これは今日の『毎日新聞』の記事(一部)。
政府は将来の急激な人口減少問題に対応するため、安倍晋三首相を本部長にした総合戦略本部を設置する方針を固めた。安倍政権の社会経済政策の重要課題として「人口急減の克服」を位置づけ、府省ごとに展開している少子化対策に政府一体で取り組むのが狙い。地方から都市部への女性の流入が続けば、地方の人口減少に歯止めがかからないと判断し、従来の子育て支援に加え、「若者に魅力ある地域拠点都市」の整備にも着手する。
何もしないよりよいかもしれないが、1980年代以降政府が推し進めてきた政策、そして今なお継続されている政策が、「急激な人口減少」社会をつくるもの。企業の最大限利益追求を支えるべく、働く人の給与、労働条件を悪化させ、公共的な政治から手を引き、さらに地方を見棄てる、そういった新自由主義の政策がおこなわれてきた。残業代ゼロ案など、安倍政権は、さらにそれを強く推進しようとしている。「若者に魅力ある地域拠点都市」の整備も、「公共事業」だとして企業に利益を与えるバラマキ政策となるであろう。
少子化対策は、簡単だ。若い人たちに公営住宅を与え、人間らしい生活ができる収入を保障することだ。そして公費を教育に投入しないという悪しき慣習をやめ、教育を名実ともに公教育とすることだ。
今日の『朝日新聞』の声欄から。
薄給で結婚できない子どもたち
2014年6月2日05時00分
44歳の息子と39歳の娘がいます。2人とも未婚です。結婚できない一番の原因は、長時間労働と低賃金にあるのではないかと思います。
2人とも給料の話などしませんが、偶然、2人の給料明細を見てびっくりしました。共に民間会社の正社員ですが、基本給は10万円そこそこなのです。東京に住む息子が生活できているのは、残業代が出るのと寮に入っているからです。会社では中堅で、海外へ販売にも行きます。それなのに安い給料なのです。
息子はこれまでに2度、結婚相談所に行きました。月給を話すと、渋い顔をされたそうです。「俺は結婚を諦めた」と息子は言います。朝早くから夜遅くまで働いて、やっと自分の生活を支えているのが現状です。それなのに、数万円のボーナスが出ると、私たち夫婦に小遣いをくれるのです。
娘の生活は、兄以上に大変なようです。弁当を作って生活費を切り詰めています。仕事の責任は重く、長時間労働なのに残業代は出ません。お金と時間、心のゆとりがあって結婚に結びつくと思いますが、娘には全てが欠けています。
昔はお見合いの相手を探してくれる世話好きの人がいましたが、そんな社会は崩壊しています。妻は「2人のことを思うと眠れず、涙がこぼれることがある」と言いますが、子どもたちは老いてゆく私たちのことを心配しています。
私たち家族のような人が少なくないのが、この国の大きな問題だと思います。このままでいいのでしょうか。私たち夫婦は孫を抱けないのでしょうか。
つまり新自由主義的な政策をやめること、である。
政府は将来の急激な人口減少問題に対応するため、安倍晋三首相を本部長にした総合戦略本部を設置する方針を固めた。安倍政権の社会経済政策の重要課題として「人口急減の克服」を位置づけ、府省ごとに展開している少子化対策に政府一体で取り組むのが狙い。地方から都市部への女性の流入が続けば、地方の人口減少に歯止めがかからないと判断し、従来の子育て支援に加え、「若者に魅力ある地域拠点都市」の整備にも着手する。
何もしないよりよいかもしれないが、1980年代以降政府が推し進めてきた政策、そして今なお継続されている政策が、「急激な人口減少」社会をつくるもの。企業の最大限利益追求を支えるべく、働く人の給与、労働条件を悪化させ、公共的な政治から手を引き、さらに地方を見棄てる、そういった新自由主義の政策がおこなわれてきた。残業代ゼロ案など、安倍政権は、さらにそれを強く推進しようとしている。「若者に魅力ある地域拠点都市」の整備も、「公共事業」だとして企業に利益を与えるバラマキ政策となるであろう。
少子化対策は、簡単だ。若い人たちに公営住宅を与え、人間らしい生活ができる収入を保障することだ。そして公費を教育に投入しないという悪しき慣習をやめ、教育を名実ともに公教育とすることだ。
今日の『朝日新聞』の声欄から。
薄給で結婚できない子どもたち
2014年6月2日05時00分
44歳の息子と39歳の娘がいます。2人とも未婚です。結婚できない一番の原因は、長時間労働と低賃金にあるのではないかと思います。
2人とも給料の話などしませんが、偶然、2人の給料明細を見てびっくりしました。共に民間会社の正社員ですが、基本給は10万円そこそこなのです。東京に住む息子が生活できているのは、残業代が出るのと寮に入っているからです。会社では中堅で、海外へ販売にも行きます。それなのに安い給料なのです。
息子はこれまでに2度、結婚相談所に行きました。月給を話すと、渋い顔をされたそうです。「俺は結婚を諦めた」と息子は言います。朝早くから夜遅くまで働いて、やっと自分の生活を支えているのが現状です。それなのに、数万円のボーナスが出ると、私たち夫婦に小遣いをくれるのです。
娘の生活は、兄以上に大変なようです。弁当を作って生活費を切り詰めています。仕事の責任は重く、長時間労働なのに残業代は出ません。お金と時間、心のゆとりがあって結婚に結びつくと思いますが、娘には全てが欠けています。
昔はお見合いの相手を探してくれる世話好きの人がいましたが、そんな社会は崩壊しています。妻は「2人のことを思うと眠れず、涙がこぼれることがある」と言いますが、子どもたちは老いてゆく私たちのことを心配しています。
私たち家族のような人が少なくないのが、この国の大きな問題だと思います。このままでいいのでしょうか。私たち夫婦は孫を抱けないのでしょうか。
つまり新自由主義的な政策をやめること、である。