スザンヌ・ヴェガは1959年7月11日生まれの54歳。デビュー30周年を目前に「初心忘るべからず」&「三つ子の魂百まで」の姿勢に感嘆した。女性の年齢の話をアレコレするのは失礼千万だが、これまで40代(アラフォー)と60代(シク女)を取り上げておいて、同世代の女子を語らないのは片手落ち以外の何物でもないので、この世に生を受けてから半世紀を過ぎてオーロラのようにますます輝きを増す素敵な50代女子の歴々をご紹介したい。
●Phew 1959年9月12日(54歳)
70年代末、東の東京ロッカーズに対抗して西の関西No Waveと称した一連のバンド群の中で、最も最初にレコードをリリースし、パンクやニューウェイヴを超越した個性を発揮したアーント・サリーのヴォーカリストPHEW。バンド解散後はソロとして坂本龍一、コニー・プランク、ホルガー・チューカイ、山本精一、ジム・オルークなどとコラボ。『アーント・サリー』ジャケットの肖像写真のベレー帽の文学少女がそのまま齢を重ねたように、静謐な佇まいに熱い前衛志向を秘めた存在感は、まさに50代女子の裏番長。
Aunt Sally/醒めた火事場で
●戸川純 1961年3月31日(53歳)
Phewと双璧をなすニューウェイヴ少女が新宿生まれの戸川純、本名・戸川順子。渋谷Nylon100%で女給兼パフォーマーとしてバイトをしつつ1980年女優デビュー。CM出演(おしりだって洗ってほしい)で話題に。シンガーとしては1982年上野耕路、太田蛍一とのユニット、ゲルニカでデビュー。戸川純とヤプーズ、ソロで不思議ちゃんキャラ全開。本人曰く「子供のときから、ずっと、メジャー志向」だが、つきまとう形容詞は"アングラ"や"カルト"など…本人が苦手とした言葉である。8年前の腰と足の怪我のリハビリをしながら精力的にライヴ活動中。いまどきサブカルキッズ憧れのお姉様として君臨する。
戸川純/好き好き大好き
●小川美潮 1959年2月23日(55歳)
1978年テクノバンド、チャクラにヴォーカリストとして加入、1980年レコード・デビュー。坂田明のWha-ha-ha、仙波清彦のはにわオールスターズに参加、細野晴臣、本多俊之、金子マリなどオトナのミュージシャンと交流。ふにゃふにゃした個性的な歌声は、例えばニューヨークのノイズ魔王ポール・レモス(Controlled Bleeding)をも虜にする。現在も様々なユニットで活躍中。
Chakra - Fuku no Tane, Sensei
●ちわきまゆみ1963年2月2日(51歳)
本名・地脇真由美。1985年「GOOD MORNING I LOVE YOU」でデビュー。SMチックな衣装とグラム歌謡で人気を博す。アングラ色はあまりなく、より煌びやかなポップスターだが、芸能界とも一線を画す独特の存在感がある。Chara、YUKIとの期間限定ユニットMean Machineも。現在はラジオパーソナリティとして活躍。KISSファンとしても有名。
ちわきまゆみ/オーロラガール
●須山公美子 1961年2月10日(53歳)
1979年に大阪で現在作家として活躍する本田久作とともにパンクバンド変身キリンを結成。アコーディオンの弾き語りでソロ・デビュー。大正浪漫と童謡と不可思議の同居した世界観は唯一無二。少女の心を保ちつつ、競馬好きでも知られる現在、うたうたいとして活躍中。
須山公美子/少女の憧れ
●Junko
非常階段のヴォーカリスト。本名・生年月日不詳だが、1982年美大生だったというから50代前半のはず。現代美術好きな娘がケネス・アンガーのフィルム上映会でマル非メンバー(JOJO広重)と出逢い、それがきっかけでノイズ界最強のスクリーマーとして世界的に有名になったのだから、恋は盲目というが、Junkoの場合は目の代わりに口が物言った訳だ。昨年日本で初のソロCD『ヴォイス&デストロイ』をリリースし、海外で評価の高いソロ活動を日本でも開始した。
Rudolf Eb.er & Junko Hiroshige live at Extreme Rituals : A Schimpfluch Carnival
●Sachiko M
本名・生年月日非公開。複数の音楽関係者の証言をもとに50代女子と推測するに至った(たぶん。違ってたらm(_ _)m)。劇場音響技師としてキャリアをスタート、1994年大友良英のGround Zeroにサンプラー奏者として参加し、1998年解散後テストトーン(サイン波)奏者としての活動を開始。以来ピーーーツーーーという高周波微音だけを武器に世界的な評価を得る。昨年『あまちゃん』挿入歌「潮騒のメモリー」でレコード大賞受賞。ピーーー音史上最大の成功者として、全世界の前衛女子の憧れの存在(たぶん)。最近対抗勢力とされていた「Junko」と共演し、ノイズ界の潮騒のメモリーズと形容される。
Otomo Yoshihide, Sachiko M, and Jim O'Rourke
オーロラの
オーラが一番
オールライト