A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

クラフトワーク@赤坂BLITZ 2013.5.14 (tue)

2013年05月16日 00時20分16秒 | 素晴らしき変態音楽


3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8
DAY 6『テクノ・ポップ/Techno Pop』

ニューヨーク MoMAやデュッセルドルフ、ロンドンで大絶賛を浴びたアルバム8枚を日替わりで演奏するツアーが東京で開催!

普段からクラウトロックだジャーマントランスだテクノだと言う割にはクラフトワークのアルバムは実は持っていない。手元にある関連音源は30年前にエアチェックした日本公演のカセットと20世紀の終わりにリリースされた巻上公一監修のトリビュートCDだけである。クラスターやノイ!、ラ・デュッセルドルフといった同時代の独逸のアーティストに比べ購買意欲の湧かない理由は王道過ぎて今更感があることと継続して活動中でいつでも聴けるという安心感があることである。過去の名(迷)盤購入の動機となる「レア感」がないわけだ。

9年ぶりの単独来日公演が発表された時も興味は惹かれたが今回を逃すといつ観れるか分からないという危機感はなく各日内容が違いチケット代も高いマニア向けの公演だと思い急がなくてもいいやとのんびり構えていたところ気づくと売り切れ続出と聞き慌ててチケットを買いに走った次第。特に思い入れのあるアルバムもないのでどの日でもよかった。参考にとCDショップを探すと馴染みのあるジャケットがない。2009年リマスター盤リリースに合わせジャケットやタイトルが変更になったとのこと。テクノポップ黎明期を象徴する印象深いアートワークが味気ない幾何学模様になり残念。中古アナログ盤で安く見つけたら買おうと思う。売りの3Dライヴについては眉唾だったのが正直なところ。YouTubeの動画を観ると確かに派手だがとりわけ目新しくもない印象。全員3Dメガネをかけた客席はYMOのジャケットになりそうな匿名アンドロイド軍団の光景。このひとりになるのかとちょっと複雑な気分で会場に向かう。


やはり同時代の年齢層が目立つが2~30代の若いファンも多い。オールスタンディングのBLITZは満員電車を思わせるほどぎっしり。横にいた男女数人のグループが大声でしゃべったり笑ったりしていて少しウンザリする。「もう少しで開演します」とロックコンサートらしくないアナウンス。客電が暗転しステージ前の垂れ幕が落ちると大歓声。そこには40年前の写真と全く同じに4人のメンバーがパソコンを前に立っている。スクリーンに映像が投影される。途端に文字や音符やイラストが飛び出し迫ってくる。20年前アメリカのディズニーランドで初めて3D映画を観てあまりのリアルさに感動したがそれ以来の新鮮な驚き。昔と全く変わらないテクノ・サウンドが前後左右に飛び回り映像と絡み合う初体験のヴァーチャル空間。反復ビートに体が否応なく反応し踊りながら気がつくと歓声を上げている。隣の男女は「カッコいい」「面白い」「カワイイ」としか言わないがそれも気にならない。ロック・コンサートというよりテーマパークのアトラクション。2時間強の不可思議面白体験を堪能した。この感動は音楽や映像だけを視聴しても分かち合えない。現場でなければ感じられない文字通りの生=ライヴ空間だった。





<Set List>
1.Electric Café
2.The Telephone Call
3.House Phone
4.Sex Object
5.Autobahn
6.Geiger Counter
7.Radioactivity
8.Trans-Europe Express
9.The Robots
10.Spacelab
11.The Model
12.Neon Lights
13.The Man-Machine
14.Numbers
15.Computer World
16.Home Computer
17.Dentaku
18.Computer Love
19.Tour de France 1983
20.Tour de France 2003
21.Expo 2000
22.Planet of Visions
23.Boing Boom Tschak
24.Techno Pop
25.Musique Non Stop
(『テクノ・ポップ』収録曲は1-4,23-25)

●セットリスト通りのYouTube動画が観れるサイトはコチラ
●来日公演マトメはコチラ

今もなお
進化続ける
ロボット楽団

3年以内に東京ディズニーランドにマイケル・ジャクソンの「キャプテンEO」の代わりにクラフトワークの「アウトバーンライド」が登場するに違いない(予言)。
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アイドル戦線異状なしVol.2:2013年の潮流を探る~メタル vs 渋谷系 vs EDM

2013年05月14日 01時10分07秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


昨年の戦国時代が過ぎ2013年半ばにさしかかりアイドル・シーンの潮流が明確になってきた。

(a)安定したハロプロ&AKB周辺
(b)最高潮のももクロ旋風
(c)第2のももクロを目指す群雄割拠
(d)マニア化する地下アイドル群

最も興味を惹かれるのは(c)である。ファン層が限定され先鋭化する地下シーンからは抜け出したが未だ全国区の人気を得るには至らず知名度獲得のための細かい無料イベントを積み重ねる女の子たち。上を目指す意欲とひたすら前向きな姿勢に父性本能がチクチクしちゃうのである。
そんなももクロ予備軍の新譜が集中する5月は今年のアイドル勢力図を占う重要な季節なのかも知れない。Aprilならぬ"May is the cruellest month"(5月は最も残酷な月だ)なのである。この季節に出揃う作品はいくつかのスタイルに分類出来る。

■メタル/ギターロック派
メタルの祭典Ozz Festに出演したももクロが人間椅子の和嶋慎治とCoalter Of The DeepersのNARASAKIをゲストに迎え大喝采を得たことに象徴されるようにヘビメタをはじめとするギターロックはアイドルとの親和性が高い。メタル+アイドルをテーマにするBABYMETALやガールズロックユニットを名乗るPASSPO☆は勿論元祖ヲタ系アイドル中川翔子(しょこたん)までロックギターを取り入れた佳曲が登場。

●中川翔子「続 混沌」


しょこたん16枚目のシングルは今年の流行語大賞候補「カオス」楽曲。様々なコスプレ+セクシースタイルに加えド派手ギタリストROLLYをフィーチャーしたグラマラスなロケンローが炸裂。



●PASSPO☆「キャンディールーム」


ギャルバンの伝統を継承するPASSPO☆の8thシングル。リード曲の「STEP&GO」もいいがカップリング「キャンディールーム」の弾けっぷりと80's洋楽テイスト満載PVのガーリーで振り切れたガールズロックの本領発揮。



