『週刊金曜日』には、イスラエルによるガザ攻撃に関する記事がいくつかある。そのなかから二つ紹介していたい。一つは早尾貴紀さんの「パレスチナ人大虐殺という不正義から目を逸らすな!」であり、もう一つは「最先端産業としてのジェノサイド」である。
早尾さんの論攷は、現在のイスラエルの蛮行の経緯がよくわかる。2023年9月22日、イスラエルのネタニヤフ首相は国連総会で、「新しい中東構想」について演説した。その際に示された地図には、パレスチナ自治区と言われるヨルダン川西岸地区もガザもなく、その地がイスラエルの色で塗られていた、つまりその時点でパレスチナは消去されていたのである。現在のガザ攻撃は、それを実現する、パレスチナ掃討作戦なのだ。まさにジェノサイドである。
イスラエルの蛮行を、欧米の若者たちが、そして日本の学生たちも、糾弾に立ち上がっている。しかし欧米諸国は、大学までもそれらの動きを封じようと躍起になっている。イスラエルを批判することは反ユダヤ主義だというのである。さんざんユダヤ人を迫害してきた欧米諸国の、その迫害の代償がイスラエルへの全面支持というわけだ。そこには人道も、ヒューマニズムも何もない。何もないということで、欧米諸国は歴史的に一貫している。ユダヤ人も、パレスチナ人も、どうなろうと知ったことか、という姿勢である。
そしてイスラエルの蛮行を支えているのが、アメリカの中東支配政策である。アメリカは中東諸国、エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦、バーレーン、スーダン、モロッコを従属させ、これらの国々にイスラエルと国交を結ばせ、「アラブの大義」を葬り去ろうとしている。イスラエルを中心とした中東支配を、アメリカは画策している。
次に廣瀬さんの文。ウィリアム・ロビンソンの「パレスチナとグローバル危機」という論文をもとに話しを進める。
「西洋支配層においてジェノサイドは過剰蓄積あるいは余剰資本という経済問題と余剰人間の反乱という政治問題を同時に解決する手段として理解されて」いるという。余剰人間を抹殺すること、その事業に余剰資本が投下される、というのである。
「ジェノサイドはまずは余剰人間の抹殺であ」り、「世界各地で余剰人間が生み出され続ける限り、彼らの反乱やその可能性に対する「戦争」は終わらず、そうした戦争を糧とする国土安全保障産業は、世界経済が全体として停滞するなかで例外的に発展が約約束された部分として余剰資本を吸収し続けるだろう。加えてまた、ジェノサイドを伴うか否かにかかわらず、戦争による破壊では必ず「復興」が展望されており、発展限界に達した諸部門も復興に関わる限りで余剰資本に再投資の機会を与えることになる。」
イスラエルのような、「入植者植民地主義」においては、「先住民抹殺それ自体が新種の産業として資本の価値増殖運動に組み込まれている」!!
資本主義は生きている人間と極限までに絶対的矛盾関係にある、もう資本主義の廃棄しかない、という段階に、世界はきている。