海上自衛隊の米軍艦船「防護」

　今日の各紙社説は、これに関するものが多い。そのなかでも、『中日新聞』がよい。各地方紙も当然批判的である。ただし全国紙のいくつかは、不思議なことにそうではない。

　
初の米艦防護　本当に必要な任務か



　稲田朋美防衛相が自衛隊に「米艦防護」を初めて命令した。米国と北朝鮮との軍事的緊張が高まる中、日米の連携強化を誇示する政治的な意味合いが強く、本当に必要な任務なのか、疑問が残る。

　米艦防護は自衛隊が平時に米国の艦艇などを守る「武器等防護」の活動で、安倍政権が成立を強行し、昨年三月に施行された安全保障関連法に基づく新しい任務だ。

　海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」がきのう、横須賀基地（神奈川県）を出港し、東京湾を出た太平洋上で米海軍の補給艦と合流。四国沖まで一緒に航行して護衛する、という。

　米艦防護活動中に、米軍への攻撃や妨害行為があった場合、阻止するための武器使用が認められているため、自衛隊が紛争の引き金を引きかねない任務でもある。

　とはいえ、今回の米艦防護は、軍事的合理性よりも政治的な思惑が先行している感が否めない。

　一つは、東アジアの軍事的緊張には米軍と自衛隊が共同で対処するというメッセージである。

　弾道ミサイル発射を繰り返し、核開発を進める北朝鮮をけん制するだけでなく、東アジアで軍事的存在感を増している中国やロシアにも向けられているのだろうが、日米連携をことさら強化することは、逆に東アジアの緊張を高めることになりかねない。

　もう一つは日本の軍事的役割を強化する安倍政権の狙いである。

　米補給艦は、米原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群などが展開する朝鮮半島沖へ向かうとみられるが、「いずも」が護衛するのは四国沖までだ。

　北朝鮮が太平洋側で米艦を攻撃する能力を持っている可能性は低く、他の国やテロ組織による米艦攻撃も想定しづらい。

　そもそも必要性に乏しい米艦防護に踏み切った背景には、憲法学者ら多くの専門家が憲法違反と断じた安保法を既成事実化し、自衛隊と米軍との軍事的一体化を加速する狙いがあるのだろう。

　北朝鮮の挑発行動に、米トランプ政権は軍事攻撃を含む「あらゆる選択肢が机上にある」としているが、安倍政権がすべきは米国に同調して軍事的圧力を強めることではなく、緊張緩和に向けて関係国に対し、対話や国際協調を粘り強く働き掛けることだ。

　「日米同盟」の誇示でなく、外交努力を尽くすこと。それが、武力による威嚇や武力の行使を、国際紛争の解決手段としては永久に放棄した日本の役割である。

忘れないこと

　今日の各紙の社説は、海上自衛隊の米軍艦船防護のことが多かった。これについては、この後に紹介したい。まっ先に考えたいのは、朝日新聞阪神支局襲撃事件である。ひとりの記者が殺害されたが、いまだ犯人はつかまっていない。

　この事件は、ジャーナリズムへの暴力的な攻撃である。こういう事件が起きたこと、しかしそれにひるまずに、ジャーナリストは真実を追い続けなければならない。それ以外に、ジャーナリストの価値はないからだ。

　今日の『中国新聞』社説。

http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=338966&comment_sub_id=0&category_id=142

もうここまで来ている

　私は、「共謀罪」の法案を「国民従属（隷属）化法」、あるいは「国民口封じ法」であると思っている。しかしすでに、憲法21条で保障された「表現の自由」を行使する場がなくなってきている。

　地方自治体が、公的な場を、政府に批判的な勢力に貸さなくなっているのだ。その理由、「政治的中立性」だって、別に、その地方自治体がそうした政治的主張をするのではなく、そこを利用する人々が「表現の自由」の一環として政府に批判的な意見を主張するのであるから、まったく問題はないはずだ。

　これでは地方自治体は、「痴呆自治体」になってしまう。

　それは、金沢市。

　http://lite-ra.com/2017/05/post-3126.html