■渋谷系
現在のアイドルは1990年半ば以降の生まれが大半。赤ん坊の頃親が好きだった渋谷系ポップスを耳にて育った。幼少時に刷り込まれたサウンドが成長につれ大きな影響を発揮し元祖渋谷系のアーティストは彼らにとってまさに神。神さまとのコラボで音楽的に軽視されがちなアイドル・ポップスをハイクオリティなサウンドに止揚する。

●バニラビーンズ「マスカット・スロープ・ラブ」


渋谷系の王子様カジヒデキ作&プロデュース。アキシブ系を自称しピチカート・ファイブをカバーするオサレで清楚なイメージにピッタリ合致。ノリの良いスカ・ビートにバニビ特有の手拍子もバッチリキマる。



●Nagicco「アイドルばかり聴かないで」


デビュー10周年を迎えた新潟ローカルアイドルの新曲はピチカート・ファイブの小西康陽プロデュース。モータウン・ビートと明るいメロディーがもろピチカート。アイドルという自らの立場を揶揄し同時に誇るアンビバレント感覚も小西ならでは。



■テクノ/EDM
テクノの進化形がEDM=エレクトロニック・ダンス・ミュージック。元々テクノビートが主流のアイドル・ポップスだけに世界の流行に敏感に反応。エレクトロ・ビートの第1人者中田ヤスタカは勿論アニメ/ゲーム系を含め最新エレクトロがOi Oi Oiと盛り上げる。

●Perfume「Magic of Love」


テクノポップアイドルの最右翼Perfumeの18枚目のニュー・シングル。ドラえもん主題歌の前作からテクノカラーに磨きをかけさらにスタイリッシュでさらにアンドロイドでさらにピコピコな世界に突入。



●でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」


アキバ系の代表格、胸キュンソングを世界に発信するでんぱ組は名前通りエレクト(ロ)アイドル。Perfumeを簡単に追い抜く倍速ハードコアが暴走する目紛しいドラッギーなナンバー。



●きゃりーぱみゅぱみゅ「インベーダーインベーダー」


あたしアイドルじゃねえしと言うが本来の意味でのIDOL=偶像であることは間違いない。IDOLには邪神・幻影という意味もあるからまさにKPP的である。Perfumeと同じく中田ヤスタカ仕事だがKPPイデアのプロパガンダ・リピート&ジェスチャー(振付け)が人心を惑わす。



皐月には
偶像すべて
極北目指す

ますますカオス度を強める世の中の反映としての「アイドル必要論」を宣言したい。


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ももクロのステージサポートでにわかに脚光を浴びるバンド『人間椅子』とは?

2013年05月13日 00時35分25秒 | 素晴らしき変態音楽


[5/13写真追加]


★ 当ブログの読者には改めて説明する必要はないかと思われるが、たいへん喜ばしいネタなので紹介したい。

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2013年5月11・12日の両日、千葉・幕張メッセでロックイベント『OzzFest』(オズフェスト)が開催されました。国内外のアーティストが多数参加するなか、にわかに脚光を浴びているバンドがあります。

そのバンドとは……人気アイドルユニット「ももいろクローバーZ」のステージをサポートした「人間椅子」。バンドの実態を知らないインターネットユーザーの間で大きな注目を集めています。一体全体、このバンドは何者なのでしょう?
 
・オズフェストとは?
このイベントは、1996年から始まったロックの祭典です。ロックボーカリスト、オジー・オズボーンが自ら主宰するイベントとして創設されました。アメリカを中心に毎年開催され、過去にヨーロッパやイスラエルでも行われています。有名アーティストが多数参加するイベントとして、世界中のロックファンに知られています。
 
・ももクロの与えたインパクト
ももクロの出演は当初、音楽関係者の間で物議をかもしました。というのも、ももクロが “アイドル” であり、ロックイベントにふさわしくないと見られていたからです。ところが……実際のステージでは、思わぬサポートメンバーの出演に来場者は衝撃を受け、会場のボルテージはマックス状態に! そのサポートメンバーこそが、「人間椅子」のギターリスト和嶋慎治氏と、彼女たちに楽曲提供しているNARASAKI氏だったのです。
 
・25年キャリアを持つ「人間椅子」
大注目を集めることになった「人間椅子」は、今年活動25年目を迎えるベテランバンドです。1989年より放映されたオーディション番組、通称「イカ天」こと『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)に出演したことをきっかけにメジャーデビューし、当時全国の学園祭に引っ張りだこになりました。
 
・長く暗い低迷期
しかしバンドブームが終焉すると、彼らの人気はいつしか忘れ去られることに。また色物バンドとして見られていたためか、「一発屋」としてメジャーのシーンから姿を消します。さらに、ドラマー脱退を繰り返すことになり、長い低迷期に突入していきました。
 
・地道な活動
インディーズレーベルの活動を場を移したものの、彼らの地道な活動は続いていきます。コンスタントにアルバムをリリースし、ライブ活動を継続。そして活動20周年を迎えた2009年にはベストアルバムを発表。2011年には通算20枚目となるアルバムを発表するにいたりました。
 
・バンドの特徴、「津軽弁」と「三味線」
彼らの音楽はデビュー当時、文学的な歌詞にハードロックのエッセンスを散りばめた「文芸ロック」として形作られていました。現在はその流れを踏襲しつつ、文学にインスパイアされた独自の世界観を展開しています。とりわけ特徴的な表現としては、青森県出身であることをいかした「津軽弁」の歌詞や、三味線を思わせるギターフレーズ。積極的に「和」の文化を取り入れつつ、ロックとして表現しています。
 
・たしかなテクニック
そしてロックへのひたむきな姿勢は、彼らの楽曲から伝わってきます。テクニックを裏付けている動画が、一時インターネット上で話題になりました。キング・クリムゾンというバンドの『21世紀のスキッツォイド・マン』のカバーは圧巻の一言に尽きます。この演奏には、海外のネットユーザーも度肝を抜かれたようです。
 
低迷期を脱して、近年若い層でも支持を集める「人間椅子」。今回のももクロとの共演をきっかけに、再び飛躍することになるのではないでしょうか。今後の活躍が気になるところです。
(Rocket News 24)

▼ 2010年のライブ映像。楽曲は「りんごの泪」、津軽弁の歌詞と三味線フレーズを取り入れている



▼ 1989年「いかすバンド天国」出演時の貴重な映像。すでに独自の世界観が完成されている



▼ たしかなテクニックを裏付ける映像。楽曲「21世紀のスキッツォイド・マン」



四半世紀の
精神異常者
再開花

オヤジロッカーの人気復活にとても勇気づけられる。
BAKUも何かのきっかけで復活してくれないだろうか?



