田中功起「原因が結果」 ナディッフ 10/9

ナディッフ(渋谷区神宮前)
田中功起「原因が結果」
9/9~10/10(会期終了)

表参道のナディッフで、先日まで開催されていたミニ企画展です。書店内の狭いスペースの置かれた小さなモニターによる、僅か数分の、とても短いビデオ・インスタレーションです。

映しだされる映像は、一見何気ない光景にも見えますが、それらは全て因果関係が崩壊しているものばかりです。横倒しになった一個の扇風機は、電源こそ入れられてブンブンと威勢良く回っていますが、本来ならあるはずの羽の部分に、何故かタオルが巻かれています。また、空の澄んだ晴天の元で、強い風に思いっきり吹き飛ばされているビニール傘。一体何のためにあるのでしょう。そして、透明の液体が入ったグラス。そこに同じような透明の液体が入れられると、不思議にも上部が化学変化を起こすように凝固してしまいます。これでは飲めません。

この展覧会のパンフレットに、「成るべくしてそのように成ったモノや出来ごと。」という言葉がありましたが、そこに逆説的なヒネリを加えたのが、これらの作品ではないかと思います。結果の「無意味性」が予見されていることを敢えて行う。映像自体のクオリティーも高く、どのシーンも非常に美しく撮影されています。「ありそうでなさそうな光景」を巧みに生み出す発想力。なかなか面白い試みです。

この日は殆ど偶然にナディッフへ入って、何となしにこのビデオ・インスタレーションを見たのですが、思いの外楽しい時間を過ごすことが出来ました。また他でも見てみたいと思います。
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