A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

1981年アングラ・ミュージックを真空パック~V.A.「沫 FOAM」

2011年10月03日 01時09分13秒 | 素晴らしき変態音楽


私が金沢から東京へ引っ越してきた1970年代末、日本でもインディーズ・シーンが萌芽し、いわゆる私家盤とは違い一般への流通を目的とする自主制作盤レーベルが登場してきた。東京ロッカーズのゴジラ・レコード、大阪のロック・マガジンのヴァニティ・レコード、吉祥寺マイナーのピナコテカ・レコードなどである。

1981年夏にリリースされたのがYLEM(イーレム)レコードのオムニバス2LP「沫 FOAM」だった。当時フールズ・メイトやマーキー・ムーンの記事で知った私は早速高円寺の貸レコード屋パラレルハウスでレンタルしてきて聴いたのだった。ここに収められたアーティストはメルツバウ、のいずんづり、Perfect Mother、R.N.A.Organism、Mad Tea Partyを除けば初めて聴くものばかりで、ポスト・パンク、テクノ、ノイズ、インプロなど雑多なアングラ・ミュージックばかりだった。装丁が凝っていてシルク・スクリーン印刷の茶封筒の中、無数のバッテン印が型抜きされた白いジャケットに透明ヴィニールのLP盤が収められていた。限定1000セットの自主制作盤だからこそなし得た作品である。

これだけ無名のアーティストのオムニバス盤がCD化されたことは奇跡的である。今聴くとこれこそ1981年の雰囲気としか言いようの無い独特の空気を強く感じる。先日紹介した、私が当時録音した多重録音カセット「Euqisumorih」の持つ感触にとても近いのに驚いた。1980年代中期のインディーズ・ブーム勃発前の"鬱の時代"のサウンドトラック。同時に現在の音楽シーンが忘れてしまった手作り感が今聴くと逆に新鮮である。とにかく時代を象徴する怪盤/奇盤であることは確かだ。





魑魅魍魎
跳梁跋扈の
地下世界

それにしても1980年代初頭のマイナー作品の復刻が続き嬉しい限りである。こうなればピナコテカの「愛欲人民十時劇場」の復刻も夢ではないかも。
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ザ・ブルートーンズ@渋谷Duo Music Exchange 2011.9.30(fri)

2011年10月02日 02時55分30秒 | ロッケンロール万歳!


昨日のブログでお知らせしたように、デビュー16年目を迎え解散表明をしたブリットポップの雄ブルートーンズのフェアウェル・ツアーが開催された。私は1995年のデビューから彼らと付き合ってきたのだが、ブリットポップ終焉後はインディーに戻って活動していたことは知っていたが、CDを買うこともなかった。

2004年にヴォーカルのマーク・モリスがソロで来日した時会ってお互い元気なことを祝福し合ったが、他のメンバーと会うのは10年ぶり。ライヴの前日に彼ら行きつけの渋谷のDJバーでウェルカム・パーティーが開かれたのだがバンドのメンバーだけじゃなく当時追っかけをしていた女の子たちとも再会して懐かしさを噛み締めた。



さて肝心のライヴだが会場はほぼ埋まっており、結構若いファンの姿があるのが印象的だった。日本盤は出ていなくても彼らの音楽が聴かれ続けてきた証拠である。

演奏曲目は昔の曲のヒットパレードになるのかと想像していたら半分はインディーになってからのアルバムからの選曲で、現在進行形のバンドであることを見せつける。ヴォーカルも演奏も15年前とほとんど変わっていない。青くこんがらがった青春を歌うことが彼らの信条である。キラキラ光る圧倒的なメロディーの素晴らしさ。最近のバンドに欠けているのはこのメロディーへのこだわりなのだ。「ブルートニック」「スライト・リターン」「ソロモン・バイツ・ザ・ウォーム」「マーブルヘッド・ジョンソン」等90年代の代表曲では客席も一層盛り上がる。アンコールではラヴのカヴァーを披露したり、ラスト・ナンバー「イフ」では途中にクイーン「レディオ・ガガ」のフレーズを織り込む茶目っ気が彼ららしい。2度のアンコールを含め1時間45分懐かしさと新鮮さに溢れた時間を過ごした。



ブリットポップ
最後の花が
散っていく

翌日の大阪公演がブルートーンズとしての最後のライヴとなる。
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ザ・ブルートーンズ来日記念~ブリットポップ特集

2011年10月01日 00時53分42秒 | ロッケンロール万歳!

1990年代中盤に吹き荒れたブリットポップ。"メロディーの復権"を旗印としてブラー、オアシスを代表格としてイギリスから数多くのギター・ロック・バンドが登場し世界の音楽シーンを席巻した。1997年ブラーのデーモン・アルバーンによる「ブリットポップは死んだ」発言によりムーヴメントとしては終焉を迎えたが、オアシス、オーシャン・カラー・シーン、アッシュなどその後も活動を続け、人気を博してきたバンドも少なからずいる。今回来日中のブルートーンズもその一つで、メジャーからインディーへ移り地道な活動を続けてきたが、デビュー16年目に当たる今年ついに解散を表明し、イギリス~日本でフェアウェル・ツアーを敢行中である。ライヴレポは明日書くとして、当時ブリットポップにかなりのめり込んだ私なりの注目バンドを紹介したい。

私が一番好きだったのが3人組のドッジー。大きくブレイクすることはなかったが親しみやすくドリーミーなメロディとコーラスが特徴で、DJクラブとライヴを組み合わせた「ドッジー・クラブ」というイベントを主催するなどしてユニークな活動が注目を集めた。



スウェードの初期メンバーであるジャスティーン・フリッシュマンを中心に結成、ドラム以外が女性メンバーという珍しい構成の4ピース・バンドとしても注目されたエラスティカ。ジャスティーンのクールなイメージが好きだった。



ブルートーンズが主催するインディー・レーベルからデビューした4人組ムーヴァー。ソウルやR&Bの影響を受けた黒っぽいビートがかっこよかった。ブルートーンズと一緒に日本ツアーも果たした。



ブリットポップ界一のダンディ、ジョニー・ディーン率いるメンズウェア。"ブリットポップの徒花""ハイプの象徴"と揶揄されたがその音楽性は良質なブリティッシュ・ロックの流れを受け継いでいた。



エラスティカと同じく女の子3人+男性Dsのケニッキー。アノラック系にも通じる可愛らしい演奏には萌える。



2000年代に入りブリットポップを音楽の原体験とするカイザー・チーフス、カサビアン、ブロック・パーティーらがデビューし、ブリットポップからの影響をはっきりと公言する者も多かったことから、徐々にブリットポップは一定の名誉回復を遂げたとされる。今年はヴィヴァ・ブラザーがデビュー、往年のオアシスを彷彿するサウンドが心地よかった。

英国の
誇り忘れず
ブリットポップ

今思えば日本のバンド・バブルみたいな現象だった。またこんなワクワクするムーヴメントが起こらないかな。
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