1980~90年代ナイジェル・ケネディというイギリスのクラシックのヴァイオリニストがポップス界で活躍した。とんがりヘアに激しいアクションで超絶テクニックを披露するナイジェルは1989年ヴィヴァルディの「四季」をポップ・チャートに送り込むヒットを放ち、ポール・マッカートニーやケイト・ブッシュ等と共演、ジャズやジミ・ヘンドリックス作品をフィーチャーしたアルバムの発売、自身のコンサートを『ギグ』と称するなど、音楽ジャンル間のクロスオーヴァー的、音楽思想家的な色彩を濃厚に打ち出した。その後5年間隠遁するが1997年に復帰、再び大センセーションを巻き起こす。
昨年はこのブログでも早々に紹介した2 Cellosというクロアチア出身のチェロ・デュオがマイケル・ジャクソン、スティング、ニルヴァーナ、ガンズ&ローゼズ、U2等の曲をチェロ用にアレンジした作品を発表、楽器破壊寸前の情熱的なプレイで話題になった。
今回紹介するデイヴィッド・ギャレットも元々はクラシックの英才教育を受け、クラシックの名門レーベル、ドイチェ・グラモフォンからモーツァルト、ベートーヴェン、チャイコフスキーなどの正当なヴァイオリン協奏曲/ソナタを発表している天才ヴァイオリニスト。同時に学生時代からモデルとしても活躍してきたというイケメンでもある。そんな彼がポップス・シーンへ進出したのは2007年。2枚のクロスオーヴァー・アルバムは全米クラシカル・クロスオーヴァー・アルバム・チャートのトップに輝き世界的な注目を浴びた。YouTubeで検索をしてみればわかるが、大規模なクラシック・フェスティバルに出演し、ロック/ポップスの名曲をアレンジした楽曲で大喝采を浴びている。そんなデイヴィッドのクロスオーヴァー第3弾、その名も「ロック・シンフォニー」がリリースされた。ニルヴァーナ、ガンズ&ローゼズ、エアロスミス、メタリカ、レッド・ツェッペリン、マイケル・ジャクソン、プリテンダーズ、TOTO、映画音楽などを想像以上にロックっぽいダイナミックなストリング・アレンジで聴かせる。人気女性ギタリスト、オリアンティもゲスト参加。
個人的にはクロノス・カルテットのようにもっと大胆で実験的なアレンジの方が好きなのだが、ナイジェル・ケネディ以来続くクラシカル・クロスオーヴァーの流れは今やひとつの大きな潮流になったと言えよう。彼らによって「クラシックって難しい」というイメージが打ち破られるなら大歓迎だ。
デイヴィッドは現在プロモーション来日中でテレビ出演やインストア・イベントを行っているから目にする機会も多いだろう。そのルックスとユニークなプレイに酔いしれてほしいものである。
クラシック
全然難しく
ありません
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