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黒い森の眩惑の天使たち:独逸歌姫特集~M.ディートリッヒ/L.レーニャ/N.ハーゲン/M.ベッカー

2013年05月12日 01時03分21秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


黒い森(シュヴァルツヴァルト)はドイツ南西部バーデン地方の南北160kmの地帯のことである。ドイツトウヒの木が生い茂り暗く(黒く)見えるのでこの名がついた。牧歌的な農村地帯で名前からイメージする暗黒世界とは結びつかない。しかし黒い森はドイツ文化に内在する神秘主義の背景を考えると誠に象徴的である。ドイツ表現主義・新即物主義・退廃芸術などドイツ芸術の流れの深淵には目には見えない暗い思索の森が沈殿している。ロックでは1970年代のクラウト・ロック、1980年代のノイエ・ドイチェ・ヴェレ、1990年代のテクノなど内容よりも形を重視した即物的なスタイルが目立つがその一方でワーグナー的な大袈裟なほど起伏の豊かな感情表現もある。彼の国のポップムージックはドイツ語の鉱物的なカクカクした響きと相まってどこかアンチヒューマン(反人間)な狂気が滲み出るような気がする。女性歌手の多くが女優としても活躍し恐ろしい程の美貌で鋭角的な歌を唄うので何だか異星人の歌を聴いているような居心地の悪さを感じてしまう。その宙に浮かぶような感覚は中毒性が高くクセになるほど魅惑的。

●マレーネ・ディートリッヒ


ワイマール共和国時代に花開きハリウッド女優として活躍。第二次大戦時反ナチスの立場で戦地に赴き「リリー・マルレーン」を歌い兵士の心を癒した。人間を超えた美貌と刹那的な歌は現在でも信奉者が多い。

Marlene Dietrich - Lili Marleen


●ロッテ・レーニャ


ウィーン生まれ、ドイツのミュージカル舞台で活躍しクルト・ワイルと結婚。ブレヒト「三文オペラ」で映画デビュー。歌手活動が中心で映画には生涯5作しか出演していないがグラミー賞ノミネート経験あり。



●ニナ・ハーゲン


東ドイツ生まれ。1976年に西へ亡命しバンドを率いて活躍「パンクの母」の異名を取る。エキセントリックなファッションと歌唱は世界中に大きな衝撃を与えた。1990年代後半からブレヒトをはじめとするミュージカル曲を唄い続けている。



●ウテ・レンパー


ミュンスター生まれの歌手。「キャッツ」「ピーターパン」「嘆きの天使」「キャバレー」「シカゴ」などミュージカルに出演し名を知られる。ロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール」コンサートに出演、歌手としてはクルト・ワイル、マレーネ・ディートリッヒ、エディット・ピアフなどのカバーが有名。

UTE LEMPER ~ Moritat von mecky Messer (Mack The Knife - Sung In German)


●メレット・ベッカー


ブレーメン生まれ。ノイエ・ドイチェ・ヴェレ時代にバンドで活動。1990年代から女優として「キラー・コンドーム」「コメディアン・ハーモニスト」などに出演。4作のアルバムをリリース。自作曲はブレヒト劇やシャンソンをアヴァンギャルド・サウンドに乗せた悪夢の世界。アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのアレクサンダー・ハッケ夫人。

MERET BECKER / Zirkus


黒い森
赤ずきんちゃん
お気をつけ

クラフトワーク来日中。
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ジェイク・バグ@渋谷クラブクアトロ 2013.5.9(thu)

2013年05月11日 00時19分07秒 | ロッケンロール万歳!


JAKE BUGG
スペシャル・アコースティック・ショーケース

2013年注目度ナンバー1のUK新人、ジェイク・バグ。
サマソニでの来日を前に東京1夜限りのスペシャル・ショーケースが決定!ストーン・ローゼズ、ノエル・ギャラガーをはじめ多くのミュージシャンが絶賛する稀代の才能が遂に初来日!

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James BrownをはじめJeff Beck、Jackson Browne、Jeff Buckley、Jim Black、Jack Black、James BlakeなどJBというイニシャルには一癖ある才人が多いがその系譜にJake Buggという若きシンガーが加わった。世代交代の著しいUKロック界で昨年から吹き荒れるティーンエイジャー旋風の急先鋒が先日来日したストライプスとこのジェイク・バグである。彼らがユニークなのは自分の父親世代の愛聴した音楽を引き継ぎつつ生々しい新世代の讃歌を歌っていることだろう。こうしたルーツロックの復活はこれまでも草の根ラベルでは時代を問わず繰り返されてきた。ロックの原点たるブルース、R&B、ブリティッシュ・ビート、フォーク、ソウルへ立ち返ろうという動きは70年代末のパンク・ムーヴメント以来ネオサイケ~マッドチェスター~オルタナ~ブリットポップと変遷するインディーロックの流れの根底に常に流れる地下水脈である。

常にあるだけにその動きが新機軸として顕在化することは余りなかったのも事実。ルーツロック趣味を打ち出しすぎると懐古的だとかオリジナリティ欠如だとか批判される傾向もあった。だいたいメディアの中核を成すオヤジ世代にとってガキがオヤジの世界を真似ることは近親憎悪的な反感を買いやすい。「オヤジをなぞってはいけない」という定理はパンクから30年後のテン世代までは不文律として存在していた。しかし30年を超えた頃からパンクがひと回りした'90年代に青春を過ごした世代がトップの座についた。Back To Basicを声高に宣言したオルタナティヴロック/ブリットポップ・ムーヴメントで育った彼らにとって過去のサウンドに倣うことは尊敬に値する方法論だった。故に自分達の子供世代=ティーンエイジャーがオヤジロックのエッセンスを抽出したスタイルを打ち出しても賞賛こそすれディスる気持ちはない。ボブ・ディランやニック・ドレイクといった往年のシンガーソングライターを彷彿させる19歳のジェイク・バグを現在のUKロック界の重鎮ストーン・ローゼズやリアム・ギャラガーらが絶賛するのは当然である。



