明治神宮には、二度くらい行ったか。あそこは明治天皇が祀られている。たくさんの木々があり、東京には珍しいところだと記憶している。
静岡県の山の中にある町の歴史編纂に携わっているとき、大正期の書類の中に、明治神宮に樹木を送る(献木)という資料を見たことがあった。今はっきりと覚えていないけれども、どういう樹木を送るのかを検討した文書だったような気がする。
そのときは、その資料の重要性に気づかなかった。
いま、明治神宮外苑の再開発という景観破壊事業が計画されているが、その事業においては、全国から送られた樹木をたくさん切り倒すというのである。今からずっと前のことだけれども、全国各地の人びとは、明治神宮創建という事業に協力するために、当該地方でもっともよい樹木を選定して送ったはずである。
しかし明治神宮、三井不動産、東京都、そして自民党政治家など、再開発を推進する人びとは、そういう歴史をまったく顧慮せずに、目の前のカネだけをみつめて、大正時代の人びとの善意を踏みにじろうとしている。
私は天皇制を擁護する者ではないが、明治神宮は明治天皇を祭神として祀っている神社である。また神宮外苑には、聖徳記念絵画館がある。そこは明治天皇の時代の絵画が並べられている。
自民党の政治家や、小池百合子などは、明治天皇を崇敬する人びとではなかったか。おそらくそんなことより、カネ、カネ、カネ・・・なのだろう。彼ら自民党政治家や小池百合子など保守政治家は、心から天皇を崇敬するのではなく、自分たちが利用するものとして天皇(制)はある。
明治神宮とその周辺の景観は保持されるべきものである。
私は学生時代東京に住んでいたが、最近の東京の変貌には驚く。東京には用事があればやむなく出かけるが、今では行きたいところではなくなっている。夏はとにかく暑い、冬はビル風が痛い。人間が住む街ではなく、カネ儲けをする場として、東京は存在しているように思う。