浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『地平』8月号が届いた

2024-07-03 20:45:08 | 

 『地平』の創刊号は、知的刺激にあふれた雑誌であると思った。まだブログで紹介していないが、栗田禎子の「ガザ侵攻に抗うグローバルサウス」は、世界における日本の位置をも視野に入れた、なかなかの論考であった。

 たとえば、サミール・アミンの指摘を受け、「集団的帝国主義」という概念を提示している。「集団的帝国主義」とは、米国、欧州、日本、オーストラリアを指し、「一握りの「北」の諸政府が「南」の民衆を管理し資源を搾取しようとする仕組み」のことである。なるほど、と思った次第である。その他にも、中東におけるイスラエルの位置が、東アジアにおける日本の位置と「パラレル」であるという指摘も、なるほどと思った。

 『地平』は、なかなか問題提起にあふれた雑誌である。

 そして『世界』7月号であるが、『地平』にくらべて読み応えのあるものが少ない。ということは、掲載されている論考や対談その他に鋭さがないということだ。読んでいて、よかったのは、「ガザ反戦デモ 米学生新聞は大学当局とどう向き合ったか」、武田砂鉄の「最後は教育なのか?」、鈴木江理子「「育成就労制度」でも継承される問題構造」、岡村淳「上野英信と富山妙子の「出ブラジル記」」、「片山善博の「日本を診る」 教員「低額働かせ放題」問題の本質を探る」である。とにかく、『地平』のほうが鋭い問題提起となっているのである。

 考えてみれば、『地平』を発刊したのは、熊谷伸一郎、もと『世界』の編集長である。『地平』8月号の「編集後記」に、「今の日本社会と政治の最大の問題は、権力を監視し、牽制する力が衰弱していることだと痛感する」とあるが、そうした力は、『地平』のほうがある、と思う。ということは、『世界』がそうした力を弱めてきたのかもしれない。そうであって欲しくはないのだが。

 『世界』の執筆陣が新しくなっていることと、何か関係があるのかもしれない。『地平』の執筆陣は、かつての『世界』の執筆陣でもある(すべてではもちろん、ない)。

 

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「誰のために・・・?」

2024-07-03 07:26:24 | 政治

 『日刊ゲンダイ』に、「岸田首相は誰に寄り添っている?」という記事があった。そんなことは言われないでも、日々の政治ニュースを見ていれば、政府や自治体が財界や産業界、さらには創価学会などの宗教団体のための政治を展開していることは明らかである。多額の税金をそういうところに注ぎ、彼らにパーティー券を買ってもらい、政治家に税金を環流させる、そういうシステムをしっかりと構築しているのである。それでも、選挙民が自民党や公明党に投票することに、私はある種の絶望をいだいている。

 ちなみに、その会食に参加した財界のメンバーを報じている雑誌があった。

 能登の被災者のことなんか、キシダの頭の中にはないのである。もちろん、庶民のことも眼中にはない。

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