ストライプスの衝撃の来日公演同様にジェイク・バグの1日限りのワンマン来日公演は即日ソールドアウト。洋楽ロックファンにとって激渋ロックを本格的に歌いこなす10代のカワイイ紅毛碧眼の少年は理想のアイドル像であることは間違いない。アコギ一本で1時間強のステージを飽きさせることなく歌い切ったジェイクの堂々たる存在感は見事という他ない。またしても「恐るべき云々」というフレーズが浮かぶがストライプス同様年齢に拘るのは不公平でしかない。デビュー間もないにも関わらずこれほど完成された世界観を持つことに驚愕すると共に今後の成長に大きな期待を寄せたくなる。






ライヴレポートはコチラ

ダミ声の
ロンドン訛り
永遠に

棚の奥で眠っていたティラノサウルス・レックスのレコードを久々にターンテーブルに乗せてみた。
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KAWAii!!恐怖の世界征服計画~きゃりーぱみゅぱみゅぱみゅ「インベーダーインベーダー」

2013年05月08日 00時16分45秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


原宿系の仮面の下に地下組織の女帝の素顔を隠し暗躍してきたKAWAii!!テロリストきゃりーぱみゅぱみゅ(20)がいよいよ本格的に世界制覇に向けて牙を剥き出しにした。2ヶ月に亘る世界100%KPP浄化計画で行く先々で無血クーデターを成功させ、その快進撃は緊急ニュースとしてTV・新聞等で大きく報じられた。革命半ばにして投下され倭国黒歴史を白日の下に晒した「にんじゃりばんばん」のウィルスが世俗を浸食し尽くすのを確認する間もなく大本営発表された「侵略者&侵入者」という身も蓋もないスローガンは計画通り旧ソ連が初の有人宇宙衛星船の打ち上げに成功し「地球は青かった」という至言を生んだ世界宇宙飛行の日に西方加州羅府にて史上初めて詔勅され亜米利加人を震撼させ1994年ロサンゼルス大地震以来の恐慌状態に陥れた。倭国帝都ではKPP革命凱旋集会たるKAWAii!! MATSURiにて披露され一万余人の「おっしゃ Let’s 世界征服DA! DA! DA!」という熱狂的なシュプレヒコールに迎えられた。











●ニューヨーク公演ライヴレポートはコチラ
●KAWAii!! MATSURiライヴレポートはコチラ

革命の思想的背景たるKPP至上主義に関しては図らずもKPP広報誌の役割に供することとなった創刊19年を数えるサブカル誌Quick Japan vol.107に詳しいので参照されたい。KPPの仮面の下の100%自分哲学の神髄を自ら包み隠さず吐露した檄文である。


3億円犯人のモンタージュに封印された頭脳警察の発禁=Fuckin'アルバム収録の「世界革命戦争宣言」にも準えられ獣の数字666に倣う6thシングル「インベーダーインベーダー」の情宣映像ではこれまで神秘のベールに包まれ禁忌すべきものとして人の口に上ることも稀だった悪魔払いの儀式が生々しく描写され観る者すべてを洗脳する。恐るべき戦慄に打ち震える残酷な映像であるがこれとてKPP洗礼秘儀に比べれば赤子をあやすかの如き慈愛に満ち溢れた光景だという衝撃の事実には100%以上の畏怖の念を禁じ得ない。







KPP=Kyary Pamyu Pamyu
KKK=Ku Klux Klan
KKKKKK=コチラ

KPPは21世紀のジャンヌ・ダルクか?ローザ・ルクセンブルクか?はたまたアンネ・フランク・ザッパか????




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自由な音の記憶 Vol.2:ロック基本のド定盤をアナログで聴いてみよう!

2013年05月07日 00時38分01秒 | ロッケンロール万歳!


自他ともに認めるマイナー志向なので王道にからきし弱い。レコード・コレクションを改めて見直して「ロック名盤100」などガイドブックに紹介される所謂定盤が少ないのに気づいた。例えばキング・クリムゾン。リアルタイムで聴いたのは'80年代再結成クリムゾンだが遡って'70年代黄金期も聴いていた。大学時代バンドで散々コピーもした。愛聴盤は「新世代への啓示(A Youg Persons Guide To King Crimson)」と題された2枚組ベスト盤。大判ブックレット付の原題通りクリムゾン初心者用ガイドだが超定番曲「21世紀の精神異常者」が収録されていない。ロバート・フリップ自身の選曲だがこの曲を外した意図は?深読みしたくなるがそれは本稿の論旨とは異なるので割愛。問題は「21世紀の精神異常者」をアナログ盤で所有していないという事である。早速レコードを探しに街へ出た。ベストセラーだから二束三文で転がっているだろうと中古アナログ売り場を探すとUKオリジナル盤が数万円。近年マニア市場でオリジナル盤や国内盤帯付が高値を呼んでいる。特にビートルズやストーンズといった人気アーティストのレア盤は驚く程の値で取引される。コレクターにとってプレミアは必ず直面する試練である。

貴重盤収集はとても魅惑的だが今回は安価なモノでOK。目的は発売当時のリスナーの気持ちに近づくこと。そのためには解説付き日本盤が望ましい。当時は帯はかっこ悪いので購入と同時にゴミ箱行きだったので帯なし大歓迎。ペラペラのジャケットが多い輸入盤よりしっかりした厚紙に綺麗に印刷された日本盤の方が高級感があるしプレスも最高クラス。帯付だと一桁値段が違うが帯なしなら三桁で買える。ロックの基本のキを持っていないのでこの機会に名盤・定盤を揃えてみた。

