A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

小さいテレーズ/直江実樹/シベールの日曜日@江古田 Flying Teapot 2012.7.15 (sun)

2012年07月17日 00時27分52秒 | 素晴らしき変態音楽


「Le petit soleil dans l'eau」というイベント。
シベールの日曜日のTwitterで偶然知った。シベールを観るのは6ヶ月ぶりだし、先日吉祥寺Forth Floorでの演奏が良くて知り合いになった短波ラジオ奏者の直江氏、こちらも久々の小さいテレーズというナイスな組み合わせで、チャージが1000円というお得なイベント。フライング・ティーポットも久しぶりである。

今までになく多くのお客さんが来ている。この会場で二桁の動員を見るのは初めてだ。壁中にテレーズのアガサ森田氏の写真が飾ってあるので、何かと思ったら「Le petit soleil dans l'eau」とは女性写真家necome嬢が大好きなバンド、小さいテレーズのアガサ森田氏を被写体に撮影した写真とグラフィックの展示会のライヴ・イベントだった。受付の可愛らしい女性がnecome嬢だろう。観客も同世代の若者が多い。

最初に小さいテレーズが登場。アガサ森田氏(vo.g.b)、鈴木拓也氏(g)、小指嬢(ds)のトリオのへなへなサイケデリック・バンドであり、今まで何回も観たことがある。このイベントは照明代わりに壁面へプロジェクターでサイケな映像を投射し、独自の雰囲気を作り出している。アガサ氏のアームとディレイを多用した音程の定まらないグニャグニャしたギターと小指嬢の女性らしからぬ叩きまくりのドラムが面白い。何といってもアガサ氏のロングヘアーと眉を剃った妖怪チックなルックス、ベルボトム・ファッションが印象的である。演奏は他のどのバンドとも違ったヘタレ感(褒め言葉)があって個性的なのだが、ヴォーカルも一緒にヘタレているのはどうかと思い以前「ヴォーカルをなんとかしたい」と記事に書いたところ、アガサ氏本人から「どういう意味でしょうか」とコメントが入った。趣味の問題だと丁寧に答えたら「参考になります」との返事で、ちょっと不気味な見てくれにしては素直な青年だなと思った。この日の演奏はインストが多くヴォーカルが余りなかったが、映像と上手くシンクロしたユルい酩酊感が心地よかった。



次に直江実樹氏。ライヴ前に挨拶したら「今日は若者ふたつに挟まれて大変だ」と言っていたが、前回同様ソニーのヴィンテージ短波ラジオにディレイだけ繋いだだけでアンビエントな環境音からシンセ風の電子音、轟音ハーシュノイズまで多彩な音色を作り出すパフォーマンスは驚異的。大抵のノイジシャンが大量のエフェクターをテーブルに並べて演奏することを考えると、たった一台のラジオをココまで変幻自在な"楽器"にしてしまう直江氏の才能は素晴らしい。ブログを読めば判るが、7月はフライング・ティーポットだけで3回、計10回のライヴを行うという精力的な活動をしているので機会があればご覧いただきたい。



最期がシベールの日曜日。vo.gの坪内和夫氏以外メンバー・チェンジをしてサイケデリック・バンド愛のために死すのリズム・セクションが参加してから約1年になる。この日はアコースティック・セットの予定で坪内氏がアコギを持ってきたが、サウンドチェックで弦が切れるハプニングが発生。急遽アガサ氏のストラトを借りてエレクトリック・セットに変更。ただし会場的に爆音が出せないので音量はアコースティックに近いしっとりした演奏になった。まさに裸のラリーズの水谷氏のソロ音源集「MIZUTANI」を彷彿させる歌心溢れる世界を展開した。実際彼らのライヴは轟音ギターが唸りを上げる激しいモノだが2枚のCDはフォーキーな演奏で歌メロの良さを聴かせる内容なので、ライヴでCDを再現したとも言える。サイケな照明もピッタリでドリーミーな世界を堪能。



各出演者30分の演奏でずいぶん早く終わったなと思ったら、最後にセッションがあると言う。シベールの3人にアガサ氏、直江氏が加わったセッション。前半はアガサ氏がg.vo、坪内氏はカウベルを担当。へなへなギターにカウベルがカンカン響く微妙な世界。直江氏のノイズが空間を埋める。後半はギターを坪内氏に任せ、アガサ氏はヴォーカルに専念。これがとても良かった。ハンマービートにサイケなギターと飛び交う電子音、それに乗せて歌うアガサ氏はまるでダモ鈴木さん状態で吠える。テレーズでのへなちょこヴォーカルではない。アガサ氏の歌はヘタレじゃなかった!これは意外な発見。ドロドロの照明にラリった演奏、これは正にコズミック・ジョーカーズ(クラウトロックの猛者によるドラッグきめきめセッション)である。40分のフリークアウトは最高だった。



終演後坪内氏と話す。新作CD2枚組が完成間近だが、通常の小売店ルートとは違った販売方法を検討中とのこと。この不況下、インディー盤取扱店の取引条件がアーティスト側に不利になっていると言う。坪内氏は以前ディスクユニオンで働いていたので業界の内情に詳しい。近年アナログ・レコードが復活しており新作はアナログ盤も出したいと考えているそうだ。テレーズもアナログを出すらしい。

友人と夕食して別れ大江戸線のホームに行くと、丁度帰るところのアガサ氏たちに出会った。ドラムの小指嬢と仲良しのバンドねたのよいのメンバーも一緒だった。みんな高円寺方面だったので一緒に話した。セッションの歌が良かったと言ったら「テレーズだと恥ずかしくて大きな声が出ない。歌詞もないし」とのこと。自信を持って、とアドバイスした。ゆらゆら帝国の初期が大好きだと言う話、灰野さんの映画の話などをした。「ドキュメント灰野敬二」は初日に行ったそうだ。映画のオフィシャルTwitterで「そしてさらに感動したのはこちら、御客様が灰野さんに手作りクッキーを焼いてきてくださいました!灰野さんクッキー!感激ですっ 」と呟かれていたが、そのクッキーは何とアガサ氏が作ってプレゼントしたものだったことが判明!


また映画の中で灰野さんが「僕の夢はまた髪を腰まで伸ばすこと」と語っているのに感動して、髪をさらに伸ばすことに決めたとも言っていた。ねたのよいも長髪バンドだし、Bo Ningen、下山 Gezanなどアングラバンド界はプチ・ロングヘアー・ブームである。そのうち「長髪バンド特集」でもやろうかな~。

テレーズちゃん
へなへなサイケ
いいやんけ

小指嬢はテレーズのビデオ撮影担当だったが、2年前にメンバー脱退により急遽バンドに参加したそうだ。適当にドカドカやってればいいだろうとドラムを選んだと言う。このいい加減さが独特のユルい味を出しているんだな~と納得。

コメント
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