A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

近藤等則『地球を吹く in Japan』上映会&ソロ・ライヴ@青山CAY 2014.4.18(fri)

2014年04月20日 00時18分31秒 | 素晴らしき変態音楽


近藤等則
「地球を吹く in Japan」上映会&ライブ


近藤等則が監督・作曲・演奏を務めたドキュメンタリー映画『地球を吹くin Japan』春の上映会が決定しました。2007年夏から3年間、日本の美しい自然の中で行われたエレクトリック・トランペットの即興演奏のドキュメンタリー映画です。美しく繊細な日本の自然の風景、みずみずしいトランペットの音色、豊かなイマジネーションによる即興演奏を、おいしいお酒とお食事とともにお楽しみいただけます。また同時に近藤等則のライブも予定しています。日本の春をどうぞ音楽で体感してください!

◆近藤等則よりメッセージ
世界の大自然を吹いて廻った後、日本の四季を吹いて一番感じた事は、日本列島の自然のきめの細やかさ、優しさ、豊かさ、そして四季の移ろいの美しさです。世界の自然の中でもかけがえのないものです。縄文時代以来、日本列島に住む人達はこの自然に育まれて生活を営んできたのです。日本人の生活観、死生観、美意識、文化、すべてはこの自然をベースに生まれたのです。深呼吸して体の力を抜いて、意識と体のより深いところでこの映画を感じてください。


(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。)

近藤等則の個人的なイメージは、70年代後半から80年代半ばにかけて、海外を舞台に前衛的なサウンドを追求した”フリージャズ侍”というもの。意志の強そうなキリッとした眉の精悍な顔つきと新体道で鍛え上げた肉体がその印象を裏付けた。1984年に結成した近藤等則&IMAはファンキーでカッコ良くはあったが、70年代のプログレバンドがこぞってMTVポップ路線に転向するのに似た”前衛の敗北”のように感じてしまった。アヴァンポップという胡散臭いネーミングにも馴染めなかった。

90年代に入り、プログレ組の中で唯一MTVに魂を売らなかったフレッド・フリスの『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』に呼応して、「越境」を合言葉に世界中の音楽が交感を始め、フリスはもちろん、ビル・ラズウェル、ジョン・ゾーン、アート・リンゼイ等が音楽の境界を大きく広げた。1993年に近藤がそれまでの活動すべて打ち切り、アムステルダムへ音楽拠点を移したのがこの「越境運動」に関係あるかは分からない。この日の近藤の話では「人に向かってだけ演奏することに疑問を覚えた」というのが動機のひとつだという。イスラエルを皮切りに世界中の大自然の中でエレクトリック・トランペットを吹き、地球の鼓動と共振・共鳴する「地球を吹く(Blow the Earth)」の旅は18年に亘った。

2007年に日本の自然を相手に演奏を始める。これまで世界の大自然と突き刺す強い音で対話してきたが、日本の自然は柔らかい音じゃないとコミュニケーション出来ないと言う。しかも季節によって音色を変えなければならない。そんな繊細な日本の自然の力に惹かれて3年に亘り続けた即興演奏の旅の記録がドキュメンタリー映画『地球を吹く in Japan』。時系列的な旅紀行ではなく、幾つかの時間・場面がカット&ペーストされお互いに反響し合い、映画の中では殆ど語られない近藤の心と音楽の動き・変化がじわじわ伝わってくる。プログラムされたリズムや電子音に呼応したトランペット演奏は、かつての刃のようなフリーインプロヴィゼーションとは全く印象は異なるが、山や川や草木との対話による紛うこと無く本当の「即興演奏」である。



映画の上映に続いて、母校京都大学の広報誌に寄せたエッセイの朗読(笑って死ねる人生を選んだ etc.)と日本の自然への愛情を率直に語る。ずっと自然を相手に演奏してきたので、人間に聴いてもらう音楽とは何なのか迷っていると言いながら披露した20数分のソロ演奏には、「これからまた人前での演奏に集中していきたい」と語る近藤の新たなスタートへの決意が溢れていた。65歳のベテランの新たな挑戦を大きな期待を持って讃えたい。

自然との
対話が生んだ
インプロ道


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