久しぶりに書店に行って買った本の一冊。ジェンダーに関する本はあまり読んでこなかった。フェミニズムについてはいくつか読んできたし、日本女性史についても読んでは来たが、ジェンダーという言葉はなかなか身につかない。そこで、みずからの弱点を補うべく買って読んでみたのだが、ひととおりの理解は可能な、あまり難解ではない本であった。
ジェンダーについての理解がないと、もう歴史の本も読めなくなるほど、そのことばは一般に普及しているが、それを快く思わない人たちも相当いるようだ。
本書は、「ジェンダー史」ということで、ジェンダーという視点がどのように生まれてきたかをまず記し、それが歴史研究をどう変えてきたのかが、次に展開される。
様々な論点があり、それに関する膨大な研究が既になされていて、同時に著者はドイツ史ということから、海外の文献をも揃えて説明しているがゆえに、記述は概説的で(それを目的に書かれた本であるから当然だが)、わたしとしては緻密さに欠けるように思えた。それはもちろん無いものねだりである。
ジェンダーは、市民の生活の中に定着すべき概念であり、その歴史、どういう研究がなされてきたのかを知る上でよいテキストだと思った。