グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

「世界語り継ぎフォーラム」の論文誌が公開されました!

2021年02月09日 | 火山・ジオパーク
約1年前に神戸で行われた「2020世界語り継ぎフォーラム」の発表の一部が「JDR(Journal of Disaster Research)」という論文誌に公開されました。

(上の写真は2020年1月のフォーラムの様子。右から4人目が世界ジオパークネットワークGGNの副会長さんです)

JDRのVol.16 (2021)No.2(Feb)のpp. 170-175に、私が投稿した英語の論文が掲載されています。
少し長い英語の文章ですが、興味のある方はお読みください。
"Geotourism and Disaster Storytelling: Lessons from 2013 Izu-Oshima Island Debris Flow Disaster" Kana Nishitani, Kazuyuki Nakagawa, and Shingo Nagamatsu

…といっても、私は日本語でただ書きたいように書いただけ。
費用負担をせずに英文化されたので、英語の論文を投稿した実感はないのですが💦

主に関西大学教授の永松さんが論文としての形を整えてくれて、このフォーラムの分科会を担当した時事通信の中川さんにも補っていただきました。

永松さんによると、災害の語り継ぎに関する論文が、まとまって世に出るのは世界初とのことです。

時間の経過とともに薄れていく災害の記憶。
辛い記憶が薄れるからこそ、人は生きていけるのかもしれませんが、次の災害で同じような被害を出さないために、何をどのような形で語り継いで行くか、は大きな課題です。

そのための様々な方法が模索されていますが、昨年の「世界語りつぎフォーラム」では、語りつぎの手段のひとつとして、ジオパークの分科会が設けられ、議論がなされました。

参加に当たっては、私は日常のツアーで、どの部分が「災害の語り継ぎ」に当たるのかを考えました。

噴火が作った大地の上で、雨や風、波の影響を受けながら私たちが暮らしていること。そして、火山噴火の兆候をとらえるために様々な努力がなされているけれど、わかっていないことがたくさんあると言う現実などをツアーの間に話しているので、それが災害の語り継ぎにつながるのではないか…と言うようなことを発表しました。

災害を語り継ぎ、我がこと感を持って学ぶ人が増えることで、被害にあうリスクを減らせ、災害後もありのままを受け入れて立ち直るための力になると思っています。

今回の論文誌には磐梯山噴火記念館の佐藤さんの論文も掲載されています。

2020世界語り継ぎフォーラムの全体の報告書は、こちらから読むことが出来ます。
ジオパークと語り継ぎの分科会は、P40-45に要旨が日英で載っています。「語り継ぎとミュージアムの役割」の分科会や、「災害遺構と記憶の継承」でも、日本のジオパークの関係者が報告しています。
当日の各分科会の発表資料はこちらで公開されていますので、関心がある方はご覧ください。

JDRは英語なので、現在、日本語の論文集も公開準備が進んでいるそうで、そこには元の私の文章に近い日本語版が掲載される予定です。もっと多くの参加者の皆さんの文章が載るようですので、公開されたらまたお知らせします。

(かな)
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