都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「照屋勇賢 - 水に浮かぶ島」展 すみだリバーサイドホール・ギャラリー 7/8
すみだリバーサイドホール・ギャラリー(墨田区吾妻橋1-23-20)
アサヒビール本社1階ロビー(墨田区吾妻橋1-23-1)
「アサヒ・アート・コラボレーション 『照屋勇賢 - 水に浮かぶ島』展」
6/17-7/18
昨年の横浜トリエンナーレにも出品していた照屋勇賢の展覧会です。会場はすみだリバーサイドホール・ギャラリーとアサヒビール本社ロビー。ともに浅草駅から吾妻橋を渡ってすぐのところにありました。フィリップ・スタルクによる金色のオブジェが有名な建物です。
やはり一番目立つのは、ビニールハウスの中で飛び交う美しいオオゴマダラ(大胡麻斑蝶)です。沖縄以南のみで生息するオオゴマダラを、特設のビニールハウスでさなぎの段階から飼育し、さらにはふ化させるというプロジェクト。現在では見事にふ化して、そのシルクのように透き通った羽をひらひらと舞わせています。数えてみるとちょうど10羽いました。人に馴れてしまったのでしょうか。しばらく立っているとすぐに寄ってきます。ちなみにこの蝶が、さなぎの段階でふ化を待っていたのは、ビニールハウスの中に今も置かれている自転車でした。(しかもそれは会場前の放置自転車です。)本来なら美しい自然の中にて舞う蝶が、自転車の合間を窮屈そうに飛んでいる。その奇妙な組み合わせも印象的でした。
照屋がデザインしたお菓子は何とも涼し気です。その名も「Dessert Project」。ガラスの冷蔵庫に入ったカラフルなパフェが2つ並んでいます。そしてそのモチーフは、もちろん沖縄の海と空、さらには大地です。海に見立てた真っ青なゼリーの上には、ケーキのスポンジなどによって出来た沖縄の山がぽっかりと浮いています。また空には砂糖の雲がプカプカと靡いている。既に制作されてから数週間が経過しているので、おそらく食べることは無理かと思いますが、一口味見をしたくもなる美味しそうな作品です。
「結い」と名付けられた衣装は見逃せません。一見、カラフルな南国の花などがデザインされているかと思いきや、よく見ると上には軍用機が飛行し、そこから無数の落下傘部隊が降下する様子が描かれています。紅型という沖縄の伝統技法によって表現された基地の街沖縄の今。そう言った社会への眼差しもまた、照屋の作品に占める大きな要素かと思います。
うっかりすると見逃してしまいますが、この展覧会は隣のアサヒビールの本社1階ロビーでも同時開催されています。こちらではマクドナルドの紙袋をくり抜いて作られた森が見応え十分です。袋の図柄に合わせて美しく切り抜かれ、そして立つ木々。精巧な作りにも見入るところですが、木を素材とした紙袋の中で生まれる木の存在は、その消費のあり方をも批判しています。社会問題とリンクさせつつ、作品の美感も伴っている部分は「結い」と同様です。心に残りました。
アサヒビール主催の展覧会と言うことで、ビールにちなんだ作品も展示されていました。今月18日までの開催です。これはおすすめしたいと思います。
アサヒビール本社1階ロビー(墨田区吾妻橋1-23-1)
「アサヒ・アート・コラボレーション 『照屋勇賢 - 水に浮かぶ島』展」
6/17-7/18
昨年の横浜トリエンナーレにも出品していた照屋勇賢の展覧会です。会場はすみだリバーサイドホール・ギャラリーとアサヒビール本社ロビー。ともに浅草駅から吾妻橋を渡ってすぐのところにありました。フィリップ・スタルクによる金色のオブジェが有名な建物です。
やはり一番目立つのは、ビニールハウスの中で飛び交う美しいオオゴマダラ(大胡麻斑蝶)です。沖縄以南のみで生息するオオゴマダラを、特設のビニールハウスでさなぎの段階から飼育し、さらにはふ化させるというプロジェクト。現在では見事にふ化して、そのシルクのように透き通った羽をひらひらと舞わせています。数えてみるとちょうど10羽いました。人に馴れてしまったのでしょうか。しばらく立っているとすぐに寄ってきます。ちなみにこの蝶が、さなぎの段階でふ化を待っていたのは、ビニールハウスの中に今も置かれている自転車でした。(しかもそれは会場前の放置自転車です。)本来なら美しい自然の中にて舞う蝶が、自転車の合間を窮屈そうに飛んでいる。その奇妙な組み合わせも印象的でした。
