A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

単行本「捧げる 灰野敬二の世界」

2012年11月10日 02時55分44秒 | 灰野敬二さんのこと


挑みつづける不失(者)------
灰野敬二の世界を開示し、
そして黙示する、
はじめての書

捧げる 灰野敬二の世界
11月21日発売
河出書房新社
3150円(税込)
単行本 320ページ

<目次>
はじめに ----灰野敬二

対談
音楽を求めて、「音楽」から離れて:灰野敬二×ジム・オルーク(ミュージシャン)
せめぎあう両極 言葉と即興:灰野敬二×佐々木敦(批評家)
生まれ、変わる細胞 生命・身体・場と意識:灰野敬二×後飯塚僚(東京理科大学生命医科学研究所教授)

論考 世界から見たKeiji Haino:各国のライター、イベンター、キュレーターが語る「灰野敬二」観 ヒグチケイコ他

ディスコグラフィ:175作品の紹介・論評 文:福島恵一

活動記録:1970年~2012年における1500回のライヴ・クロニクル

あとがきにかえて 灰野敬二インタヴュー

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元ロック画報編集長の加藤彰氏から「大変ご無沙汰しております/突然のメールにて失礼いたします」とタイトルされたメールが届いたのは今年の1月11日だった。加藤氏とは20年近く前、氏がミュージック・マガジン編集部在籍中にお世話になったことがあり、同社を辞めたあとは暫く付き合いがなかったのだが、2002年8月17日法政大学学生会館大ホールで開催されたHEAD RUSH=灰野敬二(vo.g)+PILL(ds.vo)+RECK(b.vo)のライヴで再会した。HEAD RUSHはフリクション活動休止以来6年ぶりにRECKさんがステージに復帰するというので一部で話題になり、サマーソニックと日程が重なっていたにも関わらず、湯浅学氏、小野島大氏、Studio Voiceの松村氏、フールズ・メイトの石井氏等のジャーナリストやチコヒゲさんや恒松正敏さんをはじめミュージシャン仲間も目に付いた。ライヴ後に加藤氏他数人で飲みに行き旧交を温めた。その後加藤氏とは数回連絡を取ったがやがて疎遠になった。

昨年からTwitterやFacebookにより昔の知り合いと再会することが増え、加藤氏ともSNS上の友達になった。特に直接コンタクトすることはなかったが、私のブログを読んで灰野さんへの傾倒ぶりを知っていた様子。久々のメールには「灰野敬二さんの単行本をつくる話をある出版社に提案しており、その件で相談できないか」との旨が書かれていた。今年5月の60歳の誕生日に合わせての発刊を提案しているとのこと。ドキュメンタリー映像の制作が進んでいることは昨年1月の不失者の心斎橋クラブクアトロ公演で灰野さんの口から聞いていたが、裸のラリーズ特集号を最後に休刊になったロック画報の加藤氏が灰野さんの単行本を計画しているとは、と驚きつつも、自分に相談してくれたことに感謝しつつ、是非とも協力したいとの返事と共に灰野さんへの思いを綴ったメールを送った。

加藤氏は1月24日の新宿JAMの「裏窓presents金子寿徳/光束夜トリビュート kaneko jutok 1958-2007」に出演した灰野さんに挨拶に来て10年ぶりに会ったが、ライヴ後の楽屋なので落ち着いて話すこともできず、住まいが近かったこともあり改めて会って相談することになった。日曜日の昼間に70年代からある穴蔵のような珈琲店で待ち合わせした。その前に掲載予定のディスコグラフィ用の音源を借用したいと作品リストを送ってきた。私のCD/レコード・ライブラリーは凄まじく乱雑を極めているが、幸運にも灰野さん関連の作品だけはまとめて一か所に保管していたのですぐに確認出来て、必要な作品50点近くをピックアップした。珈琲店で渡された企画書には、インタビュー、完全ディスコグラフィ&年表に加え、「証言60人が語る灰野敬二」という案があり所縁のミュージシャンや音楽関係者のリストも付されていた。これから灰野さん本人とも相談の上内容を詰めていきたいとのことだった。

