3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8
DAY 6『テクノ・ポップ/Techno Pop』
ニューヨーク MoMAやデュッセルドルフ、ロンドンで大絶賛を浴びたアルバム8枚を日替わりで演奏するツアーが東京で開催!
普段からクラウトロックだジャーマントランスだテクノだと言う割にはクラフトワークのアルバムは実は持っていない。手元にある関連音源は30年前にエアチェックした日本公演のカセットと20世紀の終わりにリリースされた巻上公一監修のトリビュートCDだけである。クラスターやノイ!、ラ・デュッセルドルフといった同時代の独逸のアーティストに比べ購買意欲の湧かない理由は王道過ぎて今更感があることと継続して活動中でいつでも聴けるという安心感があることである。過去の名(迷)盤購入の動機となる「レア感」がないわけだ。
9年ぶりの単独来日公演が発表された時も興味は惹かれたが今回を逃すといつ観れるか分からないという危機感はなく各日内容が違いチケット代も高いマニア向けの公演だと思い急がなくてもいいやとのんびり構えていたところ気づくと売り切れ続出と聞き慌ててチケットを買いに走った次第。特に思い入れのあるアルバムもないのでどの日でもよかった。参考にとCDショップを探すと馴染みのあるジャケットがない。2009年リマスター盤リリースに合わせジャケットやタイトルが変更になったとのこと。テクノポップ黎明期を象徴する印象深いアートワークが味気ない幾何学模様になり残念。中古アナログ盤で安く見つけたら買おうと思う。売りの3Dライヴについては眉唾だったのが正直なところ。YouTubeの動画を観ると確かに派手だがとりわけ目新しくもない印象。全員3Dメガネをかけた客席はYMOのジャケットになりそうな匿名アンドロイド軍団の光景。このひとりになるのかとちょっと複雑な気分で会場に向かう。
やはり同時代の年齢層が目立つが2~30代の若いファンも多い。オールスタンディングのBLITZは満員電車を思わせるほどぎっしり。横にいた男女数人のグループが大声でしゃべったり笑ったりしていて少しウンザリする。「もう少しで開演します」とロックコンサートらしくないアナウンス。客電が暗転しステージ前の垂れ幕が落ちると大歓声。そこには40年前の写真と全く同じに4人のメンバーがパソコンを前に立っている。スクリーンに映像が投影される。途端に文字や音符やイラストが飛び出し迫ってくる。20年前アメリカのディズニーランドで初めて3D映画を観てあまりのリアルさに感動したがそれ以来の新鮮な驚き。昔と全く変わらないテクノ・サウンドが前後左右に飛び回り映像と絡み合う初体験のヴァーチャル空間。反復ビートに体が否応なく反応し踊りながら気がつくと歓声を上げている。隣の男女は「カッコいい」「面白い」「カワイイ」としか言わないがそれも気にならない。ロック・コンサートというよりテーマパークのアトラクション。2時間強の不可思議面白体験を堪能した。この感動は音楽や映像だけを視聴しても分かち合えない。現場でなければ感じられない文字通りの生=ライヴ空間だった。
<Set List>
1.Electric Café
2.The Telephone Call
3.House Phone
4.Sex Object
5.Autobahn
6.Geiger Counter
7.Radioactivity
8.Trans-Europe Express
9.The Robots
10.Spacelab
11.The Model
12.Neon Lights
13.The Man-Machine
14.Numbers
15.Computer World
16.Home Computer
17.Dentaku
18.Computer Love
19.Tour de France 1983
20.Tour de France 2003
21.Expo 2000
22.Planet of Visions
23.Boing Boom Tschak
24.Techno Pop
25.Musique Non Stop
(『テクノ・ポップ』収録曲は1-4,23-25)
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今もなお
進化続ける
ロボット楽団
3年以内に東京ディズニーランドにマイケル・ジャクソンの「キャプテンEO」の代わりにクラフトワークの「アウトバーンライド」が登場するに違いない(予言)。