1年半ぶりの大相撲観戦。通常は一番盛り上がることの多い14日目だったのですが、今場所は大鵬を越え歴代最多となる33回目の優勝を、横綱白鵬が13日目それも全勝で達成してしまいました。そういう意味ではやや興醒めな観戦となりました。
しかしながら、今場所は初日からずっと満員御礼が続き大相撲人気が回復してきていることがうかがわれます。両国国技館にもサーバーを背負ったビールの売り子が登場するなど、協会側の努力が伝わってきますが、相撲内容でもぜひ盛り上げていただきたいところです。
さて、国技館に到着して最初の取り組みは十両上位。以前から期待している旭日松(9勝4敗、以下13日時点の成績)と今場所十両では独走、既に十両優勝を決めている北太樹(12勝1敗)からでした。この取り組みも北太樹が非常に安定した取り口をみせ、きめ出しで1敗を守りました。
中入となって、幕内土俵入り。幕内は大型力士が増えたなという印象です。
横綱鶴竜、日馬富士、白鵬土俵入り。かつては雲竜型の横綱の方が多かったと記憶しているのですが(戦後の横綱33名中不知火型は9名)、現在は白鵬、日馬富士が不知火型であることから、雲竜型の鶴竜が久々のように感じられます。
現役最年長40歳の旭天鵬と23歳の千代丸。現役寿命の短い大相撲において、17歳という年齢差は驚異的です。実際、旭天鵬が初土俵を踏んだ1992年、千代丸は1歳でした。取り組みの方は引き落としで千代丸の勝ち。
前頭筆頭同士、既に負け越しが決まっていますが、力をつけてきているグルジア出身の栃ノ心。一方、ここまで6勝7敗、個人的に期待する日本人力士の一人である宝富士。力の入った一番は、寄り倒しで宝富士の勝ち。
前半こそ逸ノ城や遠藤を破るなど曲者ぶりを発揮していた、36歳ベテランの安美錦でしたが、中日以降、上位との対戦で連敗が続き負け越しが決まってしまいました。一方、こちらも負け越しが決まっている24歳の小結高安。結果は寄り倒しで高安、三役陥落ですがまだまだ若手ですので頑張ってほしいです。
6勝7敗同士、小結栃煌山と前頭四枚目豊ノ島。見せ場のない一瞬のはたき込みで栃煌山の勝ち。崖っぷちの状況で分からないではないのですが…
一緒にモンゴルから来日し、年齢も2歳違い。これからの大相撲を担う大型力士として嘱望される両者の対戦。優勝が既に決まった今、この日一番の好取組と言えるでしょうか。がっぷり四つに組み、両者一歩も譲らない取り組みは何と6年ぶりの水入りに。4分46秒に及んだ大相撲は、関脇逸ノ城が寄り切りで勝ち。勝ったものの、場所前から稽古不足の感が否めず、既に負け越しが決まっている逸ノ城ですが、この両者にはぜひ良きライバルとして切磋琢磨していただきたいと思います。一方、照ノ富士はこれで7勝7敗、千秋楽に勝ち越しを賭けます。
カド番で既に後がない大関豪栄道と、既に負け越しが決まっている関脇碧山。豪栄道が下手ひねりで195kgsの巨漢碧山を転がし、千秋楽勝ち越しに望みをつなぎました。
序盤の2勝2敗から盛り返し、カド番ながら既に9勝を挙げた大関琴奨菊。しかし、この日は立会いに鋭さがなく、遠藤の引き落としにあっけなく敗れました。
既に優勝は決まっているものの、横綱日馬富士の意地を見たいところでしたが、それ以上に白鵬の厳しい攻めが上手でした。同じ横綱ながら力量差を見せつけるかのような盤石の寄り切りで白鵬が全勝のまま千秋楽へ。
根拠はありませんが、取組前から稀勢の里だなという直感がありました。果たして予感は的中し、大関稀勢の里が横綱鶴竜をあっさり寄り切り。満員の割には座布団さえあまり飛ぶこともなく、結びの一番としては何となく寂しさがありました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした