
昨年の戦国時代が過ぎ2013年半ばにさしかかりアイドル・シーンの潮流が明確になってきた。
(a)安定したハロプロ&AKB周辺
(b)最高潮のももクロ旋風
(c)第2のももクロを目指す群雄割拠
(d)マニア化する地下アイドル群
最も興味を惹かれるのは(c)である。ファン層が限定され先鋭化する地下シーンからは抜け出したが未だ全国区の人気を得るには至らず知名度獲得のための細かい無料イベントを積み重ねる女の子たち。上を目指す意欲とひたすら前向きな姿勢に父性本能がチクチクしちゃうのである。
そんなももクロ予備軍の新譜が集中する5月は今年のアイドル勢力図を占う重要な季節なのかも知れない。Aprilならぬ"May is the cruellest month"(5月は最も残酷な月だ)なのである。この季節に出揃う作品はいくつかのスタイルに分類出来る。
■メタル/ギターロック派
メタルの祭典Ozz Festに出演したももクロが人間椅子の和嶋慎治とCoalter Of The DeepersのNARASAKIをゲストに迎え大喝采を得たことに象徴されるようにヘビメタをはじめとするギターロックはアイドルとの親和性が高い。メタル+アイドルをテーマにするBABYMETALやガールズロックユニットを名乗るPASSPO☆は勿論元祖ヲタ系アイドル中川翔子(しょこたん)までロックギターを取り入れた佳曲が登場。
●中川翔子「続 混沌」

しょこたん16枚目のシングルは今年の流行語大賞候補「カオス」楽曲。様々なコスプレ+セクシースタイルに加えド派手ギタリストROLLYをフィーチャーしたグラマラスなロケンローが炸裂。
●PASSPO☆「キャンディールーム」

ギャルバンの伝統を継承するPASSPO☆の8thシングル。リード曲の「STEP&GO」もいいがカップリング「キャンディールーム」の弾けっぷりと80's洋楽テイスト満載PVのガーリーで振り切れたガールズロックの本領発揮。
■渋谷系
現在のアイドルは1990年半ば以降の生まれが大半。赤ん坊の頃親が好きだった渋谷系ポップスを耳にて育った。幼少時に刷り込まれたサウンドが成長につれ大きな影響を発揮し元祖渋谷系のアーティストは彼らにとってまさに神。神さまとのコラボで音楽的に軽視されがちなアイドル・ポップスをハイクオリティなサウンドに止揚する。
●バニラビーンズ「マスカット・スロープ・ラブ」

渋谷系の王子様カジヒデキ作&プロデュース。アキシブ系を自称しピチカート・ファイブをカバーするオサレで清楚なイメージにピッタリ合致。ノリの良いスカ・ビートにバニビ特有の手拍子もバッチリキマる。
●Nagicco「アイドルばかり聴かないで」

デビュー10周年を迎えた新潟ローカルアイドルの新曲はピチカート・ファイブの小西康陽プロデュース。モータウン・ビートと明るいメロディーがもろピチカート。アイドルという自らの立場を揶揄し同時に誇るアンビバレント感覚も小西ならでは。
■テクノ/EDM
テクノの進化形がEDM=エレクトロニック・ダンス・ミュージック。元々テクノビートが主流のアイドル・ポップスだけに世界の流行に敏感に反応。エレクトロ・ビートの第1人者中田ヤスタカは勿論アニメ/ゲーム系を含め最新エレクトロがOi Oi Oiと盛り上げる。
●Perfume「Magic of Love」

テクノポップアイドルの最右翼Perfumeの18枚目のニュー・シングル。ドラえもん主題歌の前作からテクノカラーに磨きをかけさらにスタイリッシュでさらにアンドロイドでさらにピコピコな世界に突入。
●でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」

アキバ系の代表格、胸キュンソングを世界に発信するでんぱ組は名前通りエレクト(ロ)アイドル。Perfumeを簡単に追い抜く倍速ハードコアが暴走する目紛しいドラッギーなナンバー。
●きゃりーぱみゅぱみゅ「インベーダーインベーダー」

あたしアイドルじゃねえしと言うが本来の意味でのIDOL=偶像であることは間違いない。IDOLには邪神・幻影という意味もあるからまさにKPP的である。Perfumeと同じく中田ヤスタカ仕事だがKPPイデアのプロパガンダ・リピート&ジェスチャー(振付け)が人心を惑わす。
皐月には
偶像すべて
極北目指す
ますますカオス度を強める世の中の反映としての「アイドル必要論」を宣言したい。