都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
セントラルイースト東京2005 10/10

セントラルイースト東京(CET)2005
10/1~10/10(会期終了)
東京都心部の東側(セントラルイースト)を、アートやデザイン、それにライブなどのイベントで盛り上げようという企画です。神田、馬喰町、八丁堀などのエリアに点在する空きビルや空きテナントの一室に、現代アートやデザイン系の展示が並びます。CETとしては、昨年に引き続いて二度目の開催とのことです。
神田から八丁堀まで、会場のエリアは広範囲に渡っていますが、私が見たのは神田界隈と、CETのメイン会場として、特別な企画展も開催された日本橋ステーションの展示です。(日本橋ステーションの感想はこちらへ。)
CET神田地区
K02 菱岡ビル 泉沢儒花/syfte.
K03 高橋ビル 奥まゆみ
K04 穂刈ビル AKI./長靖
K05 星徳ビル 27(天野謙佑+村上貴紀)/SEVEN DOGS NEXUS
K06 ムサシノビル flask/福津宣人/point/sonia chow/野老朝雄(トコロアサオ)/United Bows (野老朝雄+今井健+荒牧英治)
K08 INOビル まくらのいきおい / 加藤和也 コヤマイッセー/太田素子/attaka≒高橋辰夫/Tissue
K09 CASA NUOVA GALLERY 福山正紘
これらの会場を見て回りました。作品によっては、ビルの古い内装と調和していたり、人気のない寂しい室内をパッと明るくさせていたりと、思わぬ展開を見せてくれたものもあります。空きビルの鄙びた風情と現代アート。良い方向での相乗効果があるようです。
特に印象に残ったのは、K03の奥まゆみとK04の長靖、またはK05のSEVEN DOGS NEXUS、さらにはK06の福津宣人と、同じくK06の長岡勉と田中正洋の展示です。K03の奥まゆみの作品は、廃屋となったビルの一室に、まるでそこをねぐらにしているような可愛らしい生き物たちが住み着いています。また、K05のSEVEN DOGS NEXUSは、ビルの女性トイレをそのまま利用して、なかなか刺激的な展示を繰り広げます。さらに、K06の福津宣人の巨大な人形や、蛍光灯を使ったインスタレーションを見せた長岡勉と田中正洋も、空きビルや廃屋という空間を、アートを介した面白い「場」へと変換させていたようです。
K04の長靖の作品は、家電カタログのイメージを切り抜いて印刷し、ラベルとして構成、展示するものです。かつて住宅として使われていた狭い一室には、テレビやクーラーなどのコピーが展示されています。クーラーはまるで魚拓のように吊るされ、テレビは壁面へいくつも並べられます。それらは、決して現物ではなく、カタログのコピーに過ぎませんが、この場がかつて生活の空間であったことを強く匂わせます。この作品も「場」を巧みに取り込んだようです。もちろん、作品自体も面白いとは思うのですが、このような空間で見たことが、さらに印象を深めさせます。
メディア等への露出が少ないこともあるのか、参加されていた方々は、コアな美術ファンや、美術やデザイン関係の学生さんが目立ち、一般的なイベントとしての認知度はまだまだ低いように思いました。私が出向いた神田地区でも、駅に企画の告知はなく、地図を受け取ることが出来るインフォメーションの場所すら分かりにくい状況です。また、メインの日本橋ステーションの会場も、中こそ盛況でしたが、外の日本橋界隈の賑わいを取り込むほどではありません。もっと一般の方へのアプローチが必要のようです。
あちこちの空きビルを巡りながら作品を鑑賞することは、意外にもスリリングで楽しめます。都会の真ん中でアートのオリエンテーリング。来年はもっと広い範囲を楽しんでみるつもりです。
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