灰野さんと出版社の編集担当者との相談の結果「証言」は掲載しないことになり、2本のインタビューと論考、ディスコグラフィと活動年表からなる構成にする方向だとの連絡が来た。ついては年表作成を依頼したいとのこと。しかし私が灰野さんのライヴに通い始めたのは2001年からなので、相談の結果2001年~2012年を私が担当することになった。2月12日の下北沢LADY JANEでの太田惠資氏とのデュオ・ライヴの終演後に加藤氏とインタビュー部分を担当するStudio Voiceの松村氏と共に灰野さんを交えてミーティングをし、灰野さん自身が単行本の制作に深く関わり綿密に内容を詰めて行くことになった。ドキュメント映画と歩調を合わせたいとの方針には全員賛成だった。

5月3日の誕生日に間に合わせるためには3月半ばに入稿しなければならない。灰野さんのホームページの過去ライヴ・データとアメリカのUnofficial Keiji Haino Website掲載のデータを元に自分の記録と照らし合わせて年を追って纏めて行った。ホームページには掲載されていないライヴや、ソロとなっているが実際には他のミュージシャンとのセッションだった公演等もあり、日記やブログにライヴの模様を記載してきたことが役に立った。約780公演に亘る年表を仕上げて締め切り前に送った。

インタビュアーはジム・オルーク氏に依頼することになったが、ジムも灰野さんもツアーで忙しく日程の調整がつかず難航したらしい。やっと調整出来て第1回目のインタビューが行われたのは4月25日。既に発刊日は7月以降に延期されていた。映画の方も最後まで灰野さんが拘り抜いて制作したため完成が7月7日の公開日ギリギリになったとのこと。

年表の初校ゲラが上がったのは5月下旬。加藤氏が作成した1970年~2000年を併せると87ページにも及ぶ長大な記録になった。その内2000年以前は39ページ。残る48ページが2001年~2012年にあたる。つまり40年余りの活動の半分以上がここ11年間に行われた訳だ。21世紀の灰野さんのライヴ活動の活性化が紙面によって明らかになったのである。それをリアルタイムで経験できたことは何と幸運だったのだろう。

少し経ってディスコグラフィのゲラもチェックのために送って来た。全175作の作品をソロ/不失者/滲有無/ロスト・アラーフ/Vajra/コラボレーション/コンピレーションに分けて福島恵一氏が分析。単なる紹介に終わらず作品の本質を抉り出した解説は、ひとりの評論家が全て通して吟味した上で初めて可能なもので、よくある複数のライターによるレビューとは全く異質の論評である。91ページに亘るこれまた長大なもの。

それ以外は私は関わっていないので3本の対談や、灰野さんの海外オーガナイザーのヒグチケイコさん他による論考等の詳細・内容については判らない。これは本が出来上がってからのお楽しみだ。

表紙に関しては灰野さんの意向を汲んでアーティスト本としては異例の顔が出ないデザインになった。これは出版元の河出書房新社の理解が得られて実現したもので、普通はアーティストの顔写真の載っていない表紙に出版元のOKは出ないとのこと。作者が「灰野敬二他」となっているのは、映画「ドキュメント灰野敬二」同様に灰野さん本人がとことん関わったことを示している。






ありえない
真実が今
明かされる?

不失者のローディーとして地方ツアーも含め同行した鳥を見たのベーシスト山崎怠雅氏がコメント欄に投稿した。

「スタッフとして関わったのですが、マジックのタネは最後まで明かされませんでした。」

この本を読んでも結局謎は謎のままなのかもしれない。

<灰野敬二ライヴ情報>

11.12(月) 南青山 MANDALA <研ぎすまされた『愛している』という響き> 灰野敬二ソロライブ
11.18(日) 渋谷公園通りクラシックス 「肉体と肉声」灰野敬ニ(ギター・パーカッション・ダンス)+原田雅嗣(ピアノ・声)
11.22(木) 心斎橋 島之内教会 「肉体と肉声」灰野敬ニ(ギター・パーカッション・ダンス)+原田雅嗣(ピアノ・声)
11.24(土) 和歌山市OLDTIME 裸族×お還りなさいpresents 「裸に還りな祭 vol.4」
11.27(火) 岡山 パダンバダン
12.15(土) 新大久保EARTHDOM BIGスパゲティ企画 「雑煮音鍋セッション祭VOL.3
12.21(金) 六本木SuperDeluxe SDLX十周年記念ワンマンLIVE 不失者
12.24(月・祝) 秋葉原CLUB GOODMAN 「静寂」 Last Live ブラック・クリスマス
12.30(月) 高円寺ShowBoat 灰野敬二 ワンマンライブ
コメント (3)
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