夏の魔物～恵比寿さまはレインメーカー？ 金の雨振らせて気分上々↑↑～
アーバンギャルド／0.8秒と衝撃。／でんぱ組.inc／BiS／SILLYTHING＋ハジメタル(ex.ミドリ)＋prkr(-PF AUDIO-)＋ケンドー・ツ・シマ(dry as dust)
SILLYTHINGゲスト.ROLLY／和嶋慎治(人間椅子)／夢眠ねむ(でんぱ組.inc)
DJ.桃知みなみ／FREE THROW(弦先誠人、神啓文、タイラダイスケ)
9月22日に青森県夜越山スキー場で開催されたロックフェスティバル「夏の魔物」のアフターイベント。主催者のSILLYTHINGをはじめフェス参加バンド5組が出演。アーバンギャルドはもちろんだが、最近あちこちで話題の0.8秒と衝撃。、さらに新世代アイドル・グループ2組の出演が魅力的。寒い平日の夜だったがリキッドルームはアーバンギャル＆ギャルソンとアイドル・ヲタの方々の熱気が溢れている。アーバンのファンにとってはでんぱ組.incもBiSも7月の「アーバンギャルドの病めるアイドル五番勝負！！！！！」で対バンしたので馴染みがあるハズ。しかし観客の7割を占めるアイドル・ファンにアーバンギャルドや他の2組のロック・バンドが受け入れられるかどうかが楽しみだ。
トップがアーバンギャルド。格でいえばトリを努めて当然だが、現在「ガイガーカウンターカルチャーツアー、或は生き残るための。」で全国ツアー中の彼らは翌日京都公演でこの日の夜に旅立たなければならないので、最初の出演になったとのこと。客席前半分は血玉フラッグが一斉に乱舞する盛り上がりだが後ろに控える男性ファンはその乗りに唖然としているのか、大人しく眺めている。2曲やって早くも恒例コール＆レスポンス。ここではアイドル・ファンも「大好きで～す！」と大声で応えていたので楽しんでいる様子。天馬氏の最近のお気に入りは「動物の森」らしく、従来のスカイツリーの代わりに「飛び出せ、動物の森！」と叫んでいる。「コミック雑誌なんかILLかい」ではブリッツ・ワンマン同様パーカー＆サングラスのラッパー姿。ヒップホップ風味が新鮮でライヴ定番曲になるだろう。6曲で40分弱のショート・ライヴだったが、コンパクトにまとまっていてアーバン初心者には親切なセットリストだった。
＜Set List＞
1.さよならサブカルチャー
2.病めるアイドル
3.ベビーブーム
4.コスプレイヤー
5.コミック雑誌なんかILLかい
6.堕天使ポップ
▼アイドル時代のステージ。観客のアイドル乗りが楽しい。
アーバンが終わるとステージの機材が撤去され、前列に男性陣が群がる。でんぱ組.incの登場だ。一斉に手拍子とペンライトの嵐。7月にアーバンの対バンで初めて観た新世代アイドル・グループがこの6人組で、アイドル・ヲタの凄まじいノリに驚愕した。彼女たちの曲はテンポの良いアゲアゲの曲が多く、入れ替わりで歌うスタイルが楽しい。ファンの振るペンライトの色がメンバーそれぞれのカラーに変わるのに気がつきちょっと感動。全員高周波のアニメ声なのでMCでは何を言っているのか聞き取れない部分もあるが、ヲタの方々が「せーの！」の合図で見事に統制のとれたレスポンスするのが興味深い。目紛しい展開のアクションとサウンドに、でんぱ組.incをアイドル界のスラッシュ・メタルと呼びたい。
ステージが終わるといきなり大音量のアイドル・ソングが流れる。アニキャラの被り物をしたDJ桃知みなみ嬢の登場。「みんな行くわよー！」というアニメ声で客を煽りながらアイドル／アニソンをかけまくる。観客もでんぱ組.incのノリそのままに両手を挙げて大騒ぎ。アキバのアニソンクラブのノリが恵比寿に再現された。
