東京大学が学費を10万円上昇させる、という案を提出した。学費の値上げは、それが少額であっても、学生にとって一大事である。在学しているとき、たしか二度ほど学費値上げ反対闘争があり、私も積極的に参加した。親の仕送りは増えないから、値上げされた分はバイトなどで稼がなければならなくなる。
私は、夜警と家庭教師のバイトをしていた。夜警は中野文化センターや武蔵野美術大学などでやっていた。前者のほうが楽だった。
学生だった頃の学費は年間8万円、入学金は10万円だった。国立大学の学費は、もっともっと安かった。12000円ではなかったか。
新幹線代浜松ー東京間は、1850円、運賃が1050円、特急券が800円だった。学割を利用すれば1640円で、仕送りとアルバイトでなんとか生活はできた。物価もそれなりの水準だった。しかしなかなか書籍代はでなかったので、私は一日の食事代を500円におさえるようにしていた。もちろんそのためには自炊するしかない。同じサークルで、のちに不二家に就職したYくんは、夕食時に食事にありつくため、隣の駅から歩いてよくきていたことを思い出す。
東大の親の所得は全国の大学生のなかでも最高だといわれる。だが、そういう学生ばかりではないはずだ。経済的に苦しい学生も必ず存在している。「奨学金」という学生ローンもあるが、あれは卒業時にばく大な借金をかかえることになり、その後がたいへんになる。
OECDの中でも、日本は公教育にカネを出さない国で、確かビリに近いのではないか。
自民党・公明党政権は、利権に繋がるところにはカネ(もとは税金である)をつぎこむが、そうでないところにはカネを出さない。大学教育は、利権にはつながらない。そこで、自民党・公明党政権は、利権に繋がることが可能となるように、大学改革を進めようとしている。
嘆かわしい国だ。