A Challenge To Fate

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田名網敬一 個展~新作アニメーションとドローイング@NANZUKA 2012.7.13 (fri)

2012年07月14日 01時05分50秒 | アート!アート!アート!


日本を代表するサイケデリック・アートの巨匠、田名網敬一さんの新作個展が今年も渋谷のアート・ギャラリーNANZUKAで開催されている。今年の個展は、来週21日には76歳の誕生日を迎える高齢ながら、年々エスカレートしていく色彩と異形が"不可避的に爆発するプラスティック(The Exploding Plastic Inevitable by Andy Warhol & Velvet Underground)"状態で壁一面を覆い尽くしている。昨年は大きな金魚少女のオブジェがギャラリーの真ん中に鎮座していてそれに神経を集中することが出来たが、今年は田名網さんの脳内のジャングルに迷い込んだような圧倒的な脅迫空間にただ呆然とするしかない。どの絵が特別いいかではなく100枚近く貼り巡らされたドローイング全てが一体となって最新の田名網ワールドを形成しているのである。


奥の部屋では新作アニメーション「Red Colored Bridge」が上映されている。時間が早かったので一人きりで目くるめく映像美を堪能することが出来た。「この世とあの世を渡すクロスポイントとしての橋」は金魚と少女と並ぶ彼の長年のテーマであるがその複雑怪奇な世界は何度観ても迷宮巡りで飽きることがない。幻視者特有の狂気に満ちた眼差しは我々凡人には理解できない物事の本質の裏の裏を垣間見てしまった者だけに備わったものである。



会場では田名網さんの素晴らしい画集が数冊販売されているが、毎年買おうと思いつついつも諦めてしまう。日常生活に田名網さんの世界を持ち込むことで今の生活全般が大きく変質してしまうかもしれない、という懸念が頭から去らないのである。草間彌生さんの7歳年下であるが、どちらも日常を裏返す危険に満ちた芸術家である。"芸術は現実を映す鏡"と言われた時代からもはや100年以上経ち、シュールレアリズムもダダイズムもポップアートも歴史の1ページに収まってしまった現代に於けるアートの意味とは何なのか、そんなことをつらつら考えてしまう展覧会だった。

「私にとってドローイングすることは食べることと同じことかもしれない。色鮮やかな食卓をながめながら、空腹が満たされてゆく時のなんともいえない満足感と幸福感、ちっぽけな悩みなど一瞬にして消し飛んでしまう。筆から放たれた線描は、私の意志とは関係なく空間を自由自在に飛翔し、想像外の展開をみせるのである。目の前に散乱した多彩なドローイングをみていると、御馳走のならんだ食卓をみているような幸せな気分になる」。-----田名網敬一

田名網さん
脳裏のスクリーン
見せてケロ

田名網敬一 新作個展
日程 : 2012年7月7日(土) - 8月5日(日)
会場 : NANZUKA [ACCESS MAP]
営業時間 : 火曜日-日曜日 11:00 -19:00(月祝定休)

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