3番目がフェス主催者のSILLYTHING。色んなゲストが参加したのでバンドの実態が掴めないが、基本はお祭り好きなJ-ROCKバンドである。 人間椅子の和嶋慎治氏がブラック・サバスの「アイアン・マン」のリフを弾く。若いお客さんは判っているのかどうか？意外に盛り上がっている。途中で客席後ろからプロレスラー姿の男性二人が現れてステージに上がる。和嶋氏に続くゲストはROLLYさん。この人も歳取らないな～。ギュイーンと音程が変わるエフェクターを駆使してグラマラスな演奏。すかんちの「恋のマジック・ポーション」も披露。続くゲストはでんぱ組.incのねむきゅんこと夢眠ねむ嬢。ソロで聴くと意外に歌が上手いことに気づく。ちゃんとボイス・トレーニングを受けているのだろう。ロック・サウンド＋アニメ声がなかなか新鮮だった。
みなみ嬢がますます盛り上げ会場のムードが最高潮に達したところで次なるアイドルBiSの登場。観客はすっかり出来上がっていてでんぱ組.incを超える凄過ぎるモッシュが起る。かつてアナーキーの親衛隊とリザード・アーミーが反目しあっていたような派閥争いは一切ない。さっきでんぱ組.incで大騒ぎした客がそのままBiSのTシャツに着替え盛り上がっている。面白いのはアイドル・ヲタの必殺武器ペンライトが殆ど使われないことである。囚人のような横縞の衣装もアイドルらしい派手さはない。しかもメンバーのひとりワッキーが怪我のため欠席。それに関係なく大波が打ち寄せるように波打つヲタの海。ワッキー・コールも起る。BiSの曲はハードロック・ギターを取り入れロック色が強いが、基本は80'sユーロビートである。存在感と音楽性が他のアイドルよりもマニアックに屈折しているのでファンの思い入れも一際強烈なのであろう。非常階段と共演するのも納得できる。後で見るとBiSシャツの女性客の姿もかなり目についた。耳を圧する大音量のダンス・ビートで、BiSはアイドル界の裸のラリーズと言えよう。
最後は「アーバンギャルドさんが都合が悪かったので予想外にトリになってしまった」という0.8秒と衝撃。BiSが散々盛り上げた後にロック・バンドとはかなりやりにくかっただろうが、帰らず観て行こうというヲタの方々もかなりいる。YouTubeで観た限りでは、クラブ・ビートを取り入れたデジロックという印象だったが、それはいい意味で裏切られた。ダンサブルであるが、クラブ系ではなくお祭り系のアゲアゲ・ギター・ロックだった。実際に「盆踊りを踊りましょう！」とお祭りビートで踊らせたり、オシリペンペンズのモタコ氏を思わせる「おおきに！」という関西弁の台詞を連発したりで、ヲタの男性陣も前列で盛り上がる。ボーカルがブライアン・ジョーンズの、ベースがジーン・シモンズの、それぞれ顔のイラストがプリントされたTシャツを着ていることに、ロック・レジェンドへの憧憬が伺える。去り際に「高木ブーさんがリリースしたウクレレ版ビートルズ・アルバムのタイトルは.....『レット・イット・ブー！』」と言い放って終了。
4時間に亘るイベントだったがバラエティに富んでいて飽きなかった。
今の時代にロックとアイドルを別モノ扱いするのは間違っているということを実感した。
夏終わり
魔物も住処に
帰ります
夏の魔物アフターイベントは名古屋・大阪でも開催される。
●夏の魔物～天むす～天然むすめ～10musume～(予定）
11.22 名古屋CLUB UPSET
BiS／タルトタタン／KETTLES／しず風&絆～KIZUNA～／SILLYTHING＋ハジメタル(ex.ミドリ)＋prkr(-PF AUDIO-)＋ケンドー・ツ・シマ(dry as dust)
●夏の魔物～虎将も合格点！Fandangoイケるやん！～
11.23 大阪 ファンダンゴ
BiS／タルトタタン／KETTLES／SILLYTHING＋ハジメタル(ex.ミドリ)＋prkr(-PF AUDIO-)＋ケンドー・ツ・シマ(dry as dust)
＜アーバンギャルド ガイガーカウンターカルチャーツアー、或いは生き残るための。＞
11/18(日）福岡 VIVRE HALL
11/19(月）広島 ナミキジャンクション
