「ZONE-POETIC MOMENT」 トーキョーワンダーサイト 10/23

トーキョーワンダーサイト(文京区本郷)
「ZONE-POETIC MOMENT」
9/30~10/30

若手8名のアーティストによる展覧会です。会場を、4つの「水準」=「ゾーン」(物質・象徴・隠喩・想像)に分け、さらにそれらを反復、または循環させて、会場全体を「POETIC MOMENT(ポエティック・モーメント)」、つまり「詩的な領域」へと変換させます。もちろん、このような小難しい「ゾーン」を意識しなくとも楽しめる企画です。(私も特に意識せずに拝見しました。)

増山麗奈による産業廃棄物を題材にした一連の作品からは、強いメッセージ性が感じられました。千葉県の産業廃棄物現場にて撮影されたという一枚の大きな写真、その名も「Beautiful World」。見渡す限り、それこそ滝のように、上から下までゴミで占められた空間の中央には、裸足で立つ増山本人(?)の姿があります。3時間ほどの撮影にて、その後頭痛も感じたという、体を張った作品からは、日頃、何かと目を背けてしまいがちにもなる産廃問題を、身体的に引きつける形で、より生々しく考えさせます。また、古いパソコンや空き缶、それに壊れた自転車などがゴチャゴチャに置かれた、まさにゴミの山の上とも言える場所にある、胎児の形をした立体的なスクリーンの「Operation baby」では、そこへ、環境破壊のシンボルとしての戦争や、排気ガスをまき散らす道路の光景が、執拗に映しだされます。ゴミの溢れきった世界の下に、生まれて来なくてはならない胎児の姿。強く印象に残りました。

都市の何気ない姿を、美しく、そしてどこか幻想的に切り取ったのは、越中正人の「The Window Is The Door」です。これは、どこかの大きな交差点などで行き交う人々の光景を、やや斜め上の視点から、鳥瞰的に撮影した作品ですが、それらの写真は、どれも画面の殆どがぼかされていて、場所や個人をあまり特定させません。匿名同士の者がぶつかり合う都市の雑踏を、巧みに表現します。また、この作品は、数点が、展示室全体を囲むように並べられていたのですが、窓から入り込む日差しと、作品の画面の乾いた明るさが上手く呼応し合って、その場を美しく転換させます。これはなかなか魅力的です。

他にも、これらとは全く毛並みが異なったインスタレーションなど、いくつかの作品に目がとまりました。30日までの開催です。
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