窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

FACSマニュアルについて

2020年07月12日 | 表情分析


 4月から時間を見て少しずつ「FACSマニュアル」を読み進めていたのですが、約500頁にも及ぶマニュアル、ようやく通読することができました。読み終えた感覚としては、表情分析の奥の深さ、道程の遠さに呆然といったところです。

 「FACSマニュアル」は、FACS(顔面動作符号化システム)における顔面動作を特定するコード(AU)を解説したものです。構成としては、顔面上部、顔面下部(上下の動作・水平の動作・斜めの動作・環状の動作)に分かれ、それぞれの領域に該当するAUと複数のAUの組み合わせについて説明がなされます。

 内容は、最初に該当する顔面領域の筋肉の構造とAUとの関係について説明がなされます。そして各AUについては、①外見の変化、②当該AUの作り方、③強度採点の順で説明されます。「強度」というのは、そのAUが動いた程度のことで、A~Eの5段階で評価されます。基本動作としてのAUは全部で27個あります。

 その他、当該AUの強度を変化させるような他のAUとの組み合わせについてや、同時に起こるはずのないAU(例えば、顔を左右同時に向けることはできない)なども取り上げられます。各章の終わりには、登場したAUの識別を練習するための画像と動画があります。

 続いてAD(アクション・ディスクリプター)についての解説。AU(アクション・ユニット)ほど動作の筋的基盤が特定されていない動きをADといいます。さらに、AUと共起し、AUの解釈を助ける補完的コード。ADもこれに含まれますが、全部で28個あります。例えばAU31(歯を食いしばる)といったもの。

 さらに、目と頭の位置のコードが25個あります。実際に表情をコード化する時、対象が常に正面を向いているとは限りません。頭と目の位置はAUの強度に影響を及ぼす場合があります。例えば、頭を上げながら目を下げていると、あたかも目を閉じている(AU43A)かのように見えてしまうことがあるというように。

 一通りコードの解説が終わると、実際にコード化する時の採点ステップについて説明がなされます。さらに上級テクニックとして、発話中の採点の方法、顔の片側だけあるいは左右非対称のAUの採点の方法なども解説されます。

 これだけでもマスターするには途方もない時間と実践の積み重ねを要することは容易に想像できます。ところが、さらにこの「FACSマニュアル」とは別に、分析者のための「インベスティゲーター・ガイド」というこれまた180頁超のガイドブックもあるのです。しかし、この3ヶ月というもの、(画像や動画に登場する)70年代風アメリカ人の顔を嫌というほど見過ぎて少々疲れてしまいました。「インベスティゲーター・ガイド」についてはまたの機会にしたいと思います。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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