2月6日は大槻ケンヂ氏(以下オーケン)の誕生日だったので久々に筋肉少女帯やソロ・アルバムを引っ張りだして聴いた。オーケンのソロ・デビューは1995年の「オンリー・ユー」。10年前に田口トモロヲ氏を中心に活動していたパンク・バンド、ばちかぶりのEP「一流」のリード・トラックにしてパンク版ラヴソングの名曲のカヴァーである。YouTubeにオーケン・ヴァージョンの映像が上がっていて観ているうちに本家のばちかぶりを聴きたくなった。ばちかぶりも筋少もデビューは有頂天のケラリーノ・サンドロヴィッチ(ケラ)氏のレーベル、ナゴム・レコードだった。1980年代インディーズ・ブームの最右翼として活発に活動したナゴム・レコードは当時大学生だった私のお気に入りで、有頂天、ばちかぶり、筋少、空手バカボン、人生、オレンジ・チューブなどナゴム・バンドのレコードを愛聴していた。中でもばちかぶりは特に好きで渋谷屋根裏に何度か観に行った。トモロヲの完全にトンだ視線に本物のパンクを感じ、ステージで見せる今で言えば「変顔」にヤバい香りを感じ身震いしたものである。
吉田まゆみや蛭子能収によるオシャレでカルトなジャケットとハードコア+アヴァンギャルドの過激なサウンドのギャップがナゴムらしかったし、宝島やシティロードに掲載されたインタビューでキャプテン・ビーフハート、三上寛、PIL、JAGATARA、リップ・リグ&パニックに影響を受けたという話やライヴ・レポートでの「ステージで嘔吐し脱糞する」という常軌を逸したパフォーマンスを読むにつけ真のアヴァンギャリストという気がした。残念ながら(?)私が観たライヴではゲロやウンチは出てこなかったが。極めつけはナゴムのオムニバス「子供たちのCITY」に収録された「未青年」の♪Boys Be Sid Vicious!♪というフレーズだった。単なる変態パンクスに留まらない真の天才を感じて狂喜した。
しかし大学を卒業し就職した頃、有頂天がメジャー・デビューしナゴムは解体、ばちかぶりのことを聞くこともなくなり、彼らが音楽性をファンクに変えてリリースした2ndアルバム「白人黒人黄色人種」はリアルタイムで聴かなかった。存在を忘れかけていた頃にオーケンが「オンリー・ユー」を出したのである。
それからさらに15年以上経った今再びばちかぶりを聴きたくなったのは何故だろう。おそらくここ数年東京ロッカーズ時代のPASSレコードやテレグラフ・レコードなどのカタログが再発され、佐藤薫氏のEP-4周辺やThe ComesやNurseといったハードコア自主制作盤がCD再発されたことに影響されたのだろう。 さっそく数年前にリリースされた「ナゴムコレクション」と今年発掘された「'85 LIVE」を購入して聴き狂っている次第。今や個性派俳優/映画監督/ナレーターとして広い人気を持つトモロヲ氏の原点を再確認している。
そんなところへ復活したテレグラフ・レコード代表の地引雄一さんからトモロヲ氏の最初のバンド、ガガーリンが再結成ライヴを行うとの情報が届いた。何を今更という気もするが、アレルギーも再結成ライヴを行ったことだし、50代前後になった元パンクスたちがもう一度夢を追いかけたくなる気持ちも分かる。それにつけてもロッケンロール道を30年休むこと無く転がり続けてきたヒロト&マーシーの偉大さを再認識する私は明日クロマニヨンズを観に行くので興奮して今夜も眠れない。
歌ってた
うんこ食ったら
40万円
ケラやオーケン、トモロヲ、石野卓球など元ナゴム勢もそれぞれエンターテイメント界で活躍しているんだからたいしたものだ。