●ビートルズ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」


新宿ディスク・ユニオン中古センター 780円
東芝EMI EAS-80558/見開きジャケット/切抜き台紙付/解説:立川直樹/対訳:吉成伸幸/裏ジャケに歌詞掲載

おそらく80年代前半のは再発シリーズの一枚。解説書にユニオンジャックとTHE BEATLES-9の表記があるのはイギリス盤の9枚目ということだろう。現在も評論家兼プロデューサーとして活躍する立川直樹が1,5ページに亘ってこのアルバムが如何に凄いか綴っている。途中で「もう、これ以上の説明は必要としないだろう。あとは、実際にレコードに針を下ろすだけでいい」と書いておきながらその後も楽曲解説を含み延々と続く。世紀の名盤であればある程思い入れが大きいし特に再発だと時代背景や後世の評価など情報も多い。アルバム解説だけで1冊の本が出来上がる程である。評価が定まっているので下手に主観的なことも書けないし評論家にとっては大きなチャレンジだろう。立川の饒舌さも理解出来る。

●キング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿」


渋谷レコファン 580円(注:中古盤5枚で各200円OFFなので値引き後の価格を表記)
ワーナーパイオニア P-6365A/見開きジャケット/解説:北山幹雄(1971年4月17日記)/内ジャケに歌詞掲載

厚手のつや消しマット紙印刷の重量感ある装丁。本作のイギリス発売は1969年、ワーナーパイオニア(WP)設立が1970年だから日本最初の発売はWPの前にATLANTICの権利を持っていた日本グラモフォンだったのだろうか?解説はイギリスの伝統文化とモダン・ロック論が述べられ曲目解説に執筆者北山の手になると思われる歌詞の翻訳が添えられている。当時は歌詞対訳がつく事は稀だったので良心的な解説書だと言える。クリムゾンが属する「音楽を掘り下げる派」を「ミュージック・コンクレートを中心とした」バンド群と説明し代表的なグループとしてピンク・フロイド、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ザ・タッチ、ザ・フロック、ムーディー・ブルースの名前を挙げいる。現在はザ・タッチとザ・フロックは格段に知名度・評価が低い(ザ・タッチは知らない)が筆者のお気に入りなのかそれとも当時は知られていたのだろうか。いずれにせよ情報が少ない時代はライナーノーツが貴重な情報源だった。

●イエス「危機」


新宿ディスク・ユニオン中古センター 780円
ワーナーパイオニア P-6526A/見開きジャケット/解説:朝妻一郎/対訳:池田あき子/中袋に歌詞掲載

プログレ好きといっても所謂5大プログレ・バンドで多少なりとも聴いたのはクリムゾンとジェネシスだけ。ピンク・フロイドはシド・バレットがいる1stのみ、イエスとEL&Pは1枚も所有していない。イエスはジョン・アンダーソンのハイトーンヴォイスが苦手、EL&Pはギターがいない、という言い訳は出来るが実際はマイナー志向の結果の聴かず嫌いである。クリムゾンとジェネシスを聴いたあとはヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイターやジェントル・ジャイアントやゴングを齧りそれもまだメジャー過ぎるとばかりヘンリー・カウのレコメン系やキング・イタリアン・ロック・シリーズに手を出した。後述する西新宿のバカ高いレコ屋に相当つぎ込んだ。これじゃいかんという訳でスルーしていたイエスを入手。「ラウンドアバウト」収録の「こわれもの」が欲しかったが見つからず「危機(Close To The Edge)」を購入。ヒプノシスと並び'70年代ブリティッシュ・ロック名盤のジャケット・アートで有名なロジャー・ディーンによる「こわれもの」の地球はLPサイズで持っていたいがBORISがパクった「危機」の緑ロゴも迫力満点。内ジャケのSFファンタジー・イラストも素敵。朝妻は日本の音楽業界の大物だけありメンバーの発言や活動歴を紹介しつつイエスの成長ぶりとアルバムの素晴らしさを平易な言葉で語るライナーは流石。執筆時に邦題が決まってなかったようで「危機」ではなく「Close To The Edge」と書かれている。あくまで想像だがこの邦題は朝妻がライナーでビル・ブラッフォード脱退に関し他のメンバーとの間に「"危機に近い(Close To The Edge)"という雰囲気があったのに違い」ないと書いたのをヒントにした(パクった)のではなかろうか?

●レッド・ツェッペリン「レッド・ツェッペリンIII」


渋谷レコファン 580円
ワーナーパイオニア P-10106A/見開き特殊ジャケット/歌詞カード付

ツェッペリンの最高傑作はどのアルバムかは意見の分かれるところ。セールス的には通称「フォーシンボルズ」と呼ばれる「レッド・ツェッペリンIV」が圧倒的だがくるくる回る特殊ジャケの魅力で「III」を購入。中学の卒業式で初めてのバンドで演奏した「移民の歌」とライヴ・ヴァージョンがカッコいい「祭典の日」が収録されているのが嬉しいがB面が全曲アコースティックなのでハードロックを期待すると肩透かし。しかも日本盤なのに解説がない。もしかしたら欠損かもしれないが投げ込みカードには曲目と聴きとりによる歌詞が掲載されているだけ。特殊ジャケで制作費が嵩んで解説原稿料が出せなくなったのか、それとも問題作なので解説をつけない方がいいと判断したのか。因みにジャケットは日本盤らしい厚紙ではなくペラペラした薄手である。オリジナル盤もペラ紙なのでこれは予算上の措置ではなく本国からの指示であろう。アナログ時代にはジャケット/プレスまでトータル作品としてアーティスト側が指定することは少なくなかった。某プログレ・バンドはレコードの重さまで管理したという。パンクのDIY精神はそういう神経症的な作品創りへのアンチテーゼだったといえる。

