<金曜は本の紹介>
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著者は、1962年東京生まれのラジオプロデューサー、音楽プロデューサー、DJ、BGMコンサルタントです。
AMラジオ局勤務などを経て、現在FMラジオ局、J-WAVEにて各種番組&イベントをプロデュースし、飲食店舗とのかかわりを持つ中で、店内BGMに悩むオーナーの多いことを知り、2006年からBGMコンサルタントして活動しているとのことです。
第1章で飲食サービス業におけるBGMの重要性、第2章でお店に合ったBGM、第3章では日本におけるヒット音楽の歴史、第4章ではBGMがビジネスになる注目の場所について書かれています。
今後、飲食サービス業等に対する音楽の重要性は増すものと思います。やっぱりいい音楽で、良い食事を楽しみたいですものね。
この本は、飲食サービス業の音楽の現状や、具体的にどうすべきか、世界の状況等についてもまとめられていて、飲食業をやっている方は必読だと思います。飲食サービス業で儲けるには音楽は重要だと思います。
また、飲食サービス業だけなく、病院などその他の分野でも音楽は重要になると思います。
とてもオススメな本です!
以下は、特にこの本でポイントだと思ったところです。
・店内BGMというと、一般的にはUSENなどの有線放送(衛星放送)が知られていますが、スタバの店内音楽は、これら既成の音楽放送ではなく、BGM専門の会社に選曲を依頼し、2ヶ月に1回BGMを変更しているそうです。スターバックスが、USENではなく、わざわざオリジナルBGMの選曲をしているのは、お客のコンセプトを、店の看板、インテリアだけでなく、音楽的にも統一感をもたせたいということと、自宅とオフィスの中間に位置する「サード・プレイス」としての寛ぎの場所を提供したいという思いがあるからだと思います。
・もしあなたがお店のオーナーで、ジャズをモチーフに内装やメニューを考えているにも関わらず、BGMがJ-POPSになっていたとしたら、ちょっとがっかりしませんか?さすがに般若心経を選ぶスタッフはいないでしょうが、USENチャネルの選曲権を店員に委ねてしまうのは、注意した方がいいと思います。USENでもこうしたことに対応するため、100店舗以上のチェーン店に関しては、オリジナル・チャネルの貸出しと、番組制作もしてくれるそうです。さらに店員が勝手にチャネルを変えてしまっても、一定時間経つと、元のチャネルに強制変更する仕組みももっているそうです。
・繁盛しているおいしいラーメン屋さんに行くと、たいていジャズか、ビートルズがBGMで流れています。なぜジャズか、ビートルズなのでしょうか?実は、ラーメンという料理にジャズが合うのではなく、USENの中から選ぼうと思うと、ジャズか、ビートルズくらいしか合うチャネルがないので、自然とそうなっているのでしょう。ジャズはオシャレなイメージで、「なんとなく耳障りがいい」という万能型の音楽なのです。ビートルズもしかりです。ヒップ・ホップやロックでは、好き嫌いが分かれるし、クラシックやボサノバでは、線が細くて、ラーメンのインパクトある食感をサポートできません。ジャズ以外となると、ビートルズか、普通のラジオ(AM、FM)くらいしか選択肢がないのです。
・オシャレさを出したい場合は、スピーカーはBOSEか、JBLのスピーカーがいいと思います。音質的には、JBLがおすすめです。アンプやCDプレーヤーは、BGMを流すだけならそれほど違いがでないので、国産の安くて、デザインのいいものを選べばいいと思います。お金にゆとりがあれば、デンマークのオーディオ・メーカー、バング&オルフセン(B&O)がおすすめです。スピーカーは、1本10万円以上、2本セットで20万円以上、CDプレーヤーも20万円というお値段ですが、人をうならせるデザインと音質はさすがです。
・BGMは、あくまでも背景音楽なので、スピーカーはあまり目立たない場所に設置しても問題ありませんが、よくある天井埋め込みのスピーカーは、真下にいるとうるさいし、横だと高音が弱まるので、あまりおすすめできません。同じBOSE社のスピーカーでも、天井埋め込みではなく、スピーカーの向きを自由に調整できる天井吊り下げ型のほうが、BGMには最適です。BGMのような小音量の場合は、低音が不足しがちになりますので、スピーカーの設置場所を壁のコーナーに置くなどして、低音が出やすいようにしてください。高音がうるさいと感じる場合は、スピーカーを少し横に向けるなどして、お客さんの耳に直接、音が入らないように設置してみてください。肝心なのは、お店のいろいろな場所に、自分で座ってみて、音量や音質の具合を自分で確か見てみることです。
・BGMの音量は人によって好みに違いがあるようですが、お客が少ないときは小さめに、お客が多いときは大きめに、がスタンダードです。人は、騒音を発生させるとともに、身体が音を吸収してしまうので、お客さんの入り具合を見て、音量も微妙に調整する必要があります。雑音の多い昼は大きく、静かな夜は小さくするのが普通ですが、お酒を出す飲み屋系の飲食店では、お客さんの声が大きくなっていくので、大きめの音量が必要になります。また、大き目な音量は、お酒のオーダーを煽る効果もあります。
・これからのサービス業の店舗づくりには、「五感に訴える」ということがキーワードになると思われます。
味覚:もちろん、料理の味、飲み物の味
視覚:インテリア、照明、絵画、グリーン、店員の身なり、店員のパフォーマンス
嗅覚:料理や飲み物の香り、おしぼりの匂い、タバコの臭いの除外
触覚:ドアノブ、床材、じゅうたん、テーブル、食器などの質感
聴覚:BGM、生演奏、そして、会話
・具体的にBGMを選定するには、どのようなポイントに注目したらよいのか、私なりの方法論を説明していきます。ご自分自身でBGMを選曲する際にも、参考になると思いますので、お店のことをイメージしてください。
*ターゲット層
どのようなお客さんをターゲットにするのか?
