J・A・シーザー(ジュリアス・アーネスト・シーザー)といってもれっきとした日本人。本名は寺原孝明、1947年宮崎県生まれ。20代始めには新宿でも人目を引くフーテンとして名を馳せていたという。60年代後半知り合った女優の繋がりで詩人で演劇実験室=天井桟敷を主宰していた寺山修司と出会う。自身は舞台美術を志望していたが、寺山修司から舞台音楽を担当するようアドバイスされ、独学で音楽を始める。半年もしないうちに天井桟敷の音楽を手掛け、1971年にはヨーロッパ公演に同行し、オランダでは自らの音楽公演も行う。ヨーロッパから戻り、1973年日本で企画されたコンサートがこのCDの目玉になる「J・A・シーザーリサイタル」である。コンサートのチラシには"密教 念仏 子守唄 猫殺し 擬胎分娩 人肉試食 怒号の音楽! "とオドロオドロしい文句が羅列されているが、まさにその通りのアングラで怨念に満ちた楽曲集である。演奏は自己のバンド"悪魔の家"に加え天井桟敷の役者たち。ドグラマグラなヘヴィ・プログレ・サイケ・サウンドが140分に亘って展開される。シーザー自身は独唱の他キーボードやギター、琴などを演奏している。かなりアヴァンギャルドな演奏もあり、ピンク・フロイドやキング・クリムゾンの純日本的展開として相当貴重な作品である。思い切り演劇臭いのが好き嫌いの分かれる所か。
80ページのブックレットが充実しており、1971年悪魔の家が頭脳警察やブルース・クリエーション、ロスト・アラーフ、阿部薫などが出演した伝説の三里塚"幻野祭"に出演していたことも初めて知った。まだCD2までしか聴いていないが、未発表曲を多数含む残り3枚を聴くのが楽しみだ。
現在でも活動するシーザーは灰野敬二や裸のラリーズと並ぶ日本のアングラ・ロック・シーンのカリスマである。
幻の
天井桟敷
ここにあり
アングラ演劇を久しぶりに観たくなった。でもそんなものまだ存在するのだろうか?
80ページのブックレットが充実しており、1971年悪魔の家が頭脳警察やブルース・クリエーション、ロスト・アラーフ、阿部薫などが出演した伝説の三里塚"幻野祭"に出演していたことも初めて知った。まだCD2までしか聴いていないが、未発表曲を多数含む残り3枚を聴くのが楽しみだ。
現在でも活動するシーザーは灰野敬二や裸のラリーズと並ぶ日本のアングラ・ロック・シーンのカリスマである。
幻の
天井桟敷
ここにあり
アングラ演劇を久しぶりに観たくなった。でもそんなものまだ存在するのだろうか?