照屋がデザインしたお菓子は何とも涼し気です。その名も「Dessert Project」。ガラスの冷蔵庫に入ったカラフルなパフェが2つ並んでいます。そしてそのモチーフは、もちろん沖縄の海と空、さらには大地です。海に見立てた真っ青なゼリーの上には、ケーキのスポンジなどによって出来た沖縄の山がぽっかりと浮いています。また空には砂糖の雲がプカプカと靡いている。既に制作されてから数週間が経過しているので、おそらく食べることは無理かと思いますが、一口味見をしたくもなる美味しそうな作品です。
「結い」と名付けられた衣装は見逃せません。一見、カラフルな南国の花などがデザインされているかと思いきや、よく見ると上には軍用機が飛行し、そこから無数の落下傘部隊が降下する様子が描かれています。紅型という沖縄の伝統技法によって表現された基地の街沖縄の今。そう言った社会への眼差しもまた、照屋の作品に占める大きな要素かと思います。
うっかりすると見逃してしまいますが、この展覧会は隣のアサヒビールの本社1階ロビーでも同時開催されています。こちらではマクドナルドの紙袋をくり抜いて作られた森が見応え十分です。袋の図柄に合わせて美しく切り抜かれ、そして立つ木々。精巧な作りにも見入るところですが、木を素材とした紙袋の中で生まれる木の存在は、その消費のあり方をも批判しています。社会問題とリンクさせつつ、作品の美感も伴っている部分は「結い」と同様です。心に残りました。
アサヒビール主催の展覧会と言うことで、ビールにちなんだ作品も展示されていました。今月18日までの開催です。これはおすすめしたいと思います。
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「ロビン・ロード個展」 資生堂ギャラリー 7/8
資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3 銀座資生堂ビル地下1階)
「ロビン・ロード個展」
6/6-7/30
ベルリン在住のアーティスト、ロビン・ロードの日本初個展を見てきました。ストリートカルチャー風のパフォーマンスを映像で公開します。展示室の大きな壁面がスクリーンです。
コンクリート剥き出しの壁の前に立つのは、ストリートファッションに身を纏った一人の若者でした。彼が手にしているのは白いチョーク。それを自在に操って壁に絵を描いていきます。(その様子をコマ送りで映像化。)チョークが植物の種となって地面(壁)へまかれ、じょうろで水やりすると瞬く間に成長する。やがてそれがいつの間にかベットになっていました。後は彼がその前で寝るだけです。チョークの動きが植物やベットを表現し、そこにリアルなじょうろや人物が絡んでいく。彼が乗る車もチョークで制作されました。どれも約1分ほどの短い映像でしたが、ともかくチョークによって次から次へと新たな空間が創造されていきます。まさに画家としてチョークで絵を描き、まるで魔術師のように生命を与えていく。壁の前にてモノと場が生成されていきます。
少々物足りなさが残ったのも事実ですが、何が起るのかというハプニング的な要素も見逃せない点かと思いました。ぶらり立ち寄るにはピッタリの展覧会かもしれません。今月末までの開催です。
「ロビン・ロード個展」
6/6-7/30
ベルリン在住のアーティスト、ロビン・ロードの日本初個展を見てきました。ストリートカルチャー風のパフォーマンスを映像で公開します。展示室の大きな壁面がスクリーンです。
コンクリート剥き出しの壁の前に立つのは、ストリートファッションに身を纏った一人の若者でした。彼が手にしているのは白いチョーク。それを自在に操って壁に絵を描いていきます。(その様子をコマ送りで映像化。)チョークが植物の種となって地面(壁)へまかれ、じょうろで水やりすると瞬く間に成長する。やがてそれがいつの間にかベットになっていました。後は彼がその前で寝るだけです。チョークの動きが植物やベットを表現し、そこにリアルなじょうろや人物が絡んでいく。彼が乗る車もチョークで制作されました。どれも約1分ほどの短い映像でしたが、ともかくチョークによって次から次へと新たな空間が創造されていきます。まさに画家としてチョークで絵を描き、まるで魔術師のように生命を与えていく。壁の前にてモノと場が生成されていきます。
少々物足りなさが残ったのも事実ですが、何が起るのかというハプニング的な要素も見逃せない点かと思いました。ぶらり立ち寄るにはピッタリの展覧会かもしれません。今月末までの開催です。
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