●ディープ・パープル「マシン・ヘッド」


渋谷レコファン 380円
ワーナーパイオニア P-8224W/見開きジャケット/解説:田中正美(72年3月)/歌詞なし

ツェッペリンはそれなりに聴いたがパープルはパンクスの敵だった。ギターを手にして最初に弾いたリフが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だったにも関わらず長髪&革ジャン&ラッパズボン+絶叫ヴォーカル&ギター早弾きは前時代の遺物だとして忌み嫌った。ギターが上手い同級生は大抵パープルのコピーバンドを結成した。テクニカルなフュージョンはオトナの音楽なのでガキには早過ぎた。イアン・ギランの高音を出すのは声変わり途中の中学生にも難しくかすれて森進一になるか弱々しいオカマちゃんになるかがオチだった。ギターが下手な連中は「テクニックは必要ないぜ!」とパンクバンドで対抗した。ひと昔前ならギター下手は歌えればフォークを演るか、さもなければベースやドラムに転向するかしか道はなかったのでパンクのお陰でギターを諦めなくても良くなった訳だ。アナーキーとかFUCKとかのお題目より楽器が下手または全然出来なくてもロック(らしきもの)が出来るというのがパンク革命最大の功績と言える。ともあれパープル的なバンドを目の敵にしていても激しいリズムでヘドバンしながら超絶ギターを弾きたいという憧れはある。嫌っていた筈のパープルがラジオで流れるとどの曲も知っているのに驚く。青春の1/4ページ位が紫に染まっている。「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が収録された本作こそハードロックの雄ディープ・パープルの代表作だろう。ところが「話は違うけれど"ハッシュ"というのは、いい曲だったねという話」と始まる解説はサイキデリック・サウンドと呼ばれたデビュー時からクラシックに挑戦するまでの経歴に紙幅を費やし肝心のハードロックのことは軽く触れるだけ。楽曲解説は曲を聴こえるままに言葉に置き換えただけ。例えばギターキッズの筆下し曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は「ベースを前面にプッシュしています。シンバルのリズムも独特のセンスが感じられて、なかなか良い。"」という2行だけ。ーーーそんなの聴けば判るじゃん。独特のセンスって具体的にどういうこと??? 解説としてはどうかと思うが当時はこの手のライナーノーツが多かった。情報が殆ど無いから想像で書くしかない。ジャケットに歌詞が載っていれば詞の内容を語る事が出来るがそれも無ければ音だけで解説しなければならない。レコード会社に写真だけ届き説明がなくどれがどのメンバーか判らない事もあったと言う。評論家の数が限られていたのでラジオDJや新聞・雑誌記者がライナーを書く事も多かったしライナーを書かせてプロモーション効果を狙うのは現在でも常套手段である。評論家にしても得意分野以外のジャンルを書く事もあり「これは判らない」と正直に書いてあるライナーノーツもあった。大らかな時代だった。

●セックス・ピストルズ「勝手にしやがれ」(ジャケはアメリカ盤)


渋谷レコファン 880円
東芝EMI 25VB-1068/解説:森脇美貴夫/対訳:原田愛子/歌詞付

このLPは1977年12月11日にアメリカ盤で購入した。日本盤も出たが安い輸入盤の入荷を待った。黄色にピンクのオリジナル盤と違うピンクに緑ジャケで日本盤より1曲多く収録。曲順も違い友人の家で日本盤を聴いたらA面最後が「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」じゃなくて変な気分がした。現行CDで聴いてもいまひとつ腑に落ちない。アメリカ盤で育ちこんな違和感が植え付けられた人は多いかもしれない。今回購入したLPはEMIのヴァージン・レコード買収に伴い'80年代に再発されたもののようだ。雑誌「ZOO」「DOLL」の編集長としてパンクの現場に拘る森脇による新ライナーは再発時のバンドブームを断罪しつつピストルズの影響力を語るパンクライターらしい状況論を展開。ぷっつり執筆活動を辞めてしまったが元気だろうか。丁寧な歌詞の逐語訳がありがたい。

'70年代末パンク・ブーム当時は森脇をはじめ大貫憲章、鳥井ガクなどが雑誌やライナーノーツで「自分から行動しなきゃダメだぜ!」と檄を飛ばしていた。当時ピストルズの動向は社会現象として新聞でも逐一記事になった。1978年1月の突然の解散も新聞で報じられ「パンクは死んだ」と日記に書いた。翌年にサントラ盤「ザ・グレイト・ロックン・ロール・スウィンドル」がリリースされるが購入しなかった。マイナー志願者は何をしたか?ーーー海賊盤に走ったのである。現在の西新宿ブートCD街は35年前もブートレコード/ビデオ店がいくつもあった。正規盤より割高で録音・盤質が悪い海賊盤を買い漁った。高い金払って買ったら録音が酷過ぎて二度と聴かないこともあったし中味がまったく別のバンドだったこともあるが魔性の魅惑には勝てなかった。パンクやプログレだけではない。ロックで一番好きだったザ・フーも代表作「フーズ・ネクスト」「トミー」を入手する前に海賊盤を何枚も購入していたのである。海賊盤店の隣がプログレ専門店でやはり高価なヨーロッパ盤を清水の舞台買いした。さらにダビングを重ねて画像が滲んだブートビデオ。。。。西新宿にいくらお金捨てたか考えたくもない。CDやDVDで何でも手に入り幻の映像もYouTubeで容易に観られる時代になったが多くのマニアがブートCDに血眼になる気持ちはよく分かる。より困難な状況に自らを追い込むハングリー精神こそマニア道&マイナー道なのであろう。




ロックなら
やっぱりジャケは
デカくなきゃ

ロケンローは蛇の道だね!ベンジー。






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渋さ知らズ@有楽町 東京国際フォーラム Hall C 2013.5.4 (sat)

2013年05月06日 00時31分14秒 | 素晴らしき変態音楽


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2013 「パリ、至福の時」
「渋さ版キャバレー:屋根の上の牡牛」
渋さ知らズオーケストラ
北陽一郎/辰巳光英/松本卓也/立花秀輝/中村江里花/片山広明/鬼頭哲/吉田隆一/高橋保行/ギデオンジュークス小埜涼子/小林真理子/斉藤良一/ファンテイル/山口コーイチ/関根真理/山本直樹/磯部潤/藤掛正隆/池澤龍作/山田あずさ/渡部真一/すがこ/板垣あすか/東洋/若林淳/南加絵/宝子/シモ/井上のぞみ/須永朝子/陽茂弥/ペロ/プラハ/八重樫令子/東野祥子/ケンジルビエン/不破大輔/横沢紅太郎/青山健一/田中篤史/加納亮平

2005年から始まったフランス発クラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ」日本版は昨年までにのべ526万人の来場者を数えるゴールデンウィークの名物イベントである。難しくて敷居の高そうなクラシック音楽を初心者でも気軽に楽しめるように若手からビッグネームまで2000人を超える出演者が低料金で3日間公演を行う。より幅広い音楽ファンへ広げようという意向だろうか昨年から渋さ知らズオーケストラが出演している。ジャンルも国境も関係なく音楽のエンターテイメント性を体現するこの巨大バンドこそ祭典には最適。海外でも高く評価されフジロックの大トリやテント公演を行う渋さがクラシックとリンクしない筈はない。クラシックの常識を逆手にとってわざわざ「演奏中の出入場自由」と告知するウィットが彼ららしい。


