A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

テレヴィジョン/チャールズ・ヘイワード@下北沢GARDEN 2013.5.2 (thu)

2013年05月04日 01時49分04秒 | 素晴らしき変態音楽


英国音楽/VINYL JAPAN presents
【TELEVISION】
TELEVISION:TOM VERLAINE/BILLY FICCA/FRED SMITH/JIMMY RIP
Special Guest:CHARLES HAYWARD ( ex:THIS HEAT , V4VICTORY / MASSACRE )

1月のパティ・スミスに続くニューヨーク・パンク・レジェンドの21年ぶりのワンマン来日公演。シンプルなロケンローで社会への不満を歌うロンドン・パンクに比べニューヨーク・パンクは知的で文学的というイメージがあるがその根拠がパティと彼らにあることは間違いない。「ロック界で一番綺麗な首の持ち主」とパティに言わしめたトム・ヴァーレインの不安定な歌とリチャード・ロイドとのクリスタルな音色の痙攣ツイン・ギターは空白の世代=ブランク・ジェネレーションの象徴である。1992年のテレヴィジョン初来日公演は観ていないが1987年のトム・ヴァーレイン単独ツアーはよく覚えている。高校時代のヒーローの初来日に興奮して仕事が手につかなかった。会場は五反田ゆうぽうとか新宿厚生年金か公共ホールだった。テレヴィジョンの曲はやらなかったと思うがトムがそこにいて「あの声」と「あのギター」を聴けるだけで幸せだった。涙が出て止まらなくなりこのまま死んでしまっても構わないと思った。感動の余りソールドアウトの二日目の公演チケットをあらゆる手段を駆使して入手した。当時60年代サイケにのめり込んでいたのでアンコールでカウント・ファイヴの「サイコティック・リアクション」を演奏したのに感激したのを覚えている。

テレヴィジョンはスタジオ・アルバムは3枚しか残していないがどれも不思議な感触がある。若い頃愛聴したレコードを後に聴くと多少なりともセピア色に彩られたノスタルジアの香りがするものだが彼らのアルバムにはそんな感傷は感じない。聴く度に初めて聴くような新鮮な驚きに包まれる。初めて聴いてから35年余り経つのにこの気持ちの高ぶりはなんだろう。しょっちゅう聴く訳ではないがiTunesやiPodに入れておくと安心するお守りのような存在。自分の中でこれほど大きな存在だとは25年ぶりに本人を目の前にするまで気がつかなかった。

●チャールズ・ヘイワード


4日前にマサカーを観た下北沢GARDENは満員大盛況。往年のファンも多いが後進に多大な影響を与えたバンドだけに若い男女も多い。前日に突然ゲストとしてチャールズ・ヘイワードの出演が発表された。恐らくチャールズ本人の希望だろうが嬉しいサプライズである。昨年V4 VICTORYを率いての来日公演は観たがソロは初めて。足でプリセット音源を操作しながらドラムを叩き歌う。スタイルこそ吉田達也のRUINS aloneと同じだが表現コンセプトは別のベクトルを持つ。吉田が複雑な変拍子でプログレ的表現をするのに対しチャールズの演奏は硬質なクールネスと残忍なシャープネスに満ちたポストパンク。アイス世代と呼ばれたディス・ヒートを彷彿させる。1st LP「ディス・ヒート」日本盤のキャッチコピー「人類警告への黙示録」さながらに鳴り響く非常ベルの中目を見開いて鬼の形相で叩き歌うチャールズは正真正銘現代に生きる表現者に違いない。



●テレヴィジョン


期待感が静かに高まるセットチェンジのあと教会の鐘のSEに乗せ4人が登場。63歳のトムをはじめ皆齢を重ね風格があるが顔つきはデビュー・アルバムのジャケットそのままなのが嬉しい。トムはトレードマークのジャズマスターではなくストラトモデル。「あのギター」の音色が流れ出しデビュー・アルバム1曲目「シー・ノー・イーヴル」がらスタート。ヴォーカルも「あの声」そのまま。背筋が痺れるような感覚。トムが「我々の新ギタリスト!」と紹介したジミー・リップの素晴らしいビブラート・ギターが見事にハマっている。リチャード・ロイドがいなくてもこの4人こそ「新生」テレヴィジョンなのだと納得。一曲ごとにギターのチューニングを変えるのを見てソニック・ユースの変則チューニングのルーツはテレヴィジョンにあるのかもと思った。初期レパートリーを一通りやってから新曲を数曲披露。1992年の初来日は再結成アルバムの曲ばかりでイマイチ評判が良くなかったようだが今回は新メンバーになって心機一転、独創性溢れる秀逸な曲想と冒険精神に満ちた説得力充分の演奏。特にワンコードでインタープレイが延々と繰り広げられるラーガロック・ナンバーは「リトル・ジョニー・ジュエル」や「マーキー・ムーン」に匹敵するサイケデリック感があり無限の精神トリップに誘う。すかさず「ヴィーナス」で号泣させる流れはヒキョウと言うしか無い。完全に4人の虜となった観客は陶酔の余り踊ったり喚いたり本能を剥き出しにする。必殺「マーキー・ムーン」で本編終了。定番「サイコティック・リアクション」のアンコールが終わって客電が点いても怒号のようなアンコールの拍手は収まらない。それに応えて二度目のアンコール。これは異例のことらしい。それだけ日本でのステージおよび観客に満足した証しだろう。



ニューヨーク発
官能的な
テレビ放送

【関係者にお願い】
メンバー紹介でジミーが「トム・ヴェルレーヌ」と呼んだように聞こえた。確かに1月のサイン会でパティ・スミスに「トム・ヴァーレイン」と言ったら通じなかった。Verlaineの正式な発音はどちらなのか?公演関係者の方が読んでいたら本人に確認していただけないでしょうか。

<TELEVISION 再追加公演>
2013.5.10(水)高円寺HIGH Special Guest Band: dip/ザ・シャロウズ
詳細はコチラ










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