<雌豹VS猛虎>新宿ロフト2daysの初日。
観客は7:3でキノコの胞子(ファン)の方が多い。出演順は初日がキノコが後で、二日目は撃鉄が後とのこと。
撃鉄は一度観たことがあるが、ヴォーカルの天野ジョージ氏のハチャメチャなパフォーマンスばかり記憶に残っていて肝心の演奏の方は”UK Rockっぽいビートパンク"といった印象しかなかった。2007年に本格的に活動開始、2009年のFUJI ROCKルーキー・ステージに出演したという活動歴はキノコホテルと比べて遜色ない、というかFUJI ROCKの分だけ勝っている気がするのだが、ステージでのMCは後輩バンドのようにマリアンヌ支配人に対して謙った態度で一貫していたのが面白かった。「初めて対バンした時にマリアンヌに乳首を摘まれた」とか「この二日間で必ず落としてみせる」とか言いたい放題だったが。タイトなドラムと骨太なベースの強力なファンク・ビートと切れ味鋭い硬質なギターに奔放なヴォーカルが乗るスタイルは外国でいえばギャング・オブ・フォーやワイヤー、日本でいえばじゃがたらや後期ばちかぶりを彷彿させ観ているうちに自然に身体が動いてしまう。客席に飛び込むのは当たりまえ、天井から逆さ吊りで歌ったり、トレードマークの虎のぬいぐるみに股がって客の上をサーフィンしたり、天野氏の破天荒な行動が彼らの武器である。メジャー・デビュー前の毛皮のラリーズの志磨遼平氏がやはり客席に乱入し暴れるイギー・ポップ的なパフォーマンスで売っていたことを考えると撃鉄が近い将来大ブレイクすることも充分あり得る。一度観る価値のあるバンドである。ちなみに天野氏は2/19が27歳の誕生日とのこと。
いよいよキノコホテルの登場。ステージ前のスクリーンがあがると、マリアンヌ嬢以外の3人がセッティング済でノイジーなサウンドを奏でる。そこへマリアンヌ支配人が大きな赤い扇子を振りながら登場。今年2度目のライヴということで挨拶も「あけましておめでとう」。絶叫シャウトをフィーチャーした新曲からキノコ・ワールドへと観客を引き摺り込む。「白い部屋」「もえつきたいの」「危険なうわさ」「非情なる夜明け」「風景」「キノコノトリコ」「キノコホテル唱歌」「真っ赤なゼリー」などお馴染みの曲に加え昨年半ばからレパートリーに加わった新曲も数曲披露。アレンジが大きく変わっている曲もあり、日を追って曲が成熟していく様子が伺えて興味深い。観客の多くは何回も観ているから新曲でも既発曲と同じように盛り上がる。ステージ前はモッシュの嵐。ロフトでのキノコはいつもに増して挑発的だ。ファービー嬢(ds)はまた顔が丸くなったようだがいつも笑顔で観ていて清々しい。
マリアンヌ嬢が"支配人コール"に応えて登場したアンコールでは「愛人共犯世界」のあと一旦引っ込み、上半身裸の撃鉄の天野氏に犬のように首輪を付けて再登場。天野氏の乳首にSM用チェーンを付ける。曲はイギー・ポップの「I Wanna Be Your Dog」。キノコをバックに天野氏が歌う。最後はヒョウ柄のTバックを脱いで全裸に。キノコのメンバーは逃げるように退場。対バン企画ならではのユニークなサプライズだった。
ちなみに二日目19日は撃鉄をバックに支配人がスターリンの「ロマンチスト」を歌ったが、撃鉄メンバーは下の写真のような悲惨な有様。
ヒョウ柄は
撃鉄ファンの
お気に入り
物販でキノコTシャツを買うもサイズが思ったより小さくあえなく家人のモノに。無念である。