渋さの根源にある前衛性/アングラ趣味/諧謔主義は会場の大きさや権威に関係なく発揮される。「フランス」という今年のテーマに合わせて「渋さ知らズキャバレー」と名乗るがそれは建前。クラシック・イベントだから多少は真っ当なステージかと思ったらトンでもない。猥雑で安っぽく不真面目で不条理で滅茶苦茶で支離滅裂で悪趣味なパフォーマンスがこれでもかとてんこ盛りで展開される。観客の多くはジャズ・ファンに見えたが当然交じっている筈の真面目なクラシック・ファンの方々はどう思っただろう。丸一日のお祭りのオーラスだからと我を忘れて楽しむのが正解。渋さを見るのは久々だが150人キャパのライヴハウスで秘祭の様に繰り広げられるいかがわしい馬鹿騒ぎが大ホールで展開されるのが嬉しくて笑いが込み上げてきた。その実大団円で終わってみると祭りのあとの寂しさが心に滲みる。旅芸人やサーカスの熱狂の中に潜む刹那さと悲しみを渋さほど見事に体現している存在はいない。



闘牛士
殺るか殺られるか
その刹那

熱狂の夜が永遠に続けばいいのに。

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灰野敬二@高円寺 ShowBoat 2013.5.3 (fri)

2013年05月05日 01時10分02秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 ~生誕記念公演~
この たった今が 燃え尽きて 
次の今 に
捧げているのを 
見続けて いたい

正確な記録は無いが灰野敬二生誕記念公演に初めて行ったのは2003年の筈だから今年で11年目。正月に家族の誕生日や結婚記念日と一緒にカレンダーの5月3日の欄に「灰野誕生日ライヴ@ShowBoat」と記入するのが年中行事になっている。毎年夏フェスや贔屓のアーティストの誕生日やクリスマス・コンサートなどに通っている人も多いだろうがそれと同じである。初めての生誕ライヴの時意を決して楽屋に押し掛け挨拶をしたのが灰野と直接話した最初だと思う。緊張感はあったがそれ以上に灰野に自分の思いを伝えたいという気持ちが大きかった。吉祥寺GATTYのことや前年の新宿ロフトでの山崎マゾとのデュオの感想を話した。「前衛とかアヴァンギャルドとかどうでもいい。僕がやっているのはロックだから」と力説していたのを覚えている。そこで知己を得てライヴの度に挨拶を交わすようになった。翌年の生誕ライヴでは終演後スタッフの誕生会に参加させてもらった。差し入れのギター型ケーキが印象に残っている。

毎年毎年5時間以上に及ぶロングセットを観てきたがこの日ライヴを観ながらこれはやっぱりミラクルな体験だとつくづく思った。10年前とは客層がガラッと変わり若いオーディエンス、特に女性の姿が増えた。初めて観る人も多いだろうが果たして通常のコンサートの倍以上の長時間のステージだと知っているのだろうか?

(写真・動画の撮影・掲載に関しては出演者の許可を得ています。以下同)

変化の少ない電子アンビエント音響が50分に亘って続く冒頭部で既に陶酔とも睡魔ともつかない幻覚的な精神状態に陥る。様々な民俗楽器、ギター、パーカッション、エアシンセと次々に持ち替えて演奏し歌う灰野の姿がビデオ・ライティングに滲んでいく。2時間過ぎた頃からいつまで続くのかという不安で客席が落ち着かなくなる。お尻が痛くなりもぞもぞ身体を動かす人、トイレに立つ人、スマホで時間を確認する人・・・。演奏が一段落し灰野が楽屋の方へ向かうとそろそろ終わりかと期待するがその度に別の楽器を持ってくるので嗚呼まだかと思う。永遠と思える時間の果てに最後の一音が消えて終焉を迎えるが観客は解放された安堵感に拍手をする気力もなく呆然としたまま。これがもう一回繰り返されるかと思い暗澹たる気持ちになる人もいるだろう。数人はもう十分と会場をあとにするが大多数は最後まで付き合おうと覚悟を決めたらしい。



第2部は轟音ギター中心だが大音量が眠気を誘い舟を漕ぐ人が続出。演奏が途切れた一瞬の静寂にハッと目を覚ますがまた始まる爆音が子守唄に。時間の感覚が麻痺したせいか第1部に比べ第2部は長さを苦痛に感じない。気力を取り戻した客席からアンコールの拍手が起こり本編でやらなかった代表曲「おまえ」のリフで舞踏を思わせる激しいアクションを見せる灰野。これを最後に灰野の魔術から解放されて安心して時計を見ると夜の11時。計ったように正味丁度5時間。



61歳という年齢でこれだけ長時間に亘って濃厚な演奏が出来ることはもちろん驚異的だがむしろ特筆すべきは灰野が何十年もこれと同じことを続けてきたという事実である。気が遠くなる程の精神力または狂気? 以前も書いたがこんな人間は世界中いや歴史上どこを探しても存在しないだろう。これほどの奇蹟を体験出来ることこそ奇跡的というしかない。トム・ヴァーレイン(ヴェルレーヌ?)を観た時「もう死んでもいい」と思ったが灰野を観ると「まだ死にたくない。長生きしてもっともっと灰野の演奏を聴きたい」と強く願う。この日の演奏を観た限りでは灰野は相変わらず精神・肉体共に充実の極みにあるので来年の生誕記念公演まで密度の高い活動を続けるのは間違いない。こちらが健康でいれば引き続きミラクルを味わえる筈だ。そのために心と身体の鍛錬を怠らないようにしようと堅く決意した。

生誕の夜
燃え尽きることは
あり得ない

「孤高」のひとことで灰野敬二を語ることはできない。


<灰野敬二ライヴ・スケジュール>
5.17(fri)国立地球屋 「ドラマー、サミーに捧ぐ」
doronco (bass play)/灰野敬二+三浦真樹/LAPIZ TRIO (LAPIZvo,g+横山玲b+中村清ds)/らりは/ヨシノトランス+川口雅己