40代の高所得者層をターゲットするのか?
20代の若者をターゲットにするのか?
サラリーマンか、OLか、主婦層か?
*お店のコンセプト
提供する料理の内容は?
想定する客単価は?
*お店のロケーション
都内? 郊外?
山の手? 下町?
駅前? 住宅街?
・BGMや演奏する曲などは、その人が過ごした青春時代に引きずられる傾向があります。一般的には、以下のターゲット年齢とBGMをセットに考えるとお客さんとの親和性がよくなります。(2008年現在。)
50歳代:ブルーノート系ジャズやモータウン系ソウル、日本のニューミュージックなどをBGMにしてはどうでしょうか?
40歳代:80年代のテレビ番組「ベストヒットUSA」全盛のころの洋楽ヒット曲、ダンス・クラシックス、AOR、フュージョンなど。
30歳代:90年代の洋楽R&Bとか、ユーロテクノ、ZARD、ミスチルなどの邦楽ヒットなど
20歳代:今、流行している曲や、MTVや、スペース・シャワーTVなどのCS放送を流すのも効果的です。
世代に関係なく無難なのは、ジャズ、クラシック、ヒーリング・ミュージックですが、お店の業態自体も無難なコンセプトだと、「喫茶店+クラシック」のような没個性な組み合わせになりやすいので、要注意です。
・BGMは、時間帯によっても違います。どなたでもそうだと思いますが、朝起き抜けと、昼と、夜と、深夜では、部屋で聞きたい曲が違うはずです。BGMというのは、「この場所なら、この曲だよね」という<暗黙の集団合意>を考慮しつつ、お店の個性を主張することが大切なのです。ランチタイムとディナータイムでは、同じお店でも出しているメニューも変わります。もちろん、客単価も違います。また、窓から見える景色も昼間と夜では大違いです。BGMをチェックする場合には、そのお店に昼、夜、土日、お客さんの入っている時間帯に何度か足を運びます。昼と夜の営業形態が変わり、イメージががらりと変わってしまうようなお店には、昼と夜とで別々の選曲をします。
・「血を採る」というのは、誰でも緊張するもの。しかも、自分の黒ずんだ赤い血を目にするのは、あまり気持ちのいいものではありません。人によっては、自分の血を見ただけで、具合が悪くなってしまうそうです。そこで、このJR東京総合病院では、緊張感を少しでも和らげるため、採血室にオーディオ・コンポを設置して、音楽を流しているようです。音楽を病気の治療に活かすという「サウンド・セラピー」という分野が研究されているようですが、病院における音楽ニーズは、今後、大きくなっていくと思われます。
・音楽の持つ特性を利用して、客単価を上げる方法があります。そのひとつが、「音楽の刷り込み効果」の利用です。人は、ある音楽を聴くと、この音楽ではこういう料理やお酒を飲むもんだという、イメージを持っています。ある品川のライブ・レストランに通っていたとき、経営者の方から、クラシックやタンゴのライブ演奏が入った時の方が、ソウルやジャズが入った時よりも、客単価が上がったという話を聞きました。いずれも、平日ライブでの客単価なので、有名なミュージシャンかどうかは、あまり関係がないようです。これは、「クラシックを聴くときは、シャンパン」「タンゴを聴くときは、赤ワイン」という「音楽の刷り込み効果」があったからのようです。私自身も、ソウルやジャズのライブを観るときは、ビールか、ジントニック。クラシックやオペラ、タンゴのライブを見るときは、シャンパンやワインを、知らず知らずのうちに、オーダーしています。ヒップ・ホップのライブで、シャンパンを頼む気になりません。
<目次>
はじめに
第1章 飲食サービス業におけるBGMの重要性
第2章 お店に合ったBGMとは
第3章 日本におけるヒット音楽の歴史
第4章 BGMがビジネスになる注目の場所
あとがき
刊行によせて 末木佐知
面白かった本まとめ(2007年)
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
<今日の独り言>
4歳の息子がいつの間にか、ひらがなの絵本をスラスラ読めるようになっているのには驚きました。思い切り褒めてあげました^_^)