じる原因にもなります。さらには、夏場の車のトランクの中など思わぬ高温になってしまうような状況では、瓶や缶の内圧を上昇させ容器が破裂する危険もありますので、ご注意ください。
・ビールの炭酸ガスは泡や味に大きく関与しています。もし、飲む前にビールが振動や衝撃を受けてしまうと、たとえ上手な注ぎ方をしても、炭酸ガスの抜けが速くなり、ビール本来のきれいな泡や爽快な味を楽しめなくなってしまいます。ビールは、それほどまでにデリケートな製品であると言えます。ビールをおいしく味わうためにも振動や衝撃には十分気をつけて取り扱ってください。
・ビールをおいしく飲むための基本的条件が整えば、あとは口にするだけです。丁寧に準備されたビールをおいしく味わってもらうためにも「掟」があります。
①まず、背筋を伸ばしてビールを口に持っていきます。ビール特有の喉ごしを体感するために喉から胃袋のラインができるだけ直線となるように心がけてください。背筋を曲げていては、せっかくの喉ごしが体感できません。
②上唇で泡を押さえ泡の下のビールを飲みましょう。せっかく3度注ぎで適正量の泡を形成したのに、その泡を飲んで減らしてしまっては台無しです。この泡はグラスを空にするペースを知らせてくれる大切なものです。
③等間隔の時間で同じ分量だけ前記の飲み方を繰り返すことで、等間隔のキレイな「レーシング」がつくられます。この「レーシング」が形成されていれば、今までにご紹介したおいしいビールの飲み方について「免許皆伝」と言っても過言ではありません。
最後に、もう一点注意しなければならないことがあります。
④グラスへの注ぎ足しは厳禁です。泡をつくる際に大切なことは、注ぐ時のグラスは必ず空となっていることです。一度グラスに注がれたビールは、炭酸ガスが刻一刻と失われ、泡も少しずつ消えていきます。この状態に新たなビールを注ぐことは、ビール本来の炭酸ガスや泡の力を薄め、爽快感を損なうことになるのです。
・古代のビールは現代のビールと違って麦汁ろ過やビールろ過といった固形分を分離する工程がほとんどなく、発酵終了後の上澄み液を飲んでいたと考えられています。そのため、麦芽の成分や酵母そのものが豊富に入っている「栄養」ビールであったと推察できます。麦芽や酵母には、食物繊維、タンパク質、アミノ酸、炭水化物などの栄養成分や、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンB1、ビオチン、葉酸などビタミン類が多く含まれていて、当時のビールは栄養豊富な「液体のパン」であったと言えましょう。
・紀元前3000年頃よあり後の時代には、ビールはその栄養価が着目され、古代エジプトやバビロニアで、すでに流行病の予防や治療薬として使用されていたと言われています。あっシリアのアッシュールバニパル王が収集した粘土板のコレクションの中に、「ビールとともに服用」といった記載のある処方箋が見つかっています。また、医学の始祖といわれる古代ギリシャのヒポクラテスの処方箋に、発疹性の病人に発芽した大麦の煎汁を飲ませて、排尿量を増加させるという記述もあります。中世ヨーロッパでは、キリスト教の普及っともに、教会や修道院でビール造りが盛んになりましたが、16世紀になってホップが本格的に普及するまでは、種々の薬草やハーブが使われていました。中世の経済発展とともにビールも一般の人に普及して行き、嗜好品としてだけでなく、栄養補給や医薬品としても用いられていたようです。15世紀から17世紀頃のコロンブスやマゼランで知られる大航海時代には、船にビールを積み込んで脚気の防止に努めていたと言われていますが、これはビールにビタミンB1が比較的豊富に含まれているためだったと考えられています。また、1620年にイギリスからアメリカに辿り着いた清教徒が乗ったメイフラワー号には、400樽ものビールが積み込まれていました。当時船上では肉やビスケットなどの食事とともに飲まれ、ビタミンやミネラル補給の役割を果たしていたのです。積み荷として、食べ物より重要視されていたほどです。さらに、ビールは水と比べて腐りにくいため、大航海時代に船上に積み込まれ飲料として利用されていました。こうして船によってもたらされたことで、北アメリカにビールが伝わるきっかけとなったのです。
・一気飲みだけでなく、未成年者にとってはたとえ少量でもアルコールを常用すること自体が問題です。それは、アルコールの代謝能力が不十分であることから、体への影響も大きいためで、肝臓障害、膵炎のほか、脳の萎縮、成長阻害、性線機能障害(生理不順、インポテンツ)などが、比較的少量の酒でも起こりやすいことが知られています。
・適正飲酒の10箇条
1 談笑し、楽しく飲むのが基本です
2 食べながら 適量範囲でゆっくりと
3 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
4 つくろうよ 週に二日は休肝日
5 やめようよ きりなく長い飲み続け
6 許さない 他人への無理強い・イッキ飲み
7 アルコール 薬と一緒は危険です
8 飲まないで妊娠中と授乳期は
9 飲酒後の運動・入浴 要注意
10 肝臓など定期検査を忘れずに
良かった本まとめ(2015年上半期)
<今日の独り言>
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