5.30(thu)六本木Super Deluxe
リシャール・ピナス (エルドン)/灰野敬二/メルツバウ/吉田達也

5.31 (fri) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE「真夜中のヘヴィロック・パーティー
頭脳警察/外道/灰野敬二/ROLLY/非常階段/キノコホテル/騒音寺/ザ・シャロウズ
コメント (2)
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テレヴィジョン/チャールズ・ヘイワード@下北沢GARDEN 2013.5.2 (thu)

2013年05月04日 01時49分04秒 | 素晴らしき変態音楽


英国音楽/VINYL JAPAN presents
【TELEVISION】
TELEVISION:TOM VERLAINE/BILLY FICCA/FRED SMITH/JIMMY RIP
Special Guest:CHARLES HAYWARD ( ex:THIS HEAT , V4VICTORY / MASSACRE )

1月のパティ・スミスに続くニューヨーク・パンク・レジェンドの21年ぶりのワンマン来日公演。シンプルなロケンローで社会への不満を歌うロンドン・パンクに比べニューヨーク・パンクは知的で文学的というイメージがあるがその根拠がパティと彼らにあることは間違いない。「ロック界で一番綺麗な首の持ち主」とパティに言わしめたトム・ヴァーレインの不安定な歌とリチャード・ロイドとのクリスタルな音色の痙攣ツイン・ギターは空白の世代=ブランク・ジェネレーションの象徴である。1992年のテレヴィジョン初来日公演は観ていないが1987年のトム・ヴァーレイン単独ツアーはよく覚えている。高校時代のヒーローの初来日に興奮して仕事が手につかなかった。会場は五反田ゆうぽうとか新宿厚生年金か公共ホールだった。テレヴィジョンの曲はやらなかったと思うがトムがそこにいて「あの声」と「あのギター」を聴けるだけで幸せだった。涙が出て止まらなくなりこのまま死んでしまっても構わないと思った。感動の余りソールドアウトの二日目の公演チケットをあらゆる手段を駆使して入手した。当時60年代サイケにのめり込んでいたのでアンコールでカウント・ファイヴの「サイコティック・リアクション」を演奏したのに感激したのを覚えている。

テレヴィジョンはスタジオ・アルバムは3枚しか残していないがどれも不思議な感触がある。若い頃愛聴したレコードを後に聴くと多少なりともセピア色に彩られたノスタルジアの香りがするものだが彼らのアルバムにはそんな感傷は感じない。聴く度に初めて聴くような新鮮な驚きに包まれる。初めて聴いてから35年余り経つのにこの気持ちの高ぶりはなんだろう。しょっちゅう聴く訳ではないがiTunesやiPodに入れておくと安心するお守りのような存在。自分の中でこれほど大きな存在だとは25年ぶりに本人を目の前にするまで気がつかなかった。

●チャールズ・ヘイワード


4日前にマサカーを観た下北沢GARDENは満員大盛況。往年のファンも多いが後進に多大な影響を与えたバンドだけに若い男女も多い。前日に突然ゲストとしてチャールズ・ヘイワードの出演が発表された。恐らくチャールズ本人の希望だろうが嬉しいサプライズである。昨年V4 VICTORYを率いての来日公演は観たがソロは初めて。足でプリセット音源を操作しながらドラムを叩き歌う。スタイルこそ吉田達也のRUINS aloneと同じだが表現コンセプトは別のベクトルを持つ。吉田が複雑な変拍子でプログレ的表現をするのに対しチャールズの演奏は硬質なクールネスと残忍なシャープネスに満ちたポストパンク。アイス世代と呼ばれたディス・ヒートを彷彿させる。1st LP「ディス・ヒート」日本盤のキャッチコピー「人類警告への黙示録」さながらに鳴り響く非常ベルの中目を見開いて鬼の形相で叩き歌うチャールズは正真正銘現代に生きる表現者に違いない。



●テレヴィジョン


期待感が静かに高まるセットチェンジのあと教会の鐘のSEに乗せ4人が登場。63歳のトムをはじめ皆齢を重ね風格があるが顔つきはデビュー・アルバムのジャケットそのままなのが嬉しい。トムはトレードマークのジャズマスターではなくストラトモデル。「あのギター」の音色が流れ出しデビュー・アルバム1曲目「シー・ノー・イーヴル」がらスタート。ヴォーカルも「あの声」そのまま。背筋が痺れるような感覚。トムが「我々の新ギタリスト!」と紹介したジミー・リップの素晴らしいビブラート・ギターが見事にハマっている。リチャード・ロイドがいなくてもこの4人こそ「新生」テレヴィジョンなのだと納得。一曲ごとにギターのチューニングを変えるのを見てソニック・ユースの変則チューニングのルーツはテレヴィジョンにあるのかもと思った。初期レパートリーを一通りやってから新曲を数曲披露。1992年の初来日は再結成アルバムの曲ばかりでイマイチ評判が良くなかったようだが今回は新メンバーになって心機一転、独創性溢れる秀逸な曲想と冒険精神に満ちた説得力充分の演奏。特にワンコードでインタープレイが延々と繰り広げられるラーガロック・ナンバーは「リトル・ジョニー・ジュエル」や「マーキー・ムーン」に匹敵するサイケデリック感があり無限の精神トリップに誘う。すかさず「ヴィーナス」で号泣させる流れはヒキョウと言うしか無い。完全に4人の虜となった観客は陶酔の余り踊ったり喚いたり本能を剥き出しにする。必殺「マーキー・ムーン」で本編終了。定番「サイコティック・リアクション」のアンコールが終わって客電が点いても怒号のようなアンコールの拍手は収まらない。それに応えて二度目のアンコール。これは異例のことらしい。それだけ日本でのステージおよび観客に満足した証しだろう。



ニューヨーク発
官能的な
テレビ放送

【関係者にお願い】
メンバー紹介でジミーが「トム・ヴェルレーヌ」と呼んだように聞こえた。確かに1月のサイン会でパティ・スミスに「トム・ヴァーレイン」と言ったら通じなかった。Verlaineの正式な発音はどちらなのか?公演関係者の方が読んでいたら本人に確認していただけないでしょうか。

<TELEVISION 再追加公演>
2013.5.10(水)高円寺HIGH Special Guest Band: dip/ザ・シャロウズ
詳細はコチラ










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