ザ・クロマニヨンズ「ACE ROCKER 2012ツアー」は2/9鹿児島からスタート。6月末まで4ヶ月に亘って続く。東京公演・渋谷AX 2daysの二日目に参戦した。ツイッターなどでは地方公演および東京初日を観た人のつぶやきが次々飛んでくるが、出来るだけ読まないようにして真っ白な気持ちで新しいロッケンロール・パーティに挑んだ。凍りつくように寒い夜、会場に近づくにつれ気持ちが高ぶってくる。彼らが2006年にデビューしてから毎年ライヴに参戦してきた。毎回ヒロトと一緒に歌って踊って楽しんで。今夜も同じことが繰り返される訳だが、この気持ちの高揚ぶりは一体何なんだろう。何故何回観ても飽きることがないのだろう。ブルーハーツ~ハイロウズ時代から観てきたのでもう25年以上ヒロト&マーシーを追いかけ続けていることになる。灰野さんのライヴに通い始めて10年余りだから、それよりも長い間ヒロト&マーシーの演奏を聴いてきたわけだ。毎回異なる灰野さんの演奏に比べて、ヒロト&マーシーのパフォーマンスはブルーハーツのデビュー時からずっと金太郎飴のように同じままである。マンネリを貫くことの凄さ、これを体現しているのがこのふたりなのである。
この日のAXも下は小学生から上は恰幅のいい紳士まで幅広い年代の観客が集まった。これだけ年齢層の広いロッケンロール・バンドは他にいない。50近いおっさんが鳴らす爆音ビートに会場を埋め尽くした観客全員が熱狂する。これほど一体感のあるライヴは他にはない。踊っているうちにその秘密がわかった。観客全員が「ヒロト状態」なのである。例えば誰も灰野さんのように演奏できはしない。ゆらゆら帝国の音楽は素晴らしいが誰も坂本慎太郎氏の真似をしようとはしない。サザンやX Japanの人気は国民的なものだが、観る者が自分を投影したりはしない。でもヒロトにはなろうと思えばなれるのだ。ライヴで声を張り上げてシンガロングし、ヒロトの煽りに両腕を突き上げて応えれば、ポコチン出さなくても誰でもヒロトになれる。一億三千万人総ヒロト。それは夢じゃないしバカな政治家に中指を突き立てつつ「今日は最高!」と心から叫ぶことがこの国の将来を約束してくれるのだ。
ちょっと観念的なことを書きすぎた。アンコールのMCでヒロトは言った。「大変な事もあるけど、何やっても、みんな上手くいくから、勇気だしていけよ~!」。生きる勇気。確信に基づいた楽天主義。それこそロッケンロールのあり方なのだ。1時間半があっという間に過ぎた。観客全員笑顔で輝いている。今を生きる幸せ。この場を共有する幸せ。全裸にTシャツを履いてアンコールを歌ったヒロトの姿は過去の歴史の重みを微塵も感じさせない。
♪今日走ってゆく 今走ってゆく 明日とかわからないし 別にいい♪ from「紙飛行機」
Set List
1.他には何も
2.欲望ジャック
3.バニシング・ポイント
4.ゴー ゲバ ゴー
5.シャイニング
6.ハル
7.ライオンとサンシャイン
8.伝書鳩
9.連結器よ永遠に
10.ムーンベイビー
11.あったかい
12.スピードとナイフ
13.グリセリン・クイーン
14.底なしブルー
15.ひらきっぱなし
16.オートバイと皮ジャンパーとカレー
17.紙飛行機
18.エイトビート
19.雷雨決行
20.ナンバーワン野郎!
--Encore---
21.49cc
22.ギリギリガガンガン
23.弾丸ロック
いいライヴ
美味しい食事
楽しい会話
このために自分は生きているんだと心から思った。