A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

原点回帰~マイク・オールドフィールド「天空の音楽」

2008年03月26日 23時32分01秒 | 素晴らしき変態音楽
1973年ヴァージン・レコードの記念すべき第一弾アルバムとして世界的大ヒットになった「チューブラー・ベルズ」。殆ど全ての楽器を一人でオーヴァーダビングして完成させたこのアルバムは、スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスなどのミニマル・ミュージックの影響を受けつつ伝統的ケルト音楽を壮大なスケールで展開した音楽史に残る傑作である。映画「エクソシスト」のテーマに使われたことから恐ろしい音楽を想像する人も多いようだが、実際はオカルト的な要素は全くない美しく清浄な作品である。
当時20歳の神経症的青年だったマイク・オールドフィールドがそれから35年後、総勢80人のフル・オーケストラを率いて完成させたのが「天空の音楽」。オーケストラ・アレンジは元ニュークリアス、ソフト・マシーン、というよりもアディエマスでヒーリング音楽の第一人者となったカール・ジェンキンス。しかしプログレ好きには堪らない組み合わせである。
アルバムは2部構成の組曲になっており、「チューブラー・ベルズ」やその他のマイクの作品のフレーズが所々現れ喜ばせてくれる。ピアノやグロッケンシュピールが奏でるミニマルな旋律が往年のファンにはこたえられない。マイクのアコースティック・ギターも要所を締める。そして素晴らしいのがドラマ「白い巨塔」で「アメイジング・グレイス」が使われ日本でも大ヒットしたニュージーランドの歌姫ヘイリーの歌声である。マディ・プライア、サリー・オールドフィールド、マギー・ライリーなど今までマイクの作品を飾ってきたフィメール・ヴォイスを彷彿させる透明感溢れる天使の歌声は涙が出るほど素晴らしい。
フル・オーケストラも大袈裟ではなく楽器の艶を引き出す効果的な演奏をしており、クラシック的難解さは全くない。一人多重録音、ロック・バンド、ニューウェイヴ、打ち込みテクノ、歌もの、ニューエイジ、とスタイルは変わってもブレのないマイク・オールドフィールドの原点回帰といえる元祖ヒーリング・ミュージックである。
ただ私にはちょっと甘過ぎるケーキみたいな感じがする。もう少し冒険をしてみても良かったのでは。
Mike Oldfield HP English

命ある
深い宇宙の
物語

久々にエクソシストのシングル盤を探し出して聴いた。限りない美しさの中に狂気を秘めた音楽。やはりこちらの方